江戸川乱歩のレビュー一覧
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「長生きした側が全財産を相続する」
とんでもない遺言を残された資産家の双子。
双子は40年ほど長生き競争をしてきたが、自らの余命が幾許もないと悟った兄は、弟に交渉を持ちかける…。
財産を巡る資産家一族の争い、半分に分けられた洋館で起きる事件。
なぜ今まで読んでなかったんだと思うくらい大好物な設定。
古典的なので色々と先が読めてしまうんだけど、そんなことはどうでもよくて、薄暗い洋館のレトロな雰囲気と古典ミステリの好きなところが詰まっていて楽しかった。
ワトソン役も、弁護士らしからぬ見事な鈍さで、「ワトソン役」をきちんと全うしている。
乱歩といえば『人間椅子』で衝撃を受けて、『D坂』『心理試験』『屋根裏』などで更に好きになり、『パノラマ』でちょっとクセになってきたところで、『黒蜥蜴』の水槽のシーンで一気に許容量を超えてしまい、一度撤退した。
それでもまた読みたくなって、エログロのない乱歩を探して読んだ作品。
でもエログロがなくなってみると、何だか乱歩らしさをあまり感じず、不思議と何か物足りない。
調べてみると、この作品はアメリカの『エンジェル家の殺人』が原作で、乱歩が翻案したものらしい。
やっぱり乱歩には、苦手でもあの妖しさをどこかで求めてしまうのかも。
Audibleにて。 -
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ネタバレ本書は、明智小五郎の奥さんが初登場する記念すべき物語。
魔術師と呼ばれる怪人が父親の復讐のために、とある一家を滅ぼすというストーリー。
物語中盤で殺された、息子の恋人というのが不憫でならない。はっきり言って復讐には全く関係なく、それなのにシリーズ史上一番と言ってもいいくらい残忍な殺され方をしている。
魔術師は死に、事件は解決したと思った矢先に、また殺人が起こり、蛇に魔術師の呪いが乗り移ったと思わせる展開は天才的。
しかし、それにもちゃんとトリックが仕掛けられており、大どんでん返しが待っている。
無茶な設定ではあるが、本当の黒幕の正体は誰も予想できないのではないか。
本書の見どころはなんと言っても、冷静沈着な明智小五郎が2人の女性に翻弄されるところ。
シャーロック・ホームズは生涯恋人を作らず結婚もしなかったが、明智小五郎はそうではなかったらしい。
明智を翻弄する2人の女性もメインの事件に絡んでおり、一人は悪女、一人は淑女という設定。育ちよりも血筋なのか。時代背景もあると思うが家や血筋が重要視されている物語だった。色々と疑問が残る展開ではあったが、最終的にはハッピーエンドで終了する。 -
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明智小五郎シリーズ二作目。
本作はエログロ怪奇の「一寸法師」、本格推理の「何者」という江戸川乱歩の妙味が堪能できる名作。
前者については乱歩にとって初の連載中編であり、途中でダレるところもないではないが、乱歩が愛した浅草の情景、風俗を背景に乱歩らしい世界観が描かれている点で秀逸。
後者はパズラー的な本格推理であり、意外な乱歩の一面を見たような読後感。解説でも法月綸太郎が乱歩のベストに推している傑作短編だ。
明智小五郎の描写も活き活きとしており、後年のイメージにはない支那服姿はオシャレだし、犯人と錯誤するような暗躍ムーブは彼の探偵としての特異性を浮き彫りにされ、探偵小説家としての乱歩の立ち位置が見えてくるようだ。 -
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ネタバレ「防空壕」や「人でなしの恋」、「人間椅子」「押絵と旅する男」が特におもろかった。
「防空壕」は、あんなに綺麗な人だったからもう一度逢いたいと奔走する主人公とじつは50代の女性だったというオチが面白くて良かった。
「人でなしの恋」は一見不倫関係にあるのかと思いきや、代々伝わる人形と関係を持っていたという不気味さが良かった。半年間はすごくいい夫だったけどだんだん化けの皮が剥がれて…という段階が明確に書かれている。
「人間椅子」は前回読んだが、もう一度読むとやはり面白かった。「押絵と旅する男」は初めて読んだが、「人間椅子」と比較しながら読むのも面白そうだった。
江戸川乱歩は夢かうつつか分からない人間の怖さ、不気味さを面白く描いている作家なのだと改めて実感した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半の面白さが半端じゃなくって乱歩、やべぇ!!!!となったけど終わり方がなんとも言えぬ消化不良で星4になってしまいました。前半(双生児の日記)で区切って明日後半読も!と思って勢いいさんで読んだんですが悲しいです…。もちろん面白かったんですけどぉ…。
というか乱歩の男男クソデカ感情ですよ、とオススメされて読み始めたんですが、リブレ出版の紹介のところにBL乱歩って書かれててクソワロタです。乱歩さん、そんな不敬な書かれ方してますよ。いいんですか!?まぁ、一応意図して同性愛要素入れてるみたいなので良いでしょうか…?
しかしはじめの道雄は最後のーーーという書き記しはあまりにも同性間クソデカ感情のはじまりとして100億万点すぎる。バッドエンドの影しかないが…。
さて、前半は主人公と恋人の出会いから恋人が殺されてしまい、それを突き止めようとした探偵も殺されてしまうというびっくりの展開です。怪しいのは昔から主人公に熱情を向けてくる友人、道雄。殺され方もどうやって殺したの?というちゃんとしたミステリ要素が入っていて流石です。でも道雄は犯人ではなく、道雄も探偵として犯人を探していた、その結果として待っていたのがかたわの日記でした。いや〜めくるめく陰謀の気配、自分も殺されるのではないかという氷河を踏む1歩の恐怖、これで前半ですか!?というワクワク感、たまりませんね〜!
でもさぁこれってさぁ!同性愛の必要ある…?道雄がいる必要ある…?と思っておりました。思っておりましたとも!でもまさにこの道雄こそがこの物語には必要だったということです。
それがわかる後半です。首謀者といえる背の曲がった老人が道雄の父親だったのです。この老人があまりにも曲者で人も殺します、かたわを作ります、財宝も自分のものにしますというなんという…なんという行動力の化身!主題である孤島の鬼とはこの父親を指すのだと思いますが、やることやりすぎてない?犯人忙しすぎるやつじゃない?と思ってなりませんでした。自分で石落とすのとか頑張りすぎるやろ!でも主人公も道雄もほんとうに殺したいなら殺せたと思うのにそこはぬるいんだなぁ…と思ってしまったね…。
で、こっから主人公が白髪になるほどの出来事ってどんなんだ?と思ったら財宝を探す途中で迷宮に閉じ込められて出られなくなり友人に熱烈に愛されそうになるというそんな、そういう…!?!?という…いや、本人からしたら命懸けだし死にかけた話なのですが、なんか物語的に弱くない!?と思っちゃいましたよ…どんな人非道なことされたのかと身構えていたので…。それこそ箱に閉じ込められて双子が分離させる様子を見させられるとか…そういうことかと…道雄も父親のかわりに鬼になってしまい主人公をどうにかしてしまうのかと思ったらちゃんと人だったし…。だからこそ最後の道雄の死に際が可哀想だなと思っちゃいますね…ちゃっかり金も女ももらって幸せになっている主人公に比べて片思いしたまま若くして亡くなってるの可哀想やろ…。ねぇこの同性愛要素いる!?!?
終わり方がほんとあっさり大団円(元凶は勝手に狂って死ぬし警察が収めてくれるし)すぎてなんか拍子抜けしてしまったよ…本当に、面白かったんですけどね…。こんな文章で読みやすいし、こりゃ傑作と呼ばれるわけも分かるんですが…乱歩さんには別解も用意してもらいたい所存です(二次創作しろ?) -
Posted by ブクログ
近代文学で読めるBLと聞いて邪な気持ちを抱きつつ気軽に読み始めたら、かなり読み応えのある作品で驚きました。『人間椅子』のようにサクッと読めるものとばかり…アセアセ。
本編について、期待していたほどのBL展開はありませんでしたが、ミステリー小説としての面白さが半端なかったです。
江戸川乱歩らしい不気味で怪奇なストーリーにゾクゾクしつつ、主人公らが探偵となり謎に迫っていく様子にページを捲る手が止まりませんでした。
とは言え、やはりこの作品の魅力は蓑浦と諸戸の奇妙な関係性です。
特に最後の一文を読んだ瞬間、ゾッと毛が逆立つような気持ち悪さを感じました。
最悪な読後感でしたが、あまりにも諸戸が愚かで愛おしくてたまらない気持ちになり、この作品に出会えて良かったと思いました。