金原ひとみのレビュー一覧
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考え方、性格含めて様々な登場人物がいる中で、それぞれの人物描写もとても詳細であることから、その人々が交わった時に起こりうる良いこと悪いことがとても現実感を持って感じられた。
「正しい」という基準は時代によって変わるのはもちろんであるが、同じ時代の中でも世代によって異なる。
その正しさをぶつけていこうとすると必ずどこかで無理が生じる。
本作の登場人物にもそれぞれのタイプが登場するが、世の中の人のタイプを極端にわけてしまうと大きく3パターンあると思う。
①この世の中の不条理が見えすぎてしまい、自分の正しさとの整合性がとれず、自分の正義をぶつけてしまう人。
②不条理は見えるが、正しさをぶつけても -
Posted by ブクログ
とても好みで面白かった!毎日同じような生活を送ることに何の不満もなく過ごしていて平穏を求めるところに共感。普段と少しでも違うことをすると自分にとっては一大イベントなのに、平木さんやまさかさんにとっては非日常が日常なんだなとギャップを感じるところにも共感した。自分よりも下な女が好きという夫とのじんわりしんどい結婚生活と、身も心もボロボロになっていた不妊治療、両親との冷め切った関係性などの過去の話を全て受け止めて肯定してくれるまさかさんの存在が唯一無二で羨ましかった。付き合うとなるとその先のことを考えなければいけない風潮があるし、結婚はもう懲り懲りで45歳という年齢の主人公にとってまさかさんと決め
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金原ひとみさんの作品は、ミーツ・ザ・ワールドが初でした。すごく好きな世界観で、私が今まで読んだ作品の中で、この世界観に出会ったことがなく、すごく感動したのを覚えています。
そこから金原さんのことが気になっていたのですが、この本を読んで自分とは生きてきた環境が全く違うことが分かり、自分と生きてきた環境が違う人がこんなに素晴らしい作品を作ってくださって、私は金原さんの小説を読むことができている、そして、作品に出会わせてくれた縁に心が震え、生きていてよかったと思えました。
この本を読んで、絶望と衝撃と光が文章に組み込まれているというか、言葉で表すのが難しいのですがそう感じました。
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金原ひとみさんの、20年分のエッセイ。
まだ尖っていて不安定な若者時代もいいし、育児とフランス生活にがむしゃらな30代もいいし、子育てが落ち着いて離婚して、好きな人と奔放に暮らす40代もいい。
作品を含め全てが魅力的な金原ひとみさん。
シトロエン公園について語った部分の表現が、妙に納得して好き。
「乖離なく生きているという実感」「土を触ったり雨に濡れたり、生き物を殺して捌いたり、何かを育てて収穫してりといった、生々しい体験に近い生活を送れる」
シトロエン公園は行ったことないけど、日本の特に都会で、何の役に立っているのかよくわからない仕事に追われているときに、海外ののんびりした所に行くとこうい -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
当時就活生だった女性が、10年前の大手出版社社員による性的搾取を告発した。現実に日々Twitterで起こりそうなことを克明に色々な立場から分析した思考実験のような話で、どの登場人物の言うこともわかる気がする。
芥川の方は各自のエゴにより出来事が歪められてどれが真実かわからなくなる話だったのに対し、こちらは事実関係には齟齬がないものの、時代の価値観の急激な変化とSNSにより出来事の意味合いが歪められた話だといえそうだ。木戸(50代後半)、長岡(43)、五松(35)、橋山(33?)、横山(28)、安住(23)、越山(17)のそれぞれの世代の立場が際立って面白い。
(被害者 -
Posted by ブクログ
いやぁ重たい。まぁ重たい。テーマが重い。気のせいか文章も重い。本も重い。
読書体験を擬人化しろと言われたら、
「金原さん…重くてこれ以上読み進めるのは自分にはキツイっす」
「てめぇの感想なんてどうでもいい!さっさと読めや、この読書インポが!」とケツを蹴られて、「すみません!すみません!」とヒィヒィ言いながら読み進める。そんな至福な読書体験。
はい。真面目に書きます。
この作品を読む前は、勝手に現代版の「藪の中」だろうと思っていた。しかし、読み進めていく内にそれだけじゃないのでは、と思っていった。
登場人物たちが「性加害」という「ヤブノナカ」に捉われ、翻弄され足掻いていく姿を描いている、と受け