金原ひとみのレビュー一覧
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お前はどう思うの?
読んでいるあいだ、ずっとそう問いかけられているような、高圧的な気配を感じた。それは小説の内容だけじゃなく、言葉遣いや文章のリズム、漢字の使い方からも伝わってくるし、中でも自分にとっては、改行の少なさが大きかった。視界に飛び込んでくる文字の量だけで、圧がすごい。笑 こんな表現もあるんだなぁ。(金原ひとみ小説初めてだったけど、いつもこんな感じなんだろうか。
章立ては登場人物の名前になっていて、それぞれの視点で物語が進んでいくけれど、時間軸は一直線。多重視点で描かれているから、それぞれに対して、共感や軽蔑、同情や憤り、その他いろんな感情を抱いて、読んでいて複雑な気持ちになる。
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Posted by ブクログ
初めて金原ひとみさんの作品を読んで、ここまで詳細に主人公の心情を言語化する作者っているんだって思うくらい、細かく書かれてたからあー、こーゆー気持ちだったんだなって共感することができた。またクスッと笑える所がたくさんあったから死をテーマした本だけど読みやすかった。
金原さんの語彙力とか物事の考え方の概念が社会の枠に当てはまらない考え方で、自分の今までの概念が主人公のゆかりみたいにぶっ壊された。私の周りの友達は私と似た考え方の人が多いし、似た考え方の方が一緒にいて楽だけど、全く違う生き方をしている人と時間を共に過ごしたらゆかりみたいに考え方や生き方が変わっていくのかなって感じた。同じような人、全く -
Posted by ブクログ
毎日少しずつ、ご褒美のように読んだ。
金原さんの2003年から2025年までのエッセイと短編小説たち。(贅沢!)
これはエッセイ?それとも小説?という境界が曖昧なものもいくつかあり、答えが示されていないのがなかなか珍しい作り。何かのインタビューで、金原さんは小説とエッセイをあまり区別して書いていない、というようなことを仰っていたのが腑に落ちる。
2章以降、書かれた年代順に並んでいて、若い頃の金原さんの文章はやっぱり今と少し違っていて、それも面白かった。私からすれば破天荒とも言える暮らしをし、恋愛と小説を人生の真ん中に置き続けてきた人生を、少しだけ覗かせてもらえる。
「母」というペルソナ は -
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常識を軽々と飛び越え…などと書くと、個人的に村田沙耶香さんを連想しますが、金原ひとみさんの本作は、似て非なる常識の飛び越え具合で、その熱量は強く勢いを感じさせながら、見事な着地点を見せてくれました。
歌舞伎町を舞台に、擬人化焼肉漫画をこよなく愛する27歳の由嘉里の新たな世界との出会いを描く物語です。
登場人物は、理解し難い世界で暮らす全くもって意味不明な若者たちばかり。しかし、その思考や会話の端々に、ハッとさせられる部分が多々あり、単純にこの子たちを拒否できず、目が離せません。この価値観を揺さぶってくる会話に引き込まれます。
腐女子で自分が好きになれず、将来への不安と焦りを抱える由 -
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ネタバレ終盤、由嘉里が、自分の「ライに死んでほしくない」という感情•行動は、半絶縁状態の母から自分への願いと同じだと気づき声を出し涙を流すところが悲しかった。本当に理解し合える関係ってあるのだろうか。理解できないことを知った上でただ一緒にいる、ただ思い合うことはできないのだろうか。やはり捻れ具合によるのだろうか。
由嘉里はライのどこにこんなにも惹かれたのだろう。腐女子であり恋愛したことのない自分に、寄り添うでもなく意見するでもなく、人や物に執着なく母と違って自由にただそこにいさせてくれたからだろうか。「自由を手放すのも自由」そのアサヒの言葉に頷いた。
アサヒの妻の印象が最後にガラッと変わり「え?」と声