金原ひとみのレビュー一覧
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ネタバレ中盤のまさかさんが浜野さんを口説くシーンは、好意を言語化し過ぎている点が、ある種滑稽だったりフィクションたらしめていると感じた。相手に好意を伝えるとき、全てを語らないことは多々あると思うし、人の気持ちは変わりゆくもので事前にこれだけ言葉を尽くしたとて、と思ったからだ。浜野さんがまさかさんからの好意の表現をあの手この手で翻すようにするのも、防衛線を張りすぎているように思えて、もしや作家の自意識が投影されている?と勘ぐりながら読め進めた。
でも、後半にどんでん返しがあった。浜野さんの過去が明かされることで、中盤の過剰なやりとりは浜野さんの心(喪失感の深さなど)を表すために必要だったと理解できた -
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登場するのは腐女子、キャバ嬢、ホスト、ゲイバー店主、小説家
合コンで酔い潰れた腐女子が、歌舞伎町のキャバ嬢に拾われた事から始まる物語。婦女子の一人語り小説。
前半は、「腐女子・ミーツ・ザ・ワールド」といった感じで、疾走感もあり面白かったんだけど、中盤辺りから婦女子の(心の中の)語りが多すぎて、勢いが削がれた気がしました。もっと事象だけでサラッと読ませて欲しかったな。
もっとも、他人との物理的接触を描いた序盤に対し、中盤は相手の内面に触れようとしており、結果として語りが多くなったのかも。
終盤は、改めて「腐女子・ミーツ・ザ・リアル・ワールド」といった趣。相手の内面を理解できないことも是と -
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多分、「蛇にピアス」以来の金原ひとみ作品。当たり前だか、作者も成長していて(上から目線で失礼)以前読んだ時より文章として深みがある作品になっていた。
色々な立場から書かれているのでそれぞれの主観も同意できた。女性であれば感じたり、感じてきた社会的肉体的精神的に虐げられた経験や身近な出来事を思い出したりして、辛かった部分もあった。ここ20年位確かに社会は変わりつつあるがまだ日本は変わるところがあると改めて思った。
また男性からの視点といのも理解できた。但し、作者が女性であるので本当の所は理解できてきていないのかも。
セクハラ、痴漢、DV、パワハラ、同意のない性交渉その他がなくなる社会は実現する -
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初めての金原ひとみは、すごくよかった。人間の心の中の解像度が高すぎて、読みながら畏怖の念に駆られた。心の中を覗き込まれて描写されてしまったかのような感覚に襲われた。すごーい。
ミーツ・ザ・ワールド。meetとmeatがかけられてるんだね。
主人公は、「焼肉の部位を擬人化したアニメ」にハマる腐女子の銀行員のユカリ。いわゆるヲタク。彼女は生まれてこのかたリアル男性とは恋愛をしたことがない非モテ女子。
ひょんなことから歌舞伎町で暮らす美しきキャバ嬢ライに拾われ、ルームシェアを始める。彼女はこんなに美しいのに、世を儚んでは常に、自分はこの世から消え去るべきと考えている。
そんなライを大好きになっ -
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『ナチュラルボーンチキン』を読んで、自分と全く違うタイプの人間とは仲良くなれるのか、と考えた。
自分の殻の中にいた主人公が、タイプの全く違う同僚・平木さんと仲良くなり、さらにバンドマンのまさかさんと出会うことで、少しずつ世界が広がっていく物語。
私はどちらかというと主人公タイプだ。だからこそ、世間に忖度せず自分の気持ちに正直に行動できる平木さんは眩しい。ああいう潔さを、私はまだ持てていない。
複雑な家庭事情を抱えながらもデスボイスでバンドを率いるまさかさんも、最初は「違う世界の人」だった。
それでも距離が縮まっていくのは、相手のコミュ力のおかげなのか、それとも主人公の中に眠っていた魅力が引 -
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長かった‥
ずっと同じようなテーマの周囲を登場人物目線でグルグル。
それでも最後まで読もうと思わせるのは、いわゆる「藪の中」スタイルで視点を変えながら、何が正しいのか正しくないのか読者を惑わせ、自分を省みたりして、答え合わせをしたくなるからかな。
性搾取をキーとしながら、それを取り巻く社会、時代の変化、価値観のアップデート、分断、などを、登場人物を通して見つめていく。
変化に対応する人もできない人もいて、あるいは所詮人と人はわかり合えないって事はデフォルトな前提として、じゃあどうやってこの先、何らかを共有できるような共同幻想とも言える社会を作っていくのよ?という作者の問いかけだろうか。
変化の