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Posted by ブクログ
明智小五郎の解決した事件を作中の年度順に並べるシリーズの第2巻。
1巻ではアマチュア探偵だった明智小五郎も2巻では手伝いをしている(探偵助手とか見習い?)若者は数人いるし、警察にもすっかり顔が利く。服装は1巻の和服から、上海帰りのためなぜか支那服 笑。
くしゃくしゃの頭をかき回して人懐こく笑うのは相変わらずです。
明智小五郎は長いの間上海に滞在していて、戻ってから半年くらいは探偵仕事もせずにいたらしい。そんな明智小五郎の興味を引き、探偵復帰となったのが『一寸法師』事件。
巻末の解説によると、『屋根裏の散歩者』のあと上海に渡り、その期間に関東大震災が起こり、しばらくしてから帰ってきた計算になるみたい。そのため「全く変わった東京を再度掴み直すまでに半年かかったのでは」ということ。たしかに本文でも手伝いの若者が数人いるし、警察にも顔が利くというのは、探偵再開の準備中だったんでしょうかね。
ということで、後書き解説まで面白いシリーズです。
『天知茂 江戸川乱歩シリーズ』を見ていたのですが、元となったのはこの話か!と思いながら読みました。天知茂シリーズでは美女の因縁やら悲劇やらがメインですが、小説では女性の影は薄いかも。
『一寸法師』(1925年4月)
※身体障害者の描写が差別的ですが、名称などそのまま記載します。
独り身の小林紋三が夜の浅草をうろついていると、怪しげな小人(大人だが身体が子供のよう。一寸法師、とあだ名される)を見かける。しかもその小人は懐から女の片腕を取り出したようだ??
翌日、小林紋三は、憧れの女性の山野百合枝夫人から「娘(継子)の三千子が行方不明になっている。あなたは探偵の明智小五郎という方と知り合いと聞いたので紹介してほしい」と頼まれる。
数日後、百貨店の生人形(マネキン)の左手が若い女性の死体から切り離した左手と入れ替わる事件が発生した。
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この小林紋三がいわゆる「ワトソン役」なのか、偶然により重要な場面を目撃したり、見当違いの犯人予測をして事件を引っ掻き回したりする 笑
事件の背景には、生き人形、見世物小屋にいるような小人(一寸法師)、人の入れ替わり、複雑な親子関係、死体のとんでもない隠し方、世を捻て猟奇犯罪を起こす人物など、江戸川乱歩趣味が出てきます。
主な舞台は、この時代の大繁華街である浅草。江戸川乱歩も大いに魅力を感じていた街です。作中でも、エロ写真売りがいたり、同性愛者出会いの場があったり、障害者の見世物小屋があったり、当時人気の舞台「安来節」を見たり、繁華街から横道にそれたら貧民街になったり当時の世相が伺えます。
事件としては、まあ江戸川乱歩ではよくある感じでもありますが、ラストの決着が、良かったというのか、しかし犠牲となった女性2人は気の毒じゃないか…という気持ちになった。
『何者』(1925年夏休み)
小説家のもとに松村という男が自分が関わりになってしまった事件のことを語る。どうやらこの小説家は『明智小五郎事件簿』を書いているので、『D坂』の語り手らしい。
この時の明智小五郎は27,8歳。
兵役を控える松村は、学生時代の友人結城弘一の家に滞在していた。結城家には、父の陸軍少将、母、結城の従姉妹志摩子、使用人たちがいる。客としては同じく学友の甲田伸太郎、結城少将の知人らしい赤井という男がいる。
ある日他の客も呼んで晩餐会が開かれた。そこに響く一発の銃声。駆けつけてみると、結城弘一が足を撃たれていたのだ。
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足跡の謎、込み入った人間関係、謎の人物、犯人当てなど探偵小説としては本格的です。
明智小五郎は本当は違う事件のために居合わせたようです。それが何かは本文では明かされないのですが(江戸川乱歩もあまり考えていなかったのかも)、後書き解説を担当した法月綸太郎が「こんな事件を依頼されて、こういう理由で役目を果たしたのではないか」ということを推理していた。
相変わらず後書きまで推理小説っぽくて楽しい笑
Posted by ブクログ
名探偵・明智小五郎の活躍を事件発生順に並べ、構成した事件簿。全12巻の第2巻。
『一寸法師』と『何者』の2編を収録。どちらも既読だと思うのだが、『何者』だけはストーリーの記憶が曖昧だった。
あらためて読み返してみると、『一寸法師』は大衆受けする派手なエログロテイストのミステリーであるのに対して、『何者』は地味な作品ながら、しっかりした本格的なミステリーであることに気付かされる。
前巻に続き、巻末の平山雄一の『明智小五郎年代記2』に今回収録2作の事件発生時期を、如何にして特定したかが詳しく書かれており、面白い。また、法月綸太郎の解説が余りにもマニアックな上に的確で、かなり江戸川乱歩作品を研究していることが窺える。
Posted by ブクログ
明智小五郎シリーズ二作目。
本作はエログロ怪奇の「一寸法師」、本格推理の「何者」という江戸川乱歩の妙味が堪能できる名作。
前者については乱歩にとって初の連載中編であり、途中でダレるところもないではないが、乱歩が愛した浅草の情景、風俗を背景に乱歩らしい世界観が描かれている点で秀逸。
後者はパズラー的な本格推理であり、意外な乱歩の一面を見たような読後感。解説でも法月綸太郎が乱歩のベストに推している傑作短編だ。
明智小五郎の描写も活き活きとしており、後年のイメージにはない支那服姿はオシャレだし、犯人と錯誤するような暗躍ムーブは彼の探偵としての特異性を浮き彫りにされ、探偵小説家としての乱歩の立ち位置が見えてくるようだ。
Posted by ブクログ
「一寸法師」と「何者」の二編収録
「一寸法師」は、推理小説もいうよりもホラー映画を見ているような猟奇的な雰囲気で物語が進む。また、障害者の表現や作中での扱いが現代では考えられないほど差別的で、大正当時の空気感、風俗が感じられる。
「何者」は、「一寸法師」と違い、謎解きの要素が強く推理小説らしい雰囲気。読み返すと、実はいろいろ伏線が張られていたこと(逆に、最初に読んだときは伏線だと思ったら、全然後で出てこない描写であったこと)に気づく、作り込まれている作品。
本編も面白いが、巻末の「明智小五郎年代記」「解説」がかなり面白い。作品の時代背景、作品当時の交通網や徴兵制度、徴兵制度などに対する一般的な捉えられ方は、教科書で歴史を勉強しただけでは分からない当時の雰囲気が理解できる。
この後の作品はどちらかといえば猟奇的なものが多くなるが、「明智小五郎年代記」と併せて読むことを目的に読み続けよう。
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