舞城王太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレまずは語り口がかなり独特。
舞城節ここに極まれり。
とにかく主人公奈津川四郎の意識の流れがとめどなく流れ込んでくる。
ミステリの形を取っているけれど、中枢に流れているテーマは家族。
仕掛けや言葉遊びなんかは本当に形だけ。どうでもいいんだ、と言わんばかり。
本質はそこじゃなくて、主人公四郎が父親を、兄弟を、母親を赦して、家族の愛を築き上げる作品だと思う。
父親が最後に斬りつけられたときに兄弟の名前全員の名前を呼んで、逃げろと言ったとき、
これまでのすべてをひっくり返すほどの、血のつながり、そして愛を確かめた四郎。
これがすべてだったんじゃないかと思う。
行動としては、一郎の妻と不倫したりと、純粋 -
Posted by ブクログ
短編なのでサクサク読めた。
今回の書き出しテーマは『だから捨ててと言ったのに』…だいたい恋愛絡みか、夫婦関係こじらせ系が多かったように思う。
誰に対して言っているかで、作者ごとに思い付く話が違い、個性があって面白い。
アンソロジーは、知らない作家さんを知って、見つける機会にもなる。
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↓読んだ中で印象に残ったもの。
●良い話
砥上裕將『母の箪笥』
金子玲介『恋文』
●じわじわ来る系
潮谷験『無理解』
五十嵐律人『累犯家族』
背筋『こわくてキモくてかわいい、それ』
●設定の世界観が独特
黒澤いずみ『捨てる神と拾う神』
舞城王太郎『食パンと右肘』
多崎礼『海に還 -
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Posted by ブクログ
「だから捨ててといったのに」から全ての物語が始まる短編集。作者によって「何を捨ててと言ったのか」を読むのが楽しいですね。昔星新一の「ノックの音が」を読んだときのようなワクワク感があります。普段あまり本を読んでいないので、この手のタイプの短編アンソロジーはいろんな作者さんの作品を一冊でたくさん読めるのが本当にありがたいです。多分読書家の方なら、作者を伏せても「この話はこの人が書いたのかな」と分かるのかもしれないなと思いました。そういう楽しみ方をしても良いのかも。
真下みこと「お守り代わり」
五十嵐律人「累犯家族」
芦沢央「久闊を叙す」
多崎礼「海に還る」
谷絹茉優「猟妻」
こちらの5編が特に好き -
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Posted by ブクログ
青臭いけどわりとすき。これが三部作のひとつめなのか。
・私はあなたの瞳の林檎
酷い境遇にいたから少しの間でも救ってくれた人間を特別に思ってしまった女の子と、救ってしまったことで見た内側を特別に思ってしまった男の子のねじれ恋愛。自分から好きって言えなくても他の人のものになるのは嫌。もとから私のなんだから。愛し方も愛され方もわかってなくて苦しい。まあ子どもだから……。
・ほにゃららサラダ
芸大生のマウントとか焦りとか恋愛とか芸術観とか。冗談とかマウントとか悪意とかまっすぐに受け取っちゃうし、逃げたくて自虐しちゃうと持ってるものが見えなくなる。
・僕が乗るべき遠くの列車
誰を好きかもわからず中 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初舞城作品!『煙か土か食い物』も本棚にあるけど、読書リハビリ中なので短編から…。面白くてどんどん読めた!こんなに人を想って想われて…いいなあ( ; ; )他の作品ももっと読みたい作家さんでした。
舞城作品はスピード感とかテンポ感があると聞いていたけどやはりその通りで、読点が全然無くて文字がみっちりなのに文章が全部面白くて、スラスラ入ってくる。スピード感があるのも、大事な所が書かれ切ってないとかではないのに文章に勢いがある!
タイトルの「私はあなたの瞳の林檎」について、もしこれが「あなたは私の瞳の林檎」だったとしたら、男の子から見た林檎ちゃんだけど「私はあなたの瞳の林檎」は、林檎ちゃんから見