【感想・ネタバレ】ミーツ・ザ・ワールドのレビュー

あらすじ

焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く・・・・・・。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は? 死にたいキャバ嬢×推したい腐女子――金原ひとみが描く恋愛の新境地。第35回柴田錬三郎賞受賞作!

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Posted by ブクログ

他人と分かり合うことの難しさ、いや、そもそも分かり合おうなんておこがましいということが、よくよく分かった一冊でした。
腐女子の由嘉里と、死にたいキャバ嬢のライ。
全く違う世界で生きてきた二人が出逢い、影響を及ぼし合い‥‥というお話だと思っていたら、そんな単純な物語ではなかった。
読んでみて思ったこと、感じたことはたくさんあって、色々書き残したいのだけれど、とても難しい。
どんなに言葉を選んでも誰かを傷つけてしまいそうで
躊躇してしまいます。
由嘉里も最終的に自分がライに対してできることは彼女を傷つけないことだけだと気付きます。
相手をどんなに愛していても、決して分かり合えないことがある。愛していることが相手を苦しめることもある。
自分以外の世界は、どうやったって理解できない。でも、理解できないけれども存在しているということは分かりました。
読んで良かった一冊。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お母さんと自己、自己とライの関係が近しいものなのではないかと気づく部分が面白かった。

自分の幸せを願っている母を疎ましく思ったように、自分もライに疎ましく思われている可能性はないだろうかと。

誰かを救いたい、幸せになってほしいという気持ちは誰もが誰かに抱くのだろうが。それは結果的に相手に負担となっている可能性がある。
「相手を傷つけないようにすることしか出来ないのかもしれない」というようなセリフが印象的だった。
本当にそうだよなぁと思う。

僕らは自己ロマンを他者に投影し、相手を救っているようで、結局は自己のためという利己的な生き物なのではないかと思う。

ライが元カレに共感し、もしかしたら主人公に共感できてなかったのもとても哀しいが事実なのだろうと思う。同じ境遇、思考回路のひとが相手に深く共感できるように。
目一杯に相手の背景を想像し、敬意を払いながら関わることしか僕らは他者と健全な関係性を紡ぐためには出来ないのではないかと思った。

**

失った人に対して、ちゃんと悲しむこと。
時間をかけること。その大切さを感じた。
それを許容した上で進むこと。すごく大切なことなのだと思う。

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2025年12月07日

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何らかの理由でいなくなった人が自分の中にいると温かい気持ちで読み終わったものの、それって嫌な奴も同じ……と不穏な考えが浮かんできた。

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2025年12月07日

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面白かったー。なんて優しい世界。この世界に合わなくてふっと消えてしまう人。でもその存在に救われる人。何とかしたいと足掻いたり、寄り添ったり。上手に言語化できないけど、良かった。金原ひとみがデビューした時、同世代だけど、その姿にも小説にも絶対に馴染めない人だなって思った。それが、40代になって共感できるようになるんだから。その面でも面白かった。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

腐女子苦手だから手に取るのを躊躇ったけど
映画の予告の花ちゃんを見て
読んでみようかな…って思った。
映画みてないのにゆかりんのセリフは花ちゃんで再生されてすらすら読めた。
個人的にアサヒがいい事言うな、って思った。
焼肉が食べたくなった。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

軽い気持ちで読むものではなかった。鉛のように重く、深海に沈んでいくような感覚。
舞台は新宿、キャバ嬢、ホスト、SNSで見ているだけの世界——私には関係ないと思っていた場所だ。
そこには「普通」とは違う生き方をする人たちがいた。フィクションのようで、どこかノンフィクションのようでもある。金原ひとみさんの言葉が、それをリアルに感じさせた。
この作品を読んで、私は知らなかった世界をほんの少しだけ知れた気がした。
でも、理解はできない。人はそう簡単に分かり合えない。十人十色とはよく言ったもので、“幸せ”の形も人それぞれだ。
重くて深い話だったけれど、なぜか少しだけ、この世界に行ってみたいと思った。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

登場人物の全員が生きづらさを抱えている。

生きづらさって比べられない。
容姿端麗のキャバ嬢に「あなたみたいになりたかった」と言う腐女子。
「あなたみたいになりたい」っていう「あなた」は幻想・妄想だよね。
「私の何を知っているんですか」ってドラマとかでもよく出てくるセリフのやつだ。

キャバ嬢ライは「死にたい」わけじゃないんだろうな。世界とは融合できない、無に戻るのが正しい感じ…だろうか。わかった気になるけど、これはライにしかわかんないのかもね。

金原ひとみさん自身も小中高生時代には生きづらさを抱えていたようで、「子供に向いていない人がいる」とお父さんに言われたのだそう。
「子供に向いていない人」って、ものすごくいい表現。さすが、金原さんのお父さん。私も幼稚園の時に、誰とも話す気にならなかったことを覚えている。笑。

心の病はすぐに良くなる人もいれば、何十年も良くならない人もいる。
理由なんてなくても、心を病んでしまう人はたくさんいる。
心の病は難しい。




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2025年11月05日

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ネタバレ

映画を見に行き、感動してを本読みました。
映画では省かれていた、アサヒと旅行の経緯や詳しい内容。ゆかりの同僚とのオタ活の内容。他にもユキとの出会い方が少し違っているなど映画を見てから本を読むとミーツ・ザ・ワールドの世界観により浸れる気がしました。

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2025年11月01日

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映画前に読もうと思い手に取りました。
人によって恋愛観も死生観も様々で、けれどそういった当たり前のことを忘れてしまい固定観念を信じる、現代の"普通の人々"に向けた作品なのかな、と感じました。
緻密な描写、理不尽な展開、ハッピーエンドではないけれど温かさを残した終わり方、好きが詰まった作品でした。

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2025年10月31日

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ネタバレ

彼女は私がこの人生の中で外から貼られたレッテルと自分で内側から貼ってきたレッテルの中で、過剰に卑屈になっている状態を「は何それ?」と思っているのだ。

「問題ない人なんてこの世界にいないよ」

「なんか、人に笑ってもらって、自分も笑って、そういうことでしか癒されないものってあるんですよね・・・」

ライとアサヒとオシンさんとユキさん
出逢えたからいきられた由嘉里。

いきていく世界と出逢えた。

グサグサ刺さりまくりながら、心をザクザク刺されながら生きていく。

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2025年10月28日

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消えた方が良いと思っている女性に助けられた腐女子の話。これまで彼女の人生には登場しなかった人たちとの出会いをきっかけに人生が進んでいきます。
人を好きになることや別れや死というものを登場人物たちが考えながら生きています。登場人物はとても優しい人たちばかりです。
自分は人の死や別れについては悲しくなるし怖いので考えたくないと思ってしまうタイプなので、日々こんなに真剣に考えて生きている人たちってすごいなと思いながら読みました。この本を読んでいつも考えたくないと思っていたことに対する苦手意識を少し減らせたように思います。

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2025年12月12日

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入りやすいストーリー。自分の価値観をぶち壊して踏み出したからこそ出会える人間関係。綺麗な終わり方だった。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

私の中で、「ブックスタンド使いながらドライヤー中も読みたい!となれば結構ハマってる」という基準があるのですが(笑)、本作はこれです(´∀`)

残りが15頁くらいになってきても、締め方が全く読めなくて。最後まで色々と予想をしながら読めて良かったです!

レビューで、「ライのスピンオフが読みたい」とありましたがとても共感しました。

金原さんの文体が好きで、「ナチュラルチキンボーン」を機に2冊目。まだまだ読みたい作者さんです♪♪

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2025年11月30日

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明け方の繁華街のような空気感だった。
実際、この物語には明け方の歌舞伎町がよくでてくる。
消えたかったライはこの物語で切り取った中では最初から最後まで幸せだったのではないだろうか。
私も消えたい人だからライの幸せがよく分かる。
そして、私が夜から朝の繁華街が大好きな理由がぎゅっと詰まっていた。
この空気感大好きだな。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

初めて金原ひとみさんの作品を読んで、ここまで詳細に主人公の心情を言語化する作者っているんだって思うくらい、細かく書かれてたからあー、こーゆー気持ちだったんだなって共感することができた。またクスッと笑える所がたくさんあったから死をテーマした本だけど読みやすかった。
金原さんの語彙力とか物事の考え方の概念が社会の枠に当てはまらない考え方で、自分の今までの概念が主人公のゆかりみたいにぶっ壊された。私の周りの友達は私と似た考え方の人が多いし、似た考え方の方が一緒にいて楽だけど、全く違う生き方をしている人と時間を共に過ごしたらゆかりみたいに考え方や生き方が変わっていくのかなって感じた。同じような人、全く違う人それぞれにそれぞれの良さがあるからこそ良いことも悪いこともあるんだよね、って思った。死を吸収と捉える鵠沼藤治(くげぬまとうじ)の考え方がすごく好き。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

 常識を軽々と飛び越え…などと書くと、個人的に村田沙耶香さんを連想しますが、金原ひとみさんの本作は、似て非なる常識の飛び越え具合で、その熱量は強く勢いを感じさせながら、見事な着地点を見せてくれました。

 歌舞伎町を舞台に、擬人化焼肉漫画をこよなく愛する27歳の由嘉里の新たな世界との出会いを描く物語です。
 登場人物は、理解し難い世界で暮らす全くもって意味不明な若者たちばかり。しかし、その思考や会話の端々に、ハッとさせられる部分が多々あり、単純にこの子たちを拒否できず、目が離せません。この価値観を揺さぶってくる会話に引き込まれます。

 腐女子で自分が好きになれず、将来への不安と焦りを抱える由嘉里が、これまで関わることのあるはずもないキャバ嬢やホストなどと出会い、「人を鏡として自分を映す」ことで、自分の姿やあり方を客観的に見つめ直していく展開です。

 由嘉里は、生身の人間と関わり他者を知ることで自分を知り、居場所を見つけていきます。そして、他者との違いを受け入れることで、自分を受け入れ変容・成長する物語でもあります。
 新たな"世界"との出会いは、何も歌舞伎町やぶっ飛んだ人たちという意味ではなく、究極は新たな自分との出会いだったのですね。

 全ての生きづらさを抱える人に、金原ひとみ流の寄り添いが感じられる作品でした。

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2025年11月12日

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ミートイズマインが読みたくてしょうがない
好きなことについて喋ると早口になるオタク気質、対象がたまたまアニメとか漫画じゃないだけであらゆることに対して自分はオタク気質だと思う
牛肉の勉強、食べ比べ

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2025年11月11日

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おもしろかった
価値観や考え方などまったく世界の違う主人公と仲間たちが、それぞれのために奮闘していく悲しくもあり、げんきつけられる作品

あるキャラが死体がでてきたことすら、蝋人形と思い込んで生きていく、死ぬとは世界に吸収されたと思うというようなセリフを言っていたが
死ぬことに関しての価値観も強烈に違うことに、新たな発見を感じた

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2025年11月09日

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熱中できる物事があるだけでゆかりは幸せだと思う。らいあさひおしんゆきに続け様に出会って、そのままの自分を肯定してもらえて人に可愛がられる才能がある人なんだと思った。

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2025年11月08日

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ネタバレ

終盤、由嘉里が、自分の「ライに死んでほしくない」という感情•行動は、半絶縁状態の母から自分への願いと同じだと気づき声を出し涙を流すところが悲しかった。本当に理解し合える関係ってあるのだろうか。理解できないことを知った上でただ一緒にいる、ただ思い合うことはできないのだろうか。やはり捻れ具合によるのだろうか。
由嘉里はライのどこにこんなにも惹かれたのだろう。腐女子であり恋愛したことのない自分に、寄り添うでもなく意見するでもなく、人や物に執着なく母と違って自由にただそこにいさせてくれたからだろうか。「自由を手放すのも自由」そのアサヒの言葉に頷いた。
アサヒの妻の印象が最後にガラッと変わり「え?」と声が出た。読んでいた自分にもバイアスが働いていたことを知る。
色々と考えさせられ、腐女子でもキャバ嬢でもないわたしだが他人事に思えない作品だった。映画もみてみたい。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

私とは縁がなかった世界に住む人達。人と人が出会って、関わりを持ち、それを持続させるということは簡単ではなく、まして、人を理解したり、助けたいなどと考えることは烏滸がましいんだろう。それでも、誰かを求めてしまうのは悪いことではないと思う。映画も是非、観たいです!

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

金原ひとみが名言マシーンすぎる。死生観にすごく共感できたのと、ゆかりんの置かれた境遇は割と胸に沁みた笑 でも、無理して普遍的な幸せを追い求めるよりも、自分の今の「幸せ」を大切にしたい。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

金原ひとみを読むのは初めてだった。ライを主人公にせずにずっと由嘉里視点で書いているのが良かったと思う。色々なタイプの人とそれぞれ分かり合えない(そもそも分かり合うというのがエゴ)描写が印象的。
タイミングが合えば映画も観てみようかなとも。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ゆかりと母の固定概念で物事を考える派とライ、ユキの物事の解釈を様々持ち執着のない生き方をする派をお互いが理解しようと行き来する。ゆかりは何度もライ達の意見に触れ偏見を持って接するいたことを反省するが、母親からされると理解が出来ない場面がとても印象的だった。どこまで行っても2人は1つにはならないからこそ何をするべきなのかを考えさせられた。
結末が若干残念だった。ライが心にいるのがハッピーなのかバットなのか。

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2025年10月29日

Posted by ブクログ

他者理解は難しく、しかしその姿勢は美しい。生と死について逡巡した結果、肉食いたくなった。好きなもの食って図太く生きていこうと思う。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

キャラクターが憑依しているかのような文体で1ページが濃密。想いが溢れまくっていた。主人公・由嘉里に関しての解像度の高さはお見事としか言いようがないのだけど、忘れ難いのはやっぱりライの存在で。Audibleの島袋美由利さんによる朗読も素晴らしかった。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

金原ひとみさんの転換点と思われる作品と聞き、たしかに私がもつ金原さんのイメージを大きく変えた「ナチュラルボーンチキン」に似た感覚であった。
ただ、「ナチュラルボーンチキン」のほうがひとつひとつの言葉や考え方にぐっとくるポイントが多かったのに対し、こちらは少し自分にとっての共感性が低かった。主人公のライへの盲目的な「愛」と推しであるM.I.Mへの盲目的な「愛」の双方に馴染みがなかったからかもしれない。でも、それこそ自分とは異なるワールドへ距離をとっている証拠であり、まだ自分が別のワールドに出会い共存することが感覚的にできていない証拠かもしれない。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生き辛さを抱えた人たちが、お互いに意識せず支え合ってる。そんな印象。
ゆかりがライに生きて欲しいと願い、色んなことをしようとする そこは純粋な思いを感じるけれど。なんて勝手なんだと思う気持ちもある。
それはあなたの自己満足でしょう。余計な事しない方がいいよ。って思う私もいる。
悩んでいるわけじゃない人に、自分の願望や希望を押し付けるのは やっぱり違う。
とはいえ、ゆかりの可愛い性格は私は好きだし、関わり合っていくアサヒやオシン達も好きだ。
みんなで、そうやっていつまでも暮らしていけたらいいのになって思う。
何はともあれ、推し がいるのって強い。
そう思った。私も推しが欲しいと。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

人のかたちは其々違う為、ぴったりと合うことは無いけれど、隙間を心地好い空気で満たすことが出来るならば、その関係性は幸せなのだ。腐女子が、歌舞伎町で希死念慮のあるキャバ嬢や寂しがりホストらと出会い、新しい世界に触れる。価値観を強要しない彼女達の関係性が、“正しさ”とされるものを優しく更新していくようで愛おしい。と同時に何処までも淋しい。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

初の金原 ひとみ作品。TV『情熱大陸』で興味を引かれ、映画も鑑賞して原作を読んでみたいと思い手に取りました❗️

読む前は金原作品を凄く硬い文章で読み難い作家さんかなぁと、勝手にイメージしていましたが、読んでみると割りとテンポ良く、自分とは無縁のその世界にどっぷり浸かることができました。

ゆかりんとライとアサヒ、ゆかりんとアサヒとオシンとユキ、それぞれ一緒にいる時間ををもっと読んでいたいなぁーと思ったけれども、これくらいが丁度いい長さなのかなぁとも思っています。

ゆかりんのライに対する行動はお節介で、少しダサいと思うけれども、決して嫌いなキャラクターではありません❗️

個人的には、ライ目線のスピンオフなんかを読んでみたいなぁと思ってしまいます。

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2025年10月30日

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