舞城王太郎のレビュー一覧
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馬から生まれた少年の話。
…とこれだけで相変わらずの世界観なんだろうなぁと予想がつく。こっちの常識とか考えを全て取っ払って頭の中を真っ新な状態にして、いざ読書開始。
この作品は舞城さん独特のあの凄まじいスピード感があまりなくて読みやすい。文章的にもそこまで癖がないように思う。なので初舞城さんにオススメ…と言いたいところだが残念ながら後半はそれが普通どころか半端ないレベルにまで上がってしまっている。言うなれば絶叫マシンに片手だけで掴まっているような、いつ自分が飛んでいってしまうのか分からない恐ろしさ、寧ろ自分が掴まっているのか飛ばされているのかさえ分からない状態で完全に小説に置いてきぼりをくらっ -
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舞城王太郎の九十九十九は、やっぱり舞城王太郎の九十九十九でした。
てか、加藤九十九十九って! 名字、別にあるのかよっ、みたいな。
キャラも全然違うしね。
あたしとしては、舞城王太郎の九十九十九の方が好きです。
というのも、清涼院流水の九十九十九は、なんか人間味がない。
で、それゆえにあまり魅力的とは思えないのだけど、舞城王太郎の九十九十九は、それとは違って、全然完璧でなく、悩んだり、迷ったり、困ったり、いろいろ「ふつー」だから。
とはいえ、清涼院流水の九十九十九とは違う意味で、人間を逸脱している感は否めないけど(目玉の取り外しが出来たり…)。
ストーリーの方は、ん〜…ぐちゃぐちゃ?
九十 -
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短編集。
単行本の『みんな元気。』に収録されていた、「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」の2編に加え、書き下ろし「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」1編。
3つの中であたしが一番気に入っているのは「スクールアタック・シンドローム」です。
なんか、よくわかんないんだけど、わかる気がする。
ん〜…。
たとえば、帯にも書いてる「暴力は、伝染する」というワード。
基本的には、そんなわけないだろう、と思うのだけど、でも、そういうこともありうるかも、みたいな。
話は少し飛ぶのだけど、江國香織の『すいかの匂い』の解説で、川上弘美(←あたしはこの作家も好きです)が、江國香織の文 -
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キミトピア、というタイトルはなんかぞくっとくるものがあってどうかと思いますが。7編の中・長編入りの作品集。
初めて舞城王太郎読んだの阿修羅ガールが文庫化した直後で阿修羅ガールで初めて読んだんだけど、舞城王太郎は女の人のような気がする。どうなんでしょ。
舞城作品は比較的メタファーががっつりしているんだけど、結構後半までそれがうまいこと隠されたりしていて、それが解けたときの快感が強い。
主題もはっきりしている。
「やさしナリン」ではかわいそうな人を見るとなんとかしなきゃ!というスイッチが入って冷静なときにはできる判断がどうにもうまくいかずに暴走してしまう兄妹を兄の嫁視点で描いている。
そのかわい -
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一般論に「世界を変えたければまず自分が変わるべき」というのがありますね
そりゃ、物事の順番として
「まず自分が」というのがスジであろうと僕なんかも思う
しかし、そうであるからといって、いったい誰が保証してくれるだろうか
「自分が変われば世界も変わる」なんてことを?
そうだ、自分を変えたからといって、それに合わすように
世界のほうでもその形態を変えてくれるわけでは、必ずしも、ない
特に、彼がこの世界における「異物」だったりなんかした場合にはね
そして、世界の変わらないことを「自分の変わりかたが足りないからだ」
「自分の変わりかたが間違っているからだ」
などと思い詰めたあげく
寛大さや誠実さや正 -
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間違いのほうが正しい答えよりも正しい場合があって、これがそうなのである。
(冒頭より)
やさしナリン
添木添太郎
すっとこどっこいしょ
ンポ先輩
あまりぼっち
真夜中のブラブラ蜂
美味しいシャワーヘッド
全てのお話で、誰かが何かしら混乱してて、それに共感したり、笑ってしまったり、なるほど〜と思わされたり。
始めの4篇が好きでした。
すっとこどっこいしょの「ニンニン」からの「くせ者ーっ」の流れとか大爆笑です。いやぁ、ますぅヤバイ。ヤバすぎる。
P116
神がごめんとひと言謝ってきたなら許さないでもないという気持ちで生きている。
P260より
言葉は間違える。
感情も間違える。
心も間 -
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“榎本芙三歩のことを好きになってから僕はずっと落ちつかなくて、そわそわもぞもぞ、それは興奮していると言うよりいささか混乱しているのだった。なぜなら好きというのは僕の中に生まれた全く新しい気持ちだったし、僕はそれがこんなふうに乱暴でとっ散らかっててちっとも休もうとせずにぶくぶく脹らんでゴンゴンいろんなものにぶつかりかち合い僕の中にそもそもあった展望や計画や気分や価値観を無茶苦茶に壊してしまうとは知らなかったのだ。皆誰かのことが「好き」とか言って笑ってるときこんなふうに内心グルグルしてたのかよ、本当に?と僕は疑わざるをえなかった。”
やだ格好良い。
よく分からない世界観にぽいと放り投げられる感じ