江戸川乱歩のレビュー一覧
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評論なんて、くそくらえ!
まぁ、「くそくらえ!」まで言っちゃうと、ちょっと言い過ぎかもしれないですが。
でも、本の感想を書く理由って、自分の楽しさを伝えて、その本を誰かに読んでほしいと思うからじゃないですか?
そういう意味では、乱歩のこの本って、評論としては甘いかもしれないけど、その役割は、達していると思います。
乱歩、メチャクチャ楽しそうです。
まあ、この人らしく、膨大な資料を集めてやっているので、ついつい、「評論」とか、「論文」を期待したくなるのかもしれませんが、この本の目的って、結局、世に推理小説を流行らせたいとか、紹介したい……いや、オレは、こんなにおもしろい推理小説をこんなにたくさん読んだぞ~と言うことなんじゃないかと思います。
しかし、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズや、チェスタートンのブラウン神父が、けっこう昔の作品なのは知っていたけど、クリスティや、アイリッシュの「幻の女」、チャンドラーなんかも、けっこう昔からあったんだなぁと知って、ビックリしました。
わたし自身は、本格推理ものよりも、ハードボイルドの方が、読みやすいんですけどね。
でも、これ読んで、ホームズとブラウン神父は、ちょっと読み返したくなってきた。 -
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ネタバレ江戸川乱歩全短編盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。
『心理試験』
明智小五郎シリーズ
大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大家殺害犯として逮捕された親友・斎藤。事件に疑問を持った判事・笠森の心理試験。心理試験の結果から犯人を推理する明智小五郎。
『恐ろしき錯誤』
対立する北川氏と野本氏。北川氏の妻・妙子の焼死事件。彼女が助かったにもかかわらず再び火の中に駆け込んでしまった秘密。彼女の耳元に囁いた謎の男の言葉の罠。妙子の持つペンダントにかくされた秘密。誰の写真?
『D坂の殺人事件』
明智小五郎シリーズ
D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。
『火縄銃』
密室で射殺された被害者・林一郎。凶器は新式の銃があったにも関わらず火縄銃で殺害された被害者。容疑をかけられる弟・二郎。死体を発見した橘と私。橘の実験。撃ち抜かれた人形の謎。
『黒手組』
明智小五郎シリーズ
「黒手組」と名乗る犯行グループに誘拐された冨美子。身代金を支払ったにも関わらず解放されない登美子。受け渡しを担当した牧田の秘密。父親に禁じられた恋の謎。牧田の持つ手紙にかくされた暗号。
『夢遊病者の死』
夢遊病の為に勤め先を首になった彦太郎。なかなか就職が出来ずに伯爵家の小間使いとして働く親と二人暮らしを続ける。夢遊病を知らない父親との争い。ある朝、彦太郎が発見した父親の死体。夢遊病の果ての殺人と思い込み逃げ出す彦太郎。
『幽霊』
明智小五郎シリーズ
自分に恨みを持つ辻堂の死の知らせを聞いた平田。平田のもとに届けられた辻堂からの手紙。幽霊になり復讐を果たすと予告される。届けられた幽霊の写真。辻堂の戸籍で死亡を確認する平田。保養地に逃れた平田が出会った青年の推理。
『指環』
電車に乗り合わせた二人の男の会話。一人がうたがわれた指環の盗難。身体検査を受けるが出てこない指環。その前に食べていたミカンの皮を投げ捨てていた事に目をつけたもう一人の男。
『日記帳』
死んだ弟の日記帳にある雪枝と言う女性への手紙を読んだ兄。ただの見舞い葉書と思える内容に込められた暗号。失望した弟。
『接吻』
新婚の山名宗三。妻が写真にキスをしてるのを目撃し、相手は課長の村山だと疑いを持つ。妻の持つ写真を調べる山名。ある日村山と衝突し辞表を出した山名。妻の持つ写真の正体。
『モノグラム』
失業中の栗原が出会った田中という青年。お互いにどこかで会った記憶があるのだが。田中の姉・すみ子の持っていた懐中鏡の中の栗原の写真。
『算盤が恋を語る話
同僚S子の机の上に置かれる算盤に暗号を発見したT。算盤を使った恋の連絡。
『妻に失恋した男』
妻であるみや子に失恋した南田収一。自分の口のなかを撃ち抜いて自殺した収一の遺体。事件を調べる刑事が自殺直前に歯医者に行っていた事に気がつく。歯医者・栗田とみや子の関係。栗田が焼却処分した診察椅子。
『盗難』
新興宗教団体の主任のもとに送りつけられた金庫ないの金を盗むとの予告状。顔見知りの刑事に警護を依頼するが、刑事による強盗。事件後に刑事を発見した男。刑事が語る金庫の中の金の正体。
『断崖』 -
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初期短編集。
例によって乱歩の自註自解が自虐的で、いじらしいというか何というか。
表題作はソロバン目線で進行する話――というワケではなくて(笑)
ソロバンを使って
簡単な暗号でメッセージを伝えようとする内気な男の物語。
「日記帳」も暗号ネタで、こちらも悠長で不器用な青年の報われぬ恋。
大正時代のインテリ諸氏って、概ねこんな感じだったのかしらん。
それとも乱歩が特異なタイプだったのか……。
何にせよ、現代に比べれば
恋愛話などオープンに出来ない時世だったのだろうけど、
意外に今時の若者も、玉砕して恥を掻きたくないとか、
気持ちを受け入れてもらえなかったら、その後、気まずくなってしまうとか、
悶々としがちな人も少なくないらしいと聞いて、
好きなら好きってサッサと言っちゃえよ!
と思う自分はデリカシーに欠けるのか、などと、ちょっと反省してみる次第。 -
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「湖畔亭事件」
1926(大正15)年『サンデー毎日』連載作。
これはまさしく「昭和元年のセリバテール」【*1】物語。
モテたい(に違いない)のにモテようと努めておらず女っ気のない高等遊民が、
湖畔の宿、その名も「湖畔亭」で起きた怪事件を回顧する。
決して自慢できない悪趣味のせいで、脱衣場での殺人劇を垣間見るが、
犯人は誰か、そして、被害者の遺体はどこへ消えたのか……。
ストーリーには、読みながら、およそそんなことだろうと察しはつくものの、
独特の語り口に引き込まれてニヤニヤしながら最後まで楽しんでしまった。
名越國三郎画伯の挿絵が、お耽美で素敵(笑)
「一寸法師」
「踊る一寸法師」とは別作品。
1926(昭和元)年~1927(昭和2)年『朝日新聞』(東京版,大阪版)連載作。
高学歴だが職なし金なし女なし、という青年――
これすなわちまたしてもセリバ【*2】が、
夜の街をフラフラしていて奇ッ怪な人物に遭遇するのが発端。
富裕な一家を狙う怪人の跳梁、二転三転する最重要容疑者、
明智小五郎の推理はいかに……という、
本格探偵モノと通俗スリラーの混血のような一編。
作者自身の評価は低いそうだが、無茶な話なりに結構面白いと思うけど(笑)
【*1】高山宏『殺す・集める・読む』より。
1926年は昭和元年でもある。
日本における探偵小説の成立要件=背景を、
不景気で若者が貧乏で暇だったこと、と分析。
célibataire「独身者の」
【*2】célibat「独身者」 -
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期間限定の中村佑介の表紙につられて買ってしまった。
あのイラストはずるい。
昔アジカンのアルバムも中村さんのジャケットのおかげで知らないのに買ってしまった過去を持つ私。
それが江戸川乱歩とくれば、買わないわけにはいかなかった。
表題作は名探偵・明智小五郎が初めて出てくる作品。
そういえば、明智さんが出てくるものとか、少年探偵団が出てくる話は読んだこと無かったw
『人間椅子』とか『鏡地獄』とかならうろ覚えながら読んだことあるのに!
あまり分厚くないのに、10篇も入ってて、そのどれもが濃くて濃くて良い。
中でも『赤い部屋』は衝撃的。ちょっとグロイけど。
どれも素敵。
また他の作品も読み返そう。 -
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「何者」
最終章の題は "Thou art the man" で、出典はサムエル記。
「他でもない、あなたがその人だ」の意で、E.A.ポオ「お前が犯人だ」の原題でもある。
陸軍少将邸で、その一人息子が盗賊に銃撃され、入院先で安楽椅子探偵となるが……。
第六章タイトル「算術の問題です」を目にして、
これはもしや――と、中井英夫『虚無への供物』を開いたら、
第二章に「算術の問題」というパートがある!
はて、ここは何の話をしている部分だったっけ?
と、久々に目を走らせたら、
奈々村久生のセリフが「またそんな〝何者〟だなんて」(講談社文庫旧版p.270)
だったので笑ってしまった。
ちなみに「算術の問題」とは、こちらの本家「何者」では、
容疑者が二人いて一方が潔白だとしたら、残る一人が犯人に決まっている、という意味。
で、余談になるけれど『虚無への供物』においては、
火災現場の遺体が入居者全員から生存者を引いた数より1多い、
つまり、死体が一つ余る、という話。
松野一夫画伯の挿画がお茶目(笑)
「暗黒星」
東京・麻布の洋館、伊志田邸で起きた事件に立ち向かう明智小五郎だったが、
覆面の侵入者に狙撃され、入院を余儀なくされる。
しかし、名探偵はベッドに横たわって思索するうち、ある重大な「鍵」を見出す――
といったところまで読んで、
この作品が「何者」とカップリングされた理由を理解した(笑)
タイトルの意味は明智のセリフによって「光のない星」「邪悪の星」と説明され、
これが連続殺人の真犯人を指している。
小林少年も、ちょっとだけ登場。
いずれも乱歩作品にしては猟奇色のない真っ当な推理小説なので、
若干物足りなくはあるが、これはこれで非常に面白い。 -
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江戸川乱歩『芋虫』のコミカライズ
活字を読まれた方、あらすじを知っている方はわかると思いますがストーリーの決め手となる三文字の言葉、またその光景が冒頭に描かれています。これは活字でなく、絵で魅せる漫画ならではの表現で個人的にとてもよかったです(活字はさらっとした印象でしたが、漫画は冒頭からそれを持ってくることによってより印象深くなりました)
登場人物の表情が痛いほど美しく、切ないです。(特に其ノ参からラストにかけて、夫である須永中尉の表情。活字と同様、ストーリーは妻である時子がメインで描かれていますがこちらも絵で表現されているぶん活字ではわからなかった須永中尉の心情、表情がわかりやすく描かれています)
漫画という性質上、活字よりわかりやすいのはもちろんですが活字の世界観を壊さず、丁寧に美しく描かれている作品だと思います -
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江戸川乱歩の奇妙な世界へようこそ
どの短編集も独創的で面白い
卑猥、情熱、嫉妬、奇異、純粋、狂気、愛情、刺激、遊戯、疑惑
と様々な人間の心のスパイスを織り交ぜて、本が出来上がっている
印象深かった順に短編集を並べると
O踊る一寸法師…サーカス?見世物小屋の異様な熱狂と恐怖感との緊張感がゾクリとする
O人でなしの恋…愛と嫉妬とそして、狂気なほどの一途さ
O覆面のぶどうかい…緊張とゾクゾク
O一人二役…覆面とトリックがかぶるけど、こちらは可愛らしい
O百面相役者…変装系だけど、面白い悪戯
接吻、モノグラム、木馬は廻るは、愛と嫉妬だけど、軽い嫉妬だからかわいらしい。 -
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ネタバレ男女の情念を描いた江戸川乱歩のベストセレクション第4弾。『陰獣』
陰獣/蟲の二編収録。
陰獣について
乱歩お馴染みの変装トリック使った推理小説。
後半に従って謎がどんどん複雑になっていき、最後に謎が解けた時の爽快感がスカッとして気持ちよかったと思いきや、結局最後は闇の中というやりきれない作品。
主人公で、探偵役の探偵小説家、寒川を見ていると乱歩のいう『探偵』というのがどんな人物をさすのがわかる気がしました。
乱歩の書いた作品のパロが沢山あって読んでいてクスリとしました。
蟲について
陰獣とは対照的な怪奇小説。流石は江戸川乱歩といえるほどの淫靡でグロテスクな内容ですが読めば読むほど物語の中に引き込まれ中々本を手放せなくなるという不思議な魔力を持つ作品。
乱歩の小説の中で一番好きな作品になるかもしれません。