舞城王太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ上中下巻の「中巻」
≪あらすじ≫
『パインハウス殺人事件』を解決すべく
集結した名探偵がそれぞれ解答を導き出すもすべてがハズレ。
更には過去名探偵が係わった事件とも繋がりをみせ
名探偵の「九十九十九」(←JDCシリーズより)と
「ルンババ12」(←世界は密室でできている。より)
が登場!
≪占星術≫≪旧約聖書≫≪オーディーン≫≪ロボトミー≫・・・すべてが”水曜日”に通じ
ディスコは事件の謎を解決する。
すべては「空間の歪み」「意識の力」によるものであり
17歳の梢も≪17歳の梢の気持ち≫により生まれたものであり
『パンダラヴァー』事件の被害者の魂も梢のものであった。
そして「時空を曲 -
Posted by ブクログ
怒涛の485P! 上巻以上に読み疲れるぞーw。グルグルと回る
パインハウスでのまるでセオリー無視の異能の推理合戦を
伏線にしつつ、意識が空間を決定する...という哲学的な
着地をすることによって、パインハウスでの事件の真相を
解くとともに、この物語を更に無限な広がりを持たせ、
よりカオスに雪崩れ込むという荒業を見せるこの中巻。
しまいにゃラスト近辺で梢を取り巻く不可思議な
現象にもしっかりとカタを付けつつ、更に事件の
核心へと切り込んでいく展開はもはやブッチギリで
こんな作品誰にも書けないし、書かないんじゃないでしょうか?
大袈裟かもしれませんが...もはや奇書の粋にいってるんじゃねーのw? -
Posted by ブクログ
いつか読もうと思っていたんですがタイムリーに文庫化(上・中・下とは
思わなかったけどw)されたのでこれチャンスと読み始めましたが...
つ、疲れるーw。ミステリ的な入り口から、パラドックス満載なSFに
展開し、更にはもっとカオティックなもはや何だか分からない
世界にスピードを伴って突入する、唯一無二の小説なんでしょうね。
何だか分からないけど、決して読むことが苦痛ではなく
むしろ追いついていくのが大変というくらいの速度に
体力も気持ちも持っていかれます。まずはこの上巻の
終盤のカオス感と、中巻以降に対する期待感は半端じゃないです。
どこにどう着地しようとしてるのか、全く予想不能。
いやー、オ -
Posted by ブクログ
『恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない。』
『死に物狂いでやってて気迫が足りないくらいなら死んだ方がマシだろう。』
『人生には正しいも間違っているもない。物差しは結局のところ自分の価値観しかないのだ。』
『二人の無意味で不必要なすれ違いがこれで終わりますように。』
『弱い方へ弱い方へ、ストレスの捌け口は見出されていくんだ。弱い方へ弱い方へ、不幸は流れ込んでいくんだ。』
『目の前に自分の人生が手付かずのまま残っているのだ。』
『今日は昨日ともその前とも違う別の日。わたしの決意の日。やると決めた日。』
『わたしは言うと決めたことを言わなくてはならない。始めると決 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『みんな元気。』は舞城王太郎の短編小説集。文庫版は、単行本と収録作品が異なるそう。さて、僕は日本現代文学の中で、今一番舞城王太郎に萌えています。村上春樹とか村上龍とか阿部和重とかは売れている(阿部和重は微妙だけど)から教養として読んでいるという感じ。中原昌也は好きだけど、読むと影響で、仕事中すごい体が痛くなるし、精神病的症状、絶望状態が現れるから、正直大好きでもあまり読みたくない(笑)。
舞城は残酷表現もあるけど、ある種の理想とか正しさとか、理想も正しさも成立しえないこんな時代に志向しているから、読んでいて体が痛くなることはない。だから好き。そんな生理的理由で小説の好き嫌い決めていいのかとい -
Posted by ブクログ
どれも良かったんだけど、特に「これが好きだー!!」っていうものも無かったかも。相変わらず舞城王太郎は凄いなぁ好きだなぁって感じで、特に新しい驚きや衝撃はなかった。
トトロ好きなこともあって「我が家のトトロ」が1番印象に残る。
飼い猫をトトロだと言いはる娘。その父親の“僕”は脳外科医にならなければならないという夢を持っていて、元同僚の濱田は小説家を目指して≪面白い小説≫を求めている。
いつか幻滅しないために「トトロなんていない」って現実を思い知るのも必要かもしれない。でも、いつか先の自分の夢を潰しておくことなんかより、今できる他のことを精一杯するべきだってこと。そうすれば、叶わない夢を叶えるこ -
Posted by ブクログ
「みんな元気。」
夜中に目ざめると、隣の姉が眠りながら浮かんでいた。竜巻が私たちの町を襲い、妹の朝ちゃんは空飛ぶ一家に連れさられてしまう。彼らは家族の交換に来たのだった…。
今までに増して意味が分からない。舞城作品は分からないとこがよいのだけどこれはちょっといろいろ詰めすぎたかもしれない。たぶん家族愛の話。
「 Dead for Good」
バイト先の友人が狂的サディストで薬を盛られて散々いたぶられてから身体が不自由で時折奇声を発するようになった主人公は、まともな仕事につくことが出来ずに職を転々とするが老人ホームで働くようになってなんとかなった。サディストの友人は海外でテロリスト -
Posted by ブクログ
いつもの舞城作品と同じく、うねりにうねるドライブ感で600ページも一気に過ぎていく。
この作品では小説内における登場人物の「自分」とは何かについて書かれているように思う。
各章ごとにおいて主人公もその他の登場人物も違った役割を演じているし、それぞれの章が入れ子のようになっていて、彼らは死んではまた別の「自分」として生き返る。
また、九十九十九そのものがほかの作家のキャラで、いわばこれは二次創作とも言える。
そのような二次創作的な世界の中において、キャラクターはどのような役割を果たすのか、どのようにして境界線を越えて広がる小説内を生きるのか、そのことについて追及されているのではと思ったりもした。 -
Posted by ブクログ
まずもって、舞城王太郎の魅力は文体につきるといっても過言ではあるまい。
というのも、舞城の作品からこの文体を取り去ると、なんじゃこれ、というような「誤解」を、何よりも先に、受けてしまうからである。
いつもと同じように、福井の田舎から物語は始まる。
そして、ある青春真っ直中の少年の、ひたすら疾走する話である。
こう、書くと大変つまらないものに思えてくるが、そうではない。
青春の青臭さや若々しさ、初々しさ、そういったものが立ち上ってくる作品だ。
少なくとも私は、これを「青春」小説だと理解した。
物語の内容が如何に荒唐無稽で、ファンタジー・ノベル的で、「文学」的でないとしても、一気呵成に読ま