貴志祐介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレホラー短編4作品、どれも趣向が違っていて楽しめた。
「餓鬼の田」
怖いというより可哀想な話だった。餓鬼の飢えが癒えることはないのだ。
「フーグ」
寝ている間に自分の意思が通らない・制御できないという点で、実際に悪夢を見た時の感覚が想起され、その無限に膨らんでいく恐怖がとても良かった。監視カメラの映像を確認しているシーンは、その様子が頭に浮かんできてより不気味さが増した。部屋の隅にうずくまっているのって、たとえそれが生きている人間であっても妙に怖い。霊能者が「餓鬼の田」に出てくる人と同一人物に思えるので、その後も登場するかと少し期待してしまった。この霊能者目線の物語も読んでみたい。
「白鳥 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに貴志祐介先生の作品を読んだ。
今作では、13人の人格が入り込んだ多重人格者・森谷千尋と、相手の表情や言動から本心を読み取る能力を持つ賀茂由香里が登場する。一人だけ紛れ込んだ殺人鬼・磯良との対立は緊張感に満ち、恐ろしい展開にもかかわらず、ページをめくる手が止まらなかった。
特に磯良の描写は凄まじく、いかに恐ろしい存在であるかがひしひしと伝わってくる。貴志先生の表現力の高さが光っていた。
「実体がないだけに、彼女の感じた磯良の本質が、イメージとなって現れたのだ。それは、無数の手足を持ち、半ば獣と化したような、醜悪な女の姿だった。」
「磯良は、無数の手足を蠢かしながら言った。にやにや笑って -
Posted by ブクログ
兎が囲いの中に入れられると冤罪の冤の字になる。
逮捕されて取り調べを受ける被疑者は薄氷の上を.警察や検察の手から逃れようとはしる。
父が冤罪で捕まり、獄死したせいで人生を壊された日高英之が伯父殺しの罪で投獄される。
取り調べを受けて自白する英之。その裁判の過程で色々な事実が判明する。伯父の罪は何だったのか?
英之は何をしたいのか?
弁護士の手伝いで事件調査をする垂水が感じた違和感の正体は?
世間で騒がれる冤罪事件は、過去だけではなく現代でさえ実在する。
今騒がれている冤罪事件を見ていても、無実の人間を陥れようとするずる賢い狐のような警察や検察がいるのが明らかにされるとやり切れない気持ちになる。