堤未果のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1.なぜ相変わらず私達国民はメディアや政府に騙されてしまうのか、対策はないのか、を考えるために読みました。
2.現代メディアは「単純化」という罠仕掛けてあらゆる情報を分かりやすく伝えています。ゆえに、視聴者は飛びつきやすく、自分が考えなくても「考えた気になってしまい」、結果として手のひらで転がってる状態になってしまいます。
本書では、4人の著者が自身のオススメの本を通して、日本のメディアがどのようにして国民に情報提供をしてきたのか、そして、国民がどう変化してしまったのかを述べています。
3.「真実は伝わりにくく地味であり、嘘は単純で分かりやすく伝わる」ということを普段から心がけて情報収集に -
Posted by ブクログ
メディアの功罪がいくつか語られているが、最も罪深いのが「単純化」だ。ネットの世界も同じだが、単純化しないと新聞が売れないし視聴率も取れない。「わかりやすくお伝えします」というのは紙面リニューアルやニュースの新番組で聞かれる決まり文句だが、それが良いことだという共通理解がある。とんでもない。わかりやすく伝えるという事は、細部を意図的に切り捨てていくことだ。世の中そんなにわかりやすくはできていない。こうして大多数の国民から、どんどん複雑なことを理解する能力や耐性が失われていく。メディアが単純化しているのは彼らに事実を伝える情熱が欠けている事のほかに、それが求められていないからでもある。一方的にメデ
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Posted by ブクログ
4人の論客がそれぞれ一冊ずつ名著を引用しながら議論を展開する。内容はメディアと社会の関係性、その歴史、そして今後のメディアの展望。個人的には近代小説が近代国家の解説に加担したという部分が興味深い。文語から口語へ移ると同時に、文字が知識人階級から大衆へと解放されていく。魯迅の白話運動はその典型だろうか。そういう意味で近代国家は知識人階級と大衆を同等に扱うことによって成立している仕組みとも考えられる。メディアに影響されやすい性質を内在する大衆が中心を担っている社会であるからこそ、メディアによる煽動や忖度など、社会の中に存在する危険性には注視する必要がある。
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Posted by ブクログ
「ルポ貧困大国アメリカ」等、主にアメリカの現状を取材している著者の、日本への警告書。
執筆は2012年といささか古いが、タイトルに示された言葉は、その蓋然性がより増すばかり。
3.11を例に、国民がパニックになって国民の眼が政治からそれている時の政府には気を付けるように。国民のためにならない政策がいつの間にか成立していることがあると。
コロナの現今も、同じことがいえるだろう。
執筆当時日本が参加表明した、TPPについて論じ、報道ではあまり眼にしなかったISDS条項の危険性に紙数を割いている。
世界中のどの国もISDS条項の裁判に勝ったためしはないと。勝つのはいつも国籍企業だそうだ。
グローバリ -
Posted by ブクログ
著者は、『貧困大国アメリカ』の堤未果さん。
メディアが流す情報を正しく読み解く力を身につける大切さを、若い世代に向けて解説した本。
興味深かったのは、第1章「戦争の作りかた」と第2章「教育がビジネスになる」
ブッシュ大統領がはじめた「テロとの戦い」をさらに進めたオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したのってやっぱりおかしい。
「アフガニスタンに増兵しながらノーベル平和賞」(p.144)と皮肉を言われるのもやむなしと思う。
「学校で好きなことを学んだり、けがや病気をしても請求書の心配をせずにすぐ病院に行かれたり、真面目に働けばいつか好きな人と結婚して子どもを持つことができる、そんな普通の人生が、 -
Posted by ブクログ
医療技術は世界最先端。でも、医療費は日本では考えられない
ほどに高額のアメリカ。年間150万人の自己破産者のうち、高額
な医療費の負担が原因のトップだそうだ。
日本とアメリカでは医療制度が大幅に異なる。世界保健機構の
お墨付きをもらっている日本の国民皆保険制度が、アメリカに
はない。医療費をカバーするのは民間の医療保険だ。
しかし、保険料の支払いが出来ない低所得者層では無保険の
人も少なくない。だから、少々体の具合が悪くても病院へ行く
ことをしない。
そうするとどうなるか。生きるか死ぬかの瀬戸際になってから
ERに駆け込み、手遅れになることも多い。
これでまにも何 -
Posted by ブクログ
2010年に発刊された「もうひとつの核なき世界」に新章を加筆した新書版。昨年の広島へのオバマ前米大統領の訪問、その後のトランプ大統領の誕生、7月に国連で採択された「核兵器禁止条約」まで直近の一連の流れも踏まえながらの構成。書店に並んで、すぐに手を取りました。
タイトルの「核大国ニッポン」、表紙にある「非核国の幻想から目を覚ませ!」と強い言葉がありますが、アメリカの核の傘にある日本は抜け出さない状態にあることを改めて思い知らされました。あと約1年で有効期限が切れる「日米原子力協定」、世界の安全保障環境に大きな影響をもたらす今後の取り扱いも、このままでは国内では大きく議論されることなく進められて