堤未果のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2010年4月に刊行された本を大幅加筆・改訂し、巻末に新たな書き下ろしを加えた著者最新刊。一気に読みました。
トランプ大統領の誕生が世界に衝撃と混乱を与えています。
彼独自の問題もそのことは厳しく指摘するべきところですが、背景には7年前に本書が指摘したアメリカにおける「自由」が消えていっている現状をしっかり見ておく必要があると思いました。そしてそれは世界に広がりつつあり、今の日本の状況と重なり合わせてみるとほんとうに恐ろしくなりました。「おかしいと思ったら声をあげる自由。これを失ったとき、本当の意味で区は滅びへのカウントダウンを始めるんだ」との言葉を胸に刻む必要があります。7月11日に施行さ -
Posted by ブクログ
この本と続編の「政府はもう嘘をつけない」の2冊を読んで学んだことが3つある。まず、世の中で起こっていることは、最早「国」という単位で考えていては本質はわからないということだ。アメリカは1%の超富裕層と、貧困者を含むその他99%が暮らす国と言われるが、この1%は自分の儲け以外のことを考える能力を持たず、永遠に食い続ける化け物のようなものである。彼ら・彼女らはある種の異常者なので、自分以外の人の幸せ、心情を想像し、思いやることができない。もちろん、自分が住む国の行く末もだ。国境を越えて商売することで自分たちが更に潤うなら、国内の労働者がどうなろうと、その結果国そのものが亡びようと、知ったことでは
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2012年2月に出されたもの(9・11以降のアメリカ、3・11に直面した日本の実態を取り上げた)に、マイナンバー制度とTPP交渉に関する内容を加えた増補版。国民に真実が閉ざされている社会であるということを具体的な事実を取り上げ解明し、この時代をどう生き抜いていけばいいのかを投げかけた本です。
前作を発売時に読みましたが、改めてアメリカをめぐる状況の深刻さとそれと同様なことが日本で進行していることの恐ろしさを感じました。マイナンバー制度とTPP交渉、その具体的なこととして出されていることを、深く理解する必要を感じました。ショック・ドクトリンについては、熊本地震の発生を受け、今後起こってくる事態 -
Posted by ブクログ
日本の医療が狙われている?
どういう話なのかと思ったら~
「貧困大国アメリカ」でアメリカの問題点を鋭く指摘した著者の本です。
オバマ大統領は、国民が皆、保険に入る改革を目指したが、それは業界の反対で骨抜きに。
結果、出来上がったものは‥
医療保険制度改革「オバマケア」とは、日本の保険制度とは全く違い、民間の会社の保険のどれかに入らなくてはいけないというもの。
掛け金が高い割りに制限が多くて支払いは渋られ、とんでもない実態となっている。
がん治療薬は自己負担になり、安楽死薬なら保険適用とは。
手厚く治療すると医師が罰金をとられるという規則まである!
一%の富裕層たちが、自分たちの都合のいいよう -
Posted by ブクログ
株式会社化したアメリカの医療がいかに企業、保険会社によって食い物にされているのかを具体的かつわかりやすく 説明してくれている。
国民皆保険にちかい制度として導入されたオバマケアも実は保険会社や製薬企業の利益を優先させる仕組みで、実際は庶民の保険料は上がってしまったというのだから恐ろしい。
著者はそんなアメリカ企業による医療のマネーゲーム化が日本にも押し寄せてきていると警告している。
国民皆保険で守られていた日本は規制をなくせば、企業がこれから利益を上げる余地がいくらでもあるのだ。
そんな先行きくらい社会に対して著者は処方せんも示してくれている。
まず、国民が無知でいないこと。いくら優れた制度を -
Posted by ブクログ
“医療の専門家である医師が誰よりも自分たちの病気に詳しいと錯覚し、自らの健康に責任を持つより、病気になってから医師に丸投げする患者たち。同じ声を日本の医師たちからも聞いたことがある。
ドンは、一方的な力関係は医師と患者の両方にとってマイナスだと指摘する。
「どこの国でも、患者はもっと自分たちの健康について知る努力をすべきでしょう。食べ物や生活習慣や病気のことだけでなく、自分たちの社会で医療というものがどんなシステムで動いているのかを。実は教育レベルの高い先進国ほど、こうしたことに無関心なのです。けれど国民にとって無知は弱さだ。気づかないうちにいろいろなものを奪われてしまう」(P.114〜115