金原ひとみのレビュー一覧

  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    平野啓一郎氏の「文学はなんの役に立つのか」の中で紹介され、興味をそそられ手にした一冊。金原ひとみ氏の名前は若くして芥川賞を受賞されたこと、「蛇とピアス」というキャッチーなタイトルで記憶に刻まれてはいたものの、自分のジャンルではないのかな…好奇心は持ちながらも手にすることはなかった。

    一人称で語られる自身のリアルな体験、心象風景を綴ったエッセイ小説…
    物書きとしてパリで暮らす日常から見えてくる、夫婦、親子、仕事….
    フランスで暮らす文筆家といえば辻仁成氏が思い浮かぶ。一見の旅行者にとっては憧れのパリであるが、実際に家族で生活者として居を構え、異文化の中で出会う人々、発見、トラブル、心の葛藤…テ

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    2025年10月09日
  • ハジケテマザレ

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    文章量は多いけど全然重たくない。
    イメージとしては灯りを消した飲食店のキッチンにスポットライトが当たってる感じ?でそこだけパッと明るくて楽しい職場なんだろうな、わたしもこういう職場に出会いたいな

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    2025年09月29日
  • 蛇にピアス

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    嫌悪感。冒頭から感じたのは、まず何とも言えない気持ちの悪さだったと思う。自分は何にゾワゾワしているのか分からないでいたが、だんだんと“痛み”を選択する(した)姿だと気づいた。身体改造という「何故わざわざ痛い事を選択するのか?」という、自分の理解を超えた存在に対する畏れ。理解の範疇にないから、自分の“相手ならこう思うのでは?”が通用しないことが怖いのだと思った。
    しかし、自分の理解の範疇にいる人間なんてそもそもいない、ということにも気付かされる。

    文体は非常に読みやすく、スルスルと引き込まれていく。最初は作品のテーマにオドオドしながら読んでいたが、次第にアマとルイの“脆さ”や“危うさ”と怖いく

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    2025年09月28日
  • アッシュベイビー

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    一気に濁流に飲み込まれるような小説だった。この一冊でトリップできてしまう。

    愛に飢えて歪んでいく心理描写がリアルだった。辛くて痛い。わかるなー。

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    2025年09月23日
  • 私の身体を生きる

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    ラジオでも話題になっていて手に取る。著者たちの年齢がほぼ年下であるということに気づく。語ることのタブーがいろいろと無くなったけれど、文筆業である以上、読み手を引き付けるプロ意識が見え隠れしていて面白い。

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    2025年09月16日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    発売当初の自分が母親になっていない状況で読んだら、また違った感想を持ちそうだけど、母になって8年経っているとなんかもうヒリヒリするくらい3人の気持ちがわかって。
    赤ちゃんから3歳までの育児って孤独も感じるし、しんどいし、ちょっとでも母親が気を抜けないというか思い詰めちゃう感じは往々にしてあり、真面目すぎる母親はきついなと思う。
    だからといって、不倫していいとか虐待していいとかクスリやっていいというわけでもなく。
    でも母親が発散させる場所は絶対的に必要なんだよな。
    五月は弥生を亡くしたし、涼子は一弥と離れて暮らし、ユカは再婚相手との2人目の子どもを妊娠しているって不思議な結末で、でも因果応報とい

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    2025年09月15日
  • パリの砂漠、東京の蜃気楼

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    文章から彼女特有のひりしりした感触が伝わる。フランスにいても日本にいても、生きることに苦しさを覚えながらもがいて生きている彼女の人生が垣間見える作品。また彼女の周りには浮気をしているあるいはされた登場人物がたくさんいるようだ。

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    2025年09月15日
  • ハジケテマザレ

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    直前に別冊ダヴィンチの解体全書を
    読んでいたので、より楽しく読むことが
    できました。
    普通に悩んだ学生時代だったけど、
    普通って大事、大人になってより思います。
    登場人物がトリッキーだし、
    金原さんの重くなーい小説は
    ポテチのように読めてしかも楽しい。
    楽しい!!をたくさん味わえた本でした。

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    2025年09月12日
  • 腹を空かせた勇者ども

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    お母さんおもしろすぎる、正反対っていうよりはこの親にしてこの子ありだと思う。
    そして主人公陽キャすぎる。

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    2025年09月12日
  • 蛇にピアス

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    剥き出しの痛みに思わず目を背けたくなる。
    その痛々しさの前で、自分の心がいかに健康であるかを確かめることができた。けれど同時に、普段触れることのないアングラな世界に心を揺さぶられ、どこか湧き立つ自分もいる。

    ルイは、出会う人が少しでも違えば、どちら側の人間にもなり得たのではないかな。しかし実際には―酒の量、食べるもの、足を運ぶ場所、性交の相手。その一つひとつがわずかに不健康であり、その不健康を積み重ねていくうちに、ついには引き返せない地点にまでたどり着いてしまったかのよう。
    元来の性癖が、その歩む道をさらに厄介にしているのかもしれない。ルイの性癖が不健康を呼んだのか。それとも、不健康な日常が

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    2025年09月08日
  • 私の身体を生きる

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    赤裸々に語られる身体についてのエッセイ。
    それぞれに身体の事情を抱えて生きているのだなあ。女性の場合は嫌な目に遭う機会も多くて。

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    2025年09月05日
  • 憂鬱たち

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    ダークなのに爽快。イライラ、モヤモヤ、暗さがある時にハマる本だと思う。
    序盤からずっと不思議な爽快感、次から次へとやってくる摩訶不思議なストーリー展開にどっぷりはまってしまった。
    読んだあとしばらく余韻を残すくらいは濃厚でブラックな世界観。
    だけどなぜか嫌な感じはない、むしろどんどん読みたくなってしまう文章。
    現実世界から切り離されたところにいるような主人公、そしてストーリーにはどこか救われる感じがする。
    タイトルの憂鬱たち、に惹かれたら読むのがいい。

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    2025年09月02日
  • アッシュベイビー

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    狂気に満ちた異常な愛と欲望の物語。
    全編主人公アヤ視点で進行し、そのほとんどがアヤの心理描写となっている。また章分けなどもなく冒頭からラストまでで一つの構成である。
    登場人物全員が欲望に狂っているが現実も似たようなものかもしれない。
    アヤの異常なまでの愛情への執着は、多くの矛盾をはらみながら、また極端に歪だが美しいほどの表現力で描写されている。
    一方でホクトについては異常性欲とアヤからのプレゼントを含め胸糞が悪くなる。
    まさに現代文学といった作品だが、文学にしてはかなり読みやすく、大長編でもないので読んでみてもいいかもしれない。とはいえかなり人を選ぶのでおすすめはしない。

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    2025年09月01日
  • 蛇にピアス

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    すごかった。

    超有名作品だけど、スプリットタンや刺青、アブノーマルセックスという程度のことしか知らなかった。だからキワモノ的なイメージを持ってた。

    読んでみたら、そんなこと全然ない。もちろん特殊な人たちの話っていう印象から入るけど、読めば読むほど、人間同士の関わりとそこからの感情が読みやすく描かれていて、惹きつけられる。

    芥川賞作品は170ページくらいの短いのが多いけど、本作は114ページとさらに短い。サクッと読めるのに、読後感はずっしりしっかり。

    10代にしか書けない作品ですね。

    村上龍の解説も読む価値あり。芥川賞の選考から小説での表現に至るまで、とても良かった。

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    2025年08月31日
  • 私の身体を生きる

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    女性たちによる性のエッセイ集と聞き、女性あるあるやフェミニズム的な問題提起を想像したが予想外だった。
    冒頭の西加奈子はフェミニズムへのお誘いに近いニュアンスを感じたが、続く村田沙耶香で一気に個人の話となる。
    その後も個人的なテーマを書く人が多く女性同士だけど違うのは当然、そもそも理解不能だったりする。
    でも不思議だなと思いながら読む理解不能の中に、少しだけ自分の面影があると仲間を発見したような安心がある。
    私だけの大切な話を自分も整理して書いてみたくなったり、男性バージョンも読んでみたくなった。

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    2025年08月27日
  • ナチュラルボーンチキン

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    ネタバレ

    こちらの本の感想を見る機会が多くて、内容含めて気になっていましたが、なんせ「蛇にピアス」の作者である金原ひとみさんが書いたということで、若干尻込みしてしまいました( ´ー`)フゥー...
    結婚→不妊治療→離婚の暗黒鬱々したところがあるぐらいで、あとは、ほっこりだった。

    『自分には唯一無二性が無さすぎ、自分の人生には意味が無さすぎる、という事実の裏返しでもある。…まさかさんと蟹を食べることに異論はない。私はまさかさんと蟹を食べるだろう。何より蟹は美味しいし、何を差し置いても食べたいものの一つだからだ。』

    着る服も食べるものもルーティン化して決めてしまえば、後は流されるように過ごすだけ。そうや

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    2025年12月06日
  • 私の身体を生きる

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    出産入院中に読むか〜と購入。
    スカート履くのが嫌で泣いてた自分が出産か〜、、、という気持ちにマッチするエッセイがいくつか。

    自意識についてがテーマなので当然っちゃ当然なんだが、「こういう私、どう?」が何気ない振りして3日目の経血くらい滲んでる文章も結構あったなかで、(そのヤンキーという修飾語いるか?みたいな)藤原麻里奈、すごすぎる。
    女を捨ててるのに"女なのに"のリングの中で評価されることに気持ちよさを感じる、ってところ、こんな素直に自分の欲求捉えられるのすごすぎる。(2回目)
    自分も自分しか見ないような日記ですらすぐ滲ませちゃうので、ああいう文章を書けるようになりたい。

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    2025年08月20日
  • 私の身体を生きる

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    このくらい、身体とは何かを強く感じ、自分自身の身体を感じる本が私にはひつようだった

    リレー形式ならでは、最後の方、「私の身体を生きる」ってなんやねんって議論が進展していくのが最高だった

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    2025年08月19日
  • GOAT meets01

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    はじめて文芸誌を隅から隅まで読んだ。

    良い意味でハードルが低く、ここから文芸誌を手に取る人もたくさんいると思う。
    小学館さん凄いことやってます!!!

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    2025年08月13日
  • マザーズ(新潮文庫)

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    子どもを同じ保育園に通わせる3人の母親目線で
    それぞれ話が進んでいく。
    3人の母親は環境も違ければ、職業も違う。

    600頁越えと中々にボリューミーな本書だが、
    物語に引き込まれていった。

    虐待描写や性描写などが鮮明に書かれているため
    読みながら息が苦しくなった。
    でも、子どもを育てたことのある母親なら
    共感できる部分が多いのかもしれない。
    1人の子どもを育てる母親は本当に強くて
    愛情を強く持っていることに改めて感じた。
    反対に憎しみも。

    子どもを育てる時には母ひとりでは限界がある。
    周りの協力が必要不可欠だなと痛感した。

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    2025年08月09日