江戸川乱歩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ第4巻も楽しく拝読いたしました。
表題の孤島の鬼は、主人公とその妻がある変わった容貌をしており、なぜそうなったのか、その経緯を知る物語。主人公がある島の恐ろしい秘密に、思いがけず巻き込まれていきます。何度も、もうダメかもしれない…と読み手が思ってしまうようなスリルがあり、人しかでてこないはずなのに、何か化け物でもでてくるのではと思わせるほどのおどろおどろしさもあり、乱歩のエロ・グロ・ナンセンスを余すことなく楽しめる作品だと思いました。
乱歩は暗闇の迷路に閉じ込められるシチュエーション、好きなんですかね?この後もいろんな作品を読んで、彼を知っていきたいです。
猟奇の果は、前半と後半でかなり毛色の違う作品でした。現代に生きているとそっくりの二人がいる描写でもなんとなく、どうやっているのか察しがついてしまうのが悲しいですね……。
後半から突如登場する明智小五郎は、やはりスーパーヒーローというか、必ず事件を解決してくれる安心感があるので、どんな展開になっても最終的にはハッピーエンドだなと予想がついてしまうのももったいないです。その痛快さも良しといえばそうなのですが。
光文社文庫の全集は乱歩自身による作品の批評を読めるのが魅力的で集めはじめましたが、文章の検閲が厳しいのか、ところどころ虫食い状態になっているのが非常に残念です…
社会通念的によろしくない表現があるのは承知の上で、全文読んでみたいなと思うので、「孤島の鬼」については別の出版社のものにも目を通したいと思いました。 -
Posted by ブクログ
氏の名探偵明智小五郎もの。
子供の頃夢中になって読んだという人は多いと思います。
読んでいなかった私は、食わず嫌いではいけないと思い、三島由紀夫氏が戯曲化し、舞台・映画になっているので面白いだろうとまず、「黒蜥蜴」を読んでみたのです。
正直、好きになりまししたね。
書き出しがすごくいい。
おどろおどろしいのが何ともいえずいい。
怪しい、妖し~い雰囲気がかもしだされ、次、次と読みたくなるのです。
だいたい創元推理文庫のカバーがいけない。
背のところの写真が、全巻揃えると一幅の絵になる。
マニアっぽい人は集めたくなる。
でもって、
「孤島の鬼」「D坂の殺人事件」「蜘蛛男」「魔術師」「黒蜥蜴」「吸血鬼」「黄金仮面」
となったのです。
「黄金仮面」の導入部もやはり、印象深い。
「この世には五十年に一度、あるいは百年に一度、天変地異とか、大流行病などと同じに、非常な奇怪事が、どんな悪夢よりも、どんな小説家の空想よりも、もっととほうもないことが、ヒョイとおこることがあるものだ。
人間社会という一匹の巨大な生き物が、何か得体の知れぬ奇病にとりつかれ、ちょっとのあいだ、気が変になるのかもしれない。」
これって、今に通じませんか。「黄金仮面」という仮面をかぶってもさえもない奴らの、びっくりするようなおぞましき所業の数々。
ええ、ええ、江戸川乱歩氏の小説にはまっているほうが、現実の新聞マスコミ沙汰より、牧歌的でありましょう、と浸っているとのであります。 -
Posted by ブクログ
「江戸川乱歩ベストセレクション4」
「陰獣」「蟲」の2本収録。
内容もさることながら、もうタイトルが妖しい。
江戸川乱歩の小説がたくさん、そして同じ作品が何度も映像化されている理由が読むととてもよく分かる。陰鬱で湿っていて、じわじわと何かが迫り来るような独特な雰囲気が、映像化へと掻き立てられるのだと思う。
「陰獣」は探偵小説を書く主人公の寒川が、資産家夫人の静子という女から「かつて捨てた男から脅迫状が届いた」と助けを求められるところから物語が始まる。差出人は人気探偵作家の大江春泥。静子の美しさと春泥への興味から、寒川は出来るだけの助力を約束してしまう。
そんなある日、静子の夫である小山田の変死体が発見される。
静子の肩口には謎のミミズ腫れがあり、そのグロテスクな様に寒川が妙に惹かれるという描写がある。そのミミズ腫れの理由や静子の不思議な色香、そして追いかけても逃げていく陽炎のような犯人像。
ラストが蛇足だとも言われている作品らしいけれど、はっきりと答えが出ないままの終焉がこの作品の怪しさの余韻になっていて、私は嫌いではない終わり方だった。
そして「蟲」
極端な人見知りである柾木という男が、かつての同級生で今や売れっ子女優となった木下芙蓉を愛し、独占欲に駆られてひとつの事件を起こしてしまうのだが、「陰獣」以上に妖しさ満点。
美しいものもいつしか朽ちていく。その事実に耐えられなかった柾木が起こした行動とは。
江戸川乱歩の作品は、ミステリでもその謎を解くところがいちばんの醍醐味ではないように思う。自然と目に浮かんでくる情景は、自分なりの映画になっている気さえする。 -
Posted by ブクログ
盲獣は、The江戸川乱歩って感じの作品。
グロ、エロ、狂気全てが詰まってる。
私は何度も彼の作品を読んでるから耐性がついてるのか、感覚が麻痺してるのかわからないけど、初めて彼の作品を読む人だったら結構ショッキングな内容。
陰獣は、結末がわかった時に題名の真の意味がわかる。犯人が100%その人かどうかはわからないけど、まさかのまさかでどんでん返し。
1回解決したと思ったら実はこうだったって真相が明らかになって楽しい
それに、「屋根裏の散歩者」を模した内容だけじゃなくて「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」など、作中で名前は変わってるもののほかの江戸川乱歩作品も出てきてエモい -
Posted by ブクログ
表題作を途中までなぜか村上春樹作品だと勘違いして読んでて (あれ?なんでこんな古風な言い回しなんだ?) と思ったら乱歩先生でした。でもそう思うくらい今まで読んできた乱歩作品とは雰囲気の異なるものだった。幻想的で耽美的。しかしラストの気持ち悪さに思わず笑い拍手してしまった。さすがっす先生。著者のエッセイでも書かれてたようだけど、パノラマ島の描写が確かに独特で想像力を要するので体力を使った印象。江戸川乱歩作品の推理やトリックを読みたい人にはあまりおすすめしないかも。
同時収録の「石榴」はコレコレコレィ!となるザ・推理小説。最後に始まる大どんでん返しの連続に「あっそういう…えっ違うの!?」と振り回されっぱなしで楽しい。
解説でも書かれてたけど、一人二役という共通点のある2作品を1つの本に収録してくださってることがおいしくてありがたい。