貴志祐介のレビュー一覧

  • コロッサスの鉤爪

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    鏡の国のアリスモチーフの迷路のある美術館での密室殺人、大海原の密室殺人。どちらも面白かった。特に表題作の「コロッサスの鉤爪」は、よくこんなトリック思いつくなぁ…っていう。

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    2025年05月16日
  • 硝子のハンマー

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    ネタバレ

    防犯設備の整ったビルの最上階で行われた密室殺人を、探偵側・犯人側双方の視点で描いた正統派ハウダニット作品。
    己の正義に従い真相を突き止めようとする泥棒探偵と、金への執着から道を外していく犯人の対比により人間味あふれる物語になっている。一方、作品タイトルにもなっている犯行トリックはややトンデモ系で、推理過程もやや冗長なので、ミステリ作品として見るとは個人的には少し不満。

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    2025年05月16日
  • 硝子のハンマー

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    ネタバレ

    弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、徹底的に守りを固められた“鉄壁の密室”に挑む、本格ミステリ。

    本作は捜査パートが面白い。監視カメラ、電子錠、厳重なオフィスビルのセキュリティ群。殺人を成立させるにはあまりにも高すぎるハードルに対し、榎本と青砥が手を変え品を変え、思いつく限りの手段で可能性を検証していく。榎本が常識的な手段を潰し、青砥が非常識で奇抜な仮説を実証する。防犯の専門知識をベースにした榎本の解説と、動機や心情に迫る青砥の視点が絶妙に噛み合い、単なる情報整理に終わらない知的な推理劇が展開されていく。

    また、犯行トリックそのものも印象的だ。犯人は特別なスキルを持たな

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    2025年05月15日
  • 黒い家

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    動機としてはとてもリアル。物語終盤の緊張感は文句ないけど、私には合わなかった…まず、主人公「若槻」の言動が理解できない。そして、殺人が起こらないと面白くないと感じる自分が一番ホラーだ笑。

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    2025年10月19日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    カラーの異なる作品群で、それぞれの慄きがあり面白かった!
    めくるめくパニック映画のような『アイソレーテッド・サークル』。
    ジメッとした薄暗い雰囲気が抜群な味をもつ『お家さん』。
    実話怪談の入れ子構造が心地良い『窓から出すヮ』。
    自分の身に起きたら一番厭な『追われる男』。
    グロテスクな怖気がはしる『猫のいる風景』。

    特に好きだったのは、最後にふさわしい静かな余韻がある恩田陸『車窓』。
    新幹線内の短いやりとりだけどリアルに空気感を想像できる。私も車窓を眺めて、この町に生まれたらどんな人生だったかな?とか、窓一面の畑の持ち主の日々を想像したりするのが好きなので、これから新幹線乗るたびに思い出しそう

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    2025年05月11日
  • 秋雨物語

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    好きな順番としては
    フーグ
    白鳥の歌
    こっくりさん
    餓鬼の田

    背筋が凍りつくような感じはそこまで感じなかった。
    話によっては肩透かしをくらったものもあった。

    ただ次の展開が気になって、次へ次へと読み進めてしまうのはさすが貴志祐介。

    個人的にフーグの最後のオチが好き。

    2025.0510.2

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    2025年05月10日
  • 兎は薄氷に駆ける

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    法廷ミステリー。
    冤罪が復讐を生んだということでしょうね…。なんてことだ。
    垂水さんに至っては巻き込まれな気がしてならない…

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    2025年05月10日
  • ダークゾーン(上)

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    貴志さんはこんなジャンルでも書けるのかぁって思ったが、新世界よりみたいなSF書いたし、悪の教典みたいなデースゲームも書いたし、まぁそっかって感じ。

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    2025年05月06日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    ホラー。短編集。
    有栖川有栖さん、貴志祐介さんのようなミステリ作品を書く作家の作品は、やはりミステリ的な雰囲気あって、ミステリ好きとしては読みやすい。
    有栖川有栖「アイソレーテッド・サークル」が一番好み。ホラー版クローズド・サークル・ミステリ。

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    2025年05月05日
  • 新世界より(中)

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    神栖66町の平和は教育委員会や倫理委員会によって作られた平和だった。だんだん世界観が語られるけど、大人たちはまだ真相を隠してそう。

    雰囲気がずっと仄暗いまま進むのと、性描写が露骨に多いのもあり、読んでてあまり気持ちいいものではない…。

    あと人間よりもバケネズミの方が余程人間らしいと思えた。下巻でどんな結末をむかえるのか。

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    2025年04月30日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    ホラー小説はあまり読みませんが、好きな作者ばかりだったのでアンソロジーならと読んでみました。お化け屋敷とかは大嫌いなので、心配でしたがミステリー要素もあってさくさく読めました。
    ミステリーとの違いが、原因がはっきりしないことかなと思いました。
    個人的には有栖川先生の作品が王道ホラーって感じです。そして、「お家さん」が好みです。時代物のホラーなので不気味さが現代と違うなぁと思いました。「追われる男」では、ハラハラ感と謎が残り、「猫のいる風景」ではドキドキの心理戦や想像される残酷な結末が味わえて、刺激を味わえました。

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    2025年04月29日
  • 鍵のかかった部屋

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    シリーズ3作目で前作から引き続き4つの短編集。

    短編ゆえに「こんな密室トリック考えましてん」に留まっているのが残念です。
    前作が短編だったから今回は長編でもう少し歯ごたえが欲しかった。

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    2025年04月28日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    得体が知れない、薄気味悪い、正体不明、
    ぞわりと不快で不可解な残滓が漂よう物語集。

    アイソレーテッド・サークル 有栖川有栖
    お家さん 北沢陶
    窓から出すヮ 背筋
    追われる男 櫛木理宇
    猫のいる風景 貴志祐介
    車窓 恩田陸

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    2025年04月24日
  • 秋雨物語

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    短編4編。
    読んでいて作者らしい脅迫感・圧迫感が一番迫ってくる作品は「フーグ」。次いで「こっくりさん」。
    残る2作は風合いが少し異なり、読み終わってじんわり怖い。特に巻頭の「餓鬼の田」は22頁ほどと短いが、この傾向の作品も好み。

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    2025年04月22日
  • 罪人の選択

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    短編集
    SFが3作、ミステリが1作
    以下抜粋して雑感

    『夜の記憶』
    巻末解説を見てびっくり、初出はなんと1987年!!
    ISOLAでのデビューよりさらに9年も前の作品だそうです
    この本の出版日が古いわけではありません、文庫の初版は2022年11月です

    『呪文』
    文中で太字で記されている言葉がいくつかあるのですが、今ひとつその効果がわかりませんでした
    でも収録作では一番好きかな

    『赤い雨』
    藻類の研究所が破壊され、遺伝子操作された繁殖力抜群の真っ赤な藻が世界中にばらまかれて……というお話
    血糊藻(チノリモ)と青深泥(アオミドロ)を合わせた名前「チミドロ」というネーミングセンスが最高
    途中ま

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    2025年04月02日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    貴志祐介さんを目当てに手に取りましたが、流石の執筆陣、数時間で一気に読み切りました。短編で読みやすく、気軽に読み始められるかと思います。

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    2025年03月25日
  • 悪の教典(上)

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    ネタバレ

    # あらすじメモ
    英語教師・蓮実聖司(通称ハスミン)は、生徒や同僚から信頼される完璧な教師だが、実は冷酷なサイコパスだった。
    自身の利益を守るため、蓮実は自分にとって不都合な人間を巧妙に排除(辞めさせたり、殺害したり)していく。

    # 良かった点、感想
    - 一章の括り
    冒頭から怪しげな雰囲気はありつつも、正常に物語は進んでいったが、一章の最後のカラスを殺害したシーンで、一気に物語が転調する感じに、惹きつけられた。

    - ハスミンの行動原理
    上巻を読み終えた今の理解は以下。
     1. 若い女性とのイチャイチャが何よりも最優先
     2. 1以外は何にも感情が動かされない
     3. 2故に、1以外の全ての

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    2025年03月25日
  • もの語る一手

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    『将棋は決断のゲームである…決断をテーマに書かれた一挙8編の短編集』という紹介文に惹かれて読みました。
    将棋は子供の頃に親に教えてもらって2、3度指したことがある程度でほぼルールも難しいことも分からない状態で読みました。分かってた方が面白いんだろうなぁと思う物語もありましたが、全体的に、話の筋に関わる程度に上手に解説が挟まっていて、あまり調べたりせずに理解でき、読み進めることが出来ました。

    強く印象に残ったのは、葉真中顕さんの『マルチンゲールの罠』、白井智之さんの『誰も読めない』でした。
    『マルチンゲールの罠』は、最後の最後で、見えている世界がグルンとひっくり返るような感覚がお見事で、読み終

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    2025年03月24日
  • 兎は薄氷に駆ける

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    違法な取り調べ、自白偏重主義、その結果起こる冤罪の危険性を描く物語。
    450ページ超えの厚さに一瞬怯んだけれど、読みやすい文体ですいすい読み進む。
    英之が妙に法律に詳しいところとか、恋人の言動の不自然さとか、成り行きで狂言回しの役割を担った謙介のキャラの薄さとか気になるところはありながら読み進める。

    冤罪の問題はよくあるテーマだし、話の展開や、英之の思惑も想像の範囲。ただ、雨の中ウエットスーツで…のあたりはあまりにも運を天に任せすぎな杜撰な計画ではないかな〜。
    さらに、弁護士がここまで軌道を逸しているところに現実感がなく残念。
    まあ、理詰めで硬派な社会派ミステリではなく、真相を知ってヒヤリと

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    2025年03月23日
  • 悪の教典(上)

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    アニメの方が好き。小説だと、セリフが多すぎてテンポが悪いかも
    蓮実の一人称視点が入るので、サイコパスな面が強調されるアニメに対してやや人間味のある印象を受けた

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    2025年03月19日