金原ひとみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
良い本を読んだ。としか言えない。今まで、純文学、ジャンル小説から離れた作品は精神論や観念に尽きるものだと思っていたが、この作品によって覆された。
やはり女性の内面を百ページ超書き続けるのだが、この作品はその内面と彼女を取り巻く外からのさまざまな影響がうまく絡み合って、お互いをぼこぼこと変形させていく様子が読んでいて爽快だった。主人公のグロテスクな隠しごと、彼女が自分に分かりやすいよう周囲の人間をラべリングしていくがとらえきれていなかったところなど、人間が面白いとおもえる小説は久々だった。
なんといってもラストの見開きページは圧巻。
一人称視点だが、必ずしも主人公が正義だと感じられなくなるというのは、凄い技術と才能だと思った。 -
Posted by ブクログ
約4分の1日で読み終わってしまった。短さだけがその理由ではない。会話のテンポの良さだけがその理由ではない。いろんな要素が絡み合って、ページをめくる僕の手を急かすんだと思う。
「痛い恋愛小説」これが僕の一言感想。主人公の女性モデルは写真家と同棲していて、物を噛んでは吐き戻すという行為を止められない。異常に低い体重を維持するためだ。ある時、彼女は自由奔放なバンドマンと出会い、彼に惹かれていく…。決して突飛なストーリーじゃない。でも、どんどん読んでしまう。主人公の衝動的で反理性的な行動に、何故かちょっと共感してしまう。共感する僕はちょっとアウトローな人!? -
Posted by ブクログ
今日読み終わった!
この人は蛇にピアスが出た時から綿矢りさ、島本理生と共にあたしが気に入った物書きでした。
アッシュベイビーの時にちょっとがっかりしたけど、今回は新しい!ウデをあげたっていうのをもろに感じました。
退廃的で「仕組まれた不快感」に喰われるのは分かっていたけど(それは同期の男性作家だって何人もやってるはず)、今回はちょっと哲学でした。
登場人物や場面、場所は少なく単調で、決して描写や展開が見やすいわけじゃない。
でも、カフカとは少し違う、シュールレアリズムでもないなんか新鮮な角度を見た、っていう。しかも、それはあたしたちとはそう遠くない、ギリギリ錯乱って感じだった。
でも自分が元気ないときに読むと病んじゃいそう笑
あと冒頭の怒涛のリズムに当たると「計らい」って言いたくなりますw
もう1回なら読み返してもいい本。 -
Posted by ブクログ
表紙が美しかったです。重い仕事がやっと終って、なんとか本の感想を書く余裕ができた。ずっとモニタに向き合ってるから。なんだかもういやでねえ。つうか、全然本の感想になってないし。いちばん気になったことは、アトガキをかいていらっしゃる瀬戸内先生が「松本」とロッカーの名前を間違えていること。「松木」だよ。どうして、編集者はつっこんでうやらんのか?というか、原稿変えちゃだめなのか。というか、それすらも瀬戸内先生の味なのか。金原さんの本はいつも主人公が美人なんだなあと思う。やはり、食べものに対する書き方がグッと迫ってきます。食べ吐きとかしたことはないけれど。自分の居場所がどんどんなくなる感じ。不快と快がわからなくなる感じが透明感を持ってうまくかけているなあと。
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ネタバレオーディブル読書。
何を伝えたいのかは分からなかった。
今の自分には全く知らない世界。住む世界が違うってやつ。
いろんな男と寝ているルイ。
痛みで生を実感している。
アマは、普段はとっても温厚だけど、暴力性を秘めていて本質が分からない。
一番分からないのは、シバさんか。
すっごいSだっていうのは分かるけど、アマを殺したのはシバさん? なんで?
ルイにアマを殺したのは自分だと知ったときの反応を見たかったとか?
もし本当にシバさんがアマを殺してたら、いつかは警察に捕まるよね。あんなに証拠が出てきてるし……。
うーん、分からん。
でも、シバさん目線のストーリーも見てみたい。
興味があるって、生きるには大事なこと。
生きたいと思わなくなった人の活力を戻すには、どうしたらいいのか。
ルイが言ってた、死ぬくらいなら抱かれるのか、抱かれるくらいなら死ぬのか。どっちが健康的なのか。それはもう、その人の信念というか、プライドの問題だよなぁ。
なんのために生きてるとか、生きなきゃいけないとか、そういうことじゃない気がする。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアバンギャルドな若者の青春物語という点で、村上龍の系譜にあるのは明らかだけど、『限りなく透明に近いブルー』より狭い範囲の物語だなと感じた。主に3人の関係性が描かれる。
いちばん賛否が分かれるのはラストのルイ描き方が、「深みにハマったことに気づいてない」のか「新しく前に進むことへの象徴」なのかというところだと思う。
僕は後者だと思うけど、ボロボロになって殺されたアマと、それをやったのがシバさんだということにに対してそんなに受け入れられるのか…?と思う。
警察にバレたみたいな話も、全部ルイを手に入れたい、かつアマを殺したいシバさんの嘘の可能性もあると思ったけど、それだと殺人的な三角関係に巻き込まれたアマがストーリーのために消費されたみたいでなにか忍びない。
けどルイが最後に“真っ黒な暗い場所にいたかった”ところから“朝の光が眩しい”というところには確実に変化がある。この作品では他者の存在が殺す・殺される、S・M、身体的に傷つける・傷つけられる、食べる・食べられるというような形で何回も繰り返し描かれるが、最後アマが残した歯を砕いて飲み込み、アマの象徴である竜と、ある意味シバさんの象徴である麒麟を背中で共存させたルイは、他人を征服したいという欲望を飲み込んだ上で他者と関われるようになったということか?
とすると、それには自分自身のアマを自分の所有物だと思っていたという欲望や、シバさんとのプレイに興奮する自分自身の欲望も含まれるはずで、その清濁飲み込んだ、ある意味普通の人間になる覚悟ができたってことなのかな?でも僕はここまで小説で描かれてるとは思えない。
あと気になるのは、ルイがギャルということを嫌がること、キャラクター描き方が戯画的というか、なんかあえてアバンギャルドってこんな感じだよね、みたいな雰囲気になっていること。
ルイがギャルを嫌がるってところは、街で子供とぶつかって明るい普通の生活なんてクソだみたいに思うところと繋がっている気がする。他者からの評価、王道ルートな価値観みたいなものが信用できなくなってしまっていたルイは、自分自身を痛めつけることでしか生を実感できなくなって、スプリットタンやタトゥーに走るのかな?と思った。
そして前述した“戯画的”である、ということろが、いちばん僕の評価を確定しきれてない部分の大きな理由の一つだと思う。例えばシバさんだったら、ぶっきらぼうで見た目は怖いけど、奥に優しさがあるとか。キャラクターもある意味そのキャラが“いいそうなこと”を言ってるような気もする。作者がこういう作品がいいんだよね?みたいな露悪にあえて走っていて、読者が最後のルイの行動や、突然行われる殺人に対して違和感を覚えて自分の価値観を揺さぶることを目標にしている、ハネケの『ファニーゲーム』、トリアー『ダンサーインザダーク』みたいな作品だとしたら、それはそれで面白いと思う。人は見えてない範囲に説明不可能な衝動や欲望を抱えているみたいな。それなら描写が異様に軽くてキャラクター造形が過剰な感じも説明できるような気がする。
(追記)
他の人の感想とか評価を読んだけど、人間の自分の欲望や求めてることがわからないけど行動している、“意味”より自分の身体が痛んだり変化したりすること自体が置かれていくという点を、この小説の評価できるポイントだとしている人だと言ってる意見もあるが、それだとしたらあまりに形式が普通すぎると思う。
たとえば岡田利規や映画『台風クラブ』では、主人公たちが自分の欲望の存在を分からない、ということが形式への疑いまで発展していて、小説の形式や映画の形式自体がその衝動とかを支えるような構造になっているが、あまりに形式や文体が普通すぎるから、通常のストーリーものとしてどういう意味なのかとか象徴しているのかという読みにブレる。その内容と形式の乖離が、この作品のゴリッとした読後感に繋がっていると感じた。
『限りなく透明に近いブルー』の方が、その通常の小説という形式そのものへの疑いがあると感じた。 -
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最後の晩餐をテーマにしたアンソロジー。初めて読む作家さんもいて、どれもよかったけど特に以下が好き。
『ラストサパーフォーエバー』金原ひとみ
友達とわいわいくだらない話をして、夜から誰かの家に集まって時間も気にせずダラダラと翌日も一緒にご飯を食べる。そんな光景がとても懐かしく、疎遠にしてしまっている友達に会いたくなった。
『最後の鰻』角田光代
こんな風にお別れできたらいいな。近所のお弁当屋さんで買ってきた鰻丼でも、お爺ちゃんを囲んで親族で食べた鰻丼とこの光景をきっと一生忘れない。一人で食べるごはんより、私も誰かとの人生で忘れられない食事を増やしたいと思った。
『小曽根幸子の送別会』寺司はるな
「専務は私のこと、かわいそうな女だと思っていたんでしょう」
自分の大事なものを知っている小曽根さんはとてもかっこよい人。
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語り手が変わると見え方が変わりどれが真実なのかわからなくなる、よもや一つの真実なんてないのではないか…。そんな芥川龍之介「藪の中」を意識した構成ではあるが、いやしかし生易しい謎解き物語ではなかった。書き手も読み手も登場人物も、ズタズタになりながらイバラの道を最後までたどり着く。なかなかにしんどい読後感。金原さんの、怒りがベースにあるのだろう強く澱みなく逃げ場のない文体一つ一つが圧巻であり、受け手にもパワーがないと倒れてしまいそう。クズ人間も多く、性描写を含むさまざまなシーンに絶望的な気分にもなる。そんな中で、私は友梨奈と一哉の甘やかな日常の描写にホッとしていた。「あ、とスマホの通知に反応して溢れた言葉に一哉がうん?と反応する。彼は私の感情や意思を取りこぼさない。取りこぼされ続けてきた感情と意思が彼によって掬われるたび、私は胸の中でポップコーンのように小さな何かが爆ぜるのを感じてきた。私は自分が隅々まで感知され、正確に回収されることに歓喜する」。こんな幸せを守る生きようもあったろう。けれど友梨奈は友梨奈らしい結末へ向かっていく。
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Posted by ブクログ
読みやすくて、恋愛や小説に向けたロマンや情熱を感じるとともに、絶対仲良くなれないタイプだ、、と思ってしまった。
ただ、所在ない感じの表し方とかが流石で、なるほどね…とぼんやり理解した気になってしまった。
まわりのバンドマンでこういう人はいるかも。
恋愛体質だったり思いつきで色々しちゃうのは自分も共通してるのに不思議。
と思ったけど、結婚できそうかを付き合う基準に考えてしまっていた私と、おそらくどんな恋愛にもそれ自体にロマンを感じたり情熱を注いでいる金原さんの違いなのかも…
憧れる部分もありつつ危なっかしいなと思う部分もありつつ。
子どもという合わないコスプレをしている気分、や、母というペルソナが合わないという箇所は、そういう話を知り合いから聞いたことはあるが、こういうことかと腑に落ちた感覚。
またエッセイや小説で金原さんに触れたい。
こんなに作品に熱量をかけて書いておられると知れたのは嬉しい。