あらすじ
両手両足を失い、話すことも聞くこともできない帰還軍人の夫。時子は一見献身的に支えながら、実は夫を無力な生き物扱いをし、楽しんでいた。ある日時子の感情が爆発し……表題作をはじめ9作を収録。
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【踊る一寸法師】や、【指】などのはなしは読んだあとも不気味さを残して終わっていったりオチがなかったり、読んでいる時以外もその話のことで頭がいっぱいになりました✨
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芋虫が読みたくて読んだ
全ての作品に狂気が感じられてすごくおもしろかった!
ファンタジーなのはそうだけど、今まで読んできたものより狂人が身近に感じられた
他の作品も読みたくなった
特におもしろかったたのは芋虫、赤い部屋、人でなしの恋
芋虫
後味があまり良くなくて、もし間に合っていたら…と考えてしまったけどこれも愛の形のひとつなのかな 切ない…!
赤い部屋
オチが意外だった 本当か嘘かはわからないけど、不気味でいい そういうトリックもあるのかと思った
人でなしの恋
最初はかわいい恋のお話だったのに() オチはわかりやすかった 京子の心情描写が丁寧で引き込まれる
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乱歩の怪奇幻想の世界が描かれた短編集。『赤い部屋』『芋虫』は2回目だが、再読でも飽きずに読むことができた。『指』『火星の運河』『白昼夢』『踊る一寸法師』は特に怪奇趣味が全面に出ていた。
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【ネタバレ】ドグラマグラへの抗体獲得2作目!このヤバい妻の行動、恐怖でしかない。須永中尉は戦争で大活躍するが、その代償はあまりにも酷い。両手両足、感覚機能を失っている。全身には包帯を巻き、容姿としてはまるで「芋虫」だった。そんな須永中尉の世話をしていたのは妻の時子。性欲だけは激しい須永中尉に対し、時子は、彼を虐めることで快感を得ていた。ある夜、須永中尉が刺すような視線を時子に向け、時子は怒りのあまり彼の目を潰してしまう。須永は芋虫のように這い出し井戸へ「ドボン」。人間の怖いもの見たさという欲情、怖~い!⑤
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初めての江戸川乱歩小説。
って、最初からレベル高すぎた…?コワイコワイ(∩´﹏`∩)
ご飯時にふと思い出してウッ…となる。
でも中毒性ある。。長編にも手をだしたい!
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かなりグロテスクである。電車で読んでいる時に顔に出てしまうくらいうわっとなった。
しかし、人間味が感じられるというか、人間の闇でそれらへの期待・好奇心の部分を上手く描写していると感じた。
日常に刺激を求めている人に良い作品だと思う。
短編集が詰まった本で読みやすい。(最後の2作だけ少し長め)
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表題作『芋虫』はあまりにも凄惨を極めた内容で衝撃を受けました。評点は『芋虫』だけの評価。
外界からの(性的)刺激を受信する感覚器官の欠損という点で『人間椅子』に通ずる異常性愛の形であると読み取ることもできます。
『人でなしの恋』は性愛の異常さでいえば、『芋虫』には遠く及びません(我基準)が、両作ともに残された妻は生涯罪の意識に苛まれることでしょう。
探偵小説的趣向が強いのは『夢遊病者の死』とせいぜい『双生児』くらいで他はほぼ怪奇小説。
『芋虫』と『人でなしの恋』以外は正直微妙で、『踊る一寸法師』は結構よかったかな。元ネタのエドガー・アラン・ポー『ちんば蛙』も読まねばならん。
あと巻末の三津田先生の解説が良い。未収録の『陰獣』で解説を〆るほどお気に入りなのが面白い。
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両手両足を失った夫と献身的な妻の歪な夫婦関係、「自分は九十九人殺した」と宣う一人の男の体験談、どこか浮世離れした夫の異常な恋模様など怪奇幻想趣味とエログロが強烈な九編が収録された短編集で、どの作品も異常性に占められながらどこか美しさも感じられるものばかりで色褪せない面白さだった。
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人間であるということは、理性を備えているということだけでなく、乱歩の描く様な異常な本能・欲望をも持っているということなのだろう。
赤い部屋の終盤では、読者の意表を突いてくるとともに、人間椅子のラストのように本当に創作だったのかという不安感も感じさせてくる。
火星の運河や踊る一寸法師では、乱歩の巧みな描写により底しれぬ恐怖と歪んだ性愛を感じることができる。火星の運河のラストの女性への隠喩は、特段と美しい文だった。
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江戸川乱歩の理知性と怪奇性を堪能できる短編集。全ての作品において理論とサイコパスの要素が見事に両立しており、その世界観は非現実と現実の境界のギリギリを描き出している。
超常現象ではなく、人間の内に湧く無限の想像や異常さを源泉として、理知的プロットに丁寧に納めている。
知的好奇心を高めた先にある異常性と推理探偵的性格という2つの側面を全く違和感なく両立させており、この空気感こそが江戸川乱歩作品であろう。
恐ろしさや気味悪さの奥にある、味わい深さや奥ゆかしさはクセにならずにはいられない。ファンが多いことにも頷ける。
小学生時代の怪人二十面相以来久しぶりに江戸川乱歩作品をきちんと読んだが、本当に面白い。
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江戸川乱歩は好きな作品が色々あるけれど、これは好きなものが多めに入っていて嬉しい。表題の芋虫とか人でなしの恋とか大人になって読むとまた違った感想が浮かんで面白い。赤い部屋も好き。
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四肢がない男の状態よりもその男の妻の考え方がいい意味で本当に気持ち悪かった。江戸川乱歩の凄さが垣間見えた気がする。一度は読みたい作品。
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映画版『キャタピラー』は前に観ていたので内容は知っていたけど結末は忘れていた
原作の方が心理描写が細かくて分かりやすかったと思う
でも、意外とエロティックな描写は少なかった。乱歩の隠れた名作かも?と思った
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「ユルシテ」
「ユルス」
目も耳も聞こえず手足もない須永。身振り手振りや仕草だけで相手のことを判断するしかない彼にとって最後の『ユルシテ』という時子からのメッセージは別れの言葉と捉えても仕方がないと思う
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初めての乱歩。名前だけでミステリー推理小説ばかりを書く人だと思い込んでいて、推理小説はエドガー・アラン・ポーやコナン・ドイルで満足していたからこれまで読んでいなかった。ある人が「芋虫」を薦めていたのでたまたま書籍のタイトルになっていた本書を購入して読んでみたらすごく良かった。「芋虫」以外は...。
本書は角川ホラー文庫が編纂しただけあって奇怪もの・幻想ものの短編が収録されていて、その世界観が自分にものすごくマッチしていた。村上春樹の幻想ものも好きだが、彼の作品にはない、人間の根幹にあるホラー性に引き込まれる。乱歩の描く人間のホラー性は村上春樹の小説や映画「キャタピラー」で描かれているエロスや暴力性よりももっと心の深いところにあるものである。実際、エロスや暴力性を描くところで終わってしまっている最近の村上春樹の小説や「先進的」邦画には辟易するものがあるが、乱歩の作品では「人間の根幹に存在するホラー性」と今まで考えたこともなかったテーマについてすんなりと入って行くことができた。
さて「芋虫」であるが、本書に収録されているものは伏せ字だらけでせっかくの乱歩の世界観が台無し。途中で読むのをやめてしまって他社の文庫本を購入して読み直してしまった。作品自体はものすごくいい。もう乱歩の虜になってしまったかもしれない。
乱歩の作品は各社文庫本を出していて編纂の仕方も異なるから最初から一通り読んでみようという意気込みがない限り、最初にどれに当たるかでその後の明暗というか好きずきを分けてしまうかもしれない。自分はたまたま最初に読んだ文庫本が(「芋虫」を除いては)「当たり」だったので、もっと他の幻想・奇怪ものを読んでみたいし、推理ものも読んでみたくなって、ちくま文庫の短編全集を購入した。
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『江戸川乱歩異人館』って漫画から江戸川乱歩に入りました(漫画も狂ってて最高)芋虫。タイトル見た時から嫌な予感はしてたけど大当たりしてしまった。絶対みちゃダメよ!って言われてるものを覗き見している気分で読んだ。時子のきもちはわからんでもない。あんな閉塞感のある生活してたらああなる可能性は誰にだってある。短編なのに強烈な読後感。たまらんです。
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気持ち悪いという感情以上の吐き気がする。
いやだ!いやだ!って叫びたくなる。なんなんだろうこれは。。
怒りとか残虐性とか自分の一番醜い部分が引っ張り出された気分。時子に共感なんかしたくないのに、ちょっと気持ちがわかってしまうこの感じはなんなんだろう。。
どこまでが人間でとこまでが芋虫なんだろう。「ユルス」って書いた須永中尉は確かに人間にみえたけど、最後に草むらで這いずり回るアレは芋虫にしかみえない。中身は変わってないはずなのに。。中身もかわってるのかな?分からない。。
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今まで江戸川乱歩の作品だったら指か芋虫が1番グロいと思ってたけど、踊る一寸法師が1番かも
人を殺す過程もそうだけどみんなよってたかって弱いものいじめをする、みたいな人間の悪い所・グロさが出ててなんとも言えん
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江戸川乱歩の短編ホラー小説が9編収録されています。初めて江戸川乱歩の作品を読んだのですが、現実に起こり得なくもないな…と思えて、とても怖かったです。しかし、嫌な感じではなく、読んでいるうちにだんだんと気持ちよくなってきて、1編読み終えてはまたすぐ次を読みたくなりました。怖い話は苦手ですが、いつか『陰獣』にもチャレンジしてみたいです。
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「芋虫」が読みたくて購入。江戸川乱歩といえば! の作品なのに今まで一度も読んだことがなかったので。
そしてやっぱり一番好きだった。「ユルシテ」「ユルス」のくだりにぐっとくるものがあった。私はこれを愛と呼ぶ。
あとは「双生児」「赤い部屋」が好きだった。
「双生児」は淡々と語り継がれる真実からの最後のオチが結構好きだった。
「赤い部屋」はこういう名もなき犯罪ってありそう~~って一番ぞわっとした。これが創作なのか現実なのか煙に巻かれた最後もかなり好きだった。
ほかがそんなにインパクトがなかったから☆三つだけど。
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四肢を戦争で損傷した者を「芋虫」として喩える。そしてその芋虫を弄び、挙句の果てに…。とまぁ、乱歩ワールド前回の表題作から人間が人間を殺すストーリーの短編も収録されており、ホラー好き、乱歩好きの人間には至高の一冊。
私は、赤い部屋というお話が実に面白かったです。今の世にも、親しみ易い物語を書いてくれた乱歩氏に敬意を評します。
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同期に借りた。芋虫は名前だけ聞いたことあったし内容もぼんやりは知っていたけれど期待を裏切らないキモさだった。時子は内なる残虐性を満たすために肉独楽化した夫の世話をしていた…というか飼っていたんだろうな。愛もあったから世話をし続けられたのかもしれないけれど夫のためというかは自分のため。白昼夢も狂気的な愛の話っぽかった。夢遊病者の死は以前読んだ『儚い羊たちの祝宴』に出てきたし双生児は後に読んだ『死体を買う男』にもオマージュされている感じがあった。(乱歩作品には一人二役トリックが多く用いられているらしい。)どの作品も残虐。印象に残ったのは踊る一寸法師。いじめられっ子がキレて手を付けられなるってこういうことなんだろうな。あと人でなしの恋はこの時代にも人形嗜好ってあったんだ…と思った。エドガー・アラン・ポーは読んだことないけれど乱歩の作品と比べてみたい。
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★3.5。
現在ではアウトな設定・描写が幾つかあることは否定できない事実ではありますが、書かれた時代を考えると、むしろこの作家の反逆性が際立つというもの。
また、こういう作品の扱いには「品」が問われるという気がする。例えばこの作家の作品の映像化の幾つかは、それを物語っているかなと。裏返して言えば、作家の上品さが作品をぎりぎりのところで止めているかと。