金原ひとみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいる途中も読み終わったあとも、
『なんて優しい世界』とおもってじーんとした。
まさかさんが浜野さんに対しては王子様みたい。
きちんと好意を示してくれるけど、グイグイは来ないし、
けっして浜野さんの世界を荒らそうとしない。
何を言っても否定しないし、寄り添ってくれる。
なんなんですか、このAIみたいに完璧に優しくキュートでエキセントリックなおじさんは…。
少女漫画みたいなんだけど、でも二人共奇妙なおじさんとおばさんで読んでいてムズキュン…。
浜野さんもまさかさんのことを気にはなってるんだけど、
なんかあからさまに恋愛って感じではなくて
ベタベタしていないし、思い詰めてもいないし、
どこか抜けてて、読んでてじれったくて、
こんなカップルいたら推すが!!!と思った。
まさかさんと浜野さんが付き合ってる(厳密に言うと付き合う形は取らないが)のを知りながらも、今までと変わらず4人で会おうとしてくる平木さんも好きだし、結局4人でバカなことしながらも途中で2人でしっぽり残され、『やっぱりこの人大丈夫な人だ…』
って安心感を噛み締めていく浜野さんに、心がじわっと暖かくなる。
恋愛小説とはとてもじゃないけど言いきれない。
恋愛では無いのかもしれない。
でも恋愛よりももっと高尚なところで、
天使がパタパタ羽ばたいて恐らく愛のような暖かい光を
ふんだんに照らして与えている。
そんな画が思い浮かびました。
その人を尊重して寄り添って、どんな状態でもその人を受け止める、嫌いにならない。でも家族でもない。
これは金原ひとみさんが描きたかった、
新しい理想の人と人との関わり方なのでしょうか?
セックスとか独占欲とかに支配されない
こんなに落ち着いて静かであたたかな関係が築けるようになるのなら、年をとることは怖くないなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後の晩餐がテーマの7編からなるアンソロージ。
好きな作家さんばかりが、異なる切り口で書いた物語、一つ一つがとても面白かった。
人生の最後に何を食べるのか?なかなか悩ましい、重いような軽いような命題。
最後の食事は、何を食べるか、どういうシチュエーションで食べるか、誰と食べるか、一人なのか、一人の人生が表されているようで、様々な想像が生まれる。
意識をしていても本当に食べれるかどうかも分からないけれど、考えるだけで、酒盛りのネタに十分になりそうで、でも実は色々考えさせられる。
個性あふれる作家さんの物語は、色々な観点で描かれていて、其々の文体があり、あっという間に読んでしまった。
個人的には、角田光代さんの『最後の鰻』が笑えて、ほろっときて、沢山の家族に看取られて、あるあるって感じもして、大往生で好きだった。
藤野千代さんの『もうひとりのねえちゃん』は、家族が身近にいなくても、誰かがいてくれるってのも幸せの一つだと思えた。TVで『団地のふたり」が放送されているので、ノエチとなっちゃんの関係が思い浮かんだ。
寺地はるなさんの『小曽根幸子の送別会』は、小曽根さんがかっこいい。主役がいない送別会のシーンはスカッとするものがあった。
江國香織さんの「コインランドリーの夜」は、コインランドリーという場が秀逸。機械が回る音、無機質な感じが上手く描写されていて、流石って感じだった。
原田ひ香さんの『最後に何を食べたの?』は、ちょとミステリーがあって、最後にあーちゃんが恭一によって、救われるのがホッとさせられた。
しかし、このメンバーの食べ物の描写は流石上手いなぁと改めて思った。 -
Posted by ブクログ
まさにヤブの中って感じで、一つの事件をきっかけにそれに関わる人たち、それぞれの主観を順に描いている。読み進めるうちに、同じ出来事を共感しているはずなのに、まったく違う見解を持っていることがあり、現実もこうなのかと愕然とした。
特に男女差で考えていることと感じていることの温度差がすごい。
これを読んでると本音と建前も出てきて、橋山の告発したわけも結局は自己保身、自己弁明じゃないかと感じた。
長岡がだんだん狂気を帯びて、自己破壊的になっていったのもなんとなく理解できるし、五松の頭ではわかっているつもりなのに、結局堕ちるとこまで堕ちないと止まらない、むしろ終わらないという悲惨さもすごかった。
それぞれの感情に没入できて、まさに藪の中状態だった。
最後にリコのエピソードでなんか救われた。これ木戸悠介でこのまま終わったら真っ暗だなと思いながら読んでいた。伽耶がどうなったのかが気になったけど、結局自分で乗り越えていくしかないよね。 -
Posted by ブクログ
すごかった、言葉の洪水みたいだと思った
1文がすごく長いんです。主人公の台詞や心情の描写が。思考を巡らせながら色々感じてかんがえて生きていることの表れだなあと。
重要なシーンじゃなくて普段の会話の中でぐっとくるような台詞が多々あったりして、すごい量の付箋を貼った
本の至る所に金原さんの人生観や大切にしてることが散りばめられていた
よしもとばななさんぽいなと思った
他の金原さんの本はどんなかんじなんだろう
金原ひとみの本、これが初めてだったのですが物語の合間合間で見える教養というか雑学的な部分も面白かった
若手でフレッシュな社員が数年でおじさん化する場合・しない場合の話は特に面白かった
序盤の中華ビュッフェも終盤の551パーティもどちらもすごく美味しそうで、どうしても中華が食べたくなって先週末行ってきた
あっちあちの北京ダックや肉まんをはふはふと頬張るところがもうたまんなかったです
「食」がメインのエッセイや小説も良いけど、媒介物として描かれる「食」は、日常の中にあってリアルだと思うしより幸福な気持ちになるなあ