舞城王太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私はあまり本を読むわけではありませんが、
舞城王太郎ほど感覚の言語化が鮮やかな作家を知りません。
世界は壁だらけでぐにゃぐにゃしていて、
それを越えるために他の作家が言葉や世界をこねくり回してあっちゃこっちゃぐるぐるしている間に舞城王太郎はジェットエンジンを持って飛んでいってしまう。
でも操作がうまくないからよく墜落している。
この作品は、まさに舞城王太郎といったもので、
とにかくストイックに、走るスピードを追求しつづけている。
しかしなぜかこの社会においては、足の速さと走るスピードは比例しない。それは周りの念が邪魔をするから。
とにかく常識だとかルールなんていうものは、こと早く走ることに -
Posted by ブクログ
ネタバレ前話が次の話の中で作中作として消化されていく入れ子構造をとったとんでもなくメタメタな作品。
一見すると意味の見えない行動、現象もその後の話の中で見立てとして回収され、意味のないものを全て消し去る勢いであらゆるものに意味付けがなされていく。
作品内で自分が登場する小説を読まされる九十九十九は読者の視点を共有しながらも自身が虚構内の存在にすぎないためどっちつかずの宙ぶらりんな状態に放っておかれる。
その不安定さをだんだんと九十九十九自身自覚していき、最終的にはその不安定な状態を積極的に肯定する形で作品は終わる。
東浩紀の『ゲーム的リアリズムの誕生』で取り上げられていた通りの解釈だけに留まる作品とは -
Posted by ブクログ
『苦しみがあるのなら、その愛情は諦めて、別の相手を探した方がいい。世界には他にも自分の愛情を注ぎたくなる人間がたくさんいる。』
『知識には必ず限界がある。それはちゃんと知っておかないとね。自分が何でも知ってると思ったら、それこそ無知の表れ。』
『誰かと争ってるからいろんなものが見えなくなるんだよ。意味もなく争うのは控えなさい。争うのは、その争いが誰かを育てるときだけ』
『言いたい言葉を捜して選んで直して整えているのだ。』
『頭がいいのとは違う。僕は知ってることと知らないことをちゃんと分けてるだけ。他の人の中には、知らないことも知ってるつもりになる人がいて、そういうに人が間違えたり勘違い