江戸川乱歩のレビュー一覧
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初めての乱歩。名前だけでミステリー推理小説ばかりを書く人だと思い込んでいて、推理小説はエドガー・アラン・ポーやコナン・ドイルで満足していたからこれまで読んでいなかった。ある人が「芋虫」を薦めていたのでたまたま書籍のタイトルになっていた本書を購入して読んでみたらすごく良かった。「芋虫」以外は...。
本書は角川ホラー文庫が編纂しただけあって奇怪もの・幻想ものの短編が収録されていて、その世界観が自分にものすごくマッチしていた。村上春樹の幻想ものも好きだが、彼の作品にはない、人間の根幹にあるホラー性に引き込まれる。乱歩の描く人間のホラー性は村上春樹の小説や映画「キャタピラー」で描かれているエロスや暴力性よりももっと心の深いところにあるものである。実際、エロスや暴力性を描くところで終わってしまっている最近の村上春樹の小説や「先進的」邦画には辟易するものがあるが、乱歩の作品では「人間の根幹に存在するホラー性」と今まで考えたこともなかったテーマについてすんなりと入って行くことができた。
さて「芋虫」であるが、本書に収録されているものは伏せ字だらけでせっかくの乱歩の世界観が台無し。途中で読むのをやめてしまって他社の文庫本を購入して読み直してしまった。作品自体はものすごくいい。もう乱歩の虜になってしまったかもしれない。
乱歩の作品は各社文庫本を出していて編纂の仕方も異なるから最初から一通り読んでみようという意気込みがない限り、最初にどれに当たるかでその後の明暗というか好きずきを分けてしまうかもしれない。自分はたまたま最初に読んだ文庫本が(「芋虫」を除いては)「当たり」だったので、もっと他の幻想・奇怪ものを読んでみたいし、推理ものも読んでみたくなって、ちくま文庫の短編全集を購入した。 -
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ネタバレ「乙女の本棚」3冊目。グロテスクな作品が多いと聞いていた江戸川乱歩。幸せな新婚生活から一転、どんな人でなしにイケメンの夫が成り下がってゆくのか、ハラハラ期待して読み進めたが、なんてことはない、ただの人形愛玩者であっただけであった。そんな夫を受け入れてあげる度量があれば、違った道も歩めたかもしれないのに、一番恐ろしかったのは、嫉妬に狂う妻、そして自ら命を絶ってしまう夫の、人間の狂気。「人でなしの恋」は当初、夫の人形への恋を意味しているのかと思っていたけれど、あんな強行に出た妻の夫への恋、両方のことを示しているのかもしれないと思い直した。
相変わらず、夜汽車さんの絵が美しすぎる。私のコレクション兼子供がいつか読むための絵本として集めたいと思ってきた。 -
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初江戸川乱歩でございます。
ベストセレクション!
素敵な装丁のこちらを選びました♪
短編八つ
「人間椅子」
「目羅博士の不思議な犯罪」
「断崖」
「妻に失恋した男」
「お勢登場」
「ニ癈人」
「鏡地獄」
「押絵と旅する男」
「人間椅子」いいですね〜♪
不気味さが際立ってます。
ある男が椅子の中に入って女性を感じる…くらいの知識で読み始めましたけど…このエスカレートしていく欲情…大好きです…わからんでもない(〃ω〃)笑
ラストが秀逸。不気味な笑いが思い浮かびます。
どの話も人間の狂気的な欲望…読みやすくて気味悪くて淫靡だ(●︎´艸`)ムフフ
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瀟洒な洋館に住む作家の佳子のもとに、一通の手紙が届いた。
「奥様」という呼びかけの言葉で始まるその手紙には、とある椅子職人からの長い長い秘密が綴られていた。
〈いわば、その椅子が、人間一人の部屋になったわけでございます。〉
椅子の中に隠れて革一枚越しの自分に腰掛ける女体を堪能する、っていうめちゃくちゃ不気味なあらすじは知っていたんだけど、オチまでは知らなかったから、気づいたとき変な声出そうになった。
椅子の中の恋、怖すぎるって!!
これが佳子の読者による創作なんだとしたら天才だけど、どちらがほんとうなのかは分からないまま終わる。感銘というか恐怖を与えてるって。江戸川乱歩すごい。 -
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ネタバレ職場の同期から借りた。屋根裏の散歩者と暗黒星の2編からなる。名探偵明智小五郎が難事件を解決していく。屋根裏の散歩者は犯人目線で書かれていたから最初からトリックも分かっていたけれど暗黒星は誰が犯人か最後まで分からなかった。事件の前兆で映写器からスクリーンに映された写真の目や口の部分が真っ黒に焼け焦げたり、壁に懸けられた写真の目から赤い絵の具が垂れてくるところがあまりにホラーだった。依頼者の一郎がよくしゃべるな…とは思ったけれど怪我させられてるし犯人が現れた時その場にいたから犯人じゃないよな…と思ってたらまさかの自傷と替え玉だった。実は家族の誰とも血が繋がってなかったオチには驚いたし本当に復讐のためだけに生まれてきた邪悪な人間だった。父親に水責めで姉を殺すのを見せてから父親も水責めで殺すって発想は狂気過ぎる。この2作が1冊にまとめられたのは依頼者が犯人だったってのが共通点だからなのかな。
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門野という美男子のところへ嫁いだ19歳の奥さまが、夜な夜な母家の裏手にある土蔵の二階に通う夫の行動を訝しんで尾行する。
夫曰く一人で書見をしているらしいが、室内からは何やら仲睦まじげな男女のささやき声。
夫はもしやほかの女性と不貞をはたらいているのでは? 我慢できなくなった恋する奥さまが、そろりと部屋の中をのぞいた先でみつけたものは……。
という、江戸川乱歩による妖しさ満点の短編。『人でなしの声』というタイトルに合点がいった。夜汽車さんによる繊細で可愛らしいイラストが、この短編の魅力を何倍にも膨らませているよう。
まだ始まったばかりのこの夏、早速テレビの心霊番組で因縁物として紹介される人形の恐怖映像などを視たばかりだったので余計ゾゾッとした。人形に魅入られてしまった者は死なばもろとも。