【感想・ネタバレ】十三番目の人格 ISOLAのレビュー

あらすじ

賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格〈ISOLA〉の出現に、彼女は身も凍る思いがした。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

多重人格、幽体離脱、エンパスなどのスピリチュアルで非現実がテーマだったにも関わらず、化学や生物学で合理的な説明がきちんとされていて、納得感の中で話を読み進められた。
千尋の人格のネーミングに関して、漢字の意味と人格の性格・性質が同期している点に非常にミステリー要素を感じられて楽しめた。
オチも後味が悪く、貴志祐介を強く感じた。さすがだ…

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2024年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝イチから読んで、読む手が止まらなかった。最近海外小説も積読いっぱいあって読んでたからか。海外小説は日本小説よりも読むペースは遅くなる。日本小説を読むとスラスラ読めるせいか、ただ単に面白いから読めるのか。うん、面白いからですね!まさか幽体離脱が出てくるとは。最初は確実に昔の人間の怨霊イソラが入り込んでるとしか思ってなかった。面白い。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

怖かったらどうしようとドキドキしながら読んだのだけど、思いのほか怖くなく、面白く読めました。
というのも、ISOLAのターゲットは主人公ではないことが明らかで、直接恐怖の矛先を向けられることがなかったからだと思います。

主人公の由香里は、人の感情を読み取ることができる能力を持っている。
そのために家族とは絶縁せざるを得なかったけれど、カウンセラーのようなことをやって生計を立てている。
そして、阪神淡路大震災の被災者の声を聞くというボランティアをしていた時、多重人格障害の疑いのある女子高生・千尋と出会う。

幼い時に事故で両親を失い、叔父夫婦の家で育てられた千尋は、それまで12人の人格を持っていたが、震災をきっかけに13番目の人格が現れる。
その非人間的なくらい感情のゆらぎのない冷徹さ。
元から千尋の中にあったわけではない、13番目の人格が、千尋の周囲に多くの死者を作り出す。

ISOLAの正体は、ある程度まで読んだらわかる。
しかしなぜ、そこまで非人間的な存在になってしまったのか。なれてしまったのか。

由香里の、人の感情を読み取る能力というのは、例えば感情に色がついて見えるとか、感情ごとに形が決まっているとか、そういう共感覚的なものかと思っていたら、わりとはっきり感情を言語化して受け取っていたので、それはちょっとやりすぎでは?と思った。

由香里と真部は初対面の次の日にはもう食事をともにし、互いに好意を抱いている。
そういうこともあるけれど、命を賭してまで互いを守りたいという強い気持ちになるには展開が早すぎるのではないか。
由香里は真部のトラウマの正体を彼の心から読み取ることができるけど、真部はほぼひとめぼれ状態だよね。
まあ、由香里は美人設定だからしょうがないのかもしれないが。

真部も、年齢こそ少し上らしいけれど、高身長で将来を嘱望されている大学助教授だし、イケメンだし、頭が良くて思いやりがあって、適度に鈍くて適度に腹が決まっていて、文句なしの男。
なのに高校生の男の子のように初心。
ありえへん。絶対モテたやろ。
女性作家が書いたのだとしたら「妄想か!」と言うところだけど、男性作家が書いているので「願望か!」と言っておこう。

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2025年12月05日

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久しぶりに貴志祐介先生の作品を読んだ。
今作では、13人の人格が入り込んだ多重人格者・森谷千尋と、相手の表情や言動から本心を読み取る能力を持つ賀茂由香里が登場する。一人だけ紛れ込んだ殺人鬼・磯良との対立は緊張感に満ち、恐ろしい展開にもかかわらず、ページをめくる手が止まらなかった。
特に磯良の描写は凄まじく、いかに恐ろしい存在であるかがひしひしと伝わってくる。貴志先生の表現力の高さが光っていた。
「実体がないだけに、彼女の感じた磯良の本質が、イメージとなって現れたのだ。それは、無数の手足を持ち、半ば獣と化したような、醜悪な女の姿だった。」
「磯良は、無数の手足を蠢かしながら言った。にやにや笑っている口は耳まで裂けて、無数の針のような鋭い牙がのぞいている。」
この描写など、もしAIで画像生成したら本当に恐ろしいビジュアルになるだろう。
物語の終盤、磯良が消えたことで森谷千尋は穏やかな人格を取り戻したかに見えたが、実は新たに現れた13番目の人格「憧子」こそが、最も危険な殺人鬼だった――。最後まで息をつかせぬ展開だった。

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2025年07月02日

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黒い家と比べて全然怖くない。でも、先が気になってほぼ一気読みした。黒い家は、現実に起こりそうだからこそ怖かったと思う。本作は多重人格の少女に、体外離脱した人間の魂?が入りこむという話だから、設定自体はとてもおもしろいけど、現実味はほぼない。それでもきちんと説得力を持たせて無理なく構成しているのは、すごいなと思う。結末は、まぁそうだよなとなる予想通りのものだった。

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2024年07月07日

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そんなことが有り得るのか!と思った。
あとは由香里がなぜエンパシーの能力を持っているのかがすごく気になった。

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2024年01月23日

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あっという間にするする読めて面白かった!
多重人格者とのセッションで謎を読み解こうとするあたりはとても興味深く読んだ。心理テストの答えや描いた絵の不気味さを感じ取った瞬間が一番ゾーッとしたかもしれない。漢字に意味のある名前が付けられているのも得体が知れなくて良い。
磯良の正体が弥生だとは想像もしなかった。
千尋は今後、更に恐ろしいことをしでかすかもしれないが、千尋の身の上を考えると憎みきれない部分もある。人間の悪意や呪い、少数派を排除しようとする愚かさ、弱い者をいたぶる醜悪さ、これだけのものに触れてきた千尋がもう元には戻れないであろうラストは胸が痛む。
"結局、どこでも、一番弱いものが一番苦しむんですね"というセリフが悲しかった。

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2023年08月16日

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ネタバレ

「黒い家」とは趣向の異なる超能力系ホラー。でも、これはこれで面白い。

主人公がエンパスであるという設定からして、好き嫌いは分かれると思うが、「黒い家」でも感じた何か(オバケというより恨みや殺意みたいな人間のもつ負の感情)に追われる恐怖の描き方や、物語を彩る小ネタ(この本では漢字源、精神医学、心理学、薬学など)が秀逸で、どんどん読み進めてしまう。

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2024年07月25日

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多重人格の千尋が持った13番目の謎の人格が実は恐ろしいものだった、という話。由香里の持つエンパスの力がなければ、最後の不気味な終わり方にはならずハッピーエンドですんだかもしれない。犯人は死んだが、その犯人に影響された他の人格がその後どうなってしまうのか…もしかしたら最終的には千尋自身も排除されてしまうのでは?そこまでグロくなく、話としては面白かった。悪の祭典や他の話でも心理学の話がよく出てくるなぁ。
(読書メーターからの転記)

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2024年06月03日

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ネタバレ

人の強い感情を読み取るエンパスの主人公が多重人格者の中学生と出会って…
謎の人格磯良の正体が分かってからの疾走感と手に汗握る展開にページをめくる手を止められなかった。天使の囀りの直後に見たせいか、筆者のホラー作品の中盤から登場する頼り甲斐のある専門家死にがちなのでは?

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2024年05月18日

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【2024年53冊目】
人が強い感情をその胸に掻き抱いた時、その対象の心の声が聞こえてくる「エンパス」である由香里は、震災のボランティアをする中で、1人の少女、千尋と出会う。千尋が多重人格者であることを知った由香里は彼女の人格の統合をはかるため、臨床心理士の浩子と協力し始めるが、千尋の十三番目の人格であるISOLAにただならぬ気配を感じていた……。

またもや幽霊は出てこないホラーものです。ぞわりとする怖さはないものの、どうなるかわからない展開だったので、どちらかというと、ミステリーの毛色の方が強かったかもしれません。

エンパスや多重人格、物語の核となるとある現象について、「えーそんなのある訳ないじゃん」と思ってしまう人には向かない話かなと思いましたが、「そういうこともあるんだ」と軽い気持ちで臨めばそこそこ楽しめます。

そして、やっぱり終わりもただでは転ばないのが貴志祐介さんという感じがして、ちょっとニヤッとしてしまいました。解決しました、めでたしめでたし、じゃちょっとつまらないですもんね。

そして読み終わってから知りましたが、で、デビュー作なの!?すごいですねぇ。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 相手の感情を読み取れる主人公由香里と多重人格で苦しむ少女千尋を中心に展開されるホラー小説。千尋のように見た目は同じでも、雰囲気がまるで別人となる現象は実際に存在する。本作品のように、テストを勉強が得意な人格に任せたり、成人男性並みの腕力で抵抗するなど、特定の人格に任せる現象はフィクションの世界に限らない。このように、本作品は心理学の知識を学べる物語で、心の病で苦悩する人々を想像しながら読むと、少しは理解できるかもしれない。

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2023年10月13日

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