江戸川乱歩のレビュー一覧
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「押絵と旅する男」を読むためだけに購入。それしか読んでいない。
とにかく面白かった。蜃気楼の描写から双眼鏡、覗きからくりと「レンズ」で貫かれたイメージの連鎖がきれい。乱歩は、他に「二銭銅貨」と「怪人二十面相」のシリーズをいくつかしか読んだことがないけど、登場人物が一人で語っているだけのところが面白いのが面白い。
この話が私の夢か私の一時的狂気の幻でなかったなら、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに違いない。だが、夢が時として、どこかこの世界と喰いちがった別の世界をチラリとのぞかせてくれるように、また、狂人が、われわれのまったく感じえぬものごとを見たり聞いたりすると同じに、これは私が、不 -
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ネタバレ語りと仕掛けが巧みな良質サイコホラーだった。江戸川乱歩ってほんとすごい。
「赤い部屋」で夜な夜な催されている、怪しげな会員制倶楽部。新入会員のT氏は、そこで自分が犯してきた罪を飄々と告白していく。
〈この場合可哀想な老人を殺したものは果して何人でしょうか。〉
いわゆる、未必の故意。(大好きなテーマ!)
まるで悪戯でも仕掛ける子供のようにつぎつぎと繰り返された、死神のようなサイコパス男による99の所業。そして100番目の殺人。すべて作り話ですよ、と種明かしはされたけれど、誰がそれを信じられるだろう?
一体どこまでが本当で、どこからが嘘なのか。
〈「赤い部屋」の中には、どこの隅を探して見ても -
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ミステリ小説において、「トリック」は最も注目される、華やかなポイントだと思う。
日本の推理作家の元祖とも言える江戸川乱歩先生は、(主に外国の)ミステリ小説を読みながら、出てくるトリックをつぶさにメモしていったという。800件を超すトリックを蒐集したというのだから、驚きである。それを分類したのは尊敬しかない。
「やむなくネタバレ注意」のただし書きあり。それは仕方がないだろう。
昔の外国の推理小説のトリックは、ずいぶん大胆で、レトロなロマンを感じる。
トリックに関しての文章は、重複した記述も多い。あちこちに載せたエッセイを全部集めてくるとこういう事が起きがちだ。
「トリック」の分類だけでなく、「 -
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乙女の本棚シリーズの一冊。
複雑な気持ちになる。話自体はもう何度目かわからないくらい読んでいる。やはり傑作だ。で、今回は初めてイラストつきで読んだ。そこで思ったことは、乙女の本棚シリーズに入っていることで、イラストつきの「押絵と旅する男」に出会うことの意味である。イラストで固定されたイメージで読むことになってしまい、イラストなしで初めて読む経験が奪われてしまうことになる。それは不幸なような気がするのだ。しかし、一方で、乙女の本棚シリーズに入っていなかったら、この作品とは出会わなかったことも考えられる。それもまた不幸なことだ。これは、イラストなしで読むことができた優越感から出た感想なのかな。乙女 -
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ネタバレ江戸川乱歩さんの作品を読むのは3作目。
今回は、向かい合ったビルとビルの谷間が作り出す怪しさに加え、月光のまやかしも加わり、じとっと気持ちの悪い雰囲気を感じながら読みました。
自分もこの真夜中のビルに寝泊まりしているかのような気持ちで、変に落ち着かない気持ちになります。
向かいのビルに現れる目羅医師は、こちらのビルに住む者に似せたマネキンを用意し、窓の外でマネキンの首を吊る。そうすると、こちらで見ていた本人はどうしてもマネキンの真似をしたくなって首を吊って亡くなってしまう。目羅医師の策略にまんまと引っかかり命を落とす物が後をたたない。しかし、そんな時、そのことに気がついたこちらのビルに住む男