金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「例えばさ、ずっと一つの星を見上げてると、自分がその星に落ちていきそうな気がしてこない?」
星へ落ちるってタイトルにきゅんとした。
男と女と、男の彼氏と、女の元彼。
複雑な人間関係の中で共通するのは、完全に自分のものにならない相手に落ちて、もがいているところ
人の心なんて縛れないのに、なんで恋をすると人はそれを自分のものにしたがるんだろう。
愛おしいと思えば思うほど、相手のすべてを知りたくなるし、それで苦しむんだよね。なんでかな。
って読んでて思った。
描写がね、いい。ルクルーゼの鍋とか、東京タワーとか、カレーとか、情景を頭に浮かべやすいの。
とんとんとんとん。にんじんを刻んで、トマトを刻む。さくさくと切れていくトマト。立方体に切り揃えていく内、まな板にトマトの汁が滲んでいく。
スープ作りが一番印象的だった! -
Posted by ブクログ
果たしてこれは作者の自伝的作品なのかなんなのか笑
最初は主人公の22歳の作家の口調がギャルで嫌だったんですけど、何も考えていないようで色々な事を考えているんだなぁと分かりました。
ていうかすっごく嫉妬深くてネガティブ笑
病的に寂しがり屋だということと病的に嘘が嫌いなのは何故か最後まで読んだ時に分かって(まぁ寂しがり屋なのは最初からだった気もしますけど)、最後の方は責任取れないとか言いだす男に殺意を感じ(爆)お腹の子と主人公可哀想だなぁとか。
人間を色々なものに例えるところが面白かったwwwあとコイツは〜してそうとか勝手に考えるところも。
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Posted by ブクログ
ちょっと、いやだいぶ怖い。ディストピアじゃないかと思ったけどもはや誇張でもなく現実に起きてることでもあり、ストーリーを見つめるとこういう要因があるんだろうな、とリアル性がある。
ハラスメント、ジェネレーションギャップ、男女(夫婦)関係、親子関係、、、現代社会の縮図がこれでもかとタブーのスクープのように描かれていて、なんだか自分にも思い当たるところが、現代社会において不適合な因果があるのではと考え慄きながら読み終えた。
この本は現代、未来への警鐘なようで救われない世界観でもあり、社会的暴力に加担しているような気もする。
人は個で苦しみ戦い、結果に抗えず可能性に期待できず、でもふとした時に前が見えてくる。誰も何もコントロールなんてできない。
時間が経てば時代が変わって社会が変わり、相互作用的にも人も「あたりまえ」も変わってくるわけで。
もっともっとAIが台頭してくることも関連するだろう未来の社会を見たいなと思った。
今よりもっとディストピアなのか、それは人間によって作り出された生きやすさの先にある息苦しさなのか。 -
Posted by ブクログ
今更ながら読ませてもらったら、想像を遥かに超えて凄かった、としか言えない読後感だった。本編だけで114ページしかないのに、これだけの薄さに色んなことが詰まってて、考えさせられました。
金原さんの作品はヤブノナカしかまだ読んだことが無かったのですが、その時は言葉の鋭さが凄くて、私にはまだ本当の意味で理解出来ないなと思いましたが、この作品はなんと言うか、大人であり、子供であり、残酷であり、優しさのある、感情移入させられるくせに、どこか遠い所の話しのような気もして、凄く揺さぶられました。しかも最後は読者に委ねるというか、想像に任せる感じで終わらせてて、タイトルもそのままのようで、でもオシャレにも感じてしまいました。語彙力なくて申し訳ないが、とにかくこれがデビュー作で、19歳で書いたのが信じられない! -
Posted by ブクログ
▼ストロングゼロ
中学生のときに「蛇にピアス」を読んで以来の金原ひとみ。落ち込んでるときに読むにはあまりにも救いがなかったうえに、うつ病の人と同じ屋根の下で生活していた時期もあったし、依存症も身近なため、いろいろ思い出してやられた。
うつ病の人にはある種の引力がある。その引力は明るい出口もそこへ至る道もまったく見えない状況のただなかに、当事者でない人間さえも引き込んでしまう。でも引き込まれた側は決して当事者ではないので、その渦中で同じものを見ることはできないまま(そして共倒れになってしまうから見るべきでもない)、当事者へのいたわりと苛立ちを行きつ戻りつし、無力感と自己嫌悪に苛まれ、そしてそういう感情の無意味な循環と押し合いへし合いそのものに疲れ果ててしまう。そういうどうにもならない状況を短編一本の紙幅の物語で(あるいはどれだけ言葉を費やしたとしても)どうにかすることなんて、逆に不誠実だよなとは思うけれど、キツいはキツい。あんまり具体的な感想が出てこない。ただただ気の毒な気持ち。
▼デバッガー
11歳年下の男の子と恋愛関係になったことをきっかけに、整形に取り憑かれていく35歳の女性の物語。ストロングゼロと比べると直接的には実体験と重ならないので喰らわないかと思ったけど、これも読んでる間ひりひりして仕方なく、つらい気持ちになる。なんなんだこの短編集は……。
年齢を重ねるつらさもさることながら、もっと根本的な問題として、コンプレックスとか、それに端を発する、通じ合いたい相手との乖離のつらさに、大いに思い当たる節があった。
▼コンスキエンティア
面白い。かなり夢中になって一気読みしてしまった。男の内面の底知れなさが怖いというのは、具体的なレベルではよくわからない。が、恋愛において他人を求めるときには、通常他人と接するときよりも相手の精神のあらゆる面にぶちあたってしまうわけで、それが怖いという話ならよくわかると思った。その意味では、僕は男と恋愛関係になろうとは思わないし、男友達との関係もあっさりしたものなので、男の内面はまったく怖くない。だが、女性の内面の底知れなさは本当に怖い。
その話のつながりでいくと、抽象的な思考を排している即物性が魅力だが、それが受け入れがたさにも通じ、それはそれでやはり奏や夫とは違う底知れなさがあるという龍太の人物造形はなんだかまるで三島由紀夫の小説の登場人物みたいだなと思う。なんか禁色とか豊饒の海に出てこなかったっけ、こういう感じの人(また違うタイプだとは思うけど)。
そしてそういう茜音の批評はいちいち面白いけど、その批評を読むたびに人間って本当にわがままだよなとも思わされる。男性たちに対するそういったジャッジのひとつひとつはわかるし妥当だとも思うのだけれど、その果てにあるのは、だからやはり相手を受け容れきれない、という結論で、それがおそらくは彼女がどうしても満たされない理由でもあるのだけれど、それは同時に、弁解しようのない本人自身のエゴに端を発する空白だからどうしようもない……。これはたぶん、夫婦だろうが恋人だろうが他人は他人だと、自分では割り切ってる気になってる人だって完全には逃れられない空白だろう。とくに恋愛とかそれをめぐる承認の問題にひとたびとりつかれると、そういう割り切りの感覚がいかに後付けのテクニックでしかないかを痛感する(その後付けこそが大事でもあるのだけれど)。
▼アンソーシャルディスタンス
メンヘラ率が高くないかこの短編集……こういう小説を金原さんは無限に書けるのかもしれないと思った。
こういう弱さを抱えた人たち同士にしかわからない世界の見え方というのは確実にあり、そして恋人とか夫婦とかの紐帯にはできればその共感は欲しいのかもしれない。しかしそもそもこういう感性を弱さと呼びたくはない(かといって誇らしげに繊細さなどと呼ぶのも唾棄すべきだ)。この感性をしっかり抱えて、他者への深い共感を捨て去らないままに、孤立せず、そしてなにより強くなる方法はないものなのだろうかと思う。でもまわりを見渡すとなんだかその弱さと強さは多くの場合トレードオフの関係にあるようで、ままならない。作品の内容の感想から乖離してる気はしてるけど、読んでいてそういう切なさを感じた。
▼テクノブレイク
存分にセックスを楽しんでいた恋人との心の距離がコロナ禍をきっかけにかけ離れていき、激辛料理とオナニーに依存する荒廃した生活へと転がり落ちていく女性の話。コロナ禍に限らずだけど、人の生活はほかと隔離され、あるいは自ら孤立し、あまりに個人的になりすぎると、加速度的にその傾向が強くなっていくものだと思う。それを特に象徴するのが部屋の荒れようで、激辛料理やオナニー依存よりはむしろその結果としての部屋の荒れ具合に主人公の生活のキツさを感じた。位置情報アプリが云々みたいな話はピンと来ず、かなり変な読み方をした気がする……。