金原ひとみのレビュー一覧
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「最後の晩餐」と言えばダ・ヴィンチの有名な絵を思い出します。7人の女性作家による短編集は、どれも読みやすく楽しめました。
江國香織【コインランドリーの夜】
自分を取り戻した主人公に共感。自分らしい最後の晩餐に気づけたことに爽快感を味わえました。
金原ひとみ【ラストサパーフォーエバー】
初読みの金原さん。勢いのある文章。この最後の晩餐は、最後にクスッと笑えました。
角田光代【最後の鰻】
この作品は個人的な思い出と重なって、すごくよかったです。いつまでも忘れることはない時間の物語。読者の私にとっても。
寺地はるな【小曾根幸子の送別会】
この作品も、色々な気持ちが詰め込まれた物語。読者の私のお気に入り。
原田ひ香【最後に、何を食べたの?】
もやもやした気持ちが、最後には前向きになれた感じがしました。その人らしい最後の晩餐を、どのように表現していくのか気になりました。
藤野千夜【もうひとりのねえちゃん】
こんなもうひとりのねえちゃんがいたらと思える作品。最後の晩餐はシンプルでいいのかもしれないです。
井上荒野【本当の話】
娘っていいなあ。嘘から出たまことみたいなことがあると嬉しくなりますね。
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最新の単行本エッセイにして、過去の世に出たものを集めて出した、というものでもある。
だからまあテーマも内容も、描写もだいぶ振れ幅があるけど最初と最後の章では著者らしさがよく出ている、というか人間は変わっていくけど変わらないという、首尾一貫の本質を垣間見る。
金原ひとみ。すごくストレートに生きてる。人間らしい。
好きとか嫌いとか、気持ちいいとか憎たらしいとか。男とか女とか恋とか愛とかセックスとか。揺れとかどれも自分だとか。自分じゃないだとか。
こんなに包み隠さず書けるの?いいの?と思う一方でさすがに抽象化している部分はもっと教えて!と興味もそそる。
世の中色々な人がいて、色々な生き方があって、それって他者からは想像もできなくて、だからみんな自分なりに自分を生きていて。自分もその一人で。
なんてことを思った。 -
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ネタバレ月並みの感想だけど、浜野さん、まさかさんと出会えて良かった。中年女性、もう一回、恋してみようってちょっと小っ恥ずかしい感じだけど、それで世界がAI感じゃなくなって、息が吸えるようになることもあるんだな。
まさかさんの、絶対温かく寄り添ってくれる感じ。私少し変ですよって言ったら、一緒に変のその先を体験してみましょうって微笑みながら言ってくれる感じ。何でかは分からないんだけど、絶対私を不安にさせたりしない感じ。
これはもう、どうしようもなく安心して大好きになってしまうじゃないか。まだまだそこに全ベットするには勇気がいるんだけど、負けてしまいそうな感じ。圧倒的だ。この世の全てを認めるように頷くまさかさん。
平木さんの宇宙人感、だけど心地よい「違和感と違い」もほんといい感じ。
とんでもぶっ飛び小説かと思いきや、最後はしっかりポロポロと泣いてしまった。怖いくらい分かるところと、絶対的に私と違うところがあって、だけど、同じ空間できっと同じように大好きになってる私がいるんだろうな。 -
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ネタバレなんとなくシスターフッド的な小説なのかなと思っていたら、思った以上に恋愛小説になり、主人公の重い過去から妊活の苦しみについて考えさせられ、思いもよらないところに連れていかれたなという読後感。
離婚していたって、四十代だって、子供がいなくたって、ルーティンからはみだす勇気さえあれば新しい世界を見られる、まだまだ驚ける、恋愛だってできるというのは希望でしかない。
モッシュピットを作るというのはそんなに面白いのか?そういう系のライブは危険で怖いと思っていたけど、やってみたいかもとむくむく興味が湧いた。中華ビュッフェも行きたいし、蟹の甲羅酒も飲んでみたいし、メキシカンも食べたい。とにかくいろいろ楽しいことがしたくなる。
私も年甲斐ないとか思わずに、いくつになってもガンガン新しいことに飛び込んでわくわくできる自分でいたい。 -
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ネタバレ出版社の性加害問題。女子大生の頃、作家志望美津は編集長木戸に、立場を利用して性的な関係を強要されていたと言う。
勇気を出して過去の苦しい経験を告発するが…
年齢、立場、考え方が違う様々な人々の視点で性加害問題を掘り下げていく。聞いていくとそれぞれに理由、事情があり納得させられてしまう。
告発者の意見を聞いていると確かに木戸は加害者だが、木戸の独白を聞くとこちらにはこちらの事情があり、単に搾取だけで行ったのでは無く、止むない事情のゆえボタンの掛け違いもあったのでは?と思う。
真実は何なのか?文字通り「薮の中」だ。
セクハラを目の当たりにした時、どうするのが正解なんだろうか。会社組織や人間関係において、事を荒立てたくない。だからと言って長岡友梨奈ほどにグイグイ行くのも果たしてどうなのか。
長岡友梨奈には長岡友梨奈の正義があり、たしかに正論なのだが、他の意見を聞く耳を持たず、相手を論破してしまうのが、見ててしんどい。娘伽耶をズタズタに傷つけても治まらない彼女の言動には恐怖感すら抱く。娘よりも大事な思想って何だ?身近な人すら幸せにできないのに、社会を良くする理想を訴えるなんて…。病んでいる。
正しさとは何か。正しくても、人を追い詰めても良いのか。それが自分を追い詰めていく事に気づかずに。
告発者も告発された者も誰も報われない。
ラスト、死によってさも理想のように長岡友梨奈が祭り上げられていく流れには危うさを感じる。本当の彼女、真実とは違うのに、こうして勝手に論調が作りあげられていくのか。恐ろしい。
こんなにも難しいテーマを芥川龍之介の「藪の中」の手法でもって、掘り下げている金原ひとみさんは、凄い作家さんだと改めて認識した。
片方の言い分だけでなく、両方の意見を聞き、総合的に判断する。多くの方の事情や状況を理解し、考えを聞く事が大事である、と学ばせていただいた。