舞城王太郎のレビュー一覧

  • 山ん中の獅見朋成雄
    背中に鬣のある成雄くんが、書道家に弟子入りしたり馬を追っかけたり変な集落に迷い込んじゃったりして走りまくる。けれど他の舞城作品に比べれば穏やかで、少しファンタジーっぽくもある。

    ……などと呑気に読んでいたら、さらっとグロくなってさらさらっと自分が自分でなくなってしまい、うわぁ油断した、やられた、と...続きを読む
  • 熊の場所
    ぼく・わたしの未来が詰まった現在進行形ポップ純文学短篇集。
    舞城王太郎従来のアクの強さは満載ながら、とてもまとまりのよい短篇集。なので、「これは素晴らしいなぁ、舞城王太郎を人に薦めるならこの本からと言いたいな」と思っていた。そしたら最終話の「ピコーン!」でいやいやいやいや、これ人に薦めたら駄目だ、と...続きを読む
  • 阿修羅ガール(新潮文庫)
    再読。
    パンチきいてる…。
    でも、すごく乗っ取られる。
    ノリというか。
    そしてなんだか次の日は元気に職場に行けたのです。
    愛だよって言いたいくらいの感じで。
    愛をもらったのかもしれない。
  • バイオーグ・トリニティ 7
    "「オレ
    フミホに恋してはじめて自分が生きてるって知ったんだ。」
    だからオレはきっと死なない。"

    どきどきが止まらない。
    物語の進む方向が決まった感じする。
    最後の穂坂がとても格好いい。
  • 阿修羅ガール(新潮文庫)
    舞城節が唸りを上げてますね〜終盤まで何が何だか全然分からないんだけど、たくさん散らばる訳分からない荒唐無稽なピースを一気に収斂させてストンと落ち着かさせるのはほんとスゴイ。自分の存在とは…哲学的な問いかけに対して現代の女子高生の言葉や思考回路を通して語り上げるような舞城王太郎節…私は結構好きです。面...続きを読む
  • みんな元気。
    表題作は、まるでコマ割りのない漫画を読んでいるような文章だった。舞城さんの文章は思考と理屈と情景が感覚的なのが魅力だけど、特にこの作品はその境界線が限りなく曖昧である。
    けれども、読んでいて理屈は理屈とわかる。 

    個人的には、「みんな元気。」は非常に身につまされる話だった。選択しなかったということ...続きを読む
  • イキルキス
    問題が起き、思慮を廻らせ、自分の中で折り合いがつき、救済がやってくる。そんなストーリーの繰り返しにより短編は紡がれる。「無駄口を数える。」は「微温的」な超短編ながら、言葉にならない言葉を言葉にするという空気感が圧巻。
  • バイオーグ・トリニティ 6
    "「好きだからな!!
    せっかくあきらめてやろうと思ったけどおまえのことやっぱり好きでいてやるからな!!
    ずっと ずっとだ!! 死ぬまでだ!!! 覚悟しとけコノヤロウッ!!!!」"

    読むたびの新たな面にいつもどきどきさせられる。
    委員長……。

    "「よく組み立てられるねこんな土の破片から」
    「え?わ...続きを読む
  • 阿修羅ガール(新潮文庫)
    言ってることほとんどわかるわかるって感じでなんやら恥ずかしいんだけど、なによりその表現がめちゃんこ面白いな。
    しかし珍しく共感しきりと思ったら、架空のキャラクターとはいえそれがマイルドビッチな女子高生ってのはどうなの…
  • ディスコ探偵水曜日(上)
    困った。面白い。
    どんどん後退していく真実。いや、真実ってなんだ。
    哲学に、基礎付けが要求され、基礎付けの基礎付けが要求され、基礎付けの基礎付けの基礎付けが要求され……という無限後退、無限背進の議論があるけれど、それを思い出した。

    なんでもっと早く読んでおかなかったのか。。
  • バイオーグ・トリニティ 6
    愛と物語の物語。舞城っぽくなってきた。なんだか良く分かんないけどクライマックス感。でもそもそもなんだかよくわからないように作られている感じがする。語義の説明が物語の後になってからなされたりすることも多いし、読み返さなきゃ。
  • みんな元気。
    【みんな元気。/Dead for Good/矢を止める五羽の梔鳥】家族もの。超展開ばかりだけど表題作は比較的綺麗にまとまっていた感じ。愛に溢れている!
  • 世界は密室でできている。
    いいなぁ舞城作品。大好きだ。そう思うお話だった。

    ミステリー的な部分は、はっきり言ってどうでもいい。この年頃の男の子の生き生きしたかんじ、女の子のわけわかんないかんじ、親との葛藤。いろんな気持ちをわーって叫びたくなったり、でも閉じ込めちゃったり。
    読み終わると「ああ、ルンババ~」と思う。ああ~。こ...続きを読む
  • 阿修羅ガール(新潮文庫)
    阿修羅は三つの顔と六本の腕を持つ神
    一人でいっぺんに三人前の仕事ができる
    戦いの神、というよりは
    ワーカホリックの神としたほうが作者の世界にはふさわしい感じ
    いずれにしても修羅道だ

    アンドロギュヌスを妄想しながらマスターベーションに励む
    「グルグル魔人」は殺人者である
    三つ子の赤ん坊をバラバラにし...続きを読む
  • ビッチマグネット
    弟を持つ一人の女の子の物語。両親が離婚する話なのに、何故か暗さが無いのが良い。むしろ爽やか。
    タイトル?って感じだけど、途中で分かる。本文中で解説あります。
    後半は文字を太字にしてまで人生で大事な教訓を問いてくれる。全く同じ文章が二回出てきて、これが筆者の伝えたいことなんだろうなと思った。
    でも一箇...続きを読む
  • スクールアタック・シンドローム
    この本収録の、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を読んで、おおいに頭を抱えた。この後味の悪さ。優しさ。無力感。
    自分の生きている世界こそが現実なのに、その現実はなんとグロテスクで即物的なのだろう。私達はこの現実に対して、どうやって立ち向かえばよいのだろう?

    「でね、あんたが言うの。どんなに...続きを読む
  • 山ん中の獅見朋成雄
    鬣とカニバリズムとエトセトラ。めまぐるしく変わるスピーディーな展開で成雄の疾走は続く。そのままのスピード感で終わったのが気に入った
  • バイオーグ・トリニティ 5
    "「おまえがアタシのことなんとも思ってなくても
    アタシがおまえを好きでいつづけるのは自由だろ?
    アタシの恋のジャマをしないでください」"

    今巻も最高に格好良い!
    藤井くんの穴の中で大戦争。

    "「ここだ
    やっぱりここから…この中から聞こえる…!!」
    聞こえるんだ
    オレのずっと奥の方から
    いつだって...続きを読む
  • ビッチマグネット
    舞城王太郎の作品の読後ってなぜこんなにも生きる力が湧きあがってくるのだろうか。しかも、ジワジワと…ではなく、ぐわぁぁあー!っと。エナジードリンクを飲んでも感じたことのない、この走り出したくなる気持ち。

    アンビバレントな気持ち。
    決定的に自分の価値を無駄にした人が、自分を振った人だ。そんな人にまだ気...続きを読む
  • イキルキス
    おもしろかったよ全編よかったよ!
    舞城王太郎を読んだ後って良くも悪くも影響されてまうよね。改行をせずにぶぁーって文字を打ちたくなるというか。んで打ってしまってから自分にゃ無理だ、つって圧倒的力の差を痛感するよね。