貴志祐介のレビュー一覧

  • 青の炎

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    ネタバレ

    主人公が完全犯罪を目指すサスペンス物語。
    罪を犯しているにも関わらず主人公に思わず肩入れしてしまい、バレないでくれ!というハラハラが止まらなかった。
    主人公が完全犯罪を目指す理由が興味深かった。当たり前だが警察に捕まれば今後の人生に多大な影響を与える。犯罪が露見すればまともに生きていくのは難しくなる。周囲の視線は変化し、不自由な生活、社会的名誉の喪失など様々な社会的制裁を恐れるのは多くの人にとって自然な利己的反応だろう。
    しかし本作の主人公はずっと母と妹に迷惑が及ばないことばかり考えていた。完全犯罪でなければ家族は白日の元に晒され、個人情報が世に出回る。複雑な家庭事情も影響していたが、それ以上

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    2025年06月25日
  • 梅雨物語

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    貴志祐介が得意とする謎解き要素と、人怖ホラーを巧みに組み合わせた3作でした。

    「皐月闇」は前半と後半でこんなに変わるのか、というくらい状況が一変。ホラーでありながらミステリ的どんでん返しも楽しめます。
    「ぼくとう奇譚」、「くさびら」は現実世界に悪夢が侵食してくる、幻想文学のような趣の作品です。

    毎度のことながら、様々なジャンルに精通しているその博識さと、それでいてスッと入ってくる文章力には脱帽です。
    ちゃんと怖いホラー小説を読みたい方におすすめの1冊。

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    2025年06月28日
  • 罪人の選択

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    夜の記憶デビュー当時のものなの?!?!
    SF苦手ではあるけど貴志祐介のものは何故か読めちゃうんですよね…。
    でもやっぱり罪人の選択がいちばん面白かった。

    最後の赤い雨はずっとエヴァが頭から離れなくて困ってました笑

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    2025年06月23日
  • 秋雨物語

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    現実的な描写の中に超常現象が混ざり、どこまでが本当でどこまでが空想かあいまいなまま読者に不気味さを与えてくる。

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    2025年06月22日
  • 悪の教典(下)

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    人間の感性が欠落した教師が学校で大量殺人をする話。上巻では、教師の計算し尽くされた奇行に感服していた。登場人物が多いのにも関わらず、教師にスポットライトが当たり、終始整然と物語が進行していた。下巻には上巻の比ではない恐怖があった。特に「死体を隠したければ、死体の山を築くしかない」という言葉を見た時の感情は一生忘れないと思う。こんなに恐ろしい話であるのに、好奇心によってページ巡ってしまうのは、自分も教師に魅せられているのかなと思ってしまった。

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    2025年06月19日
  • 悪の教典(下)

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    メディア化にもなった話題作、下巻。
    プロット先行で肉付けしたのではと思われる中盤からの展開には、それまでの緻密な積み上げを破壊する衝撃があった。
    舞台装置感がやや強い場面は多かったが、純悪を描いた作品の中では、やはり出色の出来だと思った。

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    2025年06月18日
  • もの語る一手

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    ネタバレ

    将棋ほとんど知らないけど惹き込まれる。将棋に魅せられた人たち。子どもの成長。賭け将棋。子どもの頃は天才。それて世界は厳しい。かーくん。千代倉。なれなかった人。なれなかった人はやっぱりなれなかった人。天才は天才。おまえレベルの話はしてない。やめ時。女。

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    2025年06月13日
  • 兎は薄氷に駆ける

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    兎が囲いの中に入れられると冤罪の冤の字になる。
    逮捕されて取り調べを受ける被疑者は薄氷の上を.警察や検察の手から逃れようとはしる。
    父が冤罪で捕まり、獄死したせいで人生を壊された日高英之が伯父殺しの罪で投獄される。
    取り調べを受けて自白する英之。その裁判の過程で色々な事実が判明する。伯父の罪は何だったのか?
    英之は何をしたいのか?
    弁護士の手伝いで事件調査をする垂水が感じた違和感の正体は?
    世間で騒がれる冤罪事件は、過去だけではなく現代でさえ実在する。
    今騒がれている冤罪事件を見ていても、無実の人間を陥れようとするずる賢い狐のような警察や検察がいるのが明らかにされるとやり切れない気持ちになる。

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    2025年06月13日
  • 悪の教典(上)

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    メディアを沸かせた作者の超話題作。
    設定は少し陳腐だが、主人公の教師が異常な事について、実は序盤からあまり隠されてはいない。
    ゴールをそこに据えず、900p超の長大なボリュームを多数の生徒・教師たちを絡ませ重層的に読ませる作者の構想力と、上質なエンタメ性を混ぜ込むバランス感覚は流石の一言。

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    2025年06月13日
  • もの語る一手

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    ネタバレ

    将棋がテーマのアンソロジー。

    お気に入りは青山さん「授かり物」

    有名な棋士と、同じ年で同じ誕生日の息子を持つ松原芳枝。シングルマザーとして息子を育てていたが、20歳になった歳に漫画家のアシスタントになると言い出し…

    ひょんなことから出会った将棋を指す老人と出会い、将棋の奥深さにハマっていく芳枝。これまでの人生と将棋を掛けた描写にじんわりきました。

    綾崎さんの「女の戰い」

    あくまで棋士を目指す朱莉。女流棋士とは違い狭き門で、保険で東大へ入学できるのも凄いです。
    ライバルだけど、友達以上恋人未満な関係の京介が心地よく、認めてくれる人がいるだけで強くなれる関係がまた更に朱莉を上へ連れてって

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    2025年06月09日
  • 新世界より(中)

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    管理された世界。その中で気づき、抗うのか。
    知識の大切さ、歴史を学ぶことの大切さを感じる。
    どうなるんだろうこれから。

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    2025年06月09日
  • 天使の囀り

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    人に映像を想像させる文章が巧みすぎる。その一言に尽きるゾワゾワ感が終始続く小説でした。どことなくずっと漂う不気味さ。解決したはずなのにしてないような不快感。これぞ、貴志祐介さんのホラーなのかなぁと思いながら読ませていただきました。ありがとうございました。

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    2025年06月06日
  • 硝子のハンマー

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    ネタバレ

    密室で起こった殺人事件を特にあたり、いろいろな視点からのトライが丁寧に表現されていて分かりやすかったですね。
    WHOよりもHOWが気になる作品と感じました。

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    2025年06月03日
  • 新世界より(中)

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    上巻より格段に読みやすくなってる!面白くなってる!

    ファンタジー系の長編小説だと仲間はずっと仲間だけど、どんどん居なくなってその描写がとても切なくてどんな終わり方を迎えるのか期待して
    下巻に続く…

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    2025年06月02日
  • もの語る一手

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     将棋に絡めた短編集。どれもこれもおもしろかった。ドキドキ、ハラハラ、おおっ、しみじみ、ほろり。いろんな感情を味わえました。1番のお気に入りは「なれなかった人」。棋士たろうとする凄みがすごかった。

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    2025年05月25日
  • もの語る一手

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    全く将棋が強い訳でもないが、将棋にまつわる小説やノンフィクションは個人的に好きな分野。粒揃いな作品群の中でも、葉真中氏の「マルチンゲールの罠」、橋本氏の「なれなかった人」、綾崎氏の「女の戦い」、そして奥泉氏の「桂跳ね」あたりが特に面白かった。芦沢氏は「神の悪手」が滅茶苦茶面白かったので期待大だったが、本作の「おまえレベルの話はしていない(大島)」はそれほどでもなかった。

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    2025年05月15日
  • 新世界より(中)

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    ふう。記憶がなくなってた。軽く10年ぶりだし仕方ないか!
    繊細で聡い貴方が1番好きです.上巻でも予告されてた通りだったけどやっぱり悲しいもんで涙が出ました。
    主人公はほんとうに主人公らしく、くどくてあまり好みではないけど応援しちゃいます。

    読むのが止まらない

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    2025年05月14日
  • エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く

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    【どんな本?】
    エンタテインメントの作り方を、「アイデア」「プロット」「 キャラクター」「文章作法」「推敲」「技巧」の6視点から考える本。
    著者がどのように考えて小説を作ってきたのか、その考えを知る事が出来るため大変貴重。

    【まとめ】
    著者の考え方を学べる。

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    2025年05月14日
  • コロッサスの鉤爪

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    再読。
    キャラが面白くて読みやすい。榎本と青砥の掛け合いについ笑ってしまう。
    でも、犬のコロのエピソードはちょっと…辛いからいや。
    博識になります。

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    2025年05月13日
  • 兎は薄氷に駆ける

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    ネタバレ

    日高英之は、叔父・平沼精二郎殺害の容疑で勾留された。
    彼を助ける為、交際相手の千春、弁護士・本郷誠、調査員・垂水謙介が奔走する。その過程で見えてきたのは、英之の持つ悲しき過去と静かな怒り。英之の本当の狙いとは?冤罪と司法制度の問題に向き合う法廷ミステリー。

    さすがに綺麗にまとまっていた。
    貴志氏の紡ぐ言葉は、余計な装飾がなく、いつでもすっと頭の中に入ってくる。情報が整理され、事件がすとんと腑に落ちるのだ。大きな感動はなかったが、気になるべき瑕疵も見当たらない。さすがである。

    感情面の描写が少なく、なんとなく違和感を覚えた。
    日高英之が復讐を決意するほどの父への思慕があったのか、本郷弁護士が

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    2025年05月11日