金原ひとみのレビュー一覧

  • YABUNONAKAーヤブノナカー

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    2025!な本だった。各登場人物の視点で描かれる性被害の内容は、どれも納得感があって、そりゃそうだよなと思ってしまった。本当に悪気があってやったこと以外に、本当に100%自分が悪いことなんてないのかもと。自分の言い分が介入することなんて当たり前で、その言い分も、相手がこうしたからこうと少しの言い訳をひっくるめて行動してるんだもの。どの言い分と真っ当に感じて、自分が気持ち悪くなったりも。立場を変えるだけで納得できてしまって、所詮自分も相手も人なんだなと、社会の様相や価値観が少しずつ変わってもそれについていける人といけない人、そしてその価値観が入り混じった状態がずっと続くのだもの、と。なんだか言葉

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    2025年11月24日
  • ミーツ・ザ・ワールド

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    軽い気持ちで読むものではなかった。鉛のように重く、深海に沈んでいくような感覚。
    舞台は新宿、キャバ嬢、ホスト、SNSで見ているだけの世界——私には関係ないと思っていた場所だ。
    そこには「普通」とは違う生き方をする人たちがいた。フィクションのようで、どこかノンフィクションのようでもある。金原ひとみさんの言葉が、それをリアルに感じさせた。
    この作品を読んで、私は知らなかった世界をほんの少しだけ知れた気がした。
    でも、理解はできない。人はそう簡単に分かり合えない。十人十色とはよく言ったもので、“幸せ”の形も人それぞれだ。
    重くて深い話だったけれど、なぜか少しだけ、この世界に行ってみたいと思った。

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    2025年11月13日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    ネタバレ

    変わらないもののないこの世界を生きるのは苦行に等しく、これは変わらないという何かを信じたい気持ちに、常に誑かされ続けている。

    私はこの子に他者という存在を教えられたことを実感する。

    否定も肯定もなく、すぐそこに自分とかけ離れた他者が存在するという事実に、私はどれだけ苦しみ、どれだけ救われてきたか分からない。

    最高すぎて、泣いた。泣きながら、読んだ。あの日、泣く我が子を抱きながら恐れおののいたこの子を生かしていく事はできるのか?という恐怖は今も忘れられない。また、思い出して、泣いた。そして成長していく頼もしい我が子に、私も救われている。

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    2025年11月13日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    エッセイ?小説?となるようなものが混ざりきってるからどれが金原さん自身の話なのかわからなくなって混乱する、私小説?と思っちゃうようなものもたくさんあるから。
    最初の母親というペルソナがやはり素晴らしい。私も1人の子の母になったから尚のこと響く。それからずっと死にたい死にたいというエッセイが続き、元夫と別れまで怒涛のように駆け抜けてる。この人ほんとどうなるんだろ

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    2025年11月12日
  • ナチュラルボーンチキン

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    毎ページマーカーを引いてしまいそうだった。でも読み終わって、一番好きなページはというと「見てくださいよこれ、楽しくないですか?」と呼びかけから広がるあの楽園のようなバルコニーのシーン。その序盤のこれからヒラキナオリとハチャメチャとワクワクがはじまる!!と思いきやそこから知り合う男性カサマシとの話にシフトしていく。もちろんカサマシとの話が積りに積もるからこそマーカーを引きたくなるページが増えて行くのだけれど、このつまらない世界から引っ張りあげたヒラキナオリがだんだんモブ化していったのが物足りない…やっぱりもっとヒラキナオリとのデコボコ友情を読んでいたかった。
    というのも、別に異性の恋人ができよう

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    2025年11月11日
  • 軽薄(新潮文庫)

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    金原ひとみさんばかり読んでしまう。
    こんな作品も書けるんだ!
    これまでに読んだ2作品ほどグロくないし、すごく好き。

    歳をとるとそつなくこなせることが増えるから傲慢になるけれど、本当はできることは限られていて、その限られた中で何が1番大切か考えなくちゃいけない。と気づける人は自由になれるのかも。
    子供の頃できていたのだから、きっと私たちにもできる。
    結婚してようがしてまいが、30近い女は反省ばかりしてるんですね。

    自分のことが客観的に見えているくせに感情に流される人たちを見るのが気持ちよくて気持ち悪くて癖になる。
    最初に読んだのが憂鬱たち、だからはまったのかも。
    憂鬱を気怠げでかっこいい音楽

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    2025年11月09日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    著者の作品で主人公になりがちな厄介タイプがママとして脇役に収まり、明るく健康的な娘目線で描かれているのが斬新。
    冒頭でママと上手く会話出来ないと嘆いているが話が進むにつれ深く納得していく。そんなママとも仲良く過ごせる主人公のコミュニケーション能力は流石。

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    2025年11月07日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    読んで確信。金原ひとみさんが好きだ。
    初っ端から『「母」というペルソナ』に撃ち抜かれる
    初期の繊細で孤独で自分を傷つけようとするエッセイも、出産子育てで惑い癒しを求めて創作するような感覚も、自分を取り戻しつつ昔の苦しみに再び対峙する現在も、金原さんの価値観が好きだ。
    同時代を生きる同世代の同性として、生き方は違っていても、あるがまま生きていくしかないっしょ!って居酒屋で友達と話していると錯覚する
    高らかに人間讃歌をするわけでもなく、そこにいるお互いとして色んなことを抱えながら生きるリアルが好き

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    2025年11月07日
  • アンソーシャル ディスタンス(新潮文庫)

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    ネタバレ

    〜1周目〜
    2024.04.29
    女の小説という感じ。
    女の人はどこかしらに、何かしらに依存していて、それが人なのか、モノなのかは人それぞれ。
    心の拠り所を失うときには他にも綻びが出て、生きていけなくなる。
    生きていくのが怖くもなる、身の回りの物語なのだという感覚になった。

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    2025年11月04日
  • ミーツ・ザ・ワールド

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    登場人物の全員が生きづらさを抱えている。

    生きづらさって比べられない。
    容姿端麗のキャバ嬢に「あなたみたいになりたかった」と言う腐女子。
    「あなたみたいになりたい」っていう「あなた」は幻想・妄想だよね。
    「私の何を知っているんですか」ってドラマとかでもよく出てくるセリフのやつだ。

    キャバ嬢ライは「死にたい」わけじゃないんだろうな。世界とは融合できない、無に戻るのが正しい感じ…だろうか。わかった気になるけど、これはライにしかわかんないのかもね。

    金原ひとみさん自身も小中高生時代には生きづらさを抱えていたようで、「子供に向いていない人がいる」とお父さんに言われたのだそう。
    「子供に向いていな

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    2025年11月05日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    大好きな金原ひとみ様。読んでてずっと"楽しい"って感情になれて、最終章はなんか熱くなって感動すらした。 ママは今の私に似てるけど、レナレナは中高生の時の私に似てるから、あの2人はそっくりだと思うし、レナレナも大人になったらママみたいになると断言します!!笑
    学生の時の自分&友達思い出しながら共感して読めたり、ママの意見に唸ったり、楽しい作品すぎ!

    『腹をいっぱいにして、もう二度とお腹が空くことはないんじゃないかと思っても、お腹は空く。だとしたら、今は会いたくないと思ってる駿くんが、やっぱり話を聞こうと思ってくれることだってあるだろう。』

    『距離をとってくれた人とかもいて

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    2025年11月02日
  • ミーツ・ザ・ワールド

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    ネタバレ

    映画を見に行き、感動してを本読みました。
    映画では省かれていた、アサヒと旅行の経緯や詳しい内容。ゆかりの同僚とのオタ活の内容。他にもユキとの出会い方が少し違っているなど映画を見てから本を読むとミーツ・ザ・ワールドの世界観により浸れる気がしました。

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    2025年11月01日
  • ミーツ・ザ・ワールド

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    映画前に読もうと思い手に取りました。
    人によって恋愛観も死生観も様々で、けれどそういった当たり前のことを忘れてしまい固定観念を信じる、現代の"普通の人々"に向けた作品なのかな、と感じました。
    緻密な描写、理不尽な展開、ハッピーエンドではないけれど温かさを残した終わり方、好きが詰まった作品でした。

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    2025年10月31日
  • ナチュラルボーンチキン

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    本屋さんで見かけて気になった。読んでよかった。
    平木さんみたいになれたらなって思う一方、元夫との思い出が自分の今と重なって見えた。不妊治療の気持ちとか流産の気持ちがまるで自分が感じた気持ちのようで読んでいて泣いてしまった

    希望

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    2025年10月19日
  • ナチュラルボーンチキン

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    新しい世界を見せてくれーー。ルーティンを愛する45歳事務職×ホスクラ通いの20代パリピ編集者。同じ職場の真逆のタイプの女から導かれて出会ったのは、忘れかけていた本当の私。

    感想
    "20代の視点から40代の価値観を覗くような感覚が面白く、
    恋愛経験の有無で感じ方は変わるが、
    年齢を重ねるほど主人公の価値観がより理解できそうな一冊。"

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    2025年10月18日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    本当に好きなタイプの本。
    特に現代の母親にはものすごくささると思うし、あの時間をこんなにも言語化してくれて、本当に素晴らしいと思う。
    掌編小説もパラパラと好きなところから読み出せるし、この本はずっとずっと大切にしたい。
    欲をいえば、あとがき、みたいなものを期待してしまったけどないほうが、やっぱりいいのかなとも思う。

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    2025年10月16日
  • 踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君

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    名文のなかの名文「母」というペルソナで始まる構成がにくい!全人類に刺さるところがあり、当時妊娠中に朝日新聞掲載のこの文章を読めた私は、産後も事あるごとにこの文章を繰り返し読んでは救われてきたので、本という形に残ってくれて感謝の気持ちでいっぱい

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    2025年10月16日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    再読。
    不思議なことに、このたった一年半で刺さる文章が少し違っている。
    それでもこの本が私のお守りであることには変わらない。
    そして、新刊エッセイを早く読みたくてウズウズしている。

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    2025年10月11日
  • アッシュベイビー

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    案の定、レビューの評価がめちゃくちゃに割れていて、思わず笑ってしまった。

    それを書いてしまうのか、という驚きのある作品だった。テーマのキツさはあるが、文章が巧いので、読まされた。

    狂った小説を読みたいときにオススメ。

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    2025年09月30日
  • 憂鬱たち

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    元気の出る一冊。あふれる憂鬱と妄想をきびきび捌けていく言葉が痛快だし、気安いノリとちょっとした口の悪さもいい!
    そしてその奔放な自意識が、臨場感や連なりを保ったまま言語化され、論理でないところにテンポよく構築されていくさまにも惚れ惚れした。これがグルーヴ感というやつ??好き。

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    2025年09月28日