金原ひとみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
性加害の告発という重いテーマに尻込みしてたけど、章ごとに語り手が変わって人のSNSを見てるような感覚でスルスル読めた。
あらゆるハラスメントや保守派は許さないめためたに叩きのめしてやる!という正義感の塊な女性作家に一番共感した。彼女の章を読んでいると、あるテーマに対して全然分かり合えない時の絶望感、同じ熱量で怒ってくれる人を見つけた時の喜びを分かち合えた感覚があってカタルシスを感じた。
一方で、彼女の語りだけ読んでるとめちゃくちゃ共感できる!てなってたのに、また違う人の視点から読むとあっそういう感じ??となったり、当たり前だけど人によって見えているものが違いすぎて正に真実は藪の中だった。
昔 -
Posted by ブクログ
仕事のために数ヶ月小説を禁止していた自分にとって、ひさしぶりの金原文学。読み終わった今、とても満足感がある。一方で、読んでいる途中は何度その手を止めされられたかわからない。感嘆というべきか、息が詰まったというべきか、まだ自分でも名前がつけられていない感情、身体の芯からじんとなるような感覚が広がって、それが空気中にまで霧散していくまで待つための時間が幾度となく必要だった。
やはり自分は金原ひとみさんの作品が1,2を争うくらい好きなんだと思う。図太い自分にはもちろん理解しきれない。しかし、理解し切れないからこそ興味が湧くし、驚かされる。そんな浅はかなことを言うことも少し憚られるが、これが率直な気 -
Posted by ブクログ
全然ハッピーな話じゃないけど、とても面白かった。金原ひとみさんの本を読んだことがなくて、ずっと読みたいと思ってたのですごく達成感(笑)
この作品の登場人物は、みんな男女関係に問題がある。不倫してたり不倫されてたりパパ活してたり。これが一人称小説だったら「なんでこいつ不倫してるのに反省しないんだよ」とか、「なんでこんなに子供や親への当たりが強いの?」とか、登場人物に対する不満が出てくるんだろうけど、章ごとに語り手になる登場人物が変わってそれぞれの事情が見えてくるから、それぞれの苦労や心労が如実に見えるので、そんな不満は生まれない。むしろ、「どうしたらこの人は幸せになれるんだろう」って一緒に悩ん -
Posted by ブクログ
自分にとって高カロリーな小説だった。
ここまで書き上げる金原さんのエネルギーがすごいと思う。
最初娘との会話における志絵の言葉が機械的に感じて没頭できなかったけど、友人や中津川さんとの会話を通して純度の高い志絵が見れた気がした。
志絵の生き方に、人によっては嫌悪感を抱くだろうけど、倫理的、法的に正しい道は決まっていても、個人にとって正しい道はそれぞれだと思う。
絶対的な正しさを武器にした掲示板の書き込み、YouTubeのコメント欄などに共感を持ちつつも息苦しく感じるのは私だけだろうか。
そして「そもそも小説に求めるべき価値は、社会的正当性のない言葉を如何に伝えられるか、だけです」という言 -
Posted by ブクログ
いろいろな作家さんの話が読めるので、短編集はさくさく読めてしまいます。今回は、『最後の晩餐』をテーマに7編が収録されていました。『最後の晩餐』というと、イメージとしては悲しかったり、切なかったりというマイナスな感情が先にたっていたけれど、どの話も前向きな話で自分の『最後の晩餐』についても考えてみたくなった。
どの作家さんの話も好きだったけど、個人的には金原ひとみさんの話が好きでした。コンプラが叫ばれる社会でこんな集まりがあって、ひたすら高カロリーな物を食べまくる…素敵な最後の晩餐だなぁと羨ましくなった。ちょっと学生時代を思い出した。
井上荒野さんの「本当の話」も心がじんわり温かくなる素敵な話で -
Posted by ブクログ
ネタバレなるほど、まさに「藪の中」ですね。同じ出来事でも、語り手が変わればまったく異なる姿を示します。しかし、芥川の『藪の中』と異なるのは、「何が起こったか(真実)」ではなく、「それをどう評するか」が問われている点です。本作で扱われる出来事も、語り手ごとに評価が大きく異なっています。
特筆すべきは、過去の出来事が現在の価値観・基準で裁かれている点です。橋山美津に告発された木戸悠介の性加害は約10年前の出来事であり、橋山自身も当時は「被害者である」という意識を持っていなかったと述べています。自分が搾取されたという概念は、その後の10年間で形成されたものだといえます。
法の世界では「法の不遡及」により -
Posted by ブクログ
ネタバレ全体的に各登場人物の頭の中を覗いて回っているような感じで、読み進めるのになかなか疲れる
モノローグが長いというかほぼモノローグだけど、普段考えていることや感じていることや流していることや眼を逸らしていること等が丁寧に言語化されていて、共感できる言葉もできない言葉も耳に痛い言葉もあるけど、なるほどなあと思いながら読み進めた
引きこもりあがりの娘への友梨奈のガン詰めには引いたけど、自分自身でもどうしようもなく気付いてしまったからには目をそらすこともできず最終的には何も変えられなかったという無力感から諦念に至り無敵の人になるというのも、極端というか何というか、、、不器用な人なのかなあ
ギスギスし