あらすじ
賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格〈ISOLA〉の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
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久しぶりの貴志祐介作品。
やっぱりやっぱり面白い。
中盤からは展開も早く、想像もしていなかった方向に話は進む。
昔から興味があるある分野ではあったが、心理学は奥深くて面白そうだ。
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賀茂由香里…恵子
和田和子
青木
野村浩子
館林
高野弥生
茂
圭子
池田聡子
ペス
芳美
森谷依子
正太郎
彦六
森谷竜郎
石上
マリア
前園勝美
横沢道子
原映美
大村茜
結城
ミー
真部和彦
田中
森谷千尋
暸子
陶子
瞳
幸生
陽子
殊理
忍
創
悠子
満
範子
磯良
憧子
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多重人格、幽体離脱、エンパスなどのスピリチュアルで非現実がテーマだったにも関わらず、化学や生物学で合理的な説明がきちんとされていて、納得感の中で話を読み進められた。
千尋の人格のネーミングに関して、漢字の意味と人格の性格・性質が同期している点に非常にミステリー要素を感じられて楽しめた。
オチも後味が悪く、貴志祐介を強く感じた。さすがだ…
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文句無しに面白いです!
古典ホラーと科学がここまで上手く融合されている例は無いんじゃないかなぁ。
ホラーというジャンルを好きにさせてくれた一冊。
今の40代はこの一冊か、鈴木光司さんのリングからホラーにハマった人が多いのでは。
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前々から気になっていた本だったのでついに読めてとても嬉しかったです。なぜ興味深かったかというと、私自身がHSPであり物事に対して過敏なところがあるので主人公が持つエンパスと似たようなところがあるような気がしたから気になり読んでみました。
エンパスの能力で街を歩いていても人の心の声が読み取れてしまい一気に沢山の情報量が押し寄せて来る為薬を服用したりしてとても大変だろうなと思いました。
その主人公が相手をする千尋は多重人格であり1人の人間の中に13人もの人格が住んでいて一日のうちに何回も入れ替わりそれもまた大変そうだと思いました。
そして何よりも幽体離脱可能であるISORAがとてつもなく怖かったです。
ホラー要素とミステリー要素の掛け合わせがとても面白くエンパスの主人公ということもあり夢中で読み耽りました。夏に相応しかったと思います。
この本をきっかけに貴志さんの本に興味が湧いたので他の本も読んでいきたいと思います。
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★★★★☆ハズレがない。感情を読み取ることができるエンパス賀茂由香里、多重人格障害少女森谷千尋。研究者高野弥生さんが後半ああいう形で関係してくるとは思いもよりませんでした。相変わらず好みのホラーで、一気に読み終えました。読み終えた後もまた、不安ですね。
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久しぶりに貴志祐介先生の作品を読んだ。
今作では、13人の人格が入り込んだ多重人格者・森谷千尋と、相手の表情や言動から本心を読み取る能力を持つ賀茂由香里が登場する。一人だけ紛れ込んだ殺人鬼・磯良との対立は緊張感に満ち、恐ろしい展開にもかかわらず、ページをめくる手が止まらなかった。
特に磯良の描写は凄まじく、いかに恐ろしい存在であるかがひしひしと伝わってくる。貴志先生の表現力の高さが光っていた。
「実体がないだけに、彼女の感じた磯良の本質が、イメージとなって現れたのだ。それは、無数の手足を持ち、半ば獣と化したような、醜悪な女の姿だった。」
「磯良は、無数の手足を蠢かしながら言った。にやにや笑っている口は耳まで裂けて、無数の針のような鋭い牙がのぞいている。」
この描写など、もしAIで画像生成したら本当に恐ろしいビジュアルになるだろう。
物語の終盤、磯良が消えたことで森谷千尋は穏やかな人格を取り戻したかに見えたが、実は新たに現れた13番目の人格「憧子」こそが、最も危険な殺人鬼だった――。最後まで息をつかせぬ展開だった。
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貴志祐介さんのデビュー作ということで読んでみた感想。
黒い家やクリムゾンの迷宮などと同様、この作者は伏線回収の仕方が凄い上手だ。一気に伏線を解き明かすのではなく、徐々に徐々に意味がわかって、じわじわと鳥肌がたつ感じ。
やっぱりホラーやミステリー系は貴志祐介が一番面白いと思う。
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人の強い感情が読み取れるエンパスの主人公が多重人格者の少女と出会い、その中に猟奇殺人者の人格がいるのではないかという疑念を抱いていく、ホラーを科学的に考察していく流れが面白く、貴志祐介先生特有の後味の悪いラストもデビュー作から健在だった。
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黒い家と比べて全然怖くない。でも、先が気になってほぼ一気読みした。黒い家は、現実に起こりそうだからこそ怖かったと思う。本作は多重人格の少女に、体外離脱した人間の魂?が入りこむという話だから、設定自体はとてもおもしろいけど、現実味はほぼない。それでもきちんと説得力を持たせて無理なく構成しているのは、すごいなと思う。結末は、まぁそうだよなとなる予想通りのものだった。
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sfホラーのような、『黒い家』よりは身近に感じる恐怖はありませんでした。
しかし、殺人鬼が近づいてくる時の表現は恐くて心臓の鼓動が早くなったのを感じました!
やはり、ホラーのジャンルでは貴志さんは群を抜いていると思います!
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あっという間にするする読めて面白かった!
多重人格者とのセッションで謎を読み解こうとするあたりはとても興味深く読んだ。心理テストの答えや描いた絵の不気味さを感じ取った瞬間が一番ゾーッとしたかもしれない。漢字に意味のある名前が付けられているのも得体が知れなくて良い。
磯良の正体が弥生だとは想像もしなかった。
千尋は今後、更に恐ろしいことをしでかすかもしれないが、千尋の身の上を考えると憎みきれない部分もある。人間の悪意や呪い、少数派を排除しようとする愚かさ、弱い者をいたぶる醜悪さ、これだけのものに触れてきた千尋がもう元には戻れないであろうラストは胸が痛む。
"結局、どこでも、一番弱いものが一番苦しむんですね"というセリフが悲しかった。
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物語前半は不穏でゾクゾクしたが、後半にかけてB級感が出てきた。
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賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格「ISOLA」の出現に、彼女は身も凍る思いがした。第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。
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ホラー苦手なのでかなりビビりながら読み進めていたのですが、結果的に読み終わってみると読み進めなくなるまで怖いとは思いませんでした。
多重人格をベースに構成されるホラーは新鮮で面白かったです。
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多重人格に潜む恐ろしい人格の話。
幽体離脱とかエンパスとか、予想してなかった切り口でこれはこれで面白かった。
身体を持たず精神だけで人を殺せるって言うのが超人過ぎる気も…笑
ラストはゾッとしました。
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ホラーと思って読んだんですが、そんな感じではなかったです。勘違い。
多重人格と幽体離脱がどんな風に絡まっていくのか興味を持ちながら読み進めました。面白く読めました。
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1996年第3回日本ホラー小説大賞佳作
貴志さんの作品の中で「青い炎」「黒い家」に次いで好きだった記憶ですが、未レビューだったので再読してみました
多少は記憶に残ってましたが、阪神淡路大震災に影響されていることはすっかり失念していました
幽体離脱の経験がある少女は12の人格を持つ
大地震の後イソラと呼ばれる新たな人格が出現
彼女を救おうと奮闘するエンパスの女性
大震災の時亡くなった精神科医の女性の存在
彼女と共に幽体離脱の研究をしていた研究者
十三番目の人格は幽体離脱している時に震災にあい、戻る身体を無くしてしまった女性のものだった
大地震という災害からくる精神への影響
ホラー的だけど多重人格について
面白く読みました
当初、イソラを雨月物語の「磯良」と考えていた
雨月物語は江戸後期の怪異小説
今回はISOLAとし、別物となるが
梅雨物語とか秋雨物語とか他作品に影響しているのかな
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家での自分、外での自分。意識的であればコントロールできるかもしれないが、これは無意識の中のお話。人の感情を読み取りすぎてしまうことの辛さと、その力が少し欲しいと思ってしまった。
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後半の展開が思っていたのとは違っていて、かなりファンタジー要素が強かったです。もう少し多重人格者について掘り下げた方が、物語としても深まったのではないかと思います。
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「黒い家」とは趣向の異なる超能力系ホラー。でも、これはこれで面白い。
主人公がエンパスであるという設定からして、好き嫌いは分かれると思うが、「黒い家」でも感じた何か(オバケというより恨みや殺意みたいな人間のもつ負の感情)に追われる恐怖の描き方や、物語を彩る小ネタ(この本では漢字源、精神医学、心理学、薬学など)が秀逸で、どんどん読み進めてしまう。
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多重人格の千尋が持った13番目の謎の人格が実は恐ろしいものだった、という話。由香里の持つエンパスの力がなければ、最後の不気味な終わり方にはならずハッピーエンドですんだかもしれない。犯人は死んだが、その犯人に影響された他の人格がその後どうなってしまうのか…もしかしたら最終的には千尋自身も排除されてしまうのでは?そこまでグロくなく、話としては面白かった。悪の祭典や他の話でも心理学の話がよく出てくるなぁ。
(読書メーターからの転記)
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人の強い感情を読み取るエンパスの主人公が多重人格者の中学生と出会って…
謎の人格磯良の正体が分かってからの疾走感と手に汗握る展開にページをめくる手を止められなかった。天使の囀りの直後に見たせいか、筆者のホラー作品の中盤から登場する頼り甲斐のある専門家死にがちなのでは?
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阪神大震災直後の神戸が舞台。
多重人格の女子高生『千尋』と、人の強い感受性を読み取る能力を持つ『由香里』を中心として展開するホラー小説。
千尋の中の13番目の人格『磯良』が出現すると、千尋と由香里に関わる人々に不可解な出来事が次々に起こる。
『磯良』はなぜ現れたのか。そしてその目的とは何か。
多重人格と怨霊をミックスした、オカルト寄りのホラー。ラストはゾクっとする結末で、その後を想像すると絶望的な気持ちになる。
『黒い家』『天使の囀り』を読み終えていた為、本書はホラー小説としては全体的にマイルドな印象を持った。
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【2024年53冊目】
人が強い感情をその胸に掻き抱いた時、その対象の心の声が聞こえてくる「エンパス」である由香里は、震災のボランティアをする中で、1人の少女、千尋と出会う。千尋が多重人格者であることを知った由香里は彼女の人格の統合をはかるため、臨床心理士の浩子と協力し始めるが、千尋の十三番目の人格であるISOLAにただならぬ気配を感じていた……。
またもや幽霊は出てこないホラーものです。ぞわりとする怖さはないものの、どうなるかわからない展開だったので、どちらかというと、ミステリーの毛色の方が強かったかもしれません。
エンパスや多重人格、物語の核となるとある現象について、「えーそんなのある訳ないじゃん」と思ってしまう人には向かない話かなと思いましたが、「そういうこともあるんだ」と軽い気持ちで臨めばそこそこ楽しめます。
そして、やっぱり終わりもただでは転ばないのが貴志祐介さんという感じがして、ちょっとニヤッとしてしまいました。解決しました、めでたしめでたし、じゃちょっとつまらないですもんね。
そして読み終わってから知りましたが、で、デビュー作なの!?すごいですねぇ。
Posted by ブクログ
相手の感情を読み取れる主人公由香里と多重人格で苦しむ少女千尋を中心に展開されるホラー小説。千尋のように見た目は同じでも、雰囲気がまるで別人となる現象は実際に存在する。本作品のように、テストを勉強が得意な人格に任せたり、成人男性並みの腕力で抵抗するなど、特定の人格に任せる現象はフィクションの世界に限らない。このように、本作品は心理学の知識を学べる物語で、心の病で苦悩する人々を想像しながら読むと、少しは理解できるかもしれない。
Posted by ブクログ
貴志祐介さんデビュー作
主人公の由香里は強い感情を読み取るエンパス。
震災によりボランティア活動をしている最中に多重人格障害である千尋と言う少女と出会う。
13番目の新しい人格ISOLAが出現したことにより由香里、千尋、2人に関わる人々の周りで不可解な出来事が起こり出す。
Posted by ブクログ
貴志作品近々コンプリートできそう。耐えられないホラーだったらどうしようと読むのを控えていたが、『黒い家』が読めた私なら何の問題もなかった。最近あまり聞かないが、この時代辺りによくフィクションで取り上げられていた多重人格障害がテーマのホラー作品。真部はもっと根性のない男性かと思っていたら、意外にも骨のあるキャラだった。読みやすかったが、ISOLAとの対決がかなり物足りない印象。こんな無敵の化け物ならもう少し手こずらないと倒せないはず。