舞城王太郎のレビュー一覧
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ネタバレうぁ~また『九十九十九』的なアレかぁ……とまず思った。パインハウス内で名探偵たちが次々と推理を披露して死んでいくところは冗長というか、事がどのように収束していくのかまったく予想できないだけに苦痛としか言えなかった。そうして長いイントロダクションが終わってやっと本編……みたいな。こっちはわりと楽しめたかな。
幼児への性的虐待を許容し、そのうえで現在よりも繁栄する〈未来〉っていう世界設定がこの上なく舞城王太郎っぽくあり、そんなでも不思議とリアリティがある。子どもの犠牲に成り立つ世界というのは、けど考えてみれば現在ともそう大差ないのかもしれない。
けどやっぱ、なんか希薄なんだよな。梢ちゃんにしろ -
Posted by ブクログ
ある意味、これは箱庭小説とも言えるのではないだろうか。
「家族」という箱庭を出て、少女が「個人」へと成長していく物語。
または「物語」という箱庭を出て、人生とか将来とか、そういう「現実」のようなものに踏み出していく物語。
というふうに考えると「臨床心理士」とか「セラピー」とかいうフレーズも思惟的に思えるのだけれど、それは筋違いだろうか。
たとえば63ページの、「ってそんなの興味とも言えない単なる思いつきだけで(…)受験して合格する。認知行動療法に興味を持つ。私は臨床心理士になりたい。」の辺りみたいな、短い平叙文をいくつも並べる書き方が気になったのだけれど、これは意図的なのだろうか。
なんだか -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題・個々の題名が良い。
【やさしナリン】
人の不幸に対してパニックになってしまい、自分の安全が確保できないほど相手に親切にしてしまう。(お金をあげてしまったりなど)
そしてそれに対して「人に優しくすることの何がいけないの?」とう態度を取る夫。
【添木添太郎】
「神に愛された子」の周りにいると、自然と彼女を助けるように「何か」に利用されてしまう
【すっとこどっこいしょ。】
将来を決められなくて、何にでもなれるように理系も文系も勉強したりしている高校生の主人公。
人生は目標を決められなくても進んで、そのために新しい選択肢が出たりすることもある。友達の彼女の浮気を問いただしたら腹をさされ、そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ第148回芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」を収録した中短編集。
舞城王太郎さんの作品は初体験。かなりクセのある文体の作家さんだというのは聞いていて、初めてならこれがお薦めと何人から言われたので手に取りましたが……うーん、文体よりも物語にクセがあるなぁ。
7編の物語とも物語が向かう方向に意外性があって、言葉の選び方一つ一つが特徴的。現実の世界で、あまりウチの周りにいないタイプの登場人物でその違和感が時々、イラッとさせられます。
「やさしナリン」は夫婦の物語。人の可哀想に異常に反応してしまう夫とその妹に振り回されながら、関係を再構築していく過程が伺えます。
「やさしナリン」という言葉の選