江戸川乱歩のレビュー一覧

  • 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション(2)

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    ネタバレ

    人間であるということは、理性を備えているということだけでなく、乱歩の描く様な異常な本能・欲望をも持っているということなのだろう。

    赤い部屋の終盤では、読者の意表を突いてくるとともに、人間椅子のラストのように本当に創作だったのかという不安感も感じさせてくる。

    火星の運河や踊る一寸法師では、乱歩の巧みな描写により底しれぬ恐怖と歪んだ性愛を感じることができる。火星の運河のラストの女性への隠喩は、特段と美しい文だった。

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    2025年10月15日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

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    中絶作『悪霊』を読むと確かに『孤島の鬼』級の畢生の大作になりそうな雰囲気がありますね。当時の読者が完結を待ち望んでいたことが容易に想像できます。
    序盤の密室殺人、異様な猟奇殺人、奇妙な暗号、乞食の謎、記述の不可解さなど広げすぎた風呂敷のほぼ全てに辻褄を合わせるだけでなく、乱歩の嗜好を真相の核に持ち込み、尚且つ『悪霊』の真の中断動機を荒唐無稽ながら提示しています。半端なデキでは許されなかっただろうし、恐ろしく高かったハードルを芦辺先生は見事に飛び越えたのではないかと率直に思います。
    大作家の中絶作に90年の時を経て挑むという偉業と偉大なる大作家へのリスペクト精神に星4

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    2025年10月15日
  • 疵(きず)の迷楼 耽美幻想セレクション

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    まず装画が怪しげで綺麗!いわゆるジャケ買い
    あとタイトル『疵の迷楼』別世界へと誘い込まれるような魅惑的な感じに加え、名だたる文豪たちの作品に興味を引かれてしまう。
    まだ、このとき耽美という言葉の意味を理解していなかった。ただ「美しい」くらいにしかとらえていなかったので読んでみたら本当の意味を思い知らされ、常軌を逸した世界への入り口だった。

    なかなか普通の感覚では理解、共感し難い作品ばかり。どの作品も何かに心を奪われていたり、病的にのめり込んでいたりと現実からかけ離れていて危うい空気が漂っている。
    抗いがたい好奇心や欲望、まるで[パンドラの箱]を開けてしまったようなそんな感じだ。

    収録されている一部の作品の感想

     『鏡地獄』 江戸川乱歩
    鏡や凹レンズの魔力の虜囚となっていくKの話。
    自宅の実験室で奇妙な物を作りその後Kは…
    Kが見た世界は何なのか?鏡に纏わる話はたくさんある。異界の入り口、魂を抜き取られる、神の依り代。そんな鏡の持つ神秘性、恐怖感とあわせ、鏡に耽溺していく狂気の過程とKの末路が常人には理解し難くカオス。極めてはいけないものを極め、見てはいけないものを見た。
    そしてKの見たものも語られていないから一層恐怖心と好奇心がわいてくる。

    『妙の宮』 泉鏡花
    少年士官が肝試しに妙の宮という神社を訪れ不可思議な光景に遭遇し不可解な結末を迎える。
    明治28年の作品とあって文体が古臭くて読みづらい、けれどどこか美しい文章。たった四頁の中にはたくさんのメッセージが詰まっていた。
    寂れた山中の神社が醸し出す妖しい雰囲気、夢か現実か幻か。いったい全体どこへ引き込まれてしまったのか?曖昧で幻想的な世界観にゾクリとさせられる。
    金時計が意味するものは何なんだろう?時間を盗られた?

    『死後の恋』 夢野久作
    美しい宝石に魅入られ元貴族の男が罪悪感に耐えられず死後の恋というロマンスに変え自己正当化しようした?
    宝石が持つ魔力と呪いが彼を狂気に導き歪んだ愛に発展させたのか。そもそも語り手の男の話がどこまでが真実かも曖昧。
    実は敵軍に殺されたのではなく語り手の男が殺し話を美化したのかも。
    戦争の狂気、宝石の魔力が男を狂わせたのか?
    結末も曖昧なので読み手に委ねられる。
    「強制的な肉体の結婚」という言葉が衝撃的だった。

    『疑惑』 芥川龍之介
    芥川らしい繊細な男の物語。
    罪の意識、良心の呵責から「本当は妻を殺したかったから殺した」のではと悩み苦しむ男の話。そもそも本当に殺したいと思っていたら、そんな長期間悩まないのではないだろうか。
    妻を愛していたが故に自分を罰するために「愛していないから殺したことにしたかった」という風に思いたい。
    どうもこの物語の主人公の男が芥川自信の心の葛藤を投影しているように思えてしょうがない。
    「今日私を狂人と嘲笑っている連中でさえ、明日私と同様な狂人にならないものでもございません」最後の台詞がこころに妙に残った。

    耽美文学は面白いとか面白くないではなく
    耽美的、幻想的な世界観を楽しむもののように感じた。
    たまにはこういう変わった世界観を味わうのも良い読書経験になった。

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    2025年10月15日
  • 江戸川乱歩傑作集1 孤島の鬼【イラスト入り】

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    ネタバレ

    諸戸が簔浦に向ける恋情や執着にどきどきしながら読みました。
    双子の身にあった事など目を背けたくなるようなシーンもあったけれど読み進めるのを止められませんでした。
    2人が井戸に入って以降は閉塞感があり怖かった。閉所恐怖症になりそうです:(´◦ω◦`):

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    2025年10月07日
  • 黒蜥蜴 江戸川乱歩ベストセレクション(5)

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    江戸川乱歩の書く文を変態的で気持ち悪いと思っているが今回も特にストーリー最後にかけてそれが発揮されていたと思う。
    変態的ではあるが読むと引き込まれる魅力がある。

    自身の作品である「人間椅子」を引用していたのには思わず笑ってしまった。

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    2025年10月02日
  • 悪魔 乙女の本棚作品集

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    イラストレーターのしきみさんの、乙女の本棚作品集です。どこか怪しい美しさのある、しきみさんのイラスト。作品の冒頭に、どういう意図でこのイラストを描いたのか、解説が入っていて、一度読んだことのある作品でも、新たに楽しむ事が出来ました。

    新規収録作品は、芥川龍之介の悪魔。短い作品ですが、インパクトがありました。最後の悪魔の表情が、文章を底上げしている気がします。
    素敵な作品集でした。


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    2025年09月26日
  • 縊死体 乙女の本棚作品集

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    ホノジロトヲジさんが描いた乙女の本棚の挿絵と、夢野久作の作品である、縊死体が収録された画集です。
    縊死体、夢野久作らしさ全開で意味が分かりません。読後の置いてけぼり感がすごかったです。挿絵はとても凝っていて、新聞の紙面風のデザインをよくよく見ると、別の夢野久作の作品のフレーズが隠れていたりして、そこでも楽しめます。妖しさも増々でした。

    画集としても、乙女の本棚シリーズの一冊としても楽しめるお得な作品でした。

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    2025年09月22日
  • 目羅博士の不思議な犯罪(乙女の本棚)

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    上野動物園で出会った不思議な男と夜の不忍池で話をする。彼の職場のそっくりな二つのビルと自殺者が3度も出た部屋の話を。
    タイトルの「目羅博士」も目を引く名前だが、この男ではない。ベートーヴェンの「月光」の曲のように、美しいけど、怪しくてちょっと怖い話だった。

    現在の東京の立地を考えると、丸の内のビル群の中の5階の陰気な部屋は、東京駅どまん前、皇居のそばだろう。
    そんな一等地がいつまでも空き部屋があるかな?という疑問は感じた。

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    2025年09月21日
  • 黒蜥蜴~江戸川乱歩全集第9巻~

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    有名な『黒蜥蜴』を読みたくて、手に取りました。
    面白い!黒蜥蜴!

    この『江戸川乱歩全集9』は、乱歩先生の自作解説も読めるのが、いい!!
    自作解説は、各話に続けて掲載されています!さすが、全集!!

    666ページからの解説は、新保博久。これを読んだら、三島由紀夫作の『黒蜥蜴』戯曲版も読みたくなってきた!演劇も観たい!!

    ケレン味がある、とは『黒蜥蜴』のためのことばだ!

    678ページからは、評論家・唐沢俊一の解説 私と乱歩『もっとも恐ろしいトリック』解説も面白い!

    解題(p614~)、註釈(p647~)も必見!

    出版社ごとに違う表現を、全集にする際にどう扱ったのか、歴史を感じます!

    註釈をつけてくれてありがとうございます!令和に生きる我々に、註釈は必要!

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    2025年09月21日
  • 新・黄色い部屋 犯人当て小説傑作選

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    ネタバレ

    推理小説のなかでも「読者への挑戦」に特化した犯人当てアンソロジー。今後シリーズ化されるようなので楽しみが増えた。

    【◯看破 △引き分け ×お手上げ】

    ×高木彬光「妖婦の宿」
    名作とは聞いていたが自分にはピンとこなかった
    気づかない伏線があったのかな

    〇坂口安吾「投手(ピッチャー)殺人事件」
    イージー

    △土屋隆夫「民主主義殺人事件」
    冒頭の横読みは気づいたが犯人を間違えた

    ×江戸川乱歩「文学クイズ「探偵小説」」
    穴埋め問題。昔に流行ったらしいが目新しさがあった

    〇飛鳥高「車中の人」
    イージー

    ×佐野洋「土曜日に死んだ女」
    部屋に、足が引っかかるほどのガス管が?

    ×菊村到「追悼パーティー」
    動機の弱さも仕込みもしっくりこなかった
    思惑通りに行っていたら、すぐに犯人は特定されそうだけど

    ×山村正夫「高原荘事件」
    脚本仕立てのミステリーは面白いが内容が頭に入ってこなかった

    〇陳舜臣「新・黄色い部屋」
    ベリーイージー

    ×笹沢左保「愚かなる殺人者」
    まずまず

    著者名を見ても分かる通り、全体的に時代を感じさせるものが多かったので内容的には星3つ。
    令和時代に犯人当てアンソロジーという趣旨には星4つ。

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    2025年09月13日
  • 人間椅子(乙女の本棚)

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    江戸川乱歩の『人間椅子』を美しい絵と装丁で。
    この奇怪な話を最後まで読めたのは『乙女の本棚』シリーズだからこそ。
    挿し絵が繊細で、不気味さをもっと刹那的な美しさに昇華させてくれている。
    ラストのオチにうなり、考察を読みたくなりました。

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    2025年09月13日
  • 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション(2)

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    江戸川乱歩の理知性と怪奇性を堪能できる短編集。全ての作品において理論とサイコパスの要素が見事に両立しており、その世界観は非現実と現実の境界のギリギリを描き出している。

    超常現象ではなく、人間の内に湧く無限の想像や異常さを源泉として、理知的プロットに丁寧に納めている。

    知的好奇心を高めた先にある異常性と推理探偵的性格という2つの側面を全く違和感なく両立させており、この空気感こそが江戸川乱歩作品であろう。

    恐ろしさや気味悪さの奥にある、味わい深さや奥ゆかしさはクセにならずにはいられない。ファンが多いことにも頷ける。

    小学生時代の怪人二十面相以来久しぶりに江戸川乱歩作品をきちんと読んだが、本当に面白い。

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    2025年09月06日
  • 江戸川乱歩名作選(新潮文庫)

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    個人的には傑作選の方が面白い話多かったけどこちらも、特に陰獣は凄い楽しかったな。メタ構造的な作りで自身の批評的な側面(自己陶酔のようにも見えなくもない笑)がストーリーと良く馴染んでて、他の話よりも長めではあるけれどあっという間に読んでしまった。

    乱歩面白い!

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    2025年08月31日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    とても豪華な1冊。
    求めていた文豪の短編がビッシリ詰まっていて、不気味!耽美!最高!
    夏目漱石、夢野久作、江戸川乱歩、太宰治が入っていてとても嬉しい。
    どれも面白くて良い。

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    2025年08月14日
  • 赤い部屋(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    このシリーズ、乱歩が好きだよね。6作目だからね。まあ、確かに乙女っぽいイラストがつけやすいかも。今回のは今までの乱歩作品以上に相性がよかったように思う。
    次はなにかな。

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    2025年08月11日
  • 孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション(7)

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    それぞれのキャラクターが立っていて面白かった。
    ミステリであり、冒険譚でもあり、ページを捲る手が速くなった。

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    2025年08月09日
  • 江戸川乱歩名作選(新潮文庫)

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    「押絵と旅する男」を読むためだけに購入。それしか読んでいない。
    とにかく面白かった。蜃気楼の描写から双眼鏡、覗きからくりと「レンズ」で貫かれたイメージの連鎖がきれい。乱歩は、他に「二銭銅貨」と「怪人二十面相」のシリーズをいくつかしか読んだことがないけど、登場人物が一人で語っているだけのところが面白いのが面白い。

    この話が私の夢か私の一時的狂気の幻でなかったなら、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに違いない。だが、夢が時として、どこかこの世界と喰いちがった別の世界をチラリとのぞかせてくれるように、また、狂人が、われわれのまったく感じえぬものごとを見たり聞いたりすると同じに、これは私が、不可思議な大気のレンズ仕掛けを通して、一刹那、この世の視野のそとにある別の世界の一隅を、ふと隙見したのであったかもしれない。(p88)

    素朴に考えれば、生きているはずのない押絵を「兄」だと言い張り、その「兄」に外の風景を見せて旅をする男が、どう考えても「狂人」である。けれども、もしかしたら、「夢」か「一時的狂気の幻」でなかったかもしれないと思い、「別の世界の一隅を、ふと隙見した」と思うくらいには、男の話を聞くだけの価値があるものだと思うのである。けれども、押絵=「兄」という荒唐無稽な話を、それだけ説得力のあるものにしたものは何だったのだろうか?

    「これを、この遠目がねで一度ごらんくださいませ。いえ、そこからでは近すぎます。失礼ですが、もう少しあちらの方から。さよう、ちょうどその辺がようございます」(p98)

    娘は動いていたわけではないが、その全身の感じが、肉眼で見た時とは、ガラリと変って、正気に満ち、青白い顔がやや桃色に上気し、胸は脈打ち(実際私は心臓の鼓動さえ聞いた)肉体からは縮緬の衣裳を通して、むしむしと若い女の生気が蒸発しているように思われた。(p101)

    押絵が「生気に満ち」、まるで生きているかのように見えるのは、「遠目がね」を通して見たときだけである。考えてみれば、物語の冒頭、語り手の「私」が魚津で見たという蜃気楼も、「大気のレンズ仕掛け」が見せたものであった。蜃気楼は、幻覚のように見えるが、その「レンズ」の向こうには、蜃気楼の元になった現実がある。この物語は、「レンズ」を通して見た世界が、その向こう側に真実を感じさせる物語なのである。
    それは、「狂人」と言われた男の兄にしても同じことである。

    (前略)そして、『お前、私たちが探していた娘さんはこの中にいるよ』と申すのでございます。
    そういわれたものですから、私も急いでおあしを払って、覗きの目がねをのぞいてみますと、それは八百屋お七の覗きからくりでした。(p113)

    兄が一目惚れした女の正体は、八百屋お七の「覗きからくり」であった。そして、兄が最初に一目惚れしたのも、「遠目がね」だった。兄は、「レンズ」を通して見た姿を真実として見て、自分も「レンズ」で通して見た世界の中に入ることを望む。兄にとっても、「レンズ」で通した世界こそ真実の世界だったのである。

    語り手の「私」は、顕微鏡や遠眼鏡の見せる世界がきらいだったという。「レンズ」というのは、科学が生んだ、ものをよりよく見るための道具である。だからこそ、その「レンズ」を通して見せる世界が、もう一つの真実の世界なのではないかというリアリティを生む。一見ありえない出来事が別の世界であるかもしれないと、語り手に思わせるのは、そうした「レンズ」の生み出すリアリティだったのではないかと思う。

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    2025年07月27日
  • 乙女の本棚5 押絵と旅する男

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    読めば読むほど、不気味な感じがしてきました。

    望遠鏡を覗き込んで、視点が合うまでの表現が、ここまで文章で表せるのかとビックリしました。
    海に沈んでいる海女が水上に浮上してくるかのようにといったような内容で、ふむふむ、なるほど!と思いながら読みました。

    面白かった。

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    2025年07月25日
  • 芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション(2)

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    江戸川乱歩は好きな作品が色々あるけれど、これは好きなものが多めに入っていて嬉しい。表題の芋虫とか人でなしの恋とか大人になって読むとまた違った感想が浮かんで面白い。赤い部屋も好き。

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    2025年07月21日
  • 目羅博士の不思議な犯罪(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    乙女は乱歩がお好き?
    このシリーズ、乱歩率が高いよね。
    まあ、乱歩の短編はおもしろいので、選ばれるのは納得できるが。とはいえ、『目羅博士~』をもってくるとはね。あまり乙女っぽくないような。
    絵も内容に忠実で、初老男子には好感がもてた。ただ、表紙にこの場面をもってくるのはどうなのかな、とは思った。

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    2025年07月18日