舞城王太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ舞城王太郎スタイル健在。
破綻しそうな危うさを常にちらつかせつつ、勢いに乗ってなんとか崩れることなく最後まで突っ走った感じ。それでいてクライマックスの盛り上がりにはすっかり心を持っていかれ、終わればやっぱり☆5つ付けてしまう。
人生はこんなふうに、キレイにまとまらずに疾風怒濤と流れていくものかもしれない。
ルンババこと番場潤二郎とユキオこと西村友紀夫の12歳から19歳までの物語。基本、ユキオ目線でルンババが観察される。
ユキオが暴力的な子じゃないおかげで、今回の話はいくぶん暴力に怯えることなく読めた。まぁ、周囲の人間にぶっ飛んだヤツが多すぎるけど。
それなりにミステリ調の事件はいくつか起きて、名探偵に成長したルンババが惜しげもなく謎解きするけど、総括すると本作品はミステリじゃない。
死体にカツラを被せて着替えさせて変なポーズ取らせた連続殺人は実は絵画作品の見立てだったとか、死体が執拗に動かされた跡が実は死体を出演者にコマ撮り動画を制作したからとか、トリック(?)のアイデアはめちゃ秀逸(?)だけど、ミステリに仕立てるにはストーリーの組み立てのセンスも大事なんだな、と、多分舞城王太郎はそこを目指してないのにミステリ脳な自分は勝手にそんなふうに考察した。
大切な人を不慮の事故で失った人は、多かれ少なかれ自分を責めるんだろう。何故あの時自分は助けられなかったのかと。ずっと苦しんでたルンババにずっと寄り添ってきたユキオは、ルンババが弾けてしまった時に諦めずに勇気を出して救えて良かった。ルンババは救われたし、ユキオも、責める側になりかけてた自分を救ったのだ。
友達って、イイね。(←陳腐な表現にしかならない語彙力を呪いたい)
ハーケンクロイツの回転箱家で、菅原悠のオリジナル作品の見立てを4コマ漫画に仕立てて菅原を閉じ込めたのは奈津川家の誰なんだろう。センス的には明らかに二郎だけど、ルンババは多分三郎と同じ歳だから(うろ覚え)、もう二郎は蒸発した後だし、一郎や三郎や四郎の仕業とも思えないし、丸雄なのかな。
で、ルンババが三郎と懇意になるのは、もしかしたらこの事件の未解決の部分を明らかにしたかったからなのかな。
で、で、『煙か土か食い物』のルンババの壮絶な最期を思うと、ちょっとやるせないよね。 -
購入済み
アニメの続き
前にも小玉先生がキャラデザでNAZ制作のオリジナルアニメがあり、その時は時系列で言うとアニメの前の話だったのですが、今回はアニメの後になる話だというのを最終回で気づいて膝を打ちました。
アニメで明らかにならなかったことが解消されるのか楽しみです。 -
購入済み
これは面白い!
アニメがとても面白かったので、アニメの原作ではないと知り、買ってみました。これは面白いです。アニメスタッフだった人が描いているので違和感がないし、主人公がアニメよりカッコイイ!(笑) スピード感もあり、まるでアニメを観ているようです。良いところで終わってしまったので、次巻も買います。
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Posted by ブクログ
TVアニメで放送中の同名作品の別エピソード。
TV版と同じく刻一刻と行われる犯罪に対して
イドと現実を2人の「名探偵」が挑む内容だが、
TV版の黒幕「ジョンウォーカー」とは別の意味で
名探偵側の手口を理解する者たちとの戦いが描かれている。
おそらくアニメ終了前後にこのエピソードは完結するのだろうが、TV版も見ていないと面白さが薄れる内容に思われる。
単行本発売日がアニメ放送開始前後なのは当然狙っていただろうが、可能なら放送終了前に読んでおきたい作品である。
なお、これは私見だが、ゲーム会社「グラスホッパー・マニファクチュア」の作品が好きな人はこの作品にはどっぷりハマるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
『好き好き大好き超愛してる。』でみせた「愛は祈りだ。僕は祈る。」の信念を、言葉だけでなく実践してみせた、怪作にして舞城の最高傑作。
序盤は村上春樹的な奇想のロードムービーをやり、中盤ではがっつり密室モノのミステリをしつつ序盤の奇想までもを伏線として回収してゆく。大勢の"名探偵"たちによる壮大な推理合戦は、その論理が披露されるごとに新たな真相がアップデートされてゆく。この感じは麻耶雄嵩が『翼ある闇』で試みたそれと近いものがあるのだけど、本作においてはその推理は十三回にもおよび、長大だ。「名探偵は必ず真相を解き明かすがゆえに名探偵である」という循環論理はメタ的には真理で、そのことにさえ自覚的な名探偵たちは「自らが真相を創っている」という考えにいたる。かくして世界は人が思うような姿で在り、それぞれの世界観のつながりのなかで揺らいでいるというさまを解き明かしてゆく。密室の謎を解くことが、世界の成り立ちの謎へと接続する。
超常を一つ一つ許容してゆくごとに世界が拡張してゆくさまはまさに快楽で、下巻では論理のインフレが次第にディストピアSFへと変幻する。
迷子探し専門の探偵、ディスコ・ウェンズデイが子攫いのキャッチャー・イン・ザ・ライになるまでを描く一代記。すなわち愛の実践。 -
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twitter文学賞受賞作ってことで。舞城作品は、だいぶ前に『煙か~』を読んで以来。それなりに楽しめたものの、読書巧者がこぞって誉めそやすほどには入れ込むことが出来ず、数作品買ってはみたものの、どうにも手が伸びず、今まで距離を置いてきてしまっていた。自分も読書キャリアを経てきたし、作者もどんどん円熟度を増しきてるだろうし、っていう風に双方の良い条件が重なったおかげもあってか、本作は上記作品よりも遥かに楽しめました。内容は、珍しい(そして難しいであろう)二人称で描かれる、中編×3編から成るもの。各主人公の背後霊的な”淵の王”目線で、ちょっとホラー寄りの物語が語られる。登場人物の造形やら、ホラーの味付けやらがそれぞれに絶妙で、あまり長くない作品の中に、それぞれの人生が濃縮されてつまっているのも良い。俄然、彼の他作品にも興味が沸いてきました。
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名前のない二人称は主人公を愛し、慈しみ、彼らの魔と悪への対峙を見守る。二人称のその無力さが、読む者が必然的にもつ無力さとシンクロするため、読後に不思議な余韻を残すのだと思う。
ストーリーにわかりやすい対立構造をもつ「さおり」と、インパクトのある強敵と格闘する「悟堂」に比べて、「果歩」には明確に対立する敵や実体化した敵が登場しない。広瀬や絵の少女がそうかというと違う気がする。強いて言えば自分自身の意識下にある何か、または健全な外観からは見えない悪なるものである。それに気づかない者は、恐らく生涯気づかない。また気づいたときには「怖いことを考えることそのものが、悪い影響を持つ」というテーゼのもと、すでに手遅れになっているのである。
つまり「深夜百太郎」を完成させた舞城は、もういろいろと手遅れなのかもしれない。でもきっと、「果歩」のラストで二人称が消えかけたときのような執念をもって復讐のチャンスをうかがっている。 -
Posted by ブクログ
青春小説?そんなこと全く思わなかった。
密室というミステリーにおける鉄板ネタを、あれやこれやと否定否定。バカなトリック。だけど愛おしい。しかも家族とかけて再生の物語なんて、舞城天才かよ。
名探偵ルンババといいキャラの破天荒。ストーリーのはじっけっぷり。そこにドライブ文体。
井上姉妹の心情は、西加奈子や川上未映子っぽさがあり、女性作家?いやいや、友紀夫とルンババの笑いのセンスは男性作家?相変わらず不思議な作家だ。
久しぶりな舞城作品は愛も変わらず、愛の話。そこにミステリーのエッセンスがあるのだから、楽しいに決まっている。
おススメマラソンその④
杏仁さんより紹介いただきました。感謝。 -
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ネタバレこれはいち舞城ファンの感想なんですけど、舞城作品って物理攻撃に近い気がする。読んでいる間中ずっと、胸倉を掴まれてブンブン引きずり回されてる感じ。この感覚は短編であるほど強いような。
じゃあ「ホラー長編」であるところの本作はどうだったかと言うと、やはり何か恐ろしく強いものに首根っこを押さえられているようで、早い話が途中で読むのを止める事ができませんでした。
影、暗闇、真っ黒坊主――……。
突如現れる黒々とした穴が、主人公たちの日常を侵食する。
主人公?主人公かあ。うーん難しい。
3つのパートは「中島さおり」「堀江果歩」「中村悟堂」という人名を冠してはいるんだけど、それぞれの物語を語るのは名前の人物自身ではなく彼らにぴったりと寄り添う「誰か」で、でもそれは何でも知っている神様みたいな存在って訳でもなくて割と普通の人間っぽくて、だからこそその「誰か」が用いる二人称に愛を感じて切ないのです。
それはさておき、その「誰か」が次のパートにバトンタッチされて行ってるくさいので、やっぱり主人公ということでいいのかな。とにかくこの構造がすごく面白いなーと思いました。
他の作品でも繰り返し扱われる「怖い想像が悪い影響を持つ」っていうテーマも本当に怖い。生理的に怖い。でも読んじゃう。怖いもの見たさって怖いなあ。もう「怖い」しか言ってないけど。
今まで自分の中で舞城王太郎と云えば『煙か土か食い物』が一番好きだったんですけど、そのランキングがちょっと変動するかもしれない。それくらい面白かったです。