貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ率直に面白かったです。
もっと早く読んでればよかったな。
ホラー色もあって、謎も多くて次の展開はどうなるんだろうかと
読み進めるペースが上がる。そんな作品。
冒頭に早季の語りから始まるので、最終局面でも生き残るのは分かってるが、
自分たちが生き残るためにあっさりと奇狼丸を犠牲にするのはモヤモヤする。
奇狼丸が可哀想だとかの前に、バケネズミは利用するためだけのモノ
という傲慢さが見えて嫌な感じだった。
早季の葛藤もあまりなくて、さらっと“いい案でしょ”
みたいな感じで扱うのもなんだかなという感じ。
愧死機構を逆手に取った妙案かもしれないけれど、
最後の最後でこの部分が引っ掛かって後味が悪い作品と思ってしまった。
いっそのこと幼少期に居なくなった友人たちがバケネズミに変化していて、
彼らと対面した時にも同じ扱いが出来てしまうぐらいまで振り切ってれば
もう少し違った印象になったかも。
早季の語りなので仕方ないけれど、
真理亜と守サイドをもう少し丁寧に書いて欲しかったかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ安定の貴志祐介クオリティ。話の構成が並み居る作家の中でも群を抜いて上手いと思う。膨大な語彙力で投影される作者の世界観は恐ろしい程のリアリティだ。ただ、所々分からない言葉があってつっかえながらの読書になってしまったので、またたくさん経験を積んでから再読したい。
短編書評
皐月闇
詩の解説形式で進んでいく本作。作田の解説が上手くてすっかり騙されてしまったが、その後の菜央の解説を聞くとそっちに納得してしまうのは全く不思議。作田がかつて経験した断片的な記憶、これ以上今回の件に触れてはいけないという予感、妙に納得しない菜央の様子。作中のそこらに布石されていた伏線が全て最後の結末に繋がっていき、物語として非常に面白かった。例え何度でも訪問し、自分で自分の罪を思い出すまで待ち続ける菜央の執念がビシビシ伝わってきた。文中に潜む巧みなギミック、緻密な設定から生まれるミスリード。貴志祐介らしさが前面に現れている良い短編だと思った。
ぼくとう奇譚
三作品の中で一番ホラーテイストが強い今作。こういった呪いや怨恨の話を大正や昭和初期という時代に合わせると、余計怖さが増すのは何故だろうか。最後、おみつ以外を選んでおけば軽い罪で済んでいたのに、結局幼い子供を選んでしまうというところに主人公の救えなさ、罪深さが出ている。美都子も一応の助け舟を用意していたことを考えると、主人公の因果応報具合が余計際立つ。いや、他を選ばないと確信した上での、挑発的な呪いだったのかもしれない。その後、主人公が喰われたシーンで終わらず、一つの木に棲息する虫による妖だと種明かしされるのがまた良い。
くさびら
一気に作品のトーンが変わって、今度の主題はきのこ。ホラーというよりかは、謎解きも兼ねた哀惜の漂う悲しい話という印象。恒川光太郎が好きな自分にとって、こういったハッピーエンドでははない、しかしバッドエンドでもない、悲哀、哀愁といった終わり方の話はドストライクゾーンだ。前作での黒い蝶は得体の知れない恐怖そのもだったが、今作のきのこは危険を知らせてくれる存在。意識や感情が霧散した状態になっても主人公を守り切ろうとする家族の愛。役目を終えて最後の挨拶をするシーンに、この家族の絆の深さを感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
1900年代の実際にいたシリアルキラーたちを彷彿とさせる小説だった。
実際にこういう人たちがいた。
吐き気するくらい怖かった。生まれながらにサイコパスと言われる人はいて、その人たちは恐怖心も痛みも罪悪感も全く感じず、若槻と関わって追い込まれたのが引き金になり、リミッターも解除されて最後はああいう結末になったんだろうと思った。火事場の馬鹿力。
本当に歪んで、壊れすぎてて理解が追いつかない。
幼少期の出来事って人格形成に直結してると再確認した。
結局、和也を殺したのは幸子…?なぜ小坂は初め、和也が死んでる姿を見た若槻のこと凝視してたの??どういうつもりだったのか…。
そして幸子はずっと何を考えてたの?2人とも今まで何を考えて生きてきたの…。ただ欲のまま動いてたの?どうしようもなく不幸な人たちだな…
しかも名前が幸子って…皮肉すぎる。
あとバウムテストのくだりも子供の頃の日記も不気味で怖かった。なんでそんな人間が生まれるのか…。悲しすぎる。