金原ひとみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
■はじめに
今年は小説をよく読んだ。押しも押されもせぬおっさんになってからは、社会評論やノンフィクションに手が伸び、小説を買ってもエンタメ系—そんな読書傾向が続いていた。
ところが、なぜか今年は小説、それも所謂「純文学」作品を読む機会が増えた、正しくは復活した。
純文学と書いた途端、そもそも純文学とは何なの?エンタメ作品との違いは? その境目はどこにあるのか?—そんな疑問が頭をもたげてくる。
僕の中での純文学の定義は「物語の“結果(結末)”よりも、人間の“ありよう”そのものを引き受けようとするのが純文学」である。
描かれるのは、人間の業(ごう)そのもの。弱さ、矛盾、欲望、逃避、欠落、そ -
Posted by ブクログ
私が知る限りでは、金原ひとみさんは自伝作品を発表していない。未読だが「オートフィクション」なる自伝的要素の強い創作(フィクション)もある様ではある。
今回、朝日新聞出版から発刊された当書籍は、芥川賞受賞当時(2004年)から現在(2025年)に至るまで、様々な媒体で発表された金原さん自身のエッセイ、日記、掌編を集めたものである。
本書籍の中でそれらがあたかも、「額装された絵画の様に」キュレーションされ、読むものの感情、それは様々な題名に沿った種々の感情、に訴えかけるという、いっぷう変わった構成の自叙伝であると言えるのでは無いかと思う。
掌編集である、とは言っても、大きく三つの章に分かれて -
Posted by ブクログ
この本は面白い繋がりで辿り着きました。
辻村深月さんの「鍵のない夢を見る」のあとがきから「オール讀物」という文芸誌の存在を知り、そこに金原ひとみさんと千早茜さんの対談が載っており、2人の作者に強い興味を持ちました。
読んだ感想を一言で言うと「19歳でこれを書いたのは天才」です。ひたすらに主人公の心理描写が鮮度MAXで描かれていると感じます。読んだ瞬間は強く「あーこの感じ、わかるわ」と思うのに次の瞬間に振り返るともう何を言ってるかよくわからないという面白い読書体験でした。はちゃめちゃになりそうなストーリーなのに終始醒めずに読み遂げられる面白い本です。短いので「とりあえず読んでみて感想聞かせてよ」 -
Posted by ブクログ
まだまだ数冊しか読めていないけれど、自分がこの作家さんの作品に惹かれる理由はなんなのか、作品から漂う甘い香りに自分が吸い寄せられてしまうのは、こういう生き方や考え方や苦しみ方から創造されているのだな。そういった言語化出来ないその感覚みたいなものを裏打ちされたような、金原ひとみさんの作家として母として人としてのコアな部分が窺え過ぎている。
母というペルソナに始まり、たくさんのエッセイと掌編小説。どれもとても良かった。
小説を読んでいて、もしかしたらこれって…と思っていたことがあって、あぁやっぱりそうだったのかという答え合わせが出来たり、男子はみんなメイキングザロードばかり聴いていたみたいな一文に -
Posted by ブクログ
前回のエッセイ、パリの砂漠~が共感しすぎて、こちらも手に取った。
前回よりも、恋とか性とか多い印象。
残念ながらその部分には何も共感できない自分だった。
三章の、「~の君」、の話が好みだった。
自分の感情をここまで言語化できるのが、本当にうらやましい。
印象的だったとこと(長い)
・「自分が予想していた未来と、今の自分を比べてどうですか」
数年前何かの取材で、割と唐突にそう聞かれた。私は質問の意図が分からず黙り込んで、その意図がなんとなくわかった瞬間にショックを受けて眩暈がして、「私には自分の未来を予想したり、人生を構築してきたという意識がありません」と正直に答えた。
これは、人生を自 -
Posted by ブクログ
毎日少しずつ、ご褒美のように読んだ。
金原さんの2003年から2025年までのエッセイと短編小説たち。(贅沢!)
これはエッセイ?それとも小説?という境界が曖昧なものもいくつかあり、答えが示されていないのがなかなか珍しい作り。何かのインタビューで、金原さんは小説とエッセイをあまり区別して書いていない、というようなことを仰っていたのが腑に落ちる。
2章以降、書かれた年代順に並んでいて、若い頃の金原さんの文章はやっぱり今と少し違っていて、それも面白かった。私からすれば破天荒とも言える暮らしをし、恋愛と小説を人生の真ん中に置き続けてきた人生を、少しだけ覗かせてもらえる。
「母」というペルソナ は