舞城王太郎のレビュー一覧
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七つの短編集。
やさしナリン……『可哀想』に弱い人
添木添太郎……いないいないと神様?
すっとこどっこいしょ。……青春。将来。
ンポ先輩……キチ女?え、怪談的な?
あまりぼっち……僕僕タイムスリップ
真夜中のブラブラ蜂……子育ても一段落してブラブラしたい主婦
美味しいシャワーヘッド……ちょっとよくわかんないけどトシちゃんのとこめっちゃ笑った
最近は読みやすいのを立て続けに読ませてもらってるなあと思う。
舞城の、女性主人公の話は読みやすいので好きだ。だから、この七つの短編の中でもやさしナリンが一番好きだ。
可哀想に弱い、という発想がおもしろい。突飛に感じるけれど、理解できる感情だし、はっとさせ -
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改めて舞城好きだーと思った。【やさしナリン】久々の舞城だったせいか主人公が鼻についてしまって内容に集中できなかったので再読したい【添木添太郎】黒い馬の夢の恐怖をきっと忘れてはいけない。そしてその恐怖に負けないことがちゃんとした大人になるということ【すっとこどっこいしょ。】最初はいい感じの青春かなーと思ったけど終盤何が何やらで笑うしかなかった。気楽に読める【ンポ先輩】やっぱ舞城天才か…途中からぶっ飛んだ気がしなくもないけどそれも私の穴あけのせいか(違うか?)間違ってても穴をまた空ければいい話。【あまりぼっち】うーんよくわからんSF。理解力が足りなくて残念…理解できたら超面白そうなのに。【真夜中の
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一流の作家と一流の漫画家がタッグを組んで生み出した作品だからだろう、余計に何処を誉めるべきなのか、まるで判別がつかん
ただ、鮮明なのは私はこの漫画を好きだし、好きになれる
テンポの良い話そのものも素晴らしいし、躍動感のある画を構築する線の一本一本が実に力強い。キャラの性格も立ってるし、印象に残る台詞も多い
それを踏まえて考えてみた結果、この『バイオーグ・トリニティ』はメカッコイイ漫画だ
人間そのものが美形ってのも魅力だが、私としては重々しい金属感のある刃物や銃器に惹かれる
特に一巻のラストの最後のページは、大暮先生の色が鮮やかに出ていると思う
間違いなく、今年、ランキング上位に食い込む漫画 -
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最高。これだけのパワーの塊を浴びるように包まれるように味わえるのが嬉しい。大暮氏過去最もハッピーな雰囲気のある作品。
ジブリアニメーションを見るときの喜びの本質は動きに宿っていると思うが、大暮氏は絵のディテールの情報量でこれに近い「喜び」を生み出していると思う。
不思議世界の設定はひとまとめに明かされないで、どんどん後回しにされるのだけれども、絵がこれほど「喜び」に満ちているので、明かされるまでゆっくり待っていてもいいやという気持ちになる。むしろ、何も分からないままで待つ楽しさを得られる稀有な体験。それには作家への信頼が必要だけど、それを絵の力で実現させてるのがすごい。
この表現は -
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ユートピアはYOUTOPIAではなかったのかと、アホな私はドキッとした。
この冒頭のポワーッとした感じが、とても好きだ。
舞城先生の言葉はおもしろくて、分かり易くて、語感が良くて、頭にスッと入るので、何だかテンションが上がってくる。
それで誰かに話したくなって、きっかけを作ってくれる。
書下ろしの方が好きかな。
特に「添木添太郎」と、「真夜中のブラブラ蜂」が好き。
この2作品は、私の心を抉ってきた。
進んでいくときの寂寥感というか、寂しさというか、そんなのを感じる。
あと「すっとこどっこいしょ。」
面白い♡♡♡
表紙は調布のようで、いつか西暁町も見てみたいなと思った。
ブラブラっと行ってし -
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舞城王太郎の最新短編集。
相変わらず面白すぎる。
軽快な言葉遊びと少し不思議な人間たちが織り成す物語は一見ファンタジックなんだけど、実は普通に人生を送っている僕らの「生きること」「他人との付き合い方」の本質を突いてくる。
それが痛快でもあるし、図星だからこそ心をヒリッとさせられたりもする。
芥川賞の候補になった「美味しいシャワーヘッド」はさすがの出来で、舞城作品にしては漫画のタイトルやバーなどの固有名詞が連発される珍しい作品だが余計にリアリティが増す。
主人公の小澤に共感してしまった。舞城作品で一番共振できたキャラだ。
芥川賞取れてたら帯の文句も変わってただろうに。賞レースに乗るには覆 -
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『ユートピア』を何となく『YOUTOPIA』だと思い込んでいて、大好きなあなたと一緒にいられるのならそりゃその場所は楽園だわなと考えていた。≪君とピア≫の≪ピア≫が何のことかは判らないけれど語感は明るいし何だか可愛いし。
でも君が笑って指摘する。
『ユートピア』は『UTOPIA』で、イギリスの政治家トマス・モーアが16世紀初頭に書いた小説のタイトルで、理想郷としての共産主義社会のことだし、語源としては『どこでもない場所』になるんだよ、と。
え、ちょっと、何その余計な蘊蓄。
僕は言う。
じゃあ僕のキミトピアはユートピアじゃなくてその反対だな。
僕と君が一緒にいる場所はひたすら現実的な場所だもんね -
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ネタバレ書き下ろし3編を含む短編7編。
いずれも相変わらずのスピード感で、ほどよい読み応えもあり、面白い。最近の舞城の描く世界は、何気ない日常が、ふとしたことでどんどん逸脱していって、その逸脱を収束させようと頑張って思考する、という1つのパターンがある。この「逸脱」が、「やさしナリン」だったり「穴食い虫」だったり、「気持ちの搾りかす」だったり、人と人との関係性の中で顕在化するちょっとしたズレにスポットを当てて独特の言葉でその本質を追究していく感じがとても面白い。
冒頭の「ユートピア=YOUTOPIA」についての記載が、昔あった「ぴあ」の「はみだしYou とぴあ」を連想した人も多かったんじゃないかと -
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『歯磨きというものは途中で終わらせることのできない営みなのだ。』
『悪いってそういうものなの。見た目には判んないものなんだよ』
『疑わない奴は考えられない奴だよ。賢くなろうと思ったら、まずはいろいろ疑いな』
『私がここで大変だみたいに勝手に言わないでよ。決めつけないで。私の状況は私が作ってる状況なんだから。』
『次第に涙も引いてくる。良かった。僕はゆっくり全身が溶けて全て涙になっちゃうのかと思ったのだ。』
『これは命令ではありません。トマス・ホッブスは言いました。「命令とは、それをいう者の意志以外の何らかの理由も予想せず、これをせよとかこれをするなとか言う場合である。すなわち、命令す -
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講談社BOXとか言う、よく分からんボッタクリラノベレーベルから出ていた作品だったので未読だったが、文庫化されたのを機に購入。
相変わらず舞城作品にハズレは無い。
成雄サーガの一つに数えられる短編集で、彼を取り巻く人物が全7篇に共通して出てくるが、それぞれがパラレルワールド的な世界観になっているので、成雄と彼らの関係性もその都度違っている。
「どこまでも早く走れる少年」をモチーフに、今作も他の成雄サーガ同様フラットな価値観で善悪の判断に鈍い成雄が、他者との交流を通して精神面が徐々に成長していく物語。
自分を信じ続ける事で限界を超えていく成雄の凄まじさと、一方で自らを頂点と思っている為中々他