江戸川乱歩のレビュー一覧
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アートって、きっと人間の業とか、そういうどろどろしたどす黒いもんから発せられる表現なんだと、江戸川乱歩の作品を読むと感じる。
作品中で描かれる狂人や偏った性癖のある人などの特徴は、探せば僕らのこころの中にもきっとあるのだろうと思う。
この本には
「パノラマ島奇譚」
「石榴」
の二作品が収録されている。
そのどちうらもが、類稀な、江戸川乱歩作品ならではの風合いと感触を持っている。
まるで見てくれがとても綺麗で小さくてとてもかわいいが、口に入れて咀嚼するとなんとも醜悪な味や匂いを発するお菓子か何かのような感じがするのだ。
世にも恐ろしい犯罪や兇行は、たった一人の人間のこころのなかに潜む美意 -
Posted by ブクログ
「緑衣の鬼」「幽霊塔」を収録。
緑衣の鬼、面白いです!
乱歩の長編のうちでは有数の、筋のしっかりした物語でした。
これまでの作品の中には明らかに連載中に迷いの見えるものや、
筋に行き詰ったであろう作品が多く、まあそこも可愛いと言えない
こともないといった上から目線で読んでいたのですが、、、
…面白いじゃないか。
…やればできるじゃないか(やはり上から目線)。
解説を読めば「赤毛のレドメイン家」なる乱歩が大変に感心した
作品の翻案であることが分かるのですが、そういった決まった
プロットがあってこそ乱歩の商業作家としての技が生きたのかも。
乱歩にしては怪奇も猟奇も薄めですが、「パズルのほとん -
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「怪人二十面相」「大暗室」を収録。
子供の頃夢中で読んだ少年探偵団。
小林少年のようになりたくて、
その辺の一般人を尾行してみたり(ただの迷惑)
屋根裏に秘密基地をつくったり(母に怒られました)。
そんなワクワクする心を思い出す「怪人二十面相」。
大して「大暗室」は大人の乱歩。
すごーく分かりやすい白と黒の対決なのですが、悪い奴が
とっても奇抜でセクシーで我侭なのが魅力的。
エロとグロが入り混じり、「吸血鬼」と「パノラマ島綺譚」
が混ざりあったような雰囲気。
どちらも結末は分かりきっているし、先の展開も
見えています。
それでもその過程を面白く読ませるのが作家の力量。
ハラハラドキドキし -
Posted by ブクログ
出版社/著者からの内容紹介
東に人の弱みを探してゆすり、西でネタを拾って小説を書き、南に薄倖の少女を救い、北では美女を侍らせての豪遊……やることなすこと図に当たり意気揚々の影男。しかし殺人請負会社に関わったことから前途は一天俄に掻き曇り、刺客に狙われる破目に。悪党が鎬を削る活劇に快刀乱麻の腕の冴えを見せるは、ご存じ名探偵!
たまには昭和的耽美が欲しくなり読みました。うーん、劇画。影男が典型的なヒーローです。しかも完全な善人キャラでないところが大人向け(そしてエロい)。しかしながら最後はそれかい!というツッコミを全力でいれたくなる。そこまでの展開がけっこう面白いだけに。とってつけたような明智 -
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少女誘拐の未遂事件が続発。犯人は真っ黒なインド人。インドには世界の謎と言われる不思議な魔術があって、、、?
子供向けの読み物なので、推理小説としてのネタは見え見えのところはありますが、昭和の初期の頃の情景が手に取るように見えてきて面白い。
怪人二十面相の狙う純金の黄金塔が80キロで時価500万円(グラム当たり600円くらい)とあったので、やはり昭和の25年から30年代にかけてのお話。それにしても金の価値って、今は3000円くらいまで持ち直したけど、数年前は1000円くらいにまで下がっていたし、取り立ててびっくりする値段でなくなってしまいました。
なお、小林少年の本名が小林芳雄だったという