江戸川乱歩のレビュー一覧
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ミステリ小説において、「トリック」は最も注目される、華やかなポイントだと思う。
日本の推理作家の元祖とも言える江戸川乱歩先生は、(主に外国の)ミステリ小説を読みながら、出てくるトリックをつぶさにメモしていったという。800件を超すトリックを蒐集したというのだから、驚きである。それを分類したのは尊敬しかない。
「やむなくネタバレ注意」のただし書きあり。それは仕方がないだろう。
昔の外国の推理小説のトリックは、ずいぶん大胆で、レトロなロマンを感じる。
トリックに関しての文章は、重複した記述も多い。あちこちに載せたエッセイを全部集めてくるとこういう事が起きがちだ。
「トリック」の分類だけでなく、「 -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
複雑な気持ちになる。話自体はもう何度目かわからないくらい読んでいる。やはり傑作だ。で、今回は初めてイラストつきで読んだ。そこで思ったことは、乙女の本棚シリーズに入っていることで、イラストつきの「押絵と旅する男」に出会うことの意味である。イラストで固定されたイメージで読むことになってしまい、イラストなしで初めて読む経験が奪われてしまうことになる。それは不幸なような気がするのだ。しかし、一方で、乙女の本棚シリーズに入っていなかったら、この作品とは出会わなかったことも考えられる。それもまた不幸なことだ。これは、イラストなしで読むことができた優越感から出た感想なのかな。乙女 -
Posted by ブクログ
ネタバレ江戸川乱歩さんの作品を読むのは3作目。
今回は、向かい合ったビルとビルの谷間が作り出す怪しさに加え、月光のまやかしも加わり、じとっと気持ちの悪い雰囲気を感じながら読みました。
自分もこの真夜中のビルに寝泊まりしているかのような気持ちで、変に落ち着かない気持ちになります。
向かいのビルに現れる目羅医師は、こちらのビルに住む者に似せたマネキンを用意し、窓の外でマネキンの首を吊る。そうすると、こちらで見ていた本人はどうしてもマネキンの真似をしたくなって首を吊って亡くなってしまう。目羅医師の策略にまんまと引っかかり命を落とす物が後をたたない。しかし、そんな時、そのことに気がついたこちらのビルに住む男 -
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ネタバレあまり読んだことのない作家の作品も、このシリーズなら読めるんだよね。
それはさておき、確かに、こんな恋はたまに物語のネタになるし、神話にもある、何なら現実にもあるかもしれない。一人(ふたり?)で完結するなら好きにして、と思うだけだけど、この話の語り手みたいに巻き込まれた人間にしてみたら…。昔ならなおのこと。いっそ、彼女に夫への愛が無ければ幾分か楽だったろうにね。それはそれでプライドが傷つくかもしれないけど。
オチが気になってサクサク読んだ。びっくりもせず、どこかで「(やっぱり)このオチかぁ」と納得したところはある。でも別にガッカリしたわけではなく、すとん、と腑に落ちた。ただ、語り手の彼女はこの