舞城王太郎のレビュー一覧
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読み終わったときに、自然に「面白かった。」って言ってしまった。
パートナーさんの好きな作家さん。なんで今まで私が出会わなかったのか謎。スキ。
この短編は、読んでいて同じ人が書いたの?…みたいな不思議な感じになった。
スキ。
ホラーやSFベースで、絶妙なグロ加減。そして、ちょっと甘酸っぱい青い春よ。
なんだろ?
大人になる前の少年の危うさみたいのが、直接的に描写はされてないんだけど、そこかしこに匂わせているように感じるところが凄く好き。
ホラー、SF、グロだと思って読んでるんだけど、その中に感じる青春と恋愛。
とりあえず、パートナーさんの家にあるやつ全部借りたい。 -
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ネタバレ正しさと優しさは両立しないことの方が多いと、つくづく思った。不思議の中に優しい物語を入れ込むのが舞城王太郎の凄さ。
「畏れ入谷の彼女の柘榴」
タイトルの語呂が良くていい。でも、モヤモヤする話だった。千鶴が不倫して出来た子供を「おめでたい出来事」と言い、そこから夫婦の関係が悪くなっても「雨降って地固まる」とか言っちゃうのも、イライラしてしまったが、「どのようなバカにも存在意義があって、この世の中の幸福につながるチャンスがそれなりにあるんだという俺の祈りが叶いますように」という優しさはなくてはならないような気がした。
「裏山の凄い猿」
「困っている人を助けようって気持ちがなくなったら社会は終わ -
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密度の濃い文章で、スピード感ある展開。
タイトルは、祖母の死に際の言葉
「人間死んだら、煙か土か食い物や」から。
とても印象的で収まりの良いフレーズなので、どこか古典に出所があるのかと思いましたが、舞城さんの創作のようですね。
アメリカで働く腕利の外科医四郎。本人は、神の一人とまで言う。そこへ、日本の実家から母親が事件に巻き込まれた連絡が入る。急遽、帰国。
久しぶりの実家で、母親も含めた5人の女性の殴打生埋め事件の犯人探し。
事件解決への見事な推理を展開しつつも、振り切った暴力描写に何故か溢れる家族愛。
時折、ハイテンションな軽めの会話が入るけど、作者の頭の良さが滲んでいるから認めましょう。
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舞城王太郎作品では、感動と切り離されているようでいて人とは別の道で誠実さや愛にたどり着く主人公が多く登場するが、本作の主人公たちの世界や人間に対する興味のなさはかなり徹底していて突き放されているような冷酷な印象を受ける。特に「やさしナリン」や「あまりぼっち」「真夜中のブラブラ蜂」の主人公たちは冷たい印象で、「興味ないけど幸せになってね」ではなく「興味ないから」でおしまいにしてしまうようなタイプ。小説を読みながら彼らの思考に触れているとだんだん息苦しい気持ちになる。
最後に収録されている「美味しいシャワーヘッド」という短編がそういう行き場をなくしている息苦しさの逃げ道を作ってくれるような話になっ -
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舞城作品の中で特に好き。
これまでの舞城作品では、どこかしらファンタジー的だったり、SF的な要素があったが本作はそういったものがほぼない。かなりリアリティラインが高く
設定されている。本作の主人公は、ひたすらうじうじ悩むタイプ。卑屈さこそないけれど、自分で考えを広げた先から否定してその先に進もうとしない思考回路は、ドストエフスキーの『地下室の手記』を思い出した。序盤で登場する「夜の闇の中で、線路に沿って歩いていこうとするんだけれどその先がどうなっているかわからないといって引き換えしてしまう夢」は象徴的。そういった「象徴的な闇」に向かっておそるおそる一歩を踏み出すまでの、主人公の成長を描いた小説 -
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元々は『みんな元気。』という単行本で出版されたのが、文庫化にあたって『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』に分冊されている。『みんな元気。』の収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「矢を止める五羽の梔鳥」。『スクールアタック・シンドローム』は「我が家のトトロ」「スクールアタック・シンドローム」に書き下ろしの「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」だ。
電子書籍で全部読もうとすると『みんな元気。』は単行本版で電子書籍化してしまっているので『スクールアタック・シンドローム』(文庫)は「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を読むためだけに買うことになる。もう少しど -
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青春カケル殺人事件
冒頭の、肌を搔きむしって全身が乳首のやうになるシーンは、なかなか想像するとグロテスクだ。
下品でくだらなくて気色悪いのだが、最後まで読むと、まあめちゃくちゃでヘンテコリンな小説だけど、アリかなといふ気がしてくる。
登場人物はみんなどこかをかしい。けれど、まあツバキエノキ魅力的だしアリかな。連続殺人もバカミスすぎてアホらしい。けど、ここまで飛ばしてると、全体と調和してるしまあアリかな。で、最後もよく書けてゐる。
いままで読んだ舞城王太郎のなかでいちばんおもしろかった。
たとへばツバキさんが屍体を使ってしてしまったことが、たいへん狂ってゐる。度肝を抜いた。しかしそ