貴志祐介のレビュー一覧
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ネタバレ主人公が完全犯罪を目指すサスペンス物語。
罪を犯しているにも関わらず主人公に思わず肩入れしてしまい、バレないでくれ!というハラハラが止まらなかった。
主人公が完全犯罪を目指す理由が興味深かった。当たり前だが警察に捕まれば今後の人生に多大な影響を与える。犯罪が露見すればまともに生きていくのは難しくなる。周囲の視線は変化し、不自由な生活、社会的名誉の喪失など様々な社会的制裁を恐れるのは多くの人にとって自然な利己的反応だろう。
しかし本作の主人公はずっと母と妹に迷惑が及ばないことばかり考えていた。完全犯罪でなければ家族は白日の元に晒され、個人情報が世に出回る。複雑な家庭事情も影響していたが、それ以上 -
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兎が囲いの中に入れられると冤罪の冤の字になる。
逮捕されて取り調べを受ける被疑者は薄氷の上を.警察や検察の手から逃れようとはしる。
父が冤罪で捕まり、獄死したせいで人生を壊された日高英之が伯父殺しの罪で投獄される。
取り調べを受けて自白する英之。その裁判の過程で色々な事実が判明する。伯父の罪は何だったのか?
英之は何をしたいのか?
弁護士の手伝いで事件調査をする垂水が感じた違和感の正体は?
世間で騒がれる冤罪事件は、過去だけではなく現代でさえ実在する。
今騒がれている冤罪事件を見ていても、無実の人間を陥れようとするずる賢い狐のような警察や検察がいるのが明らかにされるとやり切れない気持ちになる。 -
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ネタバレ将棋がテーマのアンソロジー。
お気に入りは青山さん「授かり物」
有名な棋士と、同じ年で同じ誕生日の息子を持つ松原芳枝。シングルマザーとして息子を育てていたが、20歳になった歳に漫画家のアシスタントになると言い出し…
ひょんなことから出会った将棋を指す老人と出会い、将棋の奥深さにハマっていく芳枝。これまでの人生と将棋を掛けた描写にじんわりきました。
綾崎さんの「女の戰い」
あくまで棋士を目指す朱莉。女流棋士とは違い狭き門で、保険で東大へ入学できるのも凄いです。
ライバルだけど、友達以上恋人未満な関係の京介が心地よく、認めてくれる人がいるだけで強くなれる関係がまた更に朱莉を上へ連れてって -
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ネタバレ日高英之は、叔父・平沼精二郎殺害の容疑で勾留された。
彼を助ける為、交際相手の千春、弁護士・本郷誠、調査員・垂水謙介が奔走する。その過程で見えてきたのは、英之の持つ悲しき過去と静かな怒り。英之の本当の狙いとは?冤罪と司法制度の問題に向き合う法廷ミステリー。
さすがに綺麗にまとまっていた。
貴志氏の紡ぐ言葉は、余計な装飾がなく、いつでもすっと頭の中に入ってくる。情報が整理され、事件がすとんと腑に落ちるのだ。大きな感動はなかったが、気になるべき瑕疵も見当たらない。さすがである。
感情面の描写が少なく、なんとなく違和感を覚えた。
日高英之が復讐を決意するほどの父への思慕があったのか、本郷弁護士が