舞城王太郎のレビュー一覧
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ネタバレ元の探偵ものシリーズのトリビュートとのことですが、未読のままこちらを読んだ自分も問題なく楽しめました。
(wikiの該当キャラの項目を先に読んでおいたほうが面白かったかも?)
それを踏まえても、元小説のファンはこの内容で怒らなかったんだろうか?と心配になる^^;
●以下ネタバレ
章の順番がめちゃくちゃなところからも、この小説がどういうものかがわかる訳ですが、色々時系列を気にして頭を回転させながら読んでも、ああ、そういうことなの・・・みたいなオチだから脱力すると同時にその疲労が全部悲しみに変わるストーリー構築なので再読する自信がまだ無い。
つくもかわいそうすぎるやろ・・・
●以下ラストネタ -
Posted by ブクログ
ネタバレ(表題作について)
小学生の「まーくん」が猫のしっぽを千切って鞄に入れているという開幕早々戦慄の走る話だが、読んでいくと「まーくん」が普通に笑うどこにでもいる小学生という事実に行き着く。気味悪がっていた主人公は、一緒に遊ぶようになり、理由はどうあれ彼を庇うまでになる。子ども時代の楽しい生活は虫を潰しても何も感じないような残酷さをはらんでいる。その意味で、主人公はあくまで普通の小学生なのだろうし、まーくんも異常と呼ぶほどのものではない。虫を潰さず猫を潰していただけだろう。
もちろん、大人になってもそれでは異常な奴として扱われるのは仕方ない。子どもというのは、互いに少しずつ異常なものを持ってお -
Posted by ブクログ
舞城さんの本を読んだのは実に数年ぶりで…それこそ一つの前の職場にいた頃、一番読んでいたのは大学生から社会人になりきれてない、22の壁を越えられなかった頃だったと記憶しています。
出版年の頃にはもう今の仕事だったわけですが、その時期にこれだけぶれない話しが出せるんだから本当に凄いなと。
著者の作品は大学時代の私の「最先端」であったので、今となっては少し懐かしいものがあれこれとでてくるのです。
ガラケー。某巨大掲示板。絵文字。フォントによる表現。などなど。
懐かしさと少しの痛み(恥ずかしさとか)を伴う時代感覚と、古さなんてなにものですか読んでりゃわかるでしょおもしろいって、という感覚が同時にきて、 -
Posted by ブクログ
背中に鬣のある成雄くんが、書道家に弟子入りしたり馬を追っかけたり変な集落に迷い込んじゃったりして走りまくる。けれど他の舞城作品に比べれば穏やかで、少しファンタジーっぽくもある。
……などと呑気に読んでいたら、さらっとグロくなってさらさらっと自分が自分でなくなってしまい、うわぁ油断した、やられた、と思った。
舞城作品の登場人物たちは、頭がよくても間違う。きちんとリスクを考えて、その上で自分の頭で物事を決定するのだが、それでも現実はさらにその上を行くのである。成雄くんが鬣を剃ってしまう場面は、彼の判断の上の予期しない間違いとして非常に印象的だ。
何をどうするか、目の前のことにどう対処するか…… -
Posted by ブクログ
ぼく・わたしの未来が詰まった現在進行形ポップ純文学短篇集。
舞城王太郎従来のアクの強さは満載ながら、とてもまとまりのよい短篇集。なので、「これは素晴らしいなぁ、舞城王太郎を人に薦めるならこの本からと言いたいな」と思っていた。そしたら最終話の「ピコーン!」でいやいやいやいや、これ人に薦めたら駄目だ、となる。
もう、舞城さんなんなの~(笑顔)、こんなの人に薦められないじゃん~(笑顔)。
勢いに飲まれるキュートな最終話も素晴らしいが、1話・2話収録作もたいへんスマートで唸る。舞城王太郎は軽快ながらもある種の泥臭さがあり、そこが魅力でもあり時にくどくもあるのだが、この2作はそこのところを「書きすぎて