【感想・ネタバレ】陰獣 江戸川乱歩ベストセレクション(4)のレビュー

あらすじ

大富豪と結婚し幸せに暮らしている女のもとに、昔捨てた男から執念の脅迫状が届く。差出人の男は謎めいた探偵作家。女の夫が変死体で発見されると、その脅迫状はぴたりとやむが……意外な結末とは!?

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

大好きな江戸川乱歩の中編作品。「陰獣」と「蟲」のが収められている。
今回特に気に入ったのは「陰獣」の中で他の江戸川乱歩の作品が出てきていたことだ。例えば「屋根裏の散歩者」→「屋根裏の遊戯」といった具合に少し名前を変えつつファンにわかるようにトリックとタイトルを出してある。今でも漫画や小説で同じ作者の別作品がキャラなりタイトルなり出てくるとテンションが上がるがあれはなぜだろうか。
両作品とも不気味な犯罪と空気感が伝わってきて、妙な気分になってくる。この鬱々とした感じがやっぱり好きだなあ、と再認識した。

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2025年06月29日

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*陰獣*
明智小五郎事件簿I〜XIIまで読んだあとに読むと、
『あれこれ誰目線で書いてる?』と一瞬戸惑った笑
主人公の優柔不断な感じは乱歩本人の性格の投影?
ちょっとモヤっとする終わり方も、
主人公の優柔不断さを考慮すればアリか。

*蟲*
もうこっちのストーリーの方が強烈すぎて、
読み終わった時『陰獣』の内容忘れかけてしまったわ。
若かりし『かれ』に誰か『人はそんなにあなたの事を真剣に見てないよ』と伝えてあげといて欲しい!!
後半、状況の不気味さとかれの壊れっぷりが加速して、
とっても気持ち悪くてとっても良い。
こっちにまで臭ってくるような錯覚をしそうだった。
面白かったです。

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2024年12月15日

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『陰獣』というタイトルから、すごいエログロなのではないかと心配したけど全くそんな話ではなかった。
結末が二転三転して、自分の想像を遥かに超えた最高のミステリーだった。
読み終わった後にもう一度読んで確認したくなる本。

『人間椅子』『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』などの要素が少しずつ入っていて、乱歩総集編のような、ファンサービスのような作品。

あらすじ
探偵小説家の寒川は、実業家小山田の妻の静子と偶然知り合った。静子は平田一郎という元恋人にストーカーされて悩んでいる。脅迫通りに静子の夫は殺されてしまう。
平田はどこにいるのか探る寒川。しかし、そこには思いもよらない驚きの真相があった…。
Audibleにて(本棚の表紙とは違う)。

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2024年05月10日

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①陰獣
個人的にかなり好きかもしれない 乱歩が自分の作品のパロディやってるのちょっと笑った。2転3転して最終的にすっきりと思いきや、最後が...微妙に後味悪くて、そこがまた良い!

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2023年11月22日

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ネタバレ

「陰獣」「蟲」どちらも、人の多面的な性質と、発狂するに至る道程がすごく面白かった。「陰獣」のラスト、事実を決めつけず曖昧にし、不安を煽る感じがとても好き。

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2020年08月08日

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「蟲」が読みたくて再読。

陰獣がいちばんすきなんだけど、
乱歩の中でもかなり良作でビギナーにもおすすめな「陰獣」といちばんの変態作である「蟲」を一緒に収録するか!?角川よ!と思ったのだが(盲獣、闇に蠢くあたりも相当に変態だが)。まあお得ではあるかな。

「悪魔の恋であった。地獄の恋であった。それゆえに、この世のそれの幾層倍、強烈で、甘美で物狂おしき恋であった。かれはもはや芙蓉のなきがらと別れるにしのびなかった。彼女なしに生きていくことは考えられなかった。この土蔵の厚い壁の中の別世界で、彼女のむくろとふたりぼっちで、いつまでも不可思議な恋にひたっていたかった。」(「蟲」より)

…なんか切なくなる。

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2019年08月09日

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高校1年のときに夢中になって読んでた。表題の淫獣は非常に面白かったと記憶している。エロとサスペンスのバランスが絶妙で長さもコンパクトにまとまっていてたはず。
あんまし、内容は覚えてないや。

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2018年10月29日

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探偵小説家vs探偵小説家!
陰獣は誰だ
ぬめぬめどろどろ

何回も引っかかってまだ終わんないの!?状態
結局真相は闇

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2013年04月13日

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が好きです。乱歩地獄で映像化されたときの芙蓉さんの美しさと退廃していく時間の惨さが凄くファニーで、後味の悪いポップな作品。

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2011年11月03日

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蟲、大好きです。
愛蔵の指先が執念深く食い入ってたというところに彼の必死加減がかいま見えて、恐怖でありながらも切なかった。
そうまでしても好きな人を永遠に繋ぎとめておきたかったんだなぁ、と。
主人公の愛蔵、気が狂っているのにどこか愛おしかったです。
気持ち悪くて痛くてまさに地獄の恋でした。

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2010年05月08日

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吃驚した。
読んでて段々とこんがらがってきたほどでしたよ。
やっぱり江戸川乱歩って人は凄い作家だなあと思いました。

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2009年10月04日

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陰獣…さすが乱歩!!
このトリックがどこから生まれてくるんだろう...

蟲…史上最高にグロテスク。映画化されたのも見たけど、
この世界観がたまらなくきもいというか・・・・すごい!
一つ一つの表現方法が、他作品には無い感じ。

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2009年10月04日

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どちらも「可愛さ余って憎さ百倍」って事かしら。違うかな。
『陰獣』はそうだと思う。静子の話が本当ならね。寒川と同じように騙されてた。でも本当に真犯人は誰なのかしら…大江春泥は?
『蟲』はちょっと気持ちが分からなくも無い。殺すことでしか手に入れられないのはさみしい。でも好きな人は殺したくないです。

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2009年10月07日

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表題作「陰獣」のトリックは、さすがは江戸川乱歩。展開も終わらせ方も巧いし、決して中途半端ではなく、余韻が残ってて良い。

「蟲」は愛する女に異常な執着を示す男の物語。この男のストーカーっぷりと、あそこまで粘着質なストーキングはおぞましい。終盤はかなりグロテスクなのに、ただ単にグロイだけじゃない。

個人的には「陰獣」の方が好き。

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2009年10月04日

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「江戸川乱歩ベストセレクション4」
「陰獣」「蟲」の2本収録。
内容もさることながら、もうタイトルが妖しい。
江戸川乱歩の小説がたくさん、そして同じ作品が何度も映像化されている理由が読むととてもよく分かる。陰鬱で湿っていて、じわじわと何かが迫り来るような独特な雰囲気が、映像化へと掻き立てられるのだと思う。

「陰獣」は探偵小説を書く主人公の寒川が、資産家夫人の静子という女から「かつて捨てた男から脅迫状が届いた」と助けを求められるところから物語が始まる。差出人は人気探偵作家の大江春泥。静子の美しさと春泥への興味から、寒川は出来るだけの助力を約束してしまう。
そんなある日、静子の夫である小山田の変死体が発見される。

静子の肩口には謎のミミズ腫れがあり、そのグロテスクな様に寒川が妙に惹かれるという描写がある。そのミミズ腫れの理由や静子の不思議な色香、そして追いかけても逃げていく陽炎のような犯人像。
ラストが蛇足だとも言われている作品らしいけれど、はっきりと答えが出ないままの終焉がこの作品の怪しさの余韻になっていて、私は嫌いではない終わり方だった。

そして「蟲」
極端な人見知りである柾木という男が、かつての同級生で今や売れっ子女優となった木下芙蓉を愛し、独占欲に駆られてひとつの事件を起こしてしまうのだが、「陰獣」以上に妖しさ満点。
美しいものもいつしか朽ちていく。その事実に耐えられなかった柾木が起こした行動とは。

江戸川乱歩の作品は、ミステリでもその謎を解くところがいちばんの醍醐味ではないように思う。自然と目に浮かんでくる情景は、自分なりの映画になっている気さえする。

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2021年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「陰獣」と「蟲」の2篇。
陰獣。探偵小説だが、一捻り二捻りが加えられている。依頼者と恋仲になるというところ。事実関係が一転し、逢瀬を重ねていた彼女を犯人と糾弾するところ。そして最後の章、苦悩に苦しむところ。
犯人側の心情を細やかに描写することで人の心を持っている一介の人間だと強調する。一方で探偵に淫らな行為をさせたり苦悩に苦しませたりするなど正義を与えないこともある。一筋縄ではいかないところが彼の作品の良さではないか。

蟲。厭人性の男が人間関係の中で失敗を重ね、恋と恨みとその他を溢れかえさせるもの。一貫して男の立場から描かれている。彼のしたことは常軌を逸しており微塵も共感の余地のない残虐極まる行為だが、そこに至る彼の動機の一つ一つは理解できる。いや自分が共感してしまうものも多くあり、恐ろしく感じた。

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2021年01月25日

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気違い、この本で何度も出てきた言葉だが、2作ともその言葉が当てはまる異常な世界観があった。
江戸川乱歩は、芋虫を昔読んだことがあるだけで、初めて2作一気読みをした。
陰獣は、二転三転していく様がミステリー要素満載で、とても面白かった。きっと小中学生の時に読んでいたら理解できないような人の性癖が出ており、その欲に対する貪欲さが恐ろしかった。
蟲は、一定の常識では理解できない異常な愛に包まれていた。
この作品は、考察したら楽しそう。
人間の本質は、もしかしたら誰にでもこうした気違いさがあるのかもしれない。
もっと乱歩の作品が読みたくなった。

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2020年02月09日

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なかなか完成度の高い中編集だと思いました…!

ヽ(・ω・)/ズコー

個人的にはやはり表題作である「陰獣」の方に軍配が上がるでしょうか…。「蟲」も悪くはないんですけれども、解説にもある通り、乱歩自身の人格分裂みたいな…人間は一個体だけれども、その中に複数の性格を所有している…そのせいでの悩み…みたいなものが「陰獣」には描かれているようで、そこに僕は関心を寄せましたねぇ…社畜死ね!!

ヽ(・ω・)/ズコー

「蟲」も蟲でまた何とも気持ちの悪いお話ではありますけれども…読者にそういった想像を起こさせる乱歩の筆力にはまさに脱帽であります…!

さようなら…。

ヽ(・ω・)/ズコー

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2018年02月06日

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主人公と大江春泥の対立関係がとても良かったです。先の展開が読めず、最後まで楽しめました。
今現在ではありきたりなトリックですが、当時はかなり斬新だったのではないでしょうか。陰鬱で艶めかしい雰囲気が良く出ています。
もうひとつの短編【蟲】も陰鬱で恐いです。

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2014年04月27日

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ネタバレ

男女の情念を描いた江戸川乱歩のベストセレクション第4弾。『陰獣』
陰獣/蟲の二編収録。

陰獣について
乱歩お馴染みの変装トリック使った推理小説。
後半に従って謎がどんどん複雑になっていき、最後に謎が解けた時の爽快感がスカッとして気持ちよかったと思いきや、結局最後は闇の中というやりきれない作品。
人公で、探偵役の探偵小説家、寒川を見ていると乱歩のいう『探偵』というのがどんな人物をさすのがわかる気がしました。
乱歩の書いた作品のパロが沢山あって読んでいてクスリとしました。

蟲について
陰獣とは対照的な怪奇小説。流石は江戸川乱歩といえるほどの淫靡でグロテスクな内容ですが読めば読むほど物語の中に引き込まれ中々本を手放せなくなるという不思議な魔力を持つ作品。
乱歩の小説の中で一番好きな作品になるかもしれません。

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2013年06月20日

Posted by ブクログ

やっぱり、乱歩はエログロがいいわけで・・・。

「陰獣」まぁまぁ、オチがわかったけど、
「蟲」はすごいひきこまれた・・・
あまりのグロさと、陰惨さに・・・。

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2011年12月20日

Posted by ブクログ

自身江戸川乱歩の読書デビュー作品。陰獣は正面から攻めて行くが、同本収録の蟲は嫌なところを攻めてくる感じ。蟲に感しては後半が非常にグロテスクな表現が散乱しているため、苦手な人にはオススメしない

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2010年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二作品とも魔性の女と翻弄される男性の話、化物屋敷のような土蔵での一時の愛とその終わり。

芍薬の花束の中に隠れた乗馬鞭、うなじから覗くミミズ腫れ、締切った土蔵で物言わぬ恋人に語りかけ続ける男、フェチが山盛りで飽きない。
寒川は途中で恋の夢から正気にかえりそれを悔やんでいるそぶりもあったけれど、柾木は孤独な陰獣の性根のまま、恋人の腐敗にも蟲にも負けず執着し続けこの世から退場してるさまがなんとも対照的で好き。

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2020年12月07日

Posted by ブクログ

うろ覚えだけど、作中に「彼のような陰獣は・・」みたいな表現があって、あれ?『陰獣』って一般的な言葉なのかい?っていう。

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2014年03月16日

Posted by ブクログ

「陰獣」だけ読み終わった。「蟲」は時間切れ。

静子の体温の描写がねちっこく病的で触ってみたい感じがする。読みにくくはないけどなんか最初から最後まで気温がおかしい。
芍薬の大きな花束。

江戸川乱歩を読もうと思ったのは恩田陸の「日本に乱歩がいてくれて本当によかった」からなんだけれども、なんとなくわかるような気がする。
こういうことやってみたい、て書いてくれたっていうのは。
パノラマ島読みたい。

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2010年11月20日

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