金原ひとみのレビュー一覧
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エッセイと掌編がごちゃ混ぜの構成で、エッセイ?小説?とどちらとも取れるような内容のものもあった。
それだけエッセイと小説の雰囲気が似ている。
とにかく感情が勢いのまま溢れ出しているみたいな文章。
恋愛感情も、嫌い、嫌だという感情もすごく豊かな人なんだなあと感じた。
わりと淡々と物事を受け止めてしまう私と、対極にある人だなと思う。
物事に対する考え方とか姿勢、行動のパターンというのか、とにかく私と全然違う。
でも自分の内なる感情をこんなに分かりやすく言葉にして伝えるって凄いことだよなぁ…と感心した。
『「母」というペルソナ』に共感する人も多いみたいだが、これも私にとっては、斬新というかなるほど -
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
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初の金原 ひとみ作品。TV『情熱大陸』で興味を引かれ、映画も鑑賞して原作を読んでみたいと思い手に取りました❗️
読む前は金原作品を凄く硬い文章で読み難い作家さんかなぁと、勝手にイメージしていましたが、読んでみると割りとテンポ良く、自分とは無縁のその世界にどっぷり浸かることができました。
ゆかりんとライとアサヒ、ゆかりんとアサヒとオシンとユキ、それぞれ一緒にいる時間ををもっと読んでいたいなぁーと思ったけれども、これくらいが丁度いい長さなのかなぁとも思っています。
ゆかりんのライに対する行動はお節介で、少しダサいと思うけれども、決して嫌いなキャラクターではありません❗️
個人的には、ライ目 -
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バツ2の子持ち作家。そして恋愛体質。会話も心の中も全て語彙力があり冷静に自分の気持ちや考えを綴る(そりゃ小説だからそうだけど)その部分に聡明さを感じるというか理性的な人に感じるけどそんなことはなく結構メンヘラ気質で不安定。
上手く行ってる作家で料理にもオシャレさがありデリカシーのない元旦那と繊細で寛容な若い彼。そんな設定が多い(金原さんの作品で印象に残ってるのがこれ系統なのかもだけど)上に巧みな描写力でなんだかもう金原さんのエッセイなのかそうではないのか分からなくなってくる。
金原さんのエッセイ読んだ時も小説かな?と思うような感覚だったから境目を感じなくて混乱してくる。
最近読んだヤブノ -
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蛇にピアスという本をずいぶん前に読んだことがあって、(この読書メモにないっていうことはほんとにずいぶん)しかもおもしろかったのかもそうでなかったのかも覚えていなくてドキドキしながら読みました。〜で〜で〜で〜でなどの繰り返しが多くて初めは暑苦しく感じましたがそれもだんだん慣れてきました。
終わりの部分での主人公の過去の思い出しはかなりびっくりで、え〜!そうなるの?という感じで、男性にとってはこれはトラウマになるような大きい経験だったのではないでしょうか。
小説としては読みやすい、そして筋書きもわかりやすいワタシ向きのものだったと思います。 -
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思考を巡らせてもどうせ何か見覚えのあるストーリーにのせてベルトコンベアの上を運ばれていくだけなら、ドパミン放出を道標に、何をどうしたいのかわからないけど何かをしている状態で生きていてもいいよなあとは思うのだけど、
実際はわたしみたいな社会不適合人間は社会に適合する形で守られないとダメだなという思いが強まった
退屈で演技くさくて茶番だけど、これが1番の安全策
結局やりたいこともやりたくないことも自分の意思の本物らしさを信じきれないのであれば、世間に伺いを立てながら飼い慣らされる方が楽
下手に抗おうとすると、その抵抗するスタンスが自分の意思らしきものの形成に大きく関与してしまって逆に支配される構造 -
Posted by ブクログ
どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうした
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真奈実の気持ちわかるなあ
生々しい感情をむき出しにして、その感情を主題にした演技くささの残る劇に登場しなきゃいけないのは嫌だ、自分が役者であることすら完全に忘れて生身で空気に触れているのならむしろ楽しいけど
だいたい自分を外側から見る視点が消えない
p77「暴力というのはその真骨頂で、こちらにとっては痛みよりもその暑苦しさのほうが地獄なのだ」
暑苦しさから逃れたくて涼しい観客席に避難するような生活を送っている
感情を持つというのは偶然なのか必然なのか
必然と感じて理由をこじつけて納得しようとしたり今までの経験を振り返って根拠を模索したりするが、そう感じるような反射づけが環境によって偶然生じた -
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憂鬱な女性“神田憂”の、現実と妄想を行き来する7つの短編集。
各短編には、同じ名前を持ちながらも別の職業に就いた男たちが現れ、彼女の憂鬱に拍車をかける。驚いたのは、これらが数年をかけて雑誌や媒体で発表されていたことだ。その間に作者は私生活で変化を経験したはずだが、スタンスは一貫して揺らいでいない。そこにこそ金原ひとみの「らしさ」があるのでしょう。
地頭の良さ、家庭の背景、美しさ。そうした彼女の資質を前提にしてこそ、この露悪的で反抗的な文体は文学として成立しているのかと思う。
私には共感できる部分は少ないし、嫉妬も感じるが、思考の暴走、現実感の歪みに 作者の魅力があるのかなと。