【感想・ネタバレ】明智小五郎事件簿2のレビュー

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Posted by ブクログ 2019年04月07日

江戸川乱歩は毎度毎度キャラクターの使い方が上手い。

『一寸法師』

一人ひとりが魅力的で、今回は特に最初に出てくる青年がとても良い役回りをしていた。

映画化されるなら、その時流行りの俳優があてがわれるだろう爽やかな青年がラスト思い人とああなるのはとても清々しかった。

この描写は何なんだろうと疑...続きを読む問に思ってもきちんと時代考証と共に書かれている後書きのおかげで、理解することができてありがたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年03月12日

「一寸法師」と「何者」の2作品が収録されている。「一寸法師」では明智小五郎が謎解きをするが、「何者」では謎解きでは出てこないが、作品内の小説としてのみ出てくる点が特徴的かもしれない。

さてはて内容であるが、特に「一寸法師」については結末が非常に時代を感じさせるものだった。
真犯人がその性別と「反省...続きを読むしている」の二点において情状酌量の余地ありと明智は判ずるのである。いやそこは司法に任せるべきでは? と思うし、また、被害者の無念が晴れぬのではないか、と思ってしまい、釈然とできないものが残った。少なくとも現在の作家、特にライトノベルやTL系であれば確実に「ざまぁ」されるパターンの犯人である。とはいえあまりに酷い因果応報も如何なものかと個人的には思うが……。

「何者」に関しては、犯人の動機がなるほどと納得できるものであった。二兎を追った犯人は一兎も得ることができず、得られたと思った双方を逃す事になった……ということが最後に示唆されて終わる。
結果的に犯人がどうなったのか、冒頭で作者が述べていた「事件の主人公」が果たして真犯人を指していたのかはたまた濡れ衣を着させられた人物を指していたのか、それが分からぬので、やはり終わりは謎が残る形となり、それがいっそうこの作品の釈然としなさに拍車をかけている気がする。

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Posted by ブクログ 2022年03月07日

エログロありの「一寸法師」と正統派本格の「何者」の2編。一寸法師はこの時代だからこそだろうし(放送禁止用語だらけ笑)何者もまた、この時代ならではなんだよなぁ。編者の平山氏のクロニクルがとても良い。法月氏の解説も最高。とにかく面白かったよー!!

「何者」の完成度やばい。無駄がなさすぎて。ラスト鳥肌も...続きを読むんやったわ。昭和初期に書かれた小説とか、ほんま信じられへん。
この話、当時全然ウケへんかったらしいけど、ほんま解説で法月綸太郎先生も書かれているけど、「当時の読者が未熟」すぎやろ(笑)マジ最高。短編として推せる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年12月03日

「一寸法師」では気持ち悪さの描写がとても巧みだと思った。人外に対する気持ち悪さのようなものを感じてゾッとした。
「何者」は本格派であったがこれもおもしろかった。残りページ数で察しはついたがひとつ落ち着いたところからの展開が良かった。

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Posted by ブクログ 2020年05月15日

古い小説だが、それを感じさせない読みやすさと面白さがあった。
今の小説にはない乱歩独特のおどろおどろした感じも良かった。
ただ時代のせいにしてしまえばそれまでだが、障害者に対しての偏見が今では考えられないくらい酷かった。「あいつはただのかたわ者じゃない。奇形児なんてものは、多くは白痴か低脳児だが、あ...続きを読むいつに限って、低脳児どころか実に恐ろしい知恵者なんだ。」なんてセリフは読んでいて本当にびっくりした。そんな扱いを受けてたら犯罪者にもなっちゃうだろうなぁって思うのも障害者に対する偏見なのかなぁ。

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Posted by ブクログ 2020年01月13日

期待通りの読み応え。子供の頃に少年探偵団を観たり読んだりして来たから、江戸川乱歩の世界観は理屈でなく肌に沁みてるので、読んでいても鮮やかにイメージ出来るのは有難いことだ。

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Posted by ブクログ 2017年08月26日

なんかこう、人がズブズブってはまり込む好奇心が暴かれる感覚が魅惑的ですよね。いけないものに吸い寄せられるというか。瞳孔が開く感じがします。

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Posted by ブクログ 2016年08月13日

「一寸法師」と「何者」の二編収録

「一寸法師」は、推理小説もいうよりもホラー映画を見ているような猟奇的な雰囲気で物語が進む。また、障害者の表現や作中での扱いが現代では考えられないほど差別的で、大正当時の空気感、風俗が感じられる。

「何者」は、「一寸法師」と違い、謎解きの要素が強く推理小説らしい雰...続きを読む囲気。読み返すと、実はいろいろ伏線が張られていたこと(逆に、最初に読んだときは伏線だと思ったら、全然後で出てこない描写であったこと)に気づく、作り込まれている作品。

本編も面白いが、巻末の「明智小五郎年代記」「解説」がかなり面白い。作品の時代背景、作品当時の交通網や徴兵制度、徴兵制度などに対する一般的な捉えられ方は、教科書で歴史を勉強しただけでは分からない当時の雰囲気が理解できる。

この後の作品はどちらかといえば猟奇的なものが多くなるが、「明智小五郎年代記」と併せて読むことを目的に読み続けよう。

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Posted by ブクログ 2016年07月28日

こうやって”時系列”とされている順に読んでみると、確かに時代が変わっていっているのがわかる。『一寸法師』の浅草や百貨店の描写や『何者』の兵役関係の背景など、今まであまり気に留めたこともなかった、事件の背景となっている状況や風俗などの時代の匂いが感じられるのが面白い。

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Posted by ブクログ 2023年02月07日

「一寸法師」は、今では差別用語となる言葉が使われていたり、乱歩らしいと言えばそうなんだけど、狂気的で不気味さが際立っていて、ストーリーより薄気味悪さが上回ってしまった。「何者」は、乱歩作品の中ではアッサリした感じだけど、面白い!!乱歩が苦手な人でも楽しんでもらえると思う。

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Posted by ブクログ 2020年02月23日

読んだことがなかったにもかかわらず、明智小五郎って中年ぐらいのイメージがあったので、このくらい若いときのエピソードを読むと違和感がありますね。(^^;
何となく、時代小説の趣のある「一寸法師」の方が江戸川乱歩のイメージだな。

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Posted by ブクログ 2016年09月29日

胸が弾むようなコレクションの第二弾。こんかいは「一寸法師」と「何者」の二本立て。「一寸法師」は当時の風俗や街中の描写が色濃いのにも興味を引かれるし、後半にかけてのそうは問屋が卸さないとばかりに二転三転する真相もめっぽうおもしろかった。最初は物語にあまり入り込めていなかったわたしも、さいごはさすが乱歩...続きを読む先生と喝采した。「何者」は素晴らしい本格もので、発表当時は評価されなかったというのに驚く。だが“素晴らしさ”を感じ取るための力を江戸川乱歩以降のミステリを読むことで鍛えてもらったのだと気付けば、うれしくなった。

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