舞城王太郎のレビュー一覧
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ネタバレ背後霊のような存在による二人称小説。
3話に分かれていて各話の主人公がこの世ならざる闇と対峙する。明確には語られないけれど大元のところで各話は繋がっているように見受けられる。
日常が徐々に異常な方へずれていく展開なので、各話の最初らへんは平穏な日常パートが続く。話し言葉による会話が多く、上手いから読めるけれど、だんだん、こういう文章をわざわざ小説で読みたいわけじゃないんだよなあ、という気持ちになっていった。これは好みの問題。
1話は人怖。
2話は恐怖心が怪異を招く。
3話は怪異との対決。
一番怖かったのは2章。存在しない屋根裏部屋の記憶。どうしても終わらせられない物語。
ストーリーよりも描写が気味悪くて印象に残る。
最後まで語り手も怪異も正体が判然としないのでスッキリしない。 -
Posted by ブクログ
遠藤さくらさんのブログがきっかけで読みました!
完全にフィクションを感じる本作。
「つきゃーん」や「ニヒニョウム」など、現実では聞かない擬音が何度も出てくる度、この世界は本当に存在しないものなんだと強く実感させられます。
また話中に出てくる病の「ASMA」や、石原哲朗の日本画の「彩京」について、似た病があるのかとか、どんな画なんだろうかとかネットで調べましたが、やはり存在しなくて、まんまと嵌ってしまった!と思いました笑
好きな感性にもめぐり逢いました。
「一人の人が一つの夜に見る夢は大きな一つの物語の破片で、全世界の全員の全部の夢を繋ぎあわせると長くて面白くてびっくりする物語が出来上がるらしい」
というものです。
舞城先生の他の作品もぜひ読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
こんなことになるなんて!
1行目は全員一緒、25編の「大騒ぎ」。
早起きした朝、昼の休憩、眠れない夜ーー。
ここではないどこか、今ではないいつかへ、あなたを連れ出す7分半の物語。
『黒猫を飼い始めた』『嘘をついたのは、初めてだった』『これが最後の仕事になる』に続く、会員制読書倶楽部:Mephisto Readers Club(MRC)で配信(公開)された大人気ショートショート集第四弾。
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25編からなるショートショート集。
Mephisto Readers Club(MRC)が贈る大好評シリーズ第4弾とのこと。既に第3弾と第6弾は読み終えた。
最初の一文は必ず「だから捨ててと言ったのに」で始めなければならない、という括りがある。
他のシリーズと同様に玉石混交。ただ他のシリーズよりも本書の方が面白い作者が多かった。ただ、飛び抜けて面白いというわけではなかった。
以下が面白かった作者。
須藤古都離
黒澤いづみ
岡崎隼人
砥上裕將
清志まれ
舞城王太郎
高田崇史
背筋
多崎 礼
谷絹茉優
夕木春央
最果タヒ
このうち清志まれはいきものがかりの水野良樹のペンネーム。谷絹茉優はChevonというバンドのヴォーカリスト。ミュージシャンが二人参加している。
上記の中では砥上裕將と夕木春央が特に良かった。歳を取ると、こうした小さな感動話に思わずウルっとしてしまう。そして最果タヒの文章。詩人だからなのかもしれないけれど、とても心に響いてきた。 -
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ネタバレ福井で発生した連続主婦殴打生き埋め事件。
主人公・奈津川四郎は、母親の復讐を果たすためアメリカから帰国する。
四郎は、暴力衝動を抑えるためにボクシングと医療知識という“理性の蓋”を自らに課しています。しかし感情が高ぶると自制が利かず、相手がヤクザであろうと躊躇なく殴り飛ばす。
短気さと気弱さ、そして高い知性が同居しており、犯人以上に危うく歪な人格が、本作最大の魅力だと感じました。
句読点を極力排し、途切れることなく流れ続ける心理描写も印象的です。
軽口、推理、不安が入り乱れ、常に騒がしい四郎の内面と、この文体が見事に噛み合っており、読者は事件を追うというよりも、四郎の思考の奔流に巻き込まれていく感覚を味わうことになります。
物語として特筆すべきは、凶悪犯罪と家族愛を大胆に融合させている点でしょう。
ゴシップを恐れる兄による捜査妨害、政治家である父との確執。凄惨な事件を通じて、家族が理解し合えないまま断絶してきた過去が掘り下げられ、それが四郎の歪んだ人格形成に直結していることが明らかになっていきます。
近くにいながら分かり合えなかった兄弟。それでも断ち切れない愛情。
暴力に飢えながらも愛を求める四郎が凶悪事件に立ち向かう過程で、家族への憎悪と愛情が同時に描かれ、ミステリ、サスペンス、人情ドラマが奇妙な均衡を保ちながら結びついている点が印象的でした。個人的に、ミステリやサスペンスはヒューマンドラマと噛み合いにくいジャンルだと思っていましたが、本作はその例外です。
終盤、犯人を瀕死になるまで痛めつけた後、救急車が到着するまでの間、包丁で刺された被害者たちの治療を続けるシーンが特に好きでした。
復讐者であり、同時に医師でもあるという設定が活かされています。
ミステリとして見ると、中盤の家族の過去描写はやや冗長で、終盤にはご都合主義的に感じられる展開も否めません。それでもなお、ミステリ・サスペンス・人情劇をここまで高い密度で融合させた作品は希少であり、その異色さも含めて強く印象に残りました。
王道からは外れていますが、一風変わったミステリを求めている読者には、間違いなく刺さる一冊だと思います。