舞城王太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『淵の王』がなんかよく分からないけどすごく良かったので、他の作品も読んでみたくなった舞城王太郎。
奈津川四郎は、不眠症で腕のいい外科医だ。サンディエゴの病院で働いていて、女にはモテモテでセックスだってし放題。あるとき、日本にいる彼の母親が何者かに殴られ、土に埋められて意識不明の重体だという連絡が入る。四郎の地元では同じ手口の事件が続いていて、同一犯の仕業である可能性が濃厚だという。
日本に帰った四郎。彼はもちろん四男だ。一郎二郎三郎。名前が覚えやすくて親切だ。それにまずわたしは感動した。ちなみに二郎は失踪して行方知れず。
飛び切り冴えてる脳味噌を持つ四郎は、この事件の犯人を突き止めるべく動 -
Posted by ブクログ
「熊の場所」の書き直し
前回三島賞候補になった「熊の場所」は、選評での指摘どほり、神戸の酒鬼薔薇事件を扱った。しかし、選評を読むと銓衡委員の不満が窺へた。
で、今回阿修羅ガールをよんでみて、また酒鬼薔薇事件を扱ってるではないかと思った。
舞城が熊の場所の選評に反応したとしか思へない。
構成は複雑ではなく、言葉づかひも思ひのほかわかりやすかった。
宮本輝が相変らず受賞に反対してゐて、島田雅彦が輝サンは筒井康隆の首を締めさうだった。と書いてゐる。
創価学会の宮本輝だから106頁の宗教の記述が気に入らなかったのかもしれない。と思った。
しかし読んでも、なんでこれが舞城の代表作と -
-
Posted by ブクログ
冒頭、びっくりさせられるよね。
二昔前ならあばずれ(死語)の言う言葉。
しかし、生き生きとした文章になっているよ。
明治時代の言文一致運動を彷彿させるというのはおおげさかな。
当時の新聞連載の大衆小説とかの会話の部分はかくやと思う。(徳田秋声「あらくれ」とか泉鏡花「婦系図」二葉亭四迷「浮雲」田山花袋「蒲団」などをおもしろく読んだのでなお思う)
高橋源一郎さんもあるコラムにて太宰治の「女生徒」高橋治「桃尻娘」と上げておとめ言葉の変遷をおもしろく書いてらしたし、私も「桃尻娘」は痛快だったのだ。シリーズ完読したもの。
そう、現代はやり言葉の語りとしてはいい、「あいこ」の素直な生き方みたいなもの -
Posted by ブクログ
ネタバレここのところ舞城王太郎中毒で、順番に読んでるんだけど、このネット社会で舞城王太郎が覆面作家であり続けてるのは奇跡なんじゃないかと思っていろいろネットサーフィン(死語)してたら、舞城王太郎女性説に遭遇した。
軽くショック。全くその発想は無かった。
でもその後で舞城王太郎のTwitterアカウントを知って見てたら自画像を女性の姿で描いてるし、女性説の根拠も説得力あって、ひょっとしてあるのか?女なのか?と疑い出した。
そしたら読書家の友人が「そう言われるとそうかもしれないと思う。前に読んだ女性一人称の作品、全く違和感なかった」と言う。
それがこの作品なのかは確かめてないけど、私にとっては初めての女性 -
Posted by ブクログ
あらすじというか、この本に何が書かれているのかといわれても、はっきり答えることができない。
「愛ってなんだ?」というあたりなのだが、ぴったりそれということでもなくて。
構成とか改行の少なさは、読みづらい。
文章自体も、口語なのだが独特のリズムで、慣れないと読みづらい。
短編形式でいくつかの物語が書かれているが、共通するのは恋人に先立たれた(あるいは先立たれる)男の独白。
語り手は淡々としていて恋人の死を受け入れているようではあるが、諦めたわけではなくて、死と愛についてひたすら考えている。
「きっと愛は永遠ではないけど、今はとにかく好き。」という態度は、割り切っているわけでも、とりあえず