貴志祐介のレビュー一覧

  • 青の炎

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    「母親の元再婚相手を殺したい」
    男子高校生が葛藤しながらも綿密に殺害を計画する
    そんなはなし

    男子高校生側からみるとどうしても
    母親がもっとちゃんとしっかりしてよ!
    って気持ちと、女友達の距離感にモヤっとしてしまう。。

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    2025年12月08日
  • 黒い家

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    『黒い家』で一番怖かったのは、生命に価値を見出さない狂人を前にした時の逃げ場のない恐怖だった。

    物語の舞台となる「黒い家」は、最初から異様な空気をまとっている。ここに住んでいるという菰田夫妻の描写も相まって、読者に尋常ではない不気味さを突きつける。
    彼らがただものではないという感覚が、ページを進めるごとに積み重なっていく。

    クライマックスで主人公若槻が追い詰められる場面は、これまでの気持ち悪さと恐怖が一気に若槻に向かって襲いかかる。思わず「助かってくれ」と願ってしまうほど緊張が高まる。

    『黒い家』は、じわりじわりと積み重なる絶望感を味わえる一級品のヒトコワホラーだった。

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    2025年12月07日
  • 秋雨物語

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    ホラーというより、“世にも奇妙な物語”を思わせる不思議な短編が4つ入った1冊。
    その中でも特に印象に残った2作。

    『フーグ』
    悪夢のあと、まるで夢そのもののような場所に突然移されてしまう作家・青山の体験が描かれる。本当に瞬間移動しているのか、精神のフーグという症状なのか、境界が分からなくなっていく感覚がじわじわ迫ってくる。残された原稿を通して、現実と非現実が静かに溶けあうような怖さが残る一編。

    『こっくりさん』
    子どもの頃に遊んだ“こっくりさん”の、闇に触れるようなアレンジ。死の選択を迫る儀式なのか、人生をやり直すための導きなのか、その曖昧さが心にひっかかる。ただ怖いだけではなく、人の弱さ

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    2025年12月07日
  • 十三番目の人格 ISOLA

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    ネタバレ

    怖かったらどうしようとドキドキしながら読んだのだけど、思いのほか怖くなく、面白く読めました。
    というのも、ISOLAのターゲットは主人公ではないことが明らかで、直接恐怖の矛先を向けられることがなかったからだと思います。

    主人公の由香里は、人の感情を読み取ることができる能力を持っている。
    そのために家族とは絶縁せざるを得なかったけれど、カウンセラーのようなことをやって生計を立てている。
    そして、阪神淡路大震災の被災者の声を聞くというボランティアをしていた時、多重人格障害の疑いのある女子高生・千尋と出会う。

    幼い時に事故で両親を失い、叔父夫婦の家で育てられた千尋は、それまで12人の人格を持って

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    2025年12月05日
  • 硝子のハンマー

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    昔観たドラマの原作ということで読んでみた作品。
    ドラマの方のストーリーは全く覚えていなかったので、新鮮な気持ちで読めました。
    色々な仮説と検証の中にはそれが答えかと納得してしまうものもあったりで読んでいて何回も騙されてしまいました(いい意味で)。
    最後の方でタイトルの意味が分かった時にはなるほどなと考えさせられました。
    続編を読むのも楽しみです。

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    2025年12月03日
  • さかさ星

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    ゴブリンかヨーダか。あの霊能力者がはっきりと名前を得て生き生きと描かれている。死者が現世にアクセスできるのはなぜか、呪物とは何か、呪物が出来上がるまで何があるのか……貴志祐介が蓄え、自分なりに熟成させてきた見識を、全て開示してみせられた気分だった。これがまた面白い。正直、その魅力だけで何度も読める。
    生前の愛憎や恨みが直に込められた品から、死後に残された生者が扱いを間違えたため出来上がった品まで、バラエティ豊かな呪物がそれぞれにキャラクター性をもっていて、登場人物紹介欄として呪物を並べてほしくなる。

    『黒い家』が「本当に恐ろしいのは生きている人間」を体現した作品なら、本作は「死霊もかつては生

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    2025年11月30日
  • 黒い家

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    貴志祐介の小説は「新世界より」のときにも感じたが、生物的な描写が繊細である。それは、単に生物と絡めて話を進めたいというだけではなく、特定の生物の行動から人間の理性的ではなく、本能的な行動を描写するためのものに感じる。さらに、今作はホラー小説ということで、その生物的な描写がさらに生々しさを得て恐怖として襲ってくる。その迫力が今作で最も評価されるべきところだと思う。
    生命保険会社のリアルな内情を含む描写やキャラクターの設定の細かさもストーリー全体として通ずるところがあり、非常に素晴らしい。

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    2025年11月29日
  • 悪の教典(下)

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    生きてる人間に対して心霊的な恐怖を感じたのは初めて…めっちゃ怖
    上巻では怖い言っても心理的な方かぁって感じだったのにメインで潜在的な恐怖を感じさせてくる
    蓮見のサイコパスさが…
    でも蓮見と園田のアクションシーンはメディアで見たいな絶対少年ジャンプ

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    2025年11月27日
  • 新世界より(上)

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    前から気になってたので読み始めました!
    まだまだ序盤なので、ここからの展開に期待したい。
    少し説明が長いかなと感じたので、星4。

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    2025年11月26日
  • もの語る一手

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    ネタバレ

    綾崎隼さんが将棋のアンソロジーに寄稿してると聞いては読まないわけにはいかない!
    今回の綾崎さんの作品は、「僕らに嘘が一つだけ」の2人と同世代の朱莉さんが主人公。もう一度僕らに〜も読み返した上で、こちらも読み返したいな。

    一話目は青山さんのお話らしく、前向きな気持ちになる門出の話。
    葉真中さんは初読み。ただただ少年の手腕に鳥肌。
    弟子にしたかった少年を冤罪から救うという白井さんの話にはびっくり。そういう将棋との絡め方もあるのか。
    橋本さんも初読み。この一戦を勝てば夢が叶うという相手への対応って悩ましい。そこで手を抜かれて夢を叶えること、本気で相手してもらって破れること。
    芦沢さんは気になってい

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    2025年11月24日
  • クリムゾンの迷宮

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    続きが気になって一気に読めた。最後どうなるんだろう?と思いながら読んでたけど自分の理解力では最後どういう意味なのか理解できず……。ただ物語自体は面白くて、食料どうする?どこに向かう?なぜここにいる?捕まるのか?等気になることが多すぎてハラハラしながらページをめくるのが楽しかった

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    2025年11月24日
  • 新世界より(下)

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    ネタバレ

    1000年後の世界、種の存続、戦争、共存と淘汰をテーマにした化けネズミとの争い。何年経っても結局は争いは必然的なことで、それが形を変えて繰り返される。
    そもそも種の繁栄や存続を求める本能に従うことに意味があるのだろうか。求めていないが淘汰される恐ろしさからの防衛が他者から見ると制圧に見える。少しの種ごとの違いがやがて大きな歪みになり、世界の大きな流れに誰もが逆らえないことを思い知らされる。
    現代から1000年後の世界観が個性的に構成されている上に、あり得る1000年後だなと感じさせるくらいの種の存続の原理原則に適った設定で壮大な作品だった。

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    2025年11月21日
  • クリムゾンの迷宮

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    デスゲーム系で楽しみながら一気に読める作品。
    ゲームブックという懐かしい内容があったが、確かにアイテム欄とか分岐の選択とか変貌する敵など、ゲームブックを意識したエンタメだと思う。

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    2025年11月19日
  • クリムゾンの迷宮

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    昔に読んだ記憶があったのだけど、物語の構成も結末も全く記憶がなく、久しぶりの貴志作品を読みたくなり文庫を購入。手に汗握る展開の連続であっという間の一気読みでした。いわゆるゼロサムゲームに主人公が巻き込まれるパターンの物語ですが、自分もその世界にいるようにクリムゾンの世界が鮮やかにイメージでき、息詰まる展開にハラハラしっぱなしに。。
    極上のエンターテイメントを体感できました。

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    2025年11月19日
  • 黒い家

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    ものすごく怖かった。。
    生命保険という、一見内情がわかりづらい業界について細かなイメージを与える描写の細かさから始まり、
    登場人物の動きや口調、表情が、実際目の前に存在するかのように想像されて、逃げたい・恐ろしいという感情に襲われた。貴志祐介すさまじい。
     
    音・臭いなどの五感につながる表現も効果的に挿しこまれており、緊張感と不快感が終始続いた。。
     
    各登場人物の個性や、物語の盛り上がり、終盤の駆け抜けるような恐怖の連続、とっても面白かった。また読みたい。

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    2025年11月19日
  • 黒い家

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    ネタバレ

    文章を読んでいてここまでハラハラしたのは初めてで怖くて本を投げ飛ばしそうでした。結末も予想に反してとても読み応えがありました。

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    2025年11月17日
  • コロッサスの鉤爪

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    防犯探偵・榎本シリーズの4作目。鏡の国の殺人に比べて、表題作のコロッサスの鉤爪がトリック、人物描写、動機のいずれにおいても印象が強かった。まず、密室は密室でも”音の密室”とは言い得て妙であったし、トリックも人間、動物、技術など複数の要素が組み合わさって成立していた点がよくできているなと感じた。

    特に、タイトルの”コロッサスの鉤爪”は犯人に復讐を動機づけた決定的な瞬間であると同時に、犯人が大切に想っていた存在を次々に傷つけられた悲しさを象徴するキーワードでもあり、他に候補がないくらいこの物語を表わしていると思った。

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    2025年11月15日
  • 硝子のハンマー

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    密室で起こった事件。状況からして犯人は一人であるものの、その人物「久永」は事件当時猛烈な睡魔から眠っていた。弁護士である主人公は「久永」の無実を証明するべく、防犯コンサルタントの「榎本」と共に密室の謎に挑む。あらすじの通り、シンプルなミステリーであるが、謎の難関さから導き出した答えが何度も何度も否定されてしまう。その度に「これすらも無理ならどうするのか?」といった問いが生まれ、作中のキャラ達と感情がリンクする。後半は犯人の壮絶な過去と経験から犯行に至るまでを語られ、最後は名探偵よろしく謎を解く。現代において探偵としての謎解きに違和感なく落とし込めていると思うが、内容は王道のミステリーである。

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    2025年11月15日
  • 新世界より(上)

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    ネタバレ

    1000年後、呪力が使える世界で少年少女五人組を描いた作品。
    終盤で展開がガラッと変わってワクワクする。この後中、下と進んでいくので、どのような結末が待っているか非常に楽しみ。
    SFの世界観に作者のこだわりを感じる!

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    2025年11月14日
  • 新世界より(中)

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    どんどん引き込まれる。
    バケネズミとの戦いがメインで別の世界や生き物の話は出てこないのかな、、と思っていたが、この章でバケネズミvs人間の構図ができあがり最終章の衝撃的な結末に進んでいく。

    とにかく世界が作り上げられていて引き込まれて面白い。

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    2025年11月11日