あらすじ
日本の推理小説界の礎を築き上げたのが江戸川乱歩であるのは異論のないところであろう。実作者としては「二銭銅貨」に始まる綺羅星の如き作品群を著わし、数多くのエッセイや論文によって内外の作家と作品を紹介し、かつまた<宝石>誌の編集などを通して、多くの新人作家を発掘、育成した。その巨人の短編小説の粋を収めたのが本巻である。
デビュー間もない時期に発表された「ニ癈人」を筆頭に、ご存じ明智小五郎が初めて登場した記念すべき短編「D坂の殺人事件」から、戦後の名品「防空壕」に至る全十編を、初出誌の挿絵を付してお届けする。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
江戸川乱歩全集読破を目指して。でもまだ2冊目です。
これは短編を集めた1冊でした。中でも唯一聞き覚えの会った「D坂の殺人事件」。明智小五郎が登場しました。登場するとは思っていなかったのでびっくりしました。やっぱり登場すると安心感がありますね。名探偵の存在感ですかね。
マゾ、サドについて。この単語はこの時代から病名として存在していたんですね。
それにしても、どのお話もドロドロでした。まさに愛憎が渦巻いているという感じです。
「二廃人」と「石榴」の犯人に共通していること。なんて身勝手!他人の人生を、命を犠牲にしなくても、他にやり方があるだろうにと思いました。せめて人に迷惑をかけないようにやりなさいよ、と。
あと、本作の中でダントツに気持ち悪かったのは「虫」でした。体が腐っていく描写がすごくて、すごすぎて怖かったです。
江戸川乱歩の作品は、心が元気なときに読んだほうがよさそうですね。
Posted by ブクログ
『二廃人』
温泉宿で出会った2人の男。斎藤氏と井原氏。井原氏の語る自らの過去。夢遊病者として数々の盗難事件を起こしてしまい、殺人事件まで。井原氏の夢遊病を目撃したただ一人の目撃者の秘密。
『D坂の殺人事件』
明智小五郎シリーズ
D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。
『赤い部屋』
誰にもわからない方法で99人もの人間を殺害したと告白する男。おもちゃのけん銃で会合の参加者を脅し、給仕の娘に自らを撃たせるが・・・。
『毒草』
河原に生える毒草。友人と二人話をするうちに内容を立ち聞きされていることに気が付く。子だくさんの郵便配達夫の妻。妊娠中の妻たちのたて続く流産。
『火星の運河』
ある男の見た夢。不思議な世界。
『お勢登場』
自らの妻・お勢の浮気に気が付きながら自らの病弱と子供の将来を思い離婚することのできない格一郎。妻が浮気に出ている最中に子供たちとかくれんぼ。押入れの長櫃の中に隠れるが・・・。閉じ込められた格一郎。
『虫』
柾木愛造の犯罪。幼いころに憧れた同級生・木下芙蓉との再会。友人である池内と芙蓉の関係。殺意を燃やし二人をつけ回す愛造。殺害した芙蓉の遺体との同棲。
『柘榴』
警官が目撃した柘榴のように顔をとかされた遺体。遺体をスケッチする青年。刑事の友人である和菓子屋の妻からの告白。対立する2軒の和菓子屋。殺害されたと思われた琴野。対立していた妻の夫・谷内。しかし刑事の捜査から発見された指紋から被害者と加害者の入れ替りの可能が・・・。
『防空壕』
空襲の夜、防空壕で一夜を共にした美しい女性を探す男。
Posted by ブクログ
なんだぁ、被虐趣味のある古本屋の女将がサディストの蕎麦屋の旦那との密会プレイ中に死んだ話だったか。
発表後100年も経つと淫猥さも薄まる、のだ、けれども、昔のロマンポルノを観ているやうなぼのぼのとしたレトロな感覚は捨て難い。
千夜一夜話しの「赤い部屋」、ラブクラフト風味の「火星の運河」、マゾ趣味全開の「お勢登場」、偏執狂じみた「虫」、「石榴」、「防空壕」もいい。
もっと沢山読もう。
Posted by ブクログ
恐ろしい結末が予測できてしまうところがこわい…
この人の文章にはおぞましい情景をリアルに想像させる不思議な力があると思う
寝る前に読まない方がいいですね…奇怪な登場人物が夢に出てきそう
Posted by ブクログ
以前読んだ創元推理文庫の江戸川乱歩集よりは、物足りない作品が多かったが、やはり乱歩の世界観に魅せられる。
甘美でありながらも悍ましい。この世界観こそが乱歩の醍醐味なのだろう。
個人的ベストは『赤い部屋』。
いくつも登場するトリック個々も面白いが、100人目として自分を殺すと思わせ、銃で撃たれてから、全てが嘘だと判明する。
その展開自体も秀逸だが、電気がつき、赤い部屋に渦巻いていたミステリアスで幻想的な空気が一掃されるラストが印象的。
Posted by ブクログ
初めての江戸川乱歩明智小五郎初登場作品1925年T14年。19世紀推理、ゴシック小説家で詩人エドガーアランポーよりペンネーム。東京D坂古本屋内で人妻が殺害されるが人の出入りはなかった。ボサボサの書生風明智小五郎が密室謎解きに挑む。謎解きと倒錯した本作はこの時代には驚きだったのかもです。
Posted by ブクログ
ひさしぶりに乱歩作品を読んだけれども
古さの中に独特の魅力が確かにある
けれど古い
ミステリは積み重ねだし
乱歩が今生きていたらどういう作品を書くだろうか
Posted by ブクログ
改めて乱歩を読んでみるとトリック的には最近のミステリーを読み漁っている人たちにしたらそれぞれ先の読めるトリックだと思う。
ただそんなトリックどうこうよりも乱歩の描く世界観の素晴らしさはまさに乱歩の前に乱歩無く、乱歩の後に乱歩無しと言っていいと思う。
今回の短編集の中では蟲がなんとも言えず好きです。読んでいると、どこか世の中に馴染めずちょっと頭の狂ったような主人公柾木愛造。でもその心理も解らなくはない自分に気づいてハッとしたりして。
なんとも不思議な世界に連れて行ってもらえる一冊だと思います。
Posted by ブクログ
乱歩が世の中に認められてきたころの短編集。ポーのモルグ街の殺人と並び評されるD坂、そして二廃人、赤い部屋など乱歩の全盛期へと連なる作品群。しかし「お勢登場」の圧倒的な意外感はどうであろう。どこに端を発し、どこへと連なるのか、いまだに分からない。それが魅力である。
Posted by ブクログ
「石榴」が良かった。硫酸殺人事件を捜査した刑事が、逗留先の温泉宿で知り合った紳士に事件の内容を説明すると…と先の展開は読めちゃいますが、あの時代にコレを書いたと思うとワクワクしますね。「二廢人」、「虫」辺りも乱歩らしく心理描写が好み。
Posted by ブクログ
【本の内容】
純日本的な家屋における密室状況下の殺人事件を、心理的盲点を衝いて見事に解決してみせるのが、後にわが国を代表する名探偵といわれるようになった明智小五郎である。
本書には、その「D坂の殺人事件」をはじめ、大乱歩の短編における傑作を集大成した。
「赤い部屋」「白昼夢」「毒草」「火星の運河」「お勢登場」「虫」「石榴」等全10編を収録した。
[ 目次 ]
[ POP ]
ポプラ社の少年探偵シリーズを卒業してこの短編を読んだ時あれ?と思った。
モジャモジャ頭に「よれよれの兵児帯」姿の明智小五郎。
煙草屋の2階に間借り?
開化アパートの事務所で背広を颯爽と着こなす超人探偵と全然違う。
本書は関東大震災の翌々年の1925年、乱歩31歳で発表した明智の初登場作。
「D坂」すなわち東京・千駄木の団子坂で、明智の幼なじみである古本屋の女房が絞殺される。
日本家屋における密室殺人、食い違う目撃証言、そして疑われる探偵!
冒頭に、商店が並ぶ坂の途中は「狭かった通りが市区改正で取り拡げられ」たとある。
城下町から首都へ、進む東京の変容。
大震災後、内務大臣・後藤新平が主導した復興計画で幹線道路が整備され、30年の事業終了をもって近代化を達成する。
少年探偵シリーズ開始は36年。
怪人二十面相が暗躍したのは復興後の新東京だから、明智も必然的に“近代化”したのだった。
人気イラストレーター、中村佑介氏による表紙は創元推理文庫創刊50周年の期間限定版。
古き良き東京への郷愁をかきたてる。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
期間限定の中村佑介の表紙につられて買ってしまった。
あのイラストはずるい。
昔アジカンのアルバムも中村さんのジャケットのおかげで知らないのに買ってしまった過去を持つ私。
それが江戸川乱歩とくれば、買わないわけにはいかなかった。
表題作は名探偵・明智小五郎が初めて出てくる作品。
そういえば、明智さんが出てくるものとか、少年探偵団が出てくる話は読んだこと無かったw
『人間椅子』とか『鏡地獄』とかならうろ覚えながら読んだことあるのに!
あまり分厚くないのに、10篇も入ってて、そのどれもが濃くて濃くて良い。
中でも『赤い部屋』は衝撃的。ちょっとグロイけど。
どれも素敵。
また他の作品も読み返そう。
Posted by ブクログ
短編集でした。ぴりりとしたひと捻りもふた捻りもある話が多い。
一つ以前に読んだことのあったのは、【お勢登場】 かな。これはかなり、印象に残った作品だった。
D坂の殺人事件自体は、明智小五郎が初登場の本ですね。
だから有名なのかも。
●二廃人
友達に夢遊病だと言われ、寝ている間に、、、、っという作品
●D坂の殺人事件
本屋でたまたま会った主人公と明智小五郎。
そこで殺人事件が!
明智小五郎がいろいろと推理し、結末は、2人の体に生傷が耐えなかったこと。。。
●赤い部屋
無意識の殺人。が夢想と現実
●白昼夢
愛する人の死蝋
●毒草
草木には、どうにかすると毒になる草がある。
知識ある人が近所で堕胎ができる話をしていたら、、、
無意識の殺人とでもいいましょうか。
●火星の運河
これはあまり印象に残っていない
●お勢登場
これは怖いと思った。
●虫
他の作品の憎愛ですね。が、最後は気持ち悪い
●石榴
2件の老舗のお饅頭屋が1人の女性に恋をし、片方の饅頭屋の夫婦となる。
あるとき、硫酸を飲ませた殺人事件が発生し、、、、、
という話を警官が泊まった宿の探偵話好きっぽい人に話して聞かせて、、、
●防空壕
なかなか面白い話でした
Posted by ブクログ
虫が面白かった。後悔先に立たず、とはいえ犯罪自体ではなく、そのあとの始末についてというところが、面白い。星新一さんの作品が大好きなので、このあたりの雰囲気もよかった。
防空壕は、このおどろおどろしい話の中で最後に出てくるところもよかった。
お勢登場も面白かった。
石榴も面白かった。ラストシーンはうまく裏切られましたし。
Posted by ブクログ
大正時代の『新青年』掲載作を中心とする短編集。
愛から憎しみが生まれ、殺意に変じるところまでは、
一応、常人の理解の範疇だろうけど、
その後一体何やってんのっ!?――な「白昼夢」「虫」が
凄まじい。
乱歩作品の中では、やはり、
この辺の「どうかしてる」系短編(笑)が好き。
Posted by ブクログ
秀英な、色合いが結構違う短編がつまってる
タイトルであり、明智小五郎初登場な「D坂の殺人事件」はからくりも読めてしまい、いまひとつだった
「赤い部屋」、「毒草」などはとても好き
Posted by ブクログ
初の江戸川乱歩作品。
しかもセレクト集。
購入したきっかけは一時期装丁が中村祐介氏だったから。
話していた相手が実は…、ものが多いけどそれまで何とも感じていなかったのに途中から「もしかして」と気付いた後も、ハラハラしておもしろかった。
読めない漢字があって難ありだったけど?
Posted by ブクログ
ぶっくおふで買ったら
限定のやつで中村佑介さんの表紙でした
すてき!
傑作選とかぶってるやつも多いのだけど
やっぱ「赤い部屋」すき
「火星の運河」は浅野忠信を想像してしまう
Posted by ブクログ
やっぱり改めて、乱歩は短編。長編も好きなんだけど、如何せん新聞の連載小説だといまいちだらだらしてたり似通った展開、キャラ、トリックが蔓延してて勿体ないのだもの。
Posted by ブクログ
海外ではポー、ドイル、ルルーなどが既に優れた密室を生み出していた中、本作の功績は「日本の家屋で密室を成立させるのは不可能」という定説を覆したことらしい。ほんとですか?じゃあ+1点しとくか。
全体的に『モルグ街の殺人』の影響が色濃く出ているのを感じますが、真相のぶっ飛び具合で遠く及んでいないという印象。明智小五郎という探偵が有名になりすぎてしまったのも一つの弊害か。
密室ものだけどその構築方法は肩透かしで、HowよりWhyの方がはるかに印象に残りました
Posted by ブクログ
名作短編だらけの一冊でした。
・二廢人
→夢遊病の人と犯罪の話
・D坂の殺人事件
→明智小五郎が出てくるミステリ
・赤い部屋
→赤い部屋で暴露される犯罪にならない犯罪
・白昼夢
→よくわからなかった笑
・毒草
→妊婦の話
・火星の運河
→これもよくわからない
・お勢登場
→乱歩さん得意の女の悪心を描く作品
・虫
→想い人を自分のモノにする話
・石榴
→裏の裏の裏…ミステリ
・防空壕
→空襲の女と男の事情話
D坂と赤い部屋が面白かった、
あとは結構人間の棘々系…。
石榴も面白いけどややこしい、その割シンプル笑
Posted by ブクログ
*読んでからレビューを書くまで時間が経っているためあやふやな部分があります。
書かれた時代が現代ではなく何十年も前のことなので、
トリックや物語は古臭く感じるところもあるが、
人間描写が素晴らしく、各短編集を読み終わるごとに背筋が寒くなるのを感じた。
Posted by ブクログ
怖いのグロいのは苦手なんだけど、江戸川乱歩については、醜悪なものを醜悪に書くんではなく、時に美しく見えてしまったり、それが醜悪さ以外の謎や妙な感慨を生むことを書いていて、だからかもしれないけど読める。すごいなー。いくつか名作選と被っていたので既読だった。
Posted by ブクログ
短編集で、探偵小説というよりはホラー要素が強い。
ネタバレ注意。
「二廃人」
井原という夢遊病者の下宿で殺人事件が起こり、犯人が井原であるとされたが、その後もしかしたら井原が夢遊病者であると指摘した木村だったのではないかという話になる。
それを指摘したのは、井原の前に現れた斎藤という木村に良く似た男だった。
ーー夢遊病者というものが当時はこういった認識なのか、という感想。斎藤が木村ならば何故井原の前に現れたのか、己が陥れた男の境遇がさすがに気になったから?
なんとなく不完全燃焼。短編だから仕方ないか。
「D坂の殺人事件」
明智小五郎初登場の話。
本屋の女が殺されていた。「私」は状況から明智が犯人ではないかと意気込むが、明智の鮮やかな推理がそれを否定する。案の定、明智の推理通り不義の相手が犯人だった。
ーー短編だからというのもあるだろうが、全体的に駆け足。
「赤い部屋」
赤い部屋には刺激を求める男達が集まる。
ある日始まったのは、99の人を殺してきたという男の告白だった。何れも罪に問われない方法での殺人である。
そして、男は100人目を思わぬ方法で殺したいという。殺す相手、それは男自身だーー。
ーー男の話が本当かどうかも分からない。光の元では全てがその真実の姿を現し、暗がりの中では不可思議にも独特な気配を纏うのだなと思った。結構乱歩らしさが前面に出てるかな? 人の心理を描いていると思う。しかも、ここに描かれた心理は現代にも通用するものだ。
「白昼夢」
往来で妻を殺したという男の話を誰もが冗談だと笑って聞く。だが、「私」が男のいう通りショーウィンドウを見ると……。
ーーぞっとした。あまりにも荒唐無稽に聞こえる事はたとえ事実であっても本当だと受け入れられないのだなぁ。
「毒草」
「私」が堕胎できる草の話をした途端、その村では次々と子供が流れた。
ーー昔の世相をよくうつしている。
「火星の運河」
己の体を傷付けて血だらけになりながら、森の外の沼で踊り狂う夢を見た男が、妻に起こされる。
ーーごめん、ふぅんとしかいいようがなかった。
「お勢登場」
子供と隠れん坊をしている病持ちの旦那が隠れた箱に閉じ込められたのをいい事に、浮気していた妻が夫を見殺しにする話。
ーー奥さんに天誅が下ればいいと思いました。
「虫」
厭人癖のある柾木愛造が、初恋の相手で再会した後自分を振った木下芙蓉を殺害し、自宅で防腐処理を施そうとしたり、木乃伊にしようとするが、最終的に本人も死にそこを警察に発見されるという話。
ーーこの本の中で一番怖かったし、印象的だった。生来の犯罪者気質の人物を描き切る筆力は流石だと思う。虫とは死斑のこと。死斑がここまでおどろおどろしく描かれているのをはじめ見た。
「柘榴」
「私」は猪俣という紳士に請われ、とある廃屋で硫酸を飲まされ顔に掛けられ死亡した男の話をし始める。当時死んだとされていた男ではなく、その犯人と思われていた人物が殺害されていたのではないか。そう自分の推理を話した「私」に、猪俣氏は真実を話し始める。
ーー裏の裏は表、みたいな話。正直先は読めたが、動機が唐突な感は否めない。
「防空壕」
戦時中に出会った若い美人を探し求める男。だが、その美人は……。
ーー普通な感じ。面白いのは面白かったけど、あっさりしてて物足りなかった。
Posted by ブクログ
乱歩短編集。
初期発表作品を中心に、昭和の奇妙な事件を描く。
全体的に後味の悪い終わり方だが、それが後を引く心地よさ。
すっきりと解決しないからこそ、
色々と想像を掻き立てられる気がする。
Posted by ブクログ
「D坂の殺人事件」江戸川乱歩
幻想怪奇短篇集。真紅色。
@電子書籍 9 冊目。
編の収録された短篇集。表題作は、明智小五郎の初登場作です。
おしなべてスプラッタ要素の染み込んだ幻想怪奇小説、くくりとしてはいわゆる探偵小説色も強い。
過去の名作の範疇とは言え今から新しく読み始めても非常に新鮮な内容の短篇集です。
やっぱり江戸川乱歩の残したものは凄いんだなあ、とつくづく感じます。
個人的には一番『虫』が印象に残ったかな。
こういった現代風に言えばストーカー的な執着?って、昔から人間の奥底に蠢いている情感で、
そしてそれを世間一般に作品として発表してしまう江戸川乱歩も、かなり“悪趣味”ななのかな、と。
もちろん良い評価の意味で。
江戸川乱歩は一度手にとって読んでみてください。
文庫などでも全集はしっかりと読み応えあります(3)。
Posted by ブクログ
ミステリィが読みたくて衝動的に。
江戸川乱歩初期を代表する傑作短編集。
久々の乱歩さんだったんですが、いろんなタイプのミステリィが楽しめてよかった。
Posted by ブクログ
この本、団子坂にある喫茶店「白梅軒」で読もうと思っていたのだけれど‥残念ながら存在しないようだ。代わりに、この夏、団子坂の先の三崎坂にある「乱歩」にて読むが、長時間ねばること能わずにつき、表題作「D坂の殺人事件」他数編を読むに止める。その後しばらく放ってあったのだが、先日ふとした切っ掛けで発見され(未読・途中放置の山から‥)読み切った。10編の短編及びSSが収録されているが、その中で最も面白かったのは「虫」。主人公の狂気と執着が妙に理解できた‥というか自分の中にある何かが彼の行動に強いシンパシーを感じたのである。また、そんな風に思う自分の心に嫌悪や恐怖を感じることなく嬉しく感じたのも事実である。やっぱ自分の中にも狂気は存在しているし偏執的な要素も多分に在るのだ。通常はそれを同様に心に存在する社会性や規範といったものが押さえているのだと知って嬉しくなったのだ。何時でも壊れることができる‥それは無制限の自由への可能性と感じる。そして‥やっぱミステリーは晩秋に限る。汗だくの猛暑の中は似合わない。とつくづく思ったのである。