金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ45歳、独身、労務課勤務。
主人公・文乃の生活は、鉄壁のルーティンで守られている。感情を揺さぶられないよう、傷つかないよう、時間を効率的に消費する日々。それは一見、平穏で洗練された大人のライフスタイルのようだが、著者はそれを「緩やかな死」として冷徹に描き出す。
この物語の凄みは、その静寂な「防衛的ミニマリズム」の世界に、平木直理というZ世代の「ノイズ」を爆音で投げ込んだ点にある。
ホスト、バンド、無鉄砲な言動。文乃が必死に排除してきた「無駄」や「非効率」なものたちが、彼女の完璧な聖域を侵食していく。しかし、その不快なはずのノイズこそが、実は彼女の止まっていた心臓を再び動かすためのAED(自動 -
Posted by ブクログ
おもしろかったー!けどどっと疲れた……。
性や権力にまつわる加害や搾取の構造を芥川龍之介『藪の中』スタイルで描いていく。
この作品を読んでいると、「本当の自分」や「真意」なんてものはそもそも存在せず、人は曖昧な自他評価とグラデーションでできている、と思わされる。
様々な世代や価値観の人物が登場し、どの登場人物にも共感できる部分とできない部分が設定されている。登場人物の言説へのリアクションで自分が解剖されていくように感じる。一番属性が近いはずの長岡友梨奈は、毎度推敲された文章のようなせりふを長尺でしゃべるので、一番読みづらく、逆に木戸悠介の虚無的な語りが一番読みやすかったりするので、自分がこわ -
Posted by ブクログ
愛と性、結婚と離婚など男女の関係について考えさせられる内容だった。
本書の6つの短編はどれもどことなく不安定で儚さが感じられる。ちょっとしたきっかけで全てがガラガラと崩れてしまいそうなギリギリのバランスで保たれている。
もっと現実は違うという気持ちとこんな感じでいつも不安定なのかもしれないと自分の気持ちも複雑であることを改めて思う。
『献身』にあった「今私は自分が、自分自身に固く拘束されていて、でも途方もなく自由だと感じる」のフレーズにはなぜか非常に納得できるものがあった。
本書の中では『仮装』が一番好きな話だった。子供を愛する気持ちと子育ての苦労から解放されたい気持ちとのバランス、そして -
Posted by ブクログ
グロい。想像力が勝手に働くのを無理やり抑えないとページが捲れない。ここで描かれている人体改造は今流行りの承認欲求からくるものではなく、人間であることや、生きている苦しみからできるだけ離れようとするものである。痛みを伴うごとに超人化していくのが、登場人物にとっては快楽だったのかもしれない。痛みを感じることは非常に人間的なのに、痛みを乗り越えた後はますます人間が近づきがたくなる姿に変貌する。ふたつの姿の境界を行ったり来たりする世界に、彼らは生きている。
アマが亡くなってしまうときに、ルイに身がちぎれるほどの苦しみが襲うとき、ああ、まだルイは人間だったんだと気づく。人体改造では得られない精神的な苦痛