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Posted by ブクログ
明智小五郎が関わった事件を事件発生順位に並べたシリーズ。『人間豹』は1930年2月から1931年4月の出来事です。(最初の事件の後、一年ほど間を空けて次の事件になだれ込むため、明智小五郎が出てくるのは後半の1931年2月頃から4月)
今まで明智小五郎が対決した出てきた「吸血鬼」「蜘蛛男」などは犯人の残酷さを表す渾名だが、こちらの「人間豹」は半人半獣のような犯人そのものだ。
その「人間豹」は、30歳ぐらいで、ひどく痩せて足は長く、顔はドス黒く頬は痩せて鼻が高く、舌は一面のササクレで覆われていて、びっくりするほど大きな両目は青い燐光を放っている。更に非常に身が軽く、四足歩行のほうが自然らしい。人間というより豹や虎のようなもの。(現代なら病名などがつくのだろう)
そして酷く残忍だ。怒りを抑えられず、目をつけた相手を嬲ることを楽しみとする。
この人間豹は「恩田」という名前があって、父親と暮らしている。この父親がまた残酷な怪人物。物語では人間豹恩田が数人の女性(しかもそのなかの一人は、明智小五郎の愛妻文代さん)に目をつけるのだが、彼女たちを付け回し、誘拐し、嬲り、いたぶり、そこにはエロチックなこともあるので、読んでキツいところがあった(-_-;)
そして恩田の父親もやたらに肝が座っている。いままでも「特徴のある子供が生まれて父親が逃げ出した」ものはいくつか読んだ(観た)ことがあるけど、このように父親がむしろその子供を喜んでかわいがって、息子と一緒に「世間に逆らうのが楽しくて仕方がない!」って珍しいのでは。人間豹・恩田の見かけと残酷性は生まれつきだけど、さらに父親による影響も大きいだろう…。
人間豹の恩田親子と明智小五郎は、お互い出し抜き合い、裏をかきあって、かなりの攻防戦を繰り広げる。人間豹恩田親子の知力や肝の座り具合はなかなか大したもので、女性にあんな所業に及ばねば楽しく読んだかもしれない。
しかし恩田親子は確かに手強いけれど、明智小五郎もかなりドジ踏んだっていうのもあるような…(^_^;)
人間豹相手に軽口を叩いたため作戦を見抜かれ裏を掛かれて明智も文代さんも大ピンチに陥る、変装のせいでややこしいことになる、眼の前の敵の変装に気付かず取り逃がす、狙われている文代さんを自分の鼻先で誘拐されてしまう…。
江戸川乱歩はしきりに「明智小五郎は相手の素顔を知らないのだから仕方がない」「名探偵だって狼狽や失策もあるが、明智小五郎は高い知力と活力でそれを取り戻すのだ!」などと擁護するけれど、作戦喋っちゃったのと、狙われている文代さんから目を放したのはやっぱり失策だろう…。さすがに明るい明智小五郎も「女房ひとり守れないでなにが名探偵だ!」って自戒してたしさ。
今回はかなり残酷描写もあったのですが、ところどころ笑っちゃう描写もありました。私は小学校の図書室の江戸川乱歩シリーズでこれを読んだ覚えはあるのですが、ラストの文代さんの場面しか覚えていない…。他の残虐描写は児童向けにはソフトになっていたのかなあ。(今度確かめてみます)
やっぱり明智小五郎側の人たち、文代さん、小林少年、恒川警部(今回出てないけど波越警部も)たちって精神的に健全なので、安心感があるので、明智自身の多少のピンチは笑えるというのは良いです。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩『人間豹 明智小五郎事件簿Ⅷ』集英社文庫。名探偵・明智小五郎の活躍を事件発生順に並べた興味深いコレクションの第8巻。
再読し、大昔、ポプラ社の『少年探偵団シリーズ』で、このタイトルを目にした時、一体どんな怪人が登場するのか非常にワクワクしたことを思い出した。探偵推理小説らしからぬSFチックな、オカルト風なタイトルに好奇心を大いに刺激されたのだ。後に同シリーズに『電人M』が登場するまで、この『人間豹』が一番興味深いタイトルであった。
神谷芳雄の恋人の弘子が恩田という不気味な男に捕らわれ、惨殺される。その後に神谷の恋人となった江川蘭子にも恩田の魔の手が…神谷を助けるべく明智小五郎は…
今回も巻末に平山雄一の『明智小五郎年代記』が収録されており、作品の背景、登場の風俗や世相を知ることが出来る。
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