舞城王太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
崇史は、俺が十五ん時の子供だ。
今は別々に暮らしている。
奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。
恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染―。
ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。
混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録したダーク&ポップな作品集。
[ 目次 ]
[ POP ]
わけわかんねえ、でもなんか、心の芯に突き刺さってくるんだよなぁ、という感じがとっても気に入っている舞城王太郎さんの文庫最新刊。
「スクールアタック・シンドローム」「我が家のトトロ」「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」からなる短編集。
全部大好きだけれど、私は表題作が一番好きだな。
というわけで表題作について触れると、とにかく自宅ソファが気に入ってしまってそこから動けない主人公の話なのである。
そこになぜか知らない人が乗り込んできて、なんだかわからないうちにそいつの耳を食いちぎって、そして飲み込んでしまう。
もうこれだけでも私は爆笑してしまってでもちょっと物哀しくて泣けてしまった。
そして耳をくいちぎられたやつはとっとと出て行って、川原まで行ったところで、そのへんにいた人間に対して暴力をふるう。
暴力は伝染するのだ。
そんな主人公が15のときにその子どもとして生まれてきた崇史。
こいつはこいつで、学校を襲撃する計画をノートにびっしり書いている。
これも暴力の伝染のうちのひとつ。
破天荒な主人公とそのまわりの人々、そのありえない世界の中で、私たちが抱えているつらさとか切なさとかよくわからない気分みたいなものがめいっぱい書き込まれている作品。
ほんとうにもう、私はこの作品を読めただけで、今後まともに生きていけなくてもいいか、ととても励まされました。
絶対に読んでおくべき舞城作品です。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
【本の内容】
十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。
中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。
僕らの冒険はそこから始まる。
地元の高校に進学し大学受験―そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。
[ 目次 ]
[ POP ]
「煙か土か食い物」「暗闇の中で子供」に続く三作目のこの作品は、前二作の”奈津川一族物語”の番外編といってよいと思う。
二作目の作品中で奈津川三郎が執筆する推理小説が「ルンババ12」であり、そのルンババの実体(?)が活躍する青春小説といったところか。
ほんのわずか「奈津川」の名も登場して、一筋縄ではいかない奈津川の謎をちょっぴりのぞかせる。
おなじみの場所が舞台で、おなじみの文体と福井弁で、常識もムチャも乗り越えてスイスイと話は進む。
あまりに軽いノリで殺人が出てきて、凄惨さはない。
密室も大安売りされている。
事件の解決がメインでなく、悲しみをのりこえてゆく二人プラス一人の深い友情物語だ。
私見だが、独特の舞城テイストを強く感じられる最後の作品だ。
この後、作者は奈津川三郎の逆をたどり、純文学の方へ傾いてゆき、賞もとって、本質的なユニークさは変わらないが、小気味よい、暴力的ともいえるリズムから遠くなっていくようだ。
二人の強い絆とさわやかな読後感に乾杯。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
【本の内容】
猫殺しの少年「まー君」と僕はいかにして特別な友情を築いたのか(『熊の場所』)。
おんぼろチャリで駅周辺を徘徊する性格破綻者はゴッサムシティのヒーローとは程遠かった(『バット男』)。
ナイスバデイの苦学生であるわたしが恋人哲也のためにやったこと(『ピコーン!』)。
舞城パワー炸裂の超高純度短編小説集。
[ 目次 ]
[ POP ]
まー君の猫殺しに気がついたのはぼくとまー君が2人とも11の時。
猫殺しの少年まー君をめぐる恐怖とは・・・
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
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Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わるまでだいぶ時間がかかった気がする。
読み終わりが見えてきた頃には、物語初期(成雄が記憶喪失だとか、中学校に編入したりとか、鬣触ろうとした同級生の皮膚をえぐったりとか)からはだいぶ成雄も変わっていて。
ボアダムスのワンサクの演説は、読んでいて、「まじよく書いたなー」と、帯の「凄まじい文圧!!」という煽りに納得。
楡が、頼まれたからやらせてあげちゃう、という舞城小説によく出てくるふつーの女の子だったところに私自身がっくりして、成雄の白けた気持ちにとても共感した。
罰太郎はどうなったの?とか、
結局義経と成雄はそもそも生まれが違うの?とか、
ボアダムスって結局なにがしたいの?とか、
最後まで読んでも気になる部分は多々ある。
成雄が、最後まで楡に会いたがっていたところは、嬉しかった。
シンクロニシティ、パウリ効果、ピノキオの物語、、、
気になるキーワードはたくさん出てきたけど、
個人的には、梨木サボロッカ牧場のサボロッカってなに?!と、思いました。 -
Posted by ブクログ
『ドグラマグラ』のように堂々巡りし、『黒死館殺人事件』のように奇想夢想蘊蓄がゴージャスに詰めこまれ、『虚無への供物』のようにメタメタしく人を食った一大衝撃小説。
ついでに終わり方は『ナルニア王国物語』を思い出した。
こんなものよく書けるな。凄まじい。
と、感心はしたけれど、途中のディスコが時空を好き勝手しはじめたあたりから正直気持ちはさめてしまった。
何でもありすぎてどうでもよくなったと言うか。
それにディスコと小枝が最後まで好きになれなかった。
どうしても「親の気持ち」を考えてしまう。
熱狂的な子供好きの、けれど「親」ではない男(その子供の成長した姿とセックスする夢を見るような)が
「俺が幸せにしてあげるから!」と独断で自分の子供を拐い、どこかにやってしまうって、悪夢だ。
それに子供の意思は?
新しい世界で本当に幸せなの?
崇高な目的があったって、結局ロリコンの誘拐犯そのものじゃない。
そう思ってしまう。
ディスコの掲げる正義と愛が好きになれない。
一番外側にある《好き嫌い》の問題。
水星Cは『ブラック・ジョーク』の小玉で、双子世界は佐々木マキの絵で思い浮かんだ。
頭を引っ張り回される、記憶に残る読書だった。