村上春樹のレビュー一覧
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ネタバレ5~6年ぶりに再読。「螢」では自宅近くの情景(和敬塾、椿山荘等)が記されており、特に親近感を持って読むことができた。また、「納屋を焼く」や「踊る小人」は率直にどのようにそのような世界観を着想する/提示することができるのか...と感じさせられた。久々に著者の初期作品の文体に触れ、なんとも言えない読後感を体験。以下の通り、印象に残ったフレーズはありつつも、やはり自分は著者の長編作品を好むのだと再認識した。
特に印象に残った箇所は以下
・しかし僕の友だちが死んでしまったあの夜を境として、僕にはもうそのように単純に死を捉えることはできなくなった。死は生の対極存在ではない。死は既に僕の中にあるのだ。そ -
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2部構成のエッセイ。パートⅠは、J・プレスの、パートⅡはパーカー万年筆の雑誌広告のために書かれたもの、ということだ。本書の「あとがき」の日付は、1995年の4月のこととなっているので、今から30年前に最初に発行された本であることが分かる。
J・プレスは、アイビースタイルの洋服屋さん。ブルックス・ブラザーズとともに、アイビーを代表するブランドだった(私はファッションに知見があるわけではないので、私のファッションに関する乏しい知識によれば、という前提)。ファッションにさほど興味のなかった私ですら、J・プレスとブルックス・ブラザーズのスーツやブレザーを(数は少ないけれども)持っていた。
というような -
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ネタバレ本作は、作家でありながら、翻訳にも精力的に取り組む村上春樹氏と、東大で長年教鞭をとり現在は名誉教授教授の柴田元幸氏の対談集。
対談は、一つは東大の生徒を前にしたもの。もう一つは翻訳会社のフォーラムにて。
更に、同じ文章を村上氏と柴田氏が翻訳したもの2篇、その原文、またこれらを踏まえて他の(当時の)若手翻訳家たちとの座談会を行った様子も、併せて収録されています。
なお本作は2000年の出版。もう25年も前の話なのですね。
・・・
翻訳の世界。憧れがあります。カッコいいなあって。
でもgoogleで「翻訳 デビュー どうやって」とか「翻訳 英語 収入」とかで見てみると、余りいい話は出てきま -
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「ちょっと変なところに行って、ちょっと変なものを見てまわろうじゃないか」というコンセプトで書かれた、(一応)旅行記。「ちょっと変なところ」として選ばれたのは、名古屋・熱海・ハワイ・江の島・サハリン・清里というラインアップ。なかなかの顔ぶれであり、かつ、書き手が村上春樹を含んでいるということで期待したが(実際、村上春樹がいくつか書いている旅行記は面白いと思う)、思っていたほど、面白くはなかった。
それは、「ちょっと変なところ」の面白さを伝えることが、かなり難しいことによると思う。例えば清里は、かつては、若い女性が大挙して押しかけた高原の観光地、ペンションなど、オシャレな場所として人気を博していた -
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断絶された3巻目
最終巻の雰囲気は、それまでの1巻2巻と持続してゐた空気をやぶって、完全に別物になってゐる。
笠原メイの手紙が、リアリティを失って実在しえないが、魔性の女子高生として描かれる。
赤坂ナツメグ、赤坂シナモン、そして牛河の初登場。
夢での結実が現実に結びつくさまは、ファンタジーであり、なにか切実であり、そしてハッピーエンドでもあり、バッドエンドでもある。
しかし、それでいいのだ。とおれは思ふ。
同時に、福田和也や石田衣良、沼野充義が最高傑作だと評してゐたが、おれにはわからない。
これがほんとうに日本の病理を描いた総合小説なのだらうか? おれの目には、ただ何をしで -
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ネタバレ筆者の周りで起きた『世にも奇妙な物語』をまとめた5編からなる短編集
それぞれのエピソードの主人公に対して奇妙な出来事が(偶然)起こり、人生が動き出す、という話。
全体を通して「ありのままの自分を受け入れる」重要性を説いている話だと感じた。
(以下ネタバレを含む)
最も印象的だったのは最後の短編「品川猿」(タイトルだけで面白い)のラストシーン。
自分の人生に対してどこか一歩引いた目で冷めた感じで俯瞰しているような主人公なのだが、最後にはこれまでの人生を全て受け入れる事を決意し新たな人生を歩み始める。
自分のコンプレックスや辛い過去と向き合うことで人生が必ずしも好転するとは限らない。それで -
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安西水丸のイラストは好きだけれども、本書の中で好きな村上春樹の文章は少なかった。好きだったのは、「ジョン・アプダイクを読むための最良の場所」「マイ・ネーム・イズ・アーチャー」の2つくらい。
前者は、村上春樹が(とは限らないけれども)郷里から大学入学のために東京に出て来た際、郷里から東京のアパート宛に送った荷物がまだ届いておらず、何もない部屋で、煙草を吸いながらジョン・アプダイクを読み、それは悪い経験ではなかった、と回想する話。悪い経験ではなかったと感じた理由を説明することは難しいだろうけれども、確かにそれは悪くないよね、と思わせるのは作家としての力量なのかな。
後者は、ミステリー作家のロス・マ