貴志祐介のレビュー一覧

  • 十三番目の人格 ISOLA

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    独特な世界観に引き込まれ、不安と緊張を抱えたままあっという間に読み終えてしまった。
    読み進めるほど違和感が膨らみ、名前が人格を表す伏線に気づいた瞬間、ぞっとする感覚に襲われる。
    物語は救いのある方向へ進むことを期待させながら、最後までその期待を裏切り、まさか!という終わり方をする。それでも、その後味の悪さこそが強烈で、簡単には忘れられない。読んでいる間も読み終えた後も、感情を静かに揺さぶり続ける作品だった。

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    2026年01月03日
  • ミステリークロック

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    表題作のミステリークロックについて。山奥の別荘で開催された晩餐会に招かれた客人たちが殺人事件に巻き込まれる。犯人やその動機よりも、むしろ犯人はおおよそ自明でありながら、どのように殺人を実現できたかというトリックの解明に重点が置かれていた。とても複雑なトリックであったが、心理的な誘導による”心理トリック”がうまく作用していて単純な”機械トリック”に留まらない点が面白く、思わず感心させられた。

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    2026年01月02日
  • 鍵のかかった部屋

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    この本がドラマ化されたのが2012年4月。13年も前になる。
    とても面白かったのを覚えている。
    今、オンデマンドで見てもきっと面白いと思う。
    だけど、映像は粗く、ファッションや髪型、いろんなところに「古さ」を感じてしまうだろう。

    この小説が刊行されたのは2011年。15年前。
    今、読み終えたけれども、古臭さは全く感じない。純粋に面白いし、密室トリックは斬新そのもの。

    きっとこれが本の「良さ」なんだと思う。
    いつ読んでも変わらない面白さ、楽しさがある。

    もちろん映像だって不朽の作品はあるし、何度も観ても面白いものはある。
    だけど、映像技術が進歩するほど、過去の作品の粗さが目立ってしまう。ス

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    2025年12月30日
  • 兎は薄氷に駆ける

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    ある青年が警察から殺人の自白を強要される。青年に同情するとともに、助けようとする弁護士とその協力者を応援したくなる…が、青年、弁護士それぞれに何やら思惑がありそうで…。やがて舞台は法廷での論争へ。
    分厚い本で、主に法廷での会話で成り立っているという構成であるものの、意外なほどにスラスラと読めるし興奮する。事件自体はシンプルで謎解きという楽しみはないが、このようなジャンルでもここまで楽しくなるという驚きを味わえる。

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    2025年12月29日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    旅行の飛行機で読もうと買ったホラーアンソロジー。
    飛行機では結局1話目しか読まなかったけど、それ以降少しずつ読み進めた。

    いろんなタイプの話が入ってて楽しかった。お得感。
    特に印象的だったのは北沢陶さんの「お家さん」と恩田陸さんの「車窓」

    お家さんは、大正時代に大阪の商家へ丁稚奉公する少年のお話。
    時代や言葉が相まってすごく雰囲気があったし、ラストも恐ろしくて好き…
    こういう作品もっと読んでみたい!

    車窓は、新幹線から見える看板のお話。
    少ないページなのにすごく引き込まれた。
    ラストはいろんな解釈ができそう。

    いろんな作家さんのお話読みたい欲でアンソロジー何冊か買っちゃったけど、読むペ

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    2025年12月29日
  • エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く

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    自分の書きたいことを面白く、分かりやすく伝えることがエンタメ小説の極意。

    著者の長編ホラー小説『天使の囀り』がものすごくおもしろくて(これぞエンタメ!)手に取った1冊

    創作にまつわる手の内を包み隠さず、プロットの一部まで公開されていて(しかも天使の囀り)、小説指南本のなかでもかなり具体的な印象

    特に参考になったのが「どうすれば文章力は上達するのか?」というところ。

    好きな作家の文体を真似したり、模写したりというのはよく言われることだけれども、結局それだけだと劣化コピーになってしまう。

    著者が自ら効果的だったと語るのは、「自分が書いた文章を何度も推敲すること」。そうすれば自分の癖も見え

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    2025年12月23日
  • 兎は薄氷に駆ける

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    読み入ってしまった!
    感情移入というか、、、
    トリックどうこうより、その経緯とか内容とかが前作の青の炎を彷彿させる。

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    2025年12月21日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    6人の作家さん。
    それぞれの6つの物語。
    終幕はあれは何だったのかという恐さの余韻もあったりとどの作品も楽しめた。

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    2025年12月17日
  • クリムゾンの迷宮

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    ネタバレ

    後半は血の気が引きながら読み進めました。
    バトルロワイヤル系は初めて読みましたが、これは読み終えるまで休憩できない…

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    2025年12月15日
  • 十三番目の人格 ISOLA

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    ネタバレ

    朝イチから読んで、読む手が止まらなかった。最近海外小説も積読いっぱいあって読んでたからか。海外小説は日本小説よりも読むペースは遅くなる。日本小説を読むとスラスラ読めるせいか、ただ単に面白いから読めるのか。うん、面白いからですね!まさか幽体離脱が出てくるとは。最初は確実に昔の人間の怨霊イソラが入り込んでるとしか思ってなかった。面白い。

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    2025年12月14日
  • クリムゾンの迷宮

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    ぞくぞくした。
    結末に至るまでの不快感と光のない展開と、全てが終わってからの清涼感かつ後味に苦味が残る読後感が最高だった。
    バトル・ロワイヤル系でも少し珍しい展開ではあった。

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    2025年12月09日
  • 秋雨物語

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    ホラーというより、“世にも奇妙な物語”を思わせる不思議な短編が4つ入った1冊。
    その中でも特に印象に残った2作。

    『フーグ』
    悪夢のあと、まるで夢そのもののような場所に突然移されてしまう作家・青山の体験が描かれる。本当に瞬間移動しているのか、精神のフーグという症状なのか、境界が分からなくなっていく感覚がじわじわ迫ってくる。残された原稿を通して、現実と非現実が静かに溶けあうような怖さが残る一編。

    『こっくりさん』
    子どもの頃に遊んだ“こっくりさん”の、闇に触れるようなアレンジ。死の選択を迫る儀式なのか、人生をやり直すための導きなのか、その曖昧さが心にひっかかる。ただ怖いだけではなく、人の弱さ

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    2025年12月07日
  • 十三番目の人格 ISOLA

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    ネタバレ

    怖かったらどうしようとドキドキしながら読んだのだけど、思いのほか怖くなく、面白く読めました。
    というのも、ISOLAのターゲットは主人公ではないことが明らかで、直接恐怖の矛先を向けられることがなかったからだと思います。

    主人公の由香里は、人の感情を読み取ることができる能力を持っている。
    そのために家族とは絶縁せざるを得なかったけれど、カウンセラーのようなことをやって生計を立てている。
    そして、阪神淡路大震災の被災者の声を聞くというボランティアをしていた時、多重人格障害の疑いのある女子高生・千尋と出会う。

    幼い時に事故で両親を失い、叔父夫婦の家で育てられた千尋は、それまで12人の人格を持って

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    2025年12月05日
  • 硝子のハンマー

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    昔観たドラマの原作ということで読んでみた作品。
    ドラマの方のストーリーは全く覚えていなかったので、新鮮な気持ちで読めました。
    色々な仮説と検証の中にはそれが答えかと納得してしまうものもあったりで読んでいて何回も騙されてしまいました(いい意味で)。
    最後の方でタイトルの意味が分かった時にはなるほどなと考えさせられました。
    続編を読むのも楽しみです。

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    2025年12月03日
  • 悪の教典(下)

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    生きてる人間に対して心霊的な恐怖を感じたのは初めて…めっちゃ怖
    上巻では怖い言っても心理的な方かぁって感じだったのにメインで潜在的な恐怖を感じさせてくる
    蓮見のサイコパスさが…
    でも蓮見と園田のアクションシーンはメディアで見たいな絶対少年ジャンプ

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    2025年11月27日
  • もの語る一手

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    ネタバレ

    綾崎隼さんが将棋のアンソロジーに寄稿してると聞いては読まないわけにはいかない!
    今回の綾崎さんの作品は、「僕らに嘘が一つだけ」の2人と同世代の朱莉さんが主人公。もう一度僕らに〜も読み返した上で、こちらも読み返したいな。

    一話目は青山さんのお話らしく、前向きな気持ちになる門出の話。
    葉真中さんは初読み。ただただ少年の手腕に鳥肌。
    弟子にしたかった少年を冤罪から救うという白井さんの話にはびっくり。そういう将棋との絡め方もあるのか。
    橋本さんも初読み。この一戦を勝てば夢が叶うという相手への対応って悩ましい。そこで手を抜かれて夢を叶えること、本気で相手してもらって破れること。
    芦沢さんは気になってい

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    2025年11月24日
  • クリムゾンの迷宮

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    続きが気になって一気に読めた。最後どうなるんだろう?と思いながら読んでたけど自分の理解力では最後どういう意味なのか理解できず……。ただ物語自体は面白くて、食料どうする?どこに向かう?なぜここにいる?捕まるのか?等気になることが多すぎてハラハラしながらページをめくるのが楽しかった

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    2025年11月24日
  • クリムゾンの迷宮

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    デスゲーム系で楽しみながら一気に読める作品。
    ゲームブックという懐かしい内容があったが、確かにアイテム欄とか分岐の選択とか変貌する敵など、ゲームブックを意識したエンタメだと思う。

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    2025年11月19日
  • コロッサスの鉤爪

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    防犯探偵・榎本シリーズの4作目。鏡の国の殺人に比べて、表題作のコロッサスの鉤爪がトリック、人物描写、動機のいずれにおいても印象が強かった。まず、密室は密室でも”音の密室”とは言い得て妙であったし、トリックも人間、動物、技術など複数の要素が組み合わさって成立していた点がよくできているなと感じた。

    特に、タイトルの”コロッサスの鉤爪”は犯人に復讐を動機づけた決定的な瞬間であると同時に、犯人が大切に想っていた存在を次々に傷つけられた悲しさを象徴するキーワードでもあり、他に候補がないくらいこの物語を表わしていると思った。

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    2025年11月15日
  • 硝子のハンマー

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    密室で起こった事件。状況からして犯人は一人であるものの、その人物「久永」は事件当時猛烈な睡魔から眠っていた。弁護士である主人公は「久永」の無実を証明するべく、防犯コンサルタントの「榎本」と共に密室の謎に挑む。あらすじの通り、シンプルなミステリーであるが、謎の難関さから導き出した答えが何度も何度も否定されてしまう。その度に「これすらも無理ならどうするのか?」といった問いが生まれ、作中のキャラ達と感情がリンクする。後半は犯人の壮絶な過去と経験から犯行に至るまでを語られ、最後は名探偵よろしく謎を解く。現代において探偵としての謎解きに違和感なく落とし込めていると思うが、内容は王道のミステリーである。

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    2025年11月15日