あらすじ
“黒トカゲ”と呼ばれる、社交界の花形で暗黒街の女王である女賊。彼女は日本一のダイヤを手に入れるため、宝石商の娘の誘拐を図る。名探偵明智小五郎との頭脳戦は、いつしか淡く切ないものに様相を変え……
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Posted by ブクログ
最高。
先にコミカライズの江戸川乱歩異人館の方を読んでおりその短編集の中でも特に好きな話だったけど、それでも妖しい魅力をたっぷりと堪能。
地の文が親しげに読者に話しかけてくる独特さがまた笑えて面白い。熱い。古い小説なのに漫画のよう。怪人二十面相シリーズの走りとなる変装合戦もドラマティック。←未読なので、解説を読んで更に読まねばと使命感。
ラストシーンの2ページは「わかってたけど、ああ切ない……」と涙目になりながら一行一行繰り返し大切に読んだ。美しい。妖しく毒々しい印象だった漫画版とは違った印象だった。原作の方が綺麗で好き。黒衣婦人は口付けで共倒れするように策を打ってたのかどうか……まあ普通に考えて服毒で今にも死に絶えようとしている婦人にそこで口付けはしないけれど(笑)やっぱり漫画版は原作がああなのだからそこまで演出する必要も無かったかな……
早苗さんに扮する桜山葉子と黒衣婦人が手を取り合い子供のようにワアワア声を上げて泣き合うシーンも印象的……明智の動向を予め知った上でもう一周熟読したい。
面白かった。田島先生のカバーイラストも最高。
Posted by ブクログ
わたしが購入したものは、装丁が和風なタッチの百合のイラストで美しいです。
百合というのも、官能的で話に合っていると思います。
お話の中での表記は「黒トカゲ」ですが、タイトルは「黒蜥蜴」なのですね~。
タイトルと美輪明宏が演じているということは知っていたのですが、読んだことはなかったので、わくわくしながら読みました。
もともとスパイや怪盗ものが好きなこともあり、とても楽しく読めました。
何といっても黒トカゲのキャラクターが素敵です。
スタイルがよく、素晴らしい美貌を持つ女性、なのに一人称は僕で、盗賊。
美しいものが好きで、宝石や絵画だけでなく人まで盗み、自分の嗜好のために殺してしまう。
話の中の賭けだけでなく、キャラクターとしての魅力や存在感も明智探偵に勝っていると思います。
盗みの手腕はそうでもないですが、盗んできた人間を剥製にしたり、溺れさせてみたり、なかなか非道なことをしていますが、それでも擁護というか、応援したくなる魅力を感じました。
(基本的にわたしは割と何でも悪役を応援する傾向にはありますが…)
単に悪い部分だけでなく、鮮やかな手腕や魅力的なキャラクター、たまに人間くさいところも描かれているからこそ好きになってしまうのでしょう。
彼らに対する江戸川乱歩のやさしい眼差しというか父性というか、生み出したキャラクターへの愛を感じました。
そのスタイルと美貌で、その盗みによって得た資産力で、大抵のことは思い通りにできる彼女が、どうして明智探偵に惚れてしまったのでしょうか!
アイリーンがライバル視していたシャーロックホームズに自分と同等、それ以上の知性と魅力を感じ惚れてしまったように、彼女もある意味唯一自分を理解してくれる明智探偵を愛おしく思うようになったのでしょうか…。
そうでなければ、顔と推理力、変装だけが取り柄の明智探偵ごときにマダムの心を盗まれてしまうなんて、許せません(笑)
Posted by ブクログ
世の美しいものをコレクトする傍ら、奪うスリルを好む黒蜥蜴。明智へ宣戦布告をしてから、何回もの推理勝負をするのにはとてもドキドキしました。そして、結末にはなんともいえない明智と黒蜥蜴。K-20に続きこの作品も新しく映画化してほしいと思いました。
Posted by ブクログ
観たかったなあ、三輪明宏氏の舞台。 それが第一の感想だった。これは中々格好良い話。明智の策略にかかるのかかからないのかもどきどきさせてもらった。 これは良い対決だった。
Posted by ブクログ
妖艶な謎の美女、通称黒衣婦人は夜の町を支配する女王だった
真っ黒なドレスと美しい宝石に身を包み、腕に蜥蜴の刺繍の入った彼女を誰もが崇拝し、
その美しさに心酔する
誰もその素性を知るものはいなかったが、その正体は稀代の大怪盗であった
彼女のゆがんだ美学とプライドを満たすため、一命をかけた獲物に挑戦する
獲物を護衛する明智小五郎との一騎打ち
知力の全てを尽くし互いに出し抜き合う
江戸川乱歩の作品は全て共通した価値観と美学で繋がっています
最後は全部明智がもって行く展開とかね
私はあまり得意ではありません
でもそこに描かれるゆがんだ美意識の具現化というか、
そういうものは好きです
江戸川乱歩の魅力であるミステリーっていわゆるミステリー小説じゃなくて
人間の心理、歪みのミステリーってかんじなんですよね
結末やトリックはどうでもいいんですよね
予期せぬ結末とか、予期せぬトリックとか、そういったもの以上に人間の醜悪さがにじみ出ています
人間とは何ぞや
それをすきかどうかによって評価が変わるんでしょうね
私は黒衣婦人の美学というか美意識はすごく共感できるので、
結末はなんだかはんぶんはんぶんな気分です
Posted by ブクログ
久々に、一気に読んだ作品。
数ある明智小五郎が出てくる作品の中でも、
最も美しく悩ましい悪党・黒蜥蜴。
単なる知的な妖婦という出で立ちだけでなく、
その煩悩に人間味を感じ、
衝撃的な(あるいは必然的な)、
ラストシーンに、思わず涙してしまった。
で、
やはり黒蜥蜴に、美輪明宏の配役は、
ぴったりなのである。
江戸川乱歩入門にぴったりな作品。
Posted by ブクログ
推理物・探偵物は苦手なのですが、明智小五郎シリーズはおもしろい。
犯人の動機にすごく惹かれます。自分の欲望に忠実っていうのかな。思うことはあっても決して実行できない事を、簡単に決めてしまうのが。
あとがきを読んで知ったのですが、三輪明宏の“黒蜥蜴”は観たい!想像するだけでハマり役なのはわかるもの!妖艶っていうの?あと、三島由紀夫の『黒蜥蜴』も読んでみたいなぁ。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩の書く文を変態的で気持ち悪いと思っているが今回も特にストーリー最後にかけてそれが発揮されていたと思う。
変態的ではあるが読むと引き込まれる魅力がある。
自身の作品である「人間椅子」を引用していたのには思わず笑ってしまった。
Posted by ブクログ
新年1作目!
恥ずかしながら江戸川乱歩作品を初めて読んだ。
こんなことを言うのはおこがましいこと極まりないけれど、文豪と呼ばれる所以を見せつけられたというか、名作はやはり名作なんだな〜と思った。
スリル満点で、読み進めながらドキドキする文章。漫画だったらこのシーンで絶対集中線が入ってる!とかドラマだったらここでBGMが盛り上がる!とかそういうことを考えて映像をはっきりと脳内に浮かべながら読むことができた。本当に凄い。読み始めたら止まらなかった。
黒蜥蜴と明智小五郎、大怪盗と名探偵という対立関係を描きつつも、お互いの技量へのリスペクト、黒蜥蜴側の恋心(と呼んでいいのかな)も描いていて面白かった。まさに好敵手っていう言葉が相応しい関係。変装対決、ドキドキした!特に通天閣から変装して車まで逃げるシーン。あそこが正直ピークってくらい面白かったかも。あ、でもそのあとの船の上での人間椅子シーンもよかった。
黒蜥蜴の女賊としてのプライドから、かなり大胆な言動を明智小五郎の目の前で行ってたのは、ちょっと可愛らしく思えた笑
あと、現代だったら監視カメラとかあって絶対すぐバレちゃうよな...とかも考えてた笑
現代でミステリー小説書くの難しそう。あんまり読んだことないジャンルだったけど楽しかったので他のも読んでみようかな。
あと、やっぱり自身の小説「人間椅子」を登場させてるの凄いよね、、!
Posted by ブクログ
きらびやかな宝石に囲まれた美しく孤高で知的で大胆で残忍な女怪盗。そして探偵と繰り広げる騙しあいの果てにいつしか芽生える探偵への恋情。ジャンルのマスターピースと言われるのは、しっかりしたプロット(要点)とアイデアに富んだディテール(素材)が提示されていて、後から読んだ人が自分のポイントでいろいろ深掘りして脚色したくなるようなシンプルな作りにあるからかも知れない。三島由紀夫がこれをバレエにしたいと思ったり、映画よりは舞台で有名なのは、やはり最後の探偵と女盗賊の場面がもともと舞台映えするような描写だからだろう。「定型の美」はやはり動画やアニメより、額縁に飾ってみるように舞台が似合うということかも。
Posted by ブクログ
明智の登場によって、他の作品よりもアクション要素が強い。
嫌いなわけではないが、黒蜥蜴による犯行が御都合主義で
そういった意味では横溝正史のほうが面白い。
乱歩の良いところは、とにかく、妖艶さだと感じた。
今の世の中では考えられない、排水臭くて、如何わしい、狂乱の時代。
その中で燦然と輝く、背徳の美。
なので、黒蜥蜴の危うい美しさだけが際立って良い。
エンタテインメントとしては、あまり評価できない。
無理矢理書かされたんじゃないかというくらい。
なので、明智の出る作品は今後、あまり読まないほうがいいなと思った。
探偵物が好きな人にも、これはオススメできないな、と思った。他の短編の方が良い。
Posted by ブクログ
全ては明智小五郎の手のひらの上で転がされてるんだろうなぁ~とお約束の展開なんですけど、わかっててもかっこいい!待ってました!となってしまう。
黒蜥蜴は、妖艶だったり、少女のようにいじらしかったりと、その都度コロコロと姿を変えるところが魅力的でした。ラストシーンは切なかった。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩はいくつか読んだが、最も有名とも言える「黒蜥蜴」を読んだことがなかった。
明智小五郎の不死身さが胡散臭くて避けていたのだと思う。そこがいいところだと若いわたしはわかっていなかった。青いな。
今回、本屋さんでたまたま見かけて、百合の花が大きく描かれた表紙が綺麗で手にとってそのまま無意識に購入してしまった。こちらのサイトでは漫画みたいな購買意欲を低下させる表紙になっているけれど。
今更江戸川乱歩を平積みしている理由は、自宅でテレビを見ていて気づいた。
ドラマ化されたらしい。
ちなみに明智小五郎役は渡部篤郎さんらしい。ちょっとイメージじゃない。
小さい頃テレビで明智小五郎を演じたのは天知茂さんだった。明智小五郎といったら天知茂さんでしょう。
天知茂さんの訃報を知ったとき、なぜか天知茂さんは死なない気がしていて驚いた。きっと明智小五郎と勝手に重ねていたのだと思う。
昔のドラマって、今だと考えられないくらい無駄に入浴するわベッドに雪崩れ込むわ、お茶の間に変な空気をさせたものだった。母親が明らかにそわそわしながら必ずお茶を淹れに行って、父親が脈絡なく話しかけてきたことを思い出す。
明智小五郎はやはり不死身だし、そんなわけないじゃんみたいに都合のいい展開も多い。
でも、江戸川乱歩らしい美に溢れた作品だった。
江戸川乱歩にリアリティを求めるのは野暮というものだろう。
物語がはじまって35分くらいを過ぎると、必ず水戸黄門や暴れん坊将軍が大活躍、そんな予定調和が安心して観られる時代劇のいいところ。それと同じ。
明智小五郎は、撃たれても爆破されても突き落とされてもへっちゃら。入院して寝込むなんて生々しい姿は見たくない。
江戸川乱歩の描く醜悪な美を楽しむことこそが醍醐味だと思う。
「パノラマ島奇談」や「人間椅子」から引っ張ってきたような描写もあり、ああ、江戸川乱歩を読んでいるなあと楽しませる。
ただ、黒蜥蜴を黒トカゲという表記にしてしまったことは残念。難しい漢字表記のままであれば、より江戸川乱歩の世界に相応しくなるに違いないのに。
久しぶりに小さい頃のことも思い出せて、懐かしい気持ちになれた。
Posted by ブクログ
今では考えられない奇抜な変装やトリックだったり、『それ、バレるのでは・・・!?』と何度もツッコミ入れそうになりながらも、読み進めるにつれ不思議と乱歩ワールドに惹きこまれていく。
明智よりも黒蜥蜴の方に気持ちが入ってしまう! 最後は切ない。。
Posted by ブクログ
美輪さんの舞台版『黒蜥蜴』を観に行くのが夢なのに未だ叶わず、先に原作を読んでみた。
乱歩らしい、ちょっと無理矢理で奇抜なトリックと緑川婦人の強烈なキャラクターとが相まった作品。展開がスピーディーで読者を飽きさせないのは流石。
一つ残念なのは、途中でちょっとしたネタばらしをしてしまうので、ラストの予想が付きすぎてしまうところ…かな。
緑川婦人は終始美輪さんの若いころのイメージで脳内を動き回っていた。
三島がこれをどんな舞台に仕立て上げて、美輪さんがどんなふうに演じているのか、一層見てみたくなった。
Posted by ブクログ
乱歩二作目。
探偵VS女賊。最初は完全に黒蜥蜴派だったのでしてやられる度に「明智の馬鹿!」と唸っていたのだけれど、物語が進むにつれて二人の関係とか駆け引きとか、その中で目覚める愛(というのだろうかあの感情は)とか、ああいいなぁと純粋に魅了される。最後がいいなぁ。黒蜥蜴は意外と俗っぽさがあってそこがまたいいのかもしれない。やってることは完璧に悪役なのにそう感じさせない節とか。あ、あとトリックね。やられた、と思いました。乱歩の作品は地の文も一緒に物語を読んでる!っていう気になるので結構好き。
あー、あと些細なことだけど、「シャンデリヤ」。なんだかこの表現が気に入った。
Posted by ブクログ
京極夏彦曰く、江戸川乱歩は文豪ではない。
文体が流麗な訳でもない。
しかし、生前から全集が何種類も出版されるほど人気であり、今も読み継がれている。
その魅力は何か?ということで、久しぶりに乱歩を読んでみた。
昔読んだ時に、あまり好きではなかったんだよね‥。
さて今回は、面白く読めた。
次々と展開してゆくストーリー、仄かにグロテスク、確かに面白い。
でもそれはドラマを見るような面白さであって、小説じゃなくてもいいんだよなあー。
ということで、今後も読むかは不明。読めば面白いんだろうけど。
Posted by ブクログ
女賊”黒トカゲ”と名探偵明智小五郎の対決を描くサスペンス。
普段本のジャケ買いはほとんどしないのですが、この作品に関しては表紙の”黒トカゲ”に惚れて買いました(笑)。目がカッコいいのにどこか妖艶さが漂っているのが特にお気に入りです。あとはブラジャーのホックとかですね。
内容は会話こそ少し古臭さはあるものの、展開はスピーディーで現代でも十分面白い。名探偵と怪人の騙し騙されの一進一退の攻防は、どこか子ども時代の本や特撮などのフィクションを思い起こさせるものがあって、少しノスタルジックな気分も味わいながら読むことができました。
黒トカゲも色々な属性のキャラにプラスして、大胆不敵な犯罪計画を実行に移す名悪役! それだけに色々な意味で人気が高いのに納得しました。
Posted by ブクログ
結構昔に書かれた本だが、問題なく楽しめます。
今の本よりどぎつい表現・描写がないから物足りなさを覚える向きもあろうが、当方は品の良さに感心しきり。
今だ影響力を持つ作家はそうおりません、当方が何かせずとも大丈夫だが読み継がれていって欲しい日本の至宝の一人でしょう。