江戸川乱歩のレビュー一覧
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初期短編集。
例によって乱歩の自註自解が自虐的で、いじらしいというか何というか。
表題作はソロバン目線で進行する話――というワケではなくて(笑)
ソロバンを使って
簡単な暗号でメッセージを伝えようとする内気な男の物語。
「日記帳」も暗号ネタで、こちらも悠長で不器用な青年の報われぬ恋。
大正時代のインテリ諸氏って、概ねこんな感じだったのかしらん。
それとも乱歩が特異なタイプだったのか……。
何にせよ、現代に比べれば
恋愛話などオープンに出来ない時世だったのだろうけど、
意外に今時の若者も、玉砕して恥を掻きたくないとか、
気持ちを受け入れてもらえなかったら、その後、気まずくなってしまうとか、
悶々 -
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「湖畔亭事件」
1926(大正15)年『サンデー毎日』連載作。
これはまさしく「昭和元年のセリバテール」【*1】物語。
モテたい(に違いない)のにモテようと努めておらず女っ気のない高等遊民が、
湖畔の宿、その名も「湖畔亭」で起きた怪事件を回顧する。
決して自慢できない悪趣味のせいで、脱衣場での殺人劇を垣間見るが、
犯人は誰か、そして、被害者の遺体はどこへ消えたのか……。
ストーリーには、読みながら、およそそんなことだろうと察しはつくものの、
独特の語り口に引き込まれてニヤニヤしながら最後まで楽しんでしまった。
名越國三郎画伯の挿絵が、お耽美で素敵(笑)
「一寸法師」
「踊 -
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期間限定の中村佑介の表紙につられて買ってしまった。
あのイラストはずるい。
昔アジカンのアルバムも中村さんのジャケットのおかげで知らないのに買ってしまった過去を持つ私。
それが江戸川乱歩とくれば、買わないわけにはいかなかった。
表題作は名探偵・明智小五郎が初めて出てくる作品。
そういえば、明智さんが出てくるものとか、少年探偵団が出てくる話は読んだこと無かったw
『人間椅子』とか『鏡地獄』とかならうろ覚えながら読んだことあるのに!
あまり分厚くないのに、10篇も入ってて、そのどれもが濃くて濃くて良い。
中でも『赤い部屋』は衝撃的。ちょっとグロイけど。
どれも素敵。
また -
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「何者」
最終章の題は "Thou art the man" で、出典はサムエル記。
「他でもない、あなたがその人だ」の意で、E.A.ポオ「お前が犯人だ」の原題でもある。
陸軍少将邸で、その一人息子が盗賊に銃撃され、入院先で安楽椅子探偵となるが……。
第六章タイトル「算術の問題です」を目にして、
これはもしや――と、中井英夫『虚無への供物』を開いたら、
第二章に「算術の問題」というパートがある!
はて、ここは何の話をしている部分だったっけ?
と、久々に目を走らせたら、
奈々村久生のセリフが「またそんな〝何者〟だなんて」(講談社文庫旧版p.270)
だった -
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江戸川乱歩『芋虫』のコミカライズ
活字を読まれた方、あらすじを知っている方はわかると思いますがストーリーの決め手となる三文字の言葉、またその光景が冒頭に描かれています。これは活字でなく、絵で魅せる漫画ならではの表現で個人的にとてもよかったです(活字はさらっとした印象でしたが、漫画は冒頭からそれを持ってくることによってより印象深くなりました)
登場人物の表情が痛いほど美しく、切ないです。(特に其ノ参からラストにかけて、夫である須永中尉の表情。活字と同様、ストーリーは妻である時子がメインで描かれていますがこちらも絵で表現されているぶん活字ではわからなかった須永中尉の心情、表情がわかりやすく描か -
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江戸川乱歩の奇妙な世界へようこそ
どの短編集も独創的で面白い
卑猥、情熱、嫉妬、奇異、純粋、狂気、愛情、刺激、遊戯、疑惑
と様々な人間の心のスパイスを織り交ぜて、本が出来上がっている
印象深かった順に短編集を並べると
O踊る一寸法師…サーカス?見世物小屋の異様な熱狂と恐怖感との緊張感がゾクリとする
O人でなしの恋…愛と嫉妬とそして、狂気なほどの一途さ
O覆面のぶどうかい…緊張とゾクゾク
O一人二役…覆面とトリックがかぶるけど、こちらは可愛らしい
O百面相役者…変装系だけど、面白い悪戯
接吻、モノグラム、木馬は廻るは、愛と嫉妬だけど、軽い嫉妬だからかわいらしい。 -
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ネタバレ男女の情念を描いた江戸川乱歩のベストセレクション第4弾。『陰獣』
陰獣/蟲の二編収録。
陰獣について
乱歩お馴染みの変装トリック使った推理小説。
後半に従って謎がどんどん複雑になっていき、最後に謎が解けた時の爽快感がスカッとして気持ちよかったと思いきや、結局最後は闇の中というやりきれない作品。
主人公で、探偵役の探偵小説家、寒川を見ていると乱歩のいう『探偵』というのがどんな人物をさすのがわかる気がしました。
乱歩の書いた作品のパロが沢山あって読んでいてクスリとしました。
蟲について
陰獣とは対照的な怪奇小説。流石は江戸川乱歩といえるほどの淫靡でグロテスクな内容ですが読めば読むほど物語の中に -
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江戸川乱歩ベストセレクション『屋根裏の散歩者』
屋根裏の散歩者/暗黒星 の2編収録
今回はあの有名な明智小五郎が登場します!
何をやってみても面白くない。どんなことに挑戦してもつまらない。
そんな主人公郷田三郎は明智小五郎との出会いから、犯罪趣味に興味を持ち、偶然見つけた屋根裏の入り口を利用して「屋根裏の散歩」を始める。
自分の家族や友達、よく見かけるけど名前の知らない人たち。そんな人たちが普段、誰もいない安心して無防備でいられる一人の時間にどんなことをしているか気になる時がある。
人の生活を覗けるなら覗いてみたい。
きっと乱歩もそんな考えからこの小説書いたのだと思う。
ただ、ふと天井を