金原ひとみのレビュー一覧
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ネタバレ◾️record memo
そういう「女性性」の塊のような粘液をマグマのごとく溜め込んでいる彼女のサバサバアピールを目にすると、今や虚しささえ感じる。
「幸せとか不幸とか、そういう定義もう止めない?幸せとか不幸とか、羨ましいとか可哀想とか、そういう相対的な考え方、身を滅ぼすよ」
自分のあまりの滑稽さに、自分がくしゃっとした茶色いゴミ屑になってコロリと道路に転がる様子が頭に浮かぶ。もう誰か早く轢き殺してと願っても、ゴミ屑は小さすぎて中々車のタイヤに当たらない。
「え……さっきの子たち、長い付き合いなんでしょ?三人はお互いのこと何でも知ってるって、美玖ちゃんが言ってたじゃん」
「お互いのこ -
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他人と分かり合うことの難しさ、いや、そもそも分かり合おうなんておこがましいということが、よくよく分かった一冊でした。
腐女子の由嘉里と、死にたいキャバ嬢のライ。
全く違う世界で生きてきた二人が出逢い、影響を及ぼし合い‥‥というお話だと思っていたら、そんな単純な物語ではなかった。
読んでみて思ったこと、感じたことはたくさんあって、色々書き残したいのだけれど、とても難しい。
どんなに言葉を選んでも誰かを傷つけてしまいそうで
躊躇してしまいます。
由嘉里も最終的に自分がライに対してできることは彼女を傷つけないことだけだと気付きます。
相手をどんなに愛していても、決して分かり合えないことがある。愛して -
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ネタバレ金原ひとみはなんでこんなに、色んな世代の視点や立場を描けるんだろう、作家の観察眼て怖いわぁ。
ひとつの事案に対して、関わる人それぞれに解釈がある。当たり前なんだけど、何が正解なんだかわからなくなる、まさに真相は藪の中。
友梨奈は私と同世代なんだけど、この人もまた癖強い。フェミニストぽい事言うくせに、この人もしも男に生まれてたらめちゃくちゃマチズモ思想持ってそうだよな。
娘に対する態度ひどいしな。正しいことを言う時は控えめにする方がいい。って祝婚歌でも言ってるやつよね、それ一哉がたしなめてて、ほんとにいい彼氏だなーと。一哉が10代の頃から付き合ってたって、マジで木戸さんとは状況は違えど、紙一 -
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良すぎる、良すぎた……最初に「そもそも会社がわたしにきて欲しいなら会社がもっと魅力的かつ快適、楽しい場所にならないといけないんですよ」とぶっ飛びながら確かに…と唸るような発言連発する平木さんとの話かと思いきや、その後登場したパンクロックボーカルで愚かな民どもに崇められているのに陰キャで話す言葉が優しすぎるまさかさんが………本当にたまらん良すぎる…こんなに聞き上手、お話し上手、受け止め上手で言葉を司る天才なのに、僕は人を暴いたり新しい一面を見たいわけじゃないから話したくない事は話さないで良いんです、僕は自分の見る目を信じてるからあなたが何を隠していようとあなたを嫌いになることはないですってスタン
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長岡友梨奈に1番考え方が近いかなと思った。世界は一人一人の意識でできていて、だからその1人である自分が正しく生きていなければいけない。そうでない人がいるとなぜ世界のためにそんなことをするのかと悩み勝手に苦しむ。
何も考えいない人は価値がないと思ってしまうけれども、それが社会をうまく生きていく方法なのかもしれないし、一度は戦おうとしたけど自分の力ではどうにもならないことを知って、賢く諦めたのかもしれない。
女性が仕事と家庭を両立し、仕事を片手間のようにするようになったから、仕事を全力でするのはダサいという風習が生まれた。職場という共同体にすがることしかできない人にとっては社会に属す場所がない -
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しばらく放心状態になるくらい、ストーリーの締めくくりは突然だった。(電子書籍で読んだから、紙と違って進捗状況が手にとってわからなかったせいもある)
明確な落とし所もなく、はっきり結論を出さないところが良かった。というのも、ストーリーの主軸となる出来事について、それを巡る人々の意見・主張・真実は十人十色であり、結論を提示しないことがよりリアルに感じだからである。
この小説がどんなものか、知らない人に紹介するのは難しい。読後の感想も、自分ではっきりと言語化できない。
だけどこの本を読んだ後、自分が誰かの被害者になること、加害者になることについて自覚的になることは難しいと感じた。
物事を多面的に考 -
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ネタバレお母さんと自己、自己とライの関係が近しいものなのではないかと気づく部分が面白かった。
自分の幸せを願っている母を疎ましく思ったように、自分もライに疎ましく思われている可能性はないだろうかと。
誰かを救いたい、幸せになってほしいという気持ちは誰もが誰かに抱くのだろうが。それは結果的に相手に負担となっている可能性がある。
「相手を傷つけないようにすることしか出来ないのかもしれない」というようなセリフが印象的だった。
本当にそうだよなぁと思う。
僕らは自己ロマンを他者に投影し、相手を救っているようで、結局は自己のためという利己的な生き物なのではないかと思う。
ライが元カレに共感し、もしかした -
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ネタバレ①むむむ、難しい⋯長岡さんのセリフが⋯私は頭の回転が遅いから、会話をしたら長岡さんに見下されるんだろうな、と、苦手意識を抱きながら読んだ。社会問題に強い憤りを持ち、怯まず世間にそれを訴える。恋人や家族という最も親しい人とへの熱量と、被害者やマイノリティ等の不利益を被っている人たちへの熱量が同じで、そういう人たちを助けることに労力を惜しまない。その必死さがなんだか痛々しくなってきて、憧れや尊敬と同時に、疎ましさの感情も沸き起こる。私は横山さん寄りの人間だけど、長岡さんのような人とは付き合いたくはないな⋯と。遠くで、あの人スゲーと言ってるくらいがちょうどいい。
②長岡さんがムエタイに惹かれ、五松に