金原ひとみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ表現の精度が恐ろしく高い。
併録された作品はいずれも、救いを見出せない男女の話。
人は意識的に選択して生きているようでいて、実際には抗いようのない感情に大きく左右されている。
『「なんか好き」の「なんか」が重大なのだ。』という一文には、特に強くそれを感じた。
人は誰しも、自分の人生を説明できていると思い込んでいるけれど、実際には後付けで物語化しているだけで、その核心には説明不能な“なんか”がある。
もし人の選択がそんなにも儚く頼りないものなのだとしたら、モラルや善悪の観念もまた、偶発性の堆積に過ぎないのではないか。
そう考えると、全てが無意味で空虚なものにも思えてしまう。
本作はま -
Posted by ブクログ
精神的引きこもり系の主人公浜野さんが、正反対の性格の女性平木さんと巡り会うことで世界が広がっていくというお話し。えそれって「ミーツ・ザ・ワールド」と同じ設定ではと思われてしまうかもですが、もちろん違います。
浜野さんは無気力な省エネ生活を送る45歳の女性。でも、友達となった平木さんへのキレの良い返しなど見ていると、とてもナチュラル・ボーンなチキンとは思えないなぁと思っていたら、やはり原因となった出来事がありました。
浜野さんはまさかさんとの出会いで人生リスタート出来そうで良かったのですが、まさかさんが浜野さんに惹かれる背景がどうもしっくりこないんですよね。気になってた人に会ってみたらウマが -
Posted by ブクログ
「とにかくキマるから読め!!!!!」との朝井リョウさんの推薦帯。朝井さんが推薦者になる理由はとてもよくわかる。朝井さんも金原さんも、現代人が日々うっすら思っていること、言葉にしなければいずれ忘れてしまうような些細なことを、その鋭い観察眼と並外れた言語化能力でガッチリと掴んではこれでもかとぶつけてくるタイプだから。
でも少なくともこの作品に関しては、その毒っけは朝井さんの比にならない(ほど高い)と感じた。一度足を取られたら二度とは上がってこられない蟻地獄のように、ただ飲まれていくだけ。どの短編もページを追うごとに、「もう残り数ページしかない、これ救いはあるのか?!」と大変ハラハラしながら読むこと -
Posted by ブクログ
震災直後における福島第一原発の爆発。当時中学生であった私は、ニュースを知ってはいても西日本に住んでいたためか強く意識したことがなかった。放射能汚染に関して無知であり無頓着であったこと、恐怖を感じるには若すぎたこと、周囲にそのニュースを重んじる人間がいなかったことからも、この本を読むまで東京に暮らしていても避難した人がいたということを詳細に知ることができていなかった。著者の金原さん自身が岡山、そしてフランスに避難したことからも、原体験が小説に表現されているのだと思う。
小説内において、避難することを「過剰」だと思う人間もいれば、健康や子供の将来のために「当然」だと考える人間もいる。その構図は、コ -
Posted by ブクログ
コロナ禍の閉塞感を思い出すから嫌、という理由で、
私は5篇中、1〜3が好きだったかな。
全てに置いて苦悩する女子の話で、
完全には共感しないけど、
あらゆるパターンの女子の苦悩と孤独を描いていて、
読んでいて苦しくなったり、呆然としたりした。
全然ハッピーエンドじゃないし、
なんにも解決しないけど、
でも最後の朝井リョウの解説を読んで、
とにかく“管理される”ということに抗っているのが金原作品だ、という見解に、あーだから好きなのかも。
と腑に落ちる自分もいた。
朝井リョウの言う、“よくわからないけれどこれはやめておいたほうがいいんだよ、ね?”という圧、コントロールフリーク社会の圧に耐えられなく -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄く重たい本
また、出てくる人物に好感が持てなかった。
ただ、息子の恵斗カップルには希望が持てた気がする。とにかく重い、長岡さんのような正しさを問い詰めてくるような人とは一緒にはいたくないな。でも、自分も同じような人間かもしれない。長岡さんみたいな成功している人は全く違う、ただのおちぶれた人間。そんな私が正しい事を言っているのに何故みんなわからないんだ。と怒っている私のほうがたちが悪い気がする。言うだけだから。
みんななんらかの搾取はされているよな。
私も誰かを搾取しているかも。極力、人とは関わらないようにしているけど。
とにかく、何でもないことでバカ笑いしてその間に生涯を閉じたいと思った。 -
Posted by ブクログ
関係ないですが最近見たYoutube発信の映画で「なんかゲボの味しない?」が何度も出てきてクスッと笑える場面がある。歌舞伎町の路上でまさに嘔吐中の場面から始まり、勝手ながらキーワードチェーンで新たな物語と出会った。偶然の共通要素にクスッとなった。
腐女子は調べるまでピンとこなかった。BLが流行ったりアニメ好きが秘め事な嗜好とは感じない時代になったのだと思います。大多数の好みがもてはやされて、希少な好みが後ろめたく感じる。そんな傾向がそもそもが偏見だったのでしょう。自分の不適切なを刺されたような気分になりました。
一見するとその場のノリで楽しさを最優先にしていそうな雰囲気の人でも誰かを頼り -
Posted by ブクログ
ざっくりとテーマに沿って、エッセイと掌握小説が入り乱れた一冊。
エッセイと小説の垣根が低くて、一体何が実際にあったことで何がフィクションなのか境目が分からなくなってくるし、それでいいとも思えてくる。
好きなラジオパーソナリティが「いろんなことが平均的にできる人が世の中を回してくれていて、それがどうしてもできない人は世の中を回せないけど、板の上に立つ仕事とかで世の中の役に立っている」と言ってて、金原さんが役に立ってるという実感を持てているかどうかは別にして、金原さんにとって生きるってことに小説がどれだけ不可欠なのかということがとても伝わってきた。