江戸川乱歩のレビュー一覧
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購入済み
江戸川乱歩の妖しい世界を
江戸川乱歩の妖しい世界をどこまで「絵」で表現できるかがコミカライズの評価を決めてしまうが、この作品はまずまず成功しているといえると思う。単に絵の美麗さ という点では、他にいくらでも例はあるがあえて題材に妖しい江戸川乱歩を選んだという点を評価したいと思う。
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Posted by ブクログ
(ネタばれになりはしないと思うが、本文の一部を含んでいる。)
短編小説でありとても読みやすい量と内容。おそらく誰もが推理しやすいじゃんと思うかもしれないがそのラストは思いもしない方向へ行くだろう。また明智小五郎初登場の作品でもあり、くせ者っぷりは初めからであったようだ。アッと驚くような終わり方ではないものの、衝撃的であった。理解できなかったり、推理が的外れであったりと振り回される感覚が新しかった。
「人間の観察や人間の記憶なんて、実にたよりないものですよ。この例にある様な学者達でさえ、服の色の見分がつかなかったのです。私が、あの晩の学生達は着物の色を見違えたと考えるのが無理でしょうか。彼等は何 -
Posted by ブクログ
「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」
美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。
美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩んでしまう辺りが悪魔に似つかわしくなく、哀れんであげたい気持ちになった。
大切にしたいけど、悲しませたい。
清くいてほしいと思うけれど、真っ黒にしたい。
この欲望はどこから来るのだろう。
占有したい感覚、所有して支配したい気持ちは、どうして生まれてくるのだろう。
どうして、美しいものほど、汚したくなるのだろう。
多