堤未果のレビュー一覧
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“医療の専門家である医師が誰よりも自分たちの病気に詳しいと錯覚し、自らの健康に責任を持つより、病気になってから医師に丸投げする患者たち。同じ声を日本の医師たちからも聞いたことがある。
ドンは、一方的な力関係は医師と患者の両方にとってマイナスだと指摘する。
「どこの国でも、患者はもっと自分たちの健康について知る努力をすべきでしょう。食べ物や生活習慣や病気のことだけでなく、自分たちの社会で医療というものがどんなシステムで動いているのかを。実は教育レベルの高い先進国ほど、こうしたことに無関心なのです。けれど国民にとって無知は弱さだ。気づかないうちにいろいろなものを奪われてしまう」(P.114〜115)” -
Posted by ブクログ
希望が見出せない現代社会においては、ややもすると「希望なんて持てないからもう終わりだ」とついマイナスの思考へと進んでしまいがち。この本においてもその前提は同じ、「一部の人間にばかり有利で弱者には冷たい社会」だ。けれどこの本の良いところは、たとえ現状がそうであったとしても、そこから立ち上がって自分の力で歩いていこうという前向きな姿勢にさせてくれることだ。
戦争は巨大な利権者によって意図的に起こされ、教育にはビジネス要素がどんどん入り込む。メディアが流す情報は利権者に都合のいいものばかりだ。犠牲になるのはいつも社会的弱者。でも、そこで腐ってしまっては本当の終わりだ。事実として認識されていることをもう一度疑い、検証して本当の真実を自らの力で暴き出すことの重要性をこの本は教えてくれる。たとえばこんな風に。
◼️p66 何か事件が起こった時、過ちを犯した犯人を責めることは簡単だ。だが原因に目を向けない限り、同じようなことは何度でも繰り返されるだろう。目を向けるべきなのは、その悲劇を作り出した背景と構造なのだ。
◼️p109 アメリカに浸透している、チャリティは美しいものだという概念が、今起こっていることへの判断力を狂わせているのです。特に「子どもたちのために」という言葉は情緒的に国民の子の心をつかむ力を持っている。でもどんなにきれいな言葉を並べても、彼らは民間企業なのです。寄付ではなく投資。彼らにとって教育は国のための人材を育てるためのものではなく、たくさんある事業計画のうちのひとつにすぎないのです。
社会に対して単に悲観的になるのではなく、社会を疑い自らでより素晴らしい社会を作っていくことはもしかするととても面白いことなのかもしれない。この本を読むとそんな風に思えるし、学ぶことの意味を再発見させてくれる気がする。 -
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テーマはメディアの見方と政治の参加について。
第1章、2章はたしか『ルポ貧困大国アメリカ』の話でも取り上げれていた、米のリクルートの話と教育制度の話。これが報道が真実を曲げてしまったり、もしくは取り上げないことの例として書かれています。格差の拡大、軍事増強と補助金、助成金のカット、さらにTPP加入でますます自由化、競争化の波が押し寄せそうな日本にとって、以前『貧困大国アメリカ』を読んだ時以上の切迫感を感じました。
3章以降はメディアの見方について、そして社会の変え方についての話に入ります。
ポイントはいかに一つの情報を様々な媒体、時には自国のニュースサイトからも離れて海外のニュースから探るかということ。そして政治参加についての有用性についても語られます。
参議院選挙が間もなく始まる中で非常にいろいろと考えさせられます。選挙が終わってから政治に対して無関心になるのは大衆だけではなく、メディアも同じだなあ、と思います。というのもメディア自身も選挙が終われば、政策の話うんぬんより政局がどう動くか、という話の方に終始している気がするからです。
メディアが伝えないことをいかに知るか、そういうことを考えさせられた本でした。ジュニア新書というレーベルながらも全世代の人が読む価値のある一冊だと思います。 -
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ネタバレ貧困大国アメリカで有名な堤未果氏の著作。第一章。二章は著書「ルポ貧困大国アメリカ」からの刷り直しの内容の為、ざっと読み流す。
内容を書き換えただけかと思われた本書ですが、第三章から「社会の真実の見つけかた」が始まります。
先ずは世の中の情報操作の行われ方、また実際に行われた情報操作方法。対策として如何にすべきか(情報の裏取り、情報発信者のスポンサー、批判対象または批判をしない対象とは何かを知る)など、有益な情報が記載されている。
また第四章ではどうすれば世の中を変えられるのか、具体的な事例を交え紹介。キーワードはスタミナ。粘り強く。
個人的に印象に残った事柄としては、立場によって情報は変わること。そして、実際に現場に立ち会った人間・当事者の話を聞くことの大切さ。ウィキリークスの情報開示によって避難されたアメリカ軍人の言葉はとても印象的でした。人は世の中を「アクとセイギ」に分けたがるがそんな単純なモノではありませんね。
情報収集の手段としても英語もまた有用であるということで、使わないからと止めていた、語学の勉強をまた始めようと思います。 -
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「過激なタイトルだなあ」、と思った。
読み進むと、それは過激でも何でもなく、今アメリカで、そしてこの日本で現実に起きていることなんだと分かる。正直恐ろしくなった。
医療保険や教育の民営化の結果、医者が食糧配給をもらうまでに追い込まれ、教師は精神を病み職を離れる。にわかには信じ難いが、それがアメリカの現実だとすれば、日本で近い将来起こる事を想像することは難しいことではない。
貧困問題やワーキング・プアが語られるとき、マスコミも私達も、単に弱者救済すれば問題が解決すると考えている。
そこが殆どの日本人の思考を停止させ、己の身に今降りかかっている問題から目を逸らさせていることをこの本は気付かせてくれる。
緊急に手に取り、読んで、自分の身の振り方を真剣に考える必要がある。「知らなかった」では最早済まされないところまで、私たちは来てしまっている。 -
Posted by ブクログ
表紙の著者にもなにか違和感を感じますが,それはさておき,ニュースの裏側にも注意を向ける態度を身につけるのに良い本。
税金が真っ当な使われ方になっているかを知る権利は行政文書を通じて行われるけど,民間委託されるといくら税金が委託金になっているかが分かるだけなので,サービスに全て投入されているかが不透明になる。民営化ともなると,利益追求型になるので,採算が合わないところは削られていき,そのエリアはより不便になったり,過疎化を助長したりする。国土を守ることとは真逆になる。
「人間のすることじゃないと言われていることのほとんどは,人間しかしない」(p.65)
ホントその通り。自民党は似非保守のグローバリズムの党であることに国民が早く気付かないといけない。だからといって,立憲も同類なので,次の与党にしてもいけない。こんな2党に票を与える民度の低さ。この民度の改善が必要だ。
岸田禍,石破禍。 -
Posted by ブクログ
違和感、違和感、違和感…
残念ながらこの本に取り上げている水道民営化や農業、SN…いずれにも悲しいくらい違和感を感じることができてないことが、この本を読んでよくわかった。
中居の事件も松本の事件も、そして国分の事件も、その裏でサラッと何かの法案が可決していたのだろうか。
あるニュースの固有名詞を抽象化して読み直してみると、自分軸に戻ってくるのだそうだ。トランプを70代?のアメリカ人男性とかのように。
でもこの前の参院選であれだけ惨敗のイメージを持たれた自民党が、まだ1週間くらいしか経ってないのに、そんなにメディアで参政党参政党と取り上げていないように思うのは自分だけだろうか… -
Posted by ブクログ
ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン』が2007年に出版されてから15年近く過ぎた今、社会のデジタル化が進み、情報による大衆操作が可能になったことで、より気付かれにくく、より大規模なショック・ドクトリンが行われているようになっている現状について、
著者自身のニューヨーク滞在中の9.11経験や、その後の経過を踏まえ、コロナ・パンデミックやウクライナ戦争なども「ショック・ドクトリンの道具」になっている、といった警鐘を鳴らしつつ、
現在進行中の社会や政治の動きに注視し、その動向を慎重に読み解いていくことを読者に強く勧める一冊。
ショック・ドクトリンの特徴や、その見破りかたについて、丁寧に示されている。
日本人にとっては、著者が大きく影響を受けたというナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン』よりも身近なテーマを題材に解説されているので、
読みやすく、わかりやすい内容ではないかと感じた。
あれもこれも全部を疑うような陰謀論的な態度は歓迎できない一方で、
過去の「対テロ」戦争において実際にショック・ドクトリンが起きていたことは(ナオミ・クラインの説明によると)間違いではないようだし、それに対する大きな反論を見かけないことからも事実なのだろうと思う。
どれがショック・ドクトリンのオペレーションに組み込まれた現象なのか、見極めるのは簡単なことではないが、
既に過去に何度も繰り返されてきた事実を冷静に受け止め、可能性ベースとして「ショック・ドクトリンが起きているかもしれない」という視点で物事を観察することの重要性を、
日本におけるコロナ禍後のさまざまな具体的な社会的・政治的な動きの実例と共に示唆してくれる良書。
著者が書く内容には、
“状況証拠に基づく憶測”も含まれているが、
「自分の頭で考える」という意味でも、逆に評価できる、という見方もできるように思った。