【感想・ネタバレ】D坂の殺人事件のレビュー

あらすじ

日本の推理小説界の礎を築き上げたのが江戸川乱歩であるのは異論のないところであろう。実作者としては「二銭銅貨」に始まる綺羅星の如き作品群を著わし、数多くのエッセイや論文によって内外の作家と作品を紹介し、かつまた<宝石>誌の編集などを通して、多くの新人作家を発掘、育成した。その巨人の短編小説の粋を収めたのが本巻である。
デビュー間もない時期に発表された「ニ癈人」を筆頭に、ご存じ明智小五郎が初めて登場した記念すべき短編「D坂の殺人事件」から、戦後の名品「防空壕」に至る全十編を、初出誌の挿絵を付してお届けする。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

以前読んだ創元推理文庫の江戸川乱歩集よりは、物足りない作品が多かったが、やはり乱歩の世界観に魅せられる。
甘美でありながらも悍ましい。この世界観こそが乱歩の醍醐味なのだろう。

個人的ベストは『赤い部屋』。
いくつも登場するトリック個々も面白いが、100人目として自分を殺すと思わせ、銃で撃たれてから、全てが嘘だと判明する。
その展開自体も秀逸だが、電気がつき、赤い部屋に渦巻いていたミステリアスで幻想的な空気が一掃されるラストが印象的。

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2021年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【本の内容】
純日本的な家屋における密室状況下の殺人事件を、心理的盲点を衝いて見事に解決してみせるのが、後にわが国を代表する名探偵といわれるようになった明智小五郎である。

本書には、その「D坂の殺人事件」をはじめ、大乱歩の短編における傑作を集大成した。

「赤い部屋」「白昼夢」「毒草」「火星の運河」「お勢登場」「虫」「石榴」等全10編を収録した。

[ 目次 ]


[ POP ]
ポプラ社の少年探偵シリーズを卒業してこの短編を読んだ時あれ?と思った。

モジャモジャ頭に「よれよれの兵児帯」姿の明智小五郎。

煙草屋の2階に間借り?

開化アパートの事務所で背広を颯爽と着こなす超人探偵と全然違う。

本書は関東大震災の翌々年の1925年、乱歩31歳で発表した明智の初登場作。

「D坂」すなわち東京・千駄木の団子坂で、明智の幼なじみである古本屋の女房が絞殺される。

日本家屋における密室殺人、食い違う目撃証言、そして疑われる探偵!

冒頭に、商店が並ぶ坂の途中は「狭かった通りが市区改正で取り拡げられ」たとある。

城下町から首都へ、進む東京の変容。

大震災後、内務大臣・後藤新平が主導した復興計画で幹線道路が整備され、30年の事業終了をもって近代化を達成する。

少年探偵シリーズ開始は36年。

怪人二十面相が暗躍したのは復興後の新東京だから、明智も必然的に“近代化”したのだった。

人気イラストレーター、中村佑介氏による表紙は創元推理文庫創刊50周年の期間限定版。

古き良き東京への郷愁をかきたてる。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2014年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集でした。ぴりりとしたひと捻りもふた捻りもある話が多い。

一つ以前に読んだことのあったのは、【お勢登場】 かな。これはかなり、印象に残った作品だった。
D坂の殺人事件自体は、明智小五郎が初登場の本ですね。
だから有名なのかも。

●二廃人
友達に夢遊病だと言われ、寝ている間に、、、、っという作品

●D坂の殺人事件
本屋でたまたま会った主人公と明智小五郎。
そこで殺人事件が!
明智小五郎がいろいろと推理し、結末は、2人の体に生傷が耐えなかったこと。。。

●赤い部屋
無意識の殺人。が夢想と現実

●白昼夢
愛する人の死蝋

●毒草
草木には、どうにかすると毒になる草がある。
知識ある人が近所で堕胎ができる話をしていたら、、、
無意識の殺人とでもいいましょうか。

●火星の運河
これはあまり印象に残っていない

●お勢登場
これは怖いと思った。

●虫
他の作品の憎愛ですね。が、最後は気持ち悪い

●石榴
2件の老舗のお饅頭屋が1人の女性に恋をし、片方の饅頭屋の夫婦となる。
あるとき、硫酸を飲ませた殺人事件が発生し、、、、、
という話を警官が泊まった宿の探偵話好きっぽい人に話して聞かせて、、、

●防空壕
なかなか面白い話でした

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2013年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

海外ではポー、ドイル、ルルーなどが既に優れた密室を生み出していた中、本作の功績は「日本の家屋で密室を成立させるのは不可能」という定説を覆したことらしい。ほんとですか?じゃあ+1点しとくか。
全体的に『モルグ街の殺人』の影響が色濃く出ているのを感じますが、真相のぶっ飛び具合で遠く及んでいないという印象。明智小五郎という探偵が有名になりすぎてしまったのも一つの弊害か。
密室ものだけどその構築方法は肩透かしで、HowよりWhyの方がはるかに印象に残りました

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

名作短編だらけの一冊でした。

・二廢人
→夢遊病の人と犯罪の話
・D坂の殺人事件
→明智小五郎が出てくるミステリ
・赤い部屋
→赤い部屋で暴露される犯罪にならない犯罪
・白昼夢
→よくわからなかった笑
・毒草
→妊婦の話
・火星の運河
→これもよくわからない
・お勢登場
→乱歩さん得意の女の悪心を描く作品
・虫
→想い人を自分のモノにする話
・石榴
→裏の裏の裏…ミステリ
・防空壕
→空襲の女と男の事情話

D坂と赤い部屋が面白かった、
あとは結構人間の棘々系…。
石榴も面白いけどややこしい、その割シンプル笑

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2023年06月09日

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