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弱いことって罪なの? 悲痛な言葉が孤児院に木霊する。ムチ打ち男爵と泣き叫ぶ子供たち、神々の黄昏、ラミア症候群。「踊り出せよディスコテック。急いでな」。時空を超える旅のなかで、〈地獄〉を知ってしまった迷子探偵。彼が選択した究極の決断とは? ディスコ・ウェンズデイと名探偵たちの戦いはクライマックスへ。発表後即伝説と化した、舞城王太郎の最高傑作、ここに完結。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
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Posted by ブクログ
舞城王太郎の脳内で行われた思考実験を、特等席で観ることができた。こと創作において、時空飛行はよく観られる設定であるかと思うが、そこにはいくつかの矛盾を孕まざるを得ないものが殆どであるかつ、それをどの様にして処理しているかの説明は省かれている。しかし本書はこれまでにないほど誠実に過去と未来について向き合う。そしたらいつの間にか時空より大きな、世界に向き合う羽目になって、どんだけスケールの大きい話なんだよ、と思うが、世界のルールである時間と空間を相手にしているのだ。それだけの覚悟が無いと向き合うなど到底言えない。
本当に面白かった。謎が謎を呼ぶ、という作品をいくつか読んできたが、その最高峰にいて、いつまで謎やってんだよって言いたくなるくらいにめちゃくちゃ。それでも、事実であるのだ。ジャストファクツ! 大きく広がりすぎた話をどう結末に持っていくのかが不安であったが、舞城王太郎にそんな不安を抱いてしまった自分が情け無いと感じてしまうほどに素晴らしい終わり方。謎が謎を呼び、事実が事実を繋ぎ合わせる。ミステリ作品の中では、異端として扱われているであろう本作だが、実際にはかなり誠実なミステリ作品である。
Posted by ブクログ
『好き好き大好き超愛してる。』でみせた「愛は祈りだ。僕は祈る。」の信念を、言葉だけでなく実践してみせた、怪作にして舞城の最高傑作。
序盤は村上春樹的な奇想のロードムービーをやり、中盤ではがっつり密室モノのミステリをしつつ序盤の奇想までもを伏線として回収してゆく。大勢の"名探偵"たちによる壮大な推理合戦は、その論理が披露されるごとに新たな真相がアップデートされてゆく。この感じは麻耶雄嵩が『翼ある闇』で試みたそれと近いものがあるのだけど、本作においてはその推理は十三回にもおよび、長大だ。「名探偵は必ず真相を解き明かすがゆえに名探偵である」という循環論理はメタ的には真理で、そのことにさえ自覚的な名探偵たちは「自らが真相を創っている」という考えにいたる。かくして世界は人が思うような姿で在り、それぞれの世界観のつながりのなかで揺らいでいるというさまを解き明かしてゆく。密室の謎を解くことが、世界の成り立ちの謎へと接続する。
超常を一つ一つ許容してゆくごとに世界が拡張してゆくさまはまさに快楽で、下巻では論理のインフレが次第にディストピアSFへと変幻する。
迷子探し専門の探偵、ディスコ・ウェンズデイが子攫いのキャッチャー・イン・ザ・ライになるまでを描く一代記。すなわち愛の実践。
Posted by ブクログ
『違う。何ができるかじゃない。何かをするんだ。何でもするんだ。』
『世界は人の信じるように在り、その世界観は絶えず他人によって影響され、揺らいでいる。』
『深刻ぶってたって問題は解決しねえぞ? 罪悪感だか自己憐憫だか知らないけど、くだらねえ情緒的な苦しみなんか苦しんでないで考えろよ。』
『何しろ知識も経験も論理も時間も、全て積み重ねなんだからな。』
『親は頑固でも意地っ張りでもないし世界を敵に回しても構わないとも思ってない…護りたいものを護るだけなのだ。』
『俺に正しく強い意志があれば、運命はちゃんとついてくる。』
『…え?酷いって、どれくらい』
『世界が終わるくらいだよ』
『俺には誰かを愛するための愛情があり、それを小枝に注いでみたい。』
『弱いのが悪いなら、悪は弱いんだよ』
『小枝が隣で笑っていてくれるのだけが俺の救いだ。毎日の希望そのものだ。』
『いつもピンチになれば必ず俺が来ると思うなよ』
Posted by ブクログ
怒濤のクライマックス! 一気読みの下巻、603P!!
正直半分くらいはついて行けない様な展開なのですが
そこを脳みそを必死コイてのフル稼働で、喰らい付いて
行く先には、なんとも言えない脳内麻薬がジワーっと!
いやー、凄い、もの凄い作品ですなー。
ストーリーの着地点は途中から見えては来たものの、
そこに至るまでの運びは何度もハラハラさせらるし、
中盤での推理合戦がこうやって後半に活きてくるのを
感じるだけでもニヤニヤしてしまう。
そして何より...「水星C」の存在感! 133Pで書かれた
イラスト図がこんな伏線だったなんて!! 最高にカッコいい!!
単に紙に印刷された文字の羅列を目が追い、その内容を
理解しようとするだけで、自分の中で、その紙に書かれた
活字は上下左右、奥行きを持ち、自由に脳内にその世界を
構築するのだ。きっと自分が小説を読む事が止められない
理由がそこにあるんだろーなー。
ラストに書かれるインドのムンバイのカエルのシーンには
あまりの美しさに思わず涙が溢れ出てしまった。
もっと自分がジジイになった時に必ず読み返そう!
Posted by ブクログ
『ドグラマグラ』のように堂々巡りし、『黒死館殺人事件』のように奇想夢想蘊蓄がゴージャスに詰めこまれ、『虚無への供物』のようにメタメタしく人を食った一大衝撃小説。
ついでに終わり方は『ナルニア王国物語』を思い出した。
こんなものよく書けるな。凄まじい。
と、感心はしたけれど、途中のディスコが時空を好き勝手しはじめたあたりから正直気持ちはさめてしまった。
何でもありすぎてどうでもよくなったと言うか。
それにディスコと小枝が最後まで好きになれなかった。
どうしても「親の気持ち」を考えてしまう。
熱狂的な子供好きの、けれど「親」ではない男(その子供の成長した姿とセックスする夢を見るような)が
「俺が幸せにしてあげるから!」と独断で自分の子供を拐い、どこかにやってしまうって、悪夢だ。
それに子供の意思は?
新しい世界で本当に幸せなの?
崇高な目的があったって、結局ロリコンの誘拐犯そのものじゃない。
そう思ってしまう。
ディスコの掲げる正義と愛が好きになれない。
一番外側にある《好き嫌い》の問題。
水星Cは『ブラック・ジョーク』の小玉で、双子世界は佐々木マキの絵で思い浮かんだ。
頭を引っ張り回される、記憶に残る読書だった。
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