【感想・ネタバレ】陰獣 江戸川乱歩ベストセレクション(4)のレビュー

あらすじ

大富豪と結婚し幸せに暮らしている女のもとに、昔捨てた男から執念の脅迫状が届く。差出人の男は謎めいた探偵作家。女の夫が変死体で発見されると、その脅迫状はぴたりとやむが……意外な結末とは!?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「陰獣」「蟲」どちらも、人の多面的な性質と、発狂するに至る道程がすごく面白かった。「陰獣」のラスト、事実を決めつけず曖昧にし、不安を煽る感じがとても好き。

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2020年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「陰獣」と「蟲」の2篇。
陰獣。探偵小説だが、一捻り二捻りが加えられている。依頼者と恋仲になるというところ。事実関係が一転し、逢瀬を重ねていた彼女を犯人と糾弾するところ。そして最後の章、苦悩に苦しむところ。
犯人側の心情を細やかに描写することで人の心を持っている一介の人間だと強調する。一方で探偵に淫らな行為をさせたり苦悩に苦しませたりするなど正義を与えないこともある。一筋縄ではいかないところが彼の作品の良さではないか。

蟲。厭人性の男が人間関係の中で失敗を重ね、恋と恨みとその他を溢れかえさせるもの。一貫して男の立場から描かれている。彼のしたことは常軌を逸しており微塵も共感の余地のない残虐極まる行為だが、そこに至る彼の動機の一つ一つは理解できる。いや自分が共感してしまうものも多くあり、恐ろしく感じた。

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2021年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

男女の情念を描いた江戸川乱歩のベストセレクション第4弾。『陰獣』
陰獣/蟲の二編収録。

陰獣について
乱歩お馴染みの変装トリック使った推理小説。
後半に従って謎がどんどん複雑になっていき、最後に謎が解けた時の爽快感がスカッとして気持ちよかったと思いきや、結局最後は闇の中というやりきれない作品。
人公で、探偵役の探偵小説家、寒川を見ていると乱歩のいう『探偵』というのがどんな人物をさすのがわかる気がしました。
乱歩の書いた作品のパロが沢山あって読んでいてクスリとしました。

蟲について
陰獣とは対照的な怪奇小説。流石は江戸川乱歩といえるほどの淫靡でグロテスクな内容ですが読めば読むほど物語の中に引き込まれ中々本を手放せなくなるという不思議な魔力を持つ作品。
乱歩の小説の中で一番好きな作品になるかもしれません。

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2013年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二作品とも魔性の女と翻弄される男性の話、化物屋敷のような土蔵での一時の愛とその終わり。

芍薬の花束の中に隠れた乗馬鞭、うなじから覗くミミズ腫れ、締切った土蔵で物言わぬ恋人に語りかけ続ける男、フェチが山盛りで飽きない。
寒川は途中で恋の夢から正気にかえりそれを悔やんでいるそぶりもあったけれど、柾木は孤独な陰獣の性根のまま、恋人の腐敗にも蟲にも負けず執着し続けこの世から退場してるさまがなんとも対照的で好き。

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2020年12月07日

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