貴志祐介のレビュー一覧
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主人公と同じくインチキ女のトリックを見破ってやんよオラッ!!という意気込みで読みはじめ、200ページを越えたあたりで、あっこれミステリじゃなくて超常系ホラーか…スンッとなった。
呪物ルームツアー長すぎるよお!
ところが後半から展開が動きだし、おおそう来るか!と。ひとつひとつの話がやはり長いものの、俄然面白くなる。
主人公が底辺YouTuber(でも実家は太い)という設定なので、割とスラング寄りの言葉も使われるのだが、上級国民というワードが出てきた時は笑っちゃった。まずいっすよ加茂さん!
実況するとこ大好き。現代の若者ならではの発想で打開する展開がもっとほしかったな。
エピローグはやや物足りず -
Posted by ブクログ
自分の書きたいことを面白く、分かりやすく伝えることがエンタメ小説の極意。
著者の長編ホラー小説『天使の囀り』がものすごくおもしろくて(これぞエンタメ!)手に取った1冊
創作にまつわる手の内を包み隠さず、プロットの一部まで公開されていて(しかも天使の囀り)、小説指南本のなかでもかなり具体的な印象
特に参考になったのが「どうすれば文章力は上達するのか?」というところ。
好きな作家の文体を真似したり、模写したりというのはよく言われることだけれども、結局それだけだと劣化コピーになってしまう。
著者が自ら効果的だったと語るのは、「自分が書いた文章を何度も推敲すること」。そうすれば自分の癖も見え -
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ネタバレ昆虫の生態と事件の内容が照らし合わされる場面が多々あった。人間からしてみたら、昆虫は何も考えていないように見える。しかし、昆虫は昆虫なりに自然の摂理のもと本能に従って生きている。人間なんかよりも圧倒的に合理的に生きているように見える。
人間も合理的であるかどうかを意識する生き物であるが、感情をもつ生物である。感情を一切排除して行動することなどできるはずがない。
この物語の犯人は、昆虫のように自然から言い渡された命令に従うように、感情なく、淡々と仕事をこなしていく。
恵は対照的に、人間は感情から行動する生き物であるという意見を持っていた。
主人公はどちらの意見も理解できる立場にあった。時に、犯人 -
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『黒い家』で一番怖かったのは、生命に価値を見出さない狂人を前にした時の逃げ場のない恐怖だった。
物語の舞台となる「黒い家」は、最初から異様な空気をまとっている。ここに住んでいるという菰田夫妻の描写も相まって、読者に尋常ではない不気味さを突きつける。
彼らがただものではないという感覚が、ページを進めるごとに積み重なっていく。
クライマックスで主人公若槻が追い詰められる場面は、これまでの気持ち悪さと恐怖が一気に若槻に向かって襲いかかる。思わず「助かってくれ」と願ってしまうほど緊張が高まる。
『黒い家』は、じわりじわりと積み重なる絶望感を味わえる一級品のヒトコワホラーだった。 -
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ホラーというより、“世にも奇妙な物語”を思わせる不思議な短編が4つ入った1冊。
その中でも特に印象に残った2作。
『フーグ』
悪夢のあと、まるで夢そのもののような場所に突然移されてしまう作家・青山の体験が描かれる。本当に瞬間移動しているのか、精神のフーグという症状なのか、境界が分からなくなっていく感覚がじわじわ迫ってくる。残された原稿を通して、現実と非現実が静かに溶けあうような怖さが残る一編。
『こっくりさん』
子どもの頃に遊んだ“こっくりさん”の、闇に触れるようなアレンジ。死の選択を迫る儀式なのか、人生をやり直すための導きなのか、その曖昧さが心にひっかかる。ただ怖いだけではなく、人の弱さ -
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ネタバレ怖かったらどうしようとドキドキしながら読んだのだけど、思いのほか怖くなく、面白く読めました。
というのも、ISOLAのターゲットは主人公ではないことが明らかで、直接恐怖の矛先を向けられることがなかったからだと思います。
主人公の由香里は、人の感情を読み取ることができる能力を持っている。
そのために家族とは絶縁せざるを得なかったけれど、カウンセラーのようなことをやって生計を立てている。
そして、阪神淡路大震災の被災者の声を聞くというボランティアをしていた時、多重人格障害の疑いのある女子高生・千尋と出会う。
幼い時に事故で両親を失い、叔父夫婦の家で育てられた千尋は、それまで12人の人格を持って -
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ゴブリンかヨーダか。あの霊能力者がはっきりと名前を得て生き生きと描かれている。死者が現世にアクセスできるのはなぜか、呪物とは何か、呪物が出来上がるまで何があるのか……貴志祐介が蓄え、自分なりに熟成させてきた見識を、全て開示してみせられた気分だった。これがまた面白い。正直、その魅力だけで何度も読める。
生前の愛憎や恨みが直に込められた品から、死後に残された生者が扱いを間違えたため出来上がった品まで、バラエティ豊かな呪物がそれぞれにキャラクター性をもっていて、登場人物紹介欄として呪物を並べてほしくなる。
『黒い家』が「本当に恐ろしいのは生きている人間」を体現した作品なら、本作は「死霊もかつては生